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チベット騒乱拡大 四川省で衝突、8人死亡か

2008年03月17日00時42分

 中国チベット自治区ラサで起きた共産党・政府に対する僧侶や市民の抗議行動は、16日までに鎮圧された。しかし、インドに拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターは、四川省のチベット族居住地域で僧侶ら約2000人が治安部隊と衝突、8人が射殺されたとしており、騒ぎは中国各地に飛び火し始めている。

 中国筋によると、ラサには多数の軍や武装警察が配置され、騒ぎは16日までに鎮圧された。現地入りした香港テレビ局TVBによると、市中心部は封鎖され、武装した1万人ほどの治安当局が家宅捜索を行っている。暴動で市内の160カ所が放火され、学校や病院など40カ所が焼けたと新華社通信は伝えた。

 インドにあるチベット亡命政府はラサで死者80人、負傷者72人が確認されたとしている。在京チベット関係者がラサから得た情報では、遺体を積んだ中国当局のトラックが市内から郊外に移動しているという。

 一方、ロイター通信は地元当局者の話として、チベット自治区に隣接する四川省のアバ県でも16日に約200人が地元警察署に火炎瓶を投げ、建物が焼失したと伝えた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)などによると、四川省や青海省のチベット族居住地域で警察署が放火されたり、多数の僧侶が逮捕されたりしたという。チベット亡命政府の報道官も四川省で3人、青海省で6人が死亡したとの未確認情報があると語った。

■ダライ・ラマ、中国の武力の使用非難

 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は16日、チベット亡命政府のあるダラムサラで記者会見し、中国当局がチベット自治区で起きた騒乱について「ダライ・ラマ一派の策動」としていることについて「完全に誤りだ」と否定、「武力の使用は時代遅れだ」と中国当局の対応を非難した。

 ダライ・ラマは騒乱の原因について、「何が起こっているのか、あなた方(メディア)や国際機関で調べてほしい」と呼びかけた。そのうえで、「(チベット人に対し)恐れと懐疑心ばかりでは、真の調和や団結は不可能だ」と、中国当局の対応を批判した。

 中国当局が17日中に自首すれば処罰を軽くするとしていることについては「(投降しなかった場合に)何が起こるか、憂慮している。だが、私にはチベット人を止める力はない」と述べた。

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