〔参考〕
【団体の取組事例1】
民間からの多様な資金調達〜東京都住宅供給公社〜
東京都住宅供給公社では、平成15年度に都の損失補償付社債を公募化し、発行コストの削減と社債の流通性の向上を図りました。また、新たに都の補償によらない独自の信用力に基づく公募債を発行しました。
IR※活動においても、投資家説明会の開催や投資家向けのホームページを開設したほか、投資家個別訪問を実施するなど、積極的に実施しています。
平成15年8月には、地方公社(住宅供給公社、道路公社、土地開発公社)として全国で初めて「AA−」の格付けを取得するとともに、独自発行の公募債についても、平成16年1月に「AA−」の格付けを取得しています。
※IR(Investor Relations):企業等が投資家に対し、財務情報等の投資判断に必要な経営情報を提供していく活動のことをいいます。
○IR活動の実績
- 投資家説明会 平成15年8月開催 約80社参加
- 投資家向けホームページ 平成15年8月開設
- 投資家個別訪問 平成15年10月から約30社訪問
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※格付けは、(株)格付投資情報センター(R&I)によるもの。「AA」の定義は、「債務履行の確実性は極めて高く、優れた要素がある」というもの。 |
【団体の取組事例2】
監理団体(財団法人)の株式会社化〜(株)東京国際フォーラム〜
都のコンベンション&アートセンターである東京国際フォーラムは、(財)東京国際交流財団が運営していましたが、民間の人材・資金・ノウハウを積極的に活用するため、平成15年4月(事業開始は7月)、わが国初のケースとして、財団法人を解散し、株式会社化を図りました。
これにより、自立的経営のもとに民間のノウハウを取り入れた新たなサービスを次々に提供することで、収益の向上と顧客満足度の向上を図ることができました。
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※稼動率・収入は、平成15年4月〜6月の財団法人東京国際交流財団による運営実績と平成15年7月〜16年3月の運営実績を合計して前年度と比較したものです。 |
【株式会社化に合わせて実施した主な取組】
1 サービス向上策
○開館時間延長(8時00分〜23時00分→7時00分〜23時30分)
○館内サイン表示の刷新(ホール内にも650か所にサインを増設)
○固定部屋のフリーレイアウト化(固定の机を移動可能なものに変更し、どのような使用目的でも利用できる形にしました。)
○ワッペンキャンペーン(従業員一人ひとりのサービス意識を高めるため、「こえをカタチに」等のテーマを掲げたワッペンをつけてお客様をお迎えしています。)
2 絶え間ない話題づくり
○ネーミング・リレー・ライツの導入(16年度から。第1号のスポンサーは世界的ブランドの「シャネル」。1年間の命名権費は2億6千万円。ガラス棟壁面を活用した日本最大規模の広告が話題となりました。)
○相田みつを美術館の開館(オープン以来、28万人を超える来場者を集め、東京の観光ツアーにも組み込まれています。)
○人体の不思議展(5か月間で75万人)、大江戸骨董市(毎回5万人以上)など、話題性のある企画の開催。
○地上のオープンスペースで平日のランチタイムに「ネオ屋台村」が登場。
【団体の取組事例3】
民間の人材の積極的活用〜(財)東京都歴史文化財団〜
(財)東京都歴史文化財団では、理事長(東京都現代美術館館長兼務)に氏家齊一郎氏(日本テレビ放送網(株)代表取締役会長)、東京都写真美術館館長に福原義春氏((株)資生堂名誉会長)を迎えるなど、民間の経営感覚を美術館等の運営に積極的に生かしています。
その結果、現代美術館では、アニメ映画のキャラクターの立体造形などを集めた「ジブリがいっぱい」展など従来の発想にはない企画により、平成15年度の観覧者数は、対前年度比158%・42万人増の69万人となりました。
また、写真美術館でも、斬新な企画、館内サインやミュージアムショップの一新、賛助会員制の拡充などを行い、平成15年度の観覧者数は、対前年度比13%・5万人増の41万人となりました。
現代美術館・写真美術館の観覧者数推移 | |
現代美術館 | 写真美術館 |
【各団体の取組事例4】
独自の給与制度の導入
これまでの都の給料表を準用するような横並びの給与制度を廃止し、団体の経営状況、事業内容等に応じたものに改めるとともに、業績評価制度を導入し、職員個人の能力、業績が反映されるような給与制度を導入しています。
給与制度 | ○一般職員給与 年齢給+職能給 ○業績評価=「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階評価 |
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賞与 | ○賞与への業績評価の反映 ・「S」〜「D」の評価に応じて変動部分の支給額を増減 |
退職金 | ○職位ごとのキャリアをポイント化 ○退職金=ポイント累計×ポイント単価 |
【団体の取組事例5】
顧客満足度向上の取組〜(財)東京都道路整備保全公社〜
(財)東京都道路整備保全公社では、お客様サービスを一層向上させるため、顧客満足度調査において55%以上の利用満足度を獲得することを公社の目標として、接遇の改善に取り組みました。
