二月定例岡山市議会で、環境消防水道委員会が十七日、家庭ごみの収集処理を有料化するための条例改正案を議決せず、継続審査としました。
先送りとした理由は会派によって違いますが、ひとことで言えば、「市民合意が得られていない」ということでした。市が市民説明会を条例成立後に設定していたことが問題とされました。
市は昨年十月に有料化骨子案を市議会に報告していますから、市ばかりを責められません。しかし、一連の論議から、市が有料化導入後にどんな資源循環型社会の姿を描こうとしているのかが見えてこないことは残念に思っています。
市は一般廃棄物処理基本計画で、家庭や事業所から出る市民一日当たりのごみ排出量を二〇一五年に〇四年より15%減らす目標を掲げています。有料化で市の見込みどおり10%程度の家庭ごみが減れば、目標に大きく近づきます。しかし、これで減量化の流れを緩めるのでは本末転倒です。一方で、有料化で得られる収入でどんな環境施策を展開するかのメッセージも伝わってきません。
先日、あるベテラン市議が一九九二年から九六年にかけて、全市で導入した五種分別の際の思い出を話してくれました。
「市職員が町内会にどんどん入ってきて、精力的に張りついた。あの時の市はすごかった」
五種分別時と比べるのは多少無理があるのでしょうが、有料化が必要なら、市はその先にある環境先進都市・岡山の未来像も合わせて市民に熱く訴えてこそ、理解が得られるのではないでしょうか。
(政治部・板谷武)