平成14年度及び15年度には、外部講師を招き、すべての職員に対して「接遇マナー研修」を実施しました。また、CSリーダー制度を構築し、現場での接客マナーの点検等を実施するとともに、職員の接客に対する意識改革を行いました。
これにより、平成16年1月に実施した顧客満足度調査において、従業員の対応に満足との答えは60.0%となり、目標を達成するとともに、民間(58.4%)を上回りました。
顧客満足度調査結果 |
従業員の対応(有人駐車場)の利用満足度 |
【団体の取組事例6】
観光客へのサービス向上に向けた新たな取組→「東京シティガイド検定試験」〜(財)東京観光財団〜
○東京シティガイド検定試験の実施(平成15年度)
(財)東京観光財団では、独自の取組として、東京の魅力を紹介できる人材を育成し、東京を訪れる観光客へのサービス向上を図るため、全国で初めて「東京シティガイド検定試験」を実施しました。
このような、エリアを限定した「ガイド検定」は、京都や札幌など各都市にも広がっています。
第1回初級検定試験 平成15年11月9日 応募者1,106名 合格者 789名 |
また、15年度の初級検定合格者のスキルアップや情報交換の場として「東京シティガイドクラブ」を16年3月に発足しました。主な活動として、セミナー、講演会を実施するとともに、自主運営サークルによる、特定エリアのツアーコースの研究や、英語や中国語での案内技術の向上などを行っています。
なお、16年度も、第2回初級検定試験と、初級検定合格者を対象とした、より専門性を高めた上級検定試験を実施し、ホスピタリティマインドの向上を図っていく予定です。
【団体の取組事例7】
駅空間などの積極的活用〜東京臨海高速鉄道(株)・(株)ゆりかもめ〜
○駅空間の多様な利活用 東京臨海高速鉄道(株)
りんかい線では、駅空間の有効活用を図るため、平成15年6月に新店舗「ヴァモサ・カフェ」を東京テレポート駅構内にオープンするなど、駅構内スペースへの店舗展開を積極的に推進しています。
また、りんかい線の各駅は、TVドラマ・映画撮影、CM撮影等にたびたび活用し、構内使用の積極的展開のみならず、りんかい線のイメージアップにも結びついています。
時代のニーズに応じた取組としては、平成15年11月に「りんかい線ITすぽっと」として、無線LAN、携帯電話充電器及びインターネット端末(有料)を全駅で設置したほか、デジカメプリント機(有料)も3駅に設置し、IT時代にふさわしい駅空間の創出を図っています。
さらには、駅構内でのコンサートや駅上の空間(テレポートブリッジ)を利用したフリーマーケットを実施するなど、駅空間の利活用に取り組んでいます。
○走る広告ゆりかもめ〜電車の屋根も広告に (株)ゆりかもめ
新橋〜有明間を結ぶゆりかもめは、年間4,000万人以上が訪れる臨海副都心や開発が進む汐留シオサイトのビルの谷間を縫って走っています。また、新交通システムであるゆりかもめは、一般の鉄道と異なり、車体の屋根の部分にパンタグラフがなく、平らになっています。
こうした利点に着目し、「活用できるところはなんでも活用する」意気込みで努力を続けていることもあって、平成14年度、計画より7年前倒しで、累積損失解消を達成しました。
【団体の取組事例8】
ネーミングライツ(命名権)の販売〜(株)東京スタジアム・(株)東京国際フォーラム〜
ネーミングライツ(命名権)とは、スポーツ施設などの名称にスポンサー企業の社名やブランド名を付与するものです。アメリカでは、スポーツ施設の建設・運営資金調達のための重要な手法の一つとして定着しています。
○ネーミングライツの導入 (株)東京スタジアム
東京スタジアムでは、国内の公共施設では初めて、スタジアムのネーミングライツを味の素株式会社に販売し、平成15年3月からメインスタジアム及び同一敷地内にあるセカンドフィールドの名称を改称しています。
スポンサー企業 味の素株式会社 新名称 (メインスタジアム)「AJINOMOTO STADIUM(和文表記:味の素スタジアム)」 (セカンドフィールド)「アミノバイタルフィールド」 契約期間 平成15年3月1日から5年間 契約金額 12億円 |
○ネーミング・リレー・ライツの導入 (株)東京国際フォーラム
東京国際フォーラムでは、フォーラム内のガラス棟のサブネーム(副名称)を命名する権利と、ガラス棟の巨大空間を利用して広告展開等を行う権利を複数企業によりリレー式につないでいくネーミング・リレー・ライツを平成16年4月より導入しました。
平成16年度スポンサー(ネーミング・リレー・ライツ第1号) スポンサー企業 シャネル株式会社 サブネーム 「シャネル・ルミエール」 契約期間 平成16年4月1日から概ね1年間 契約金額 2億6千万円 |
【団体の取組事例9】
売店の収益向上〜(財)東京都公園協会〜
(財)東京都公園協会では、光が丘公園において売店を建て替え、平成16年5月にリニューアルオープンしました。新しい売店には物品販売の他に、公園案内や開花情報、樹木の案内などの情報の提供、焼きたてのパンやコーヒーなどの軽飲食の提供、テラスへのテーブルやイスの設置など、公園利用者へのサービス向上に努めました。また、公園を安心して利用してもらうため、新たに非常ボタンを設置するなど、安心・安全機能にも配慮しています。
これにより、売上高は昨年度と比べ2倍以上になり、収益力が向上しました。
光が丘公園売店の売上げ実績 |