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ビル地上げ:スルガから報酬65億円 犯罪収益の可能性も

地上げ事件の資金の流れ
地上げ事件の資金の流れ

 東証2部上場の「スルガコーポレーション」が購入したビルの地上げを巡る弁護士法違反事件で、不動産会社「光誉実業」(大阪市)社長、朝治博容疑者(59)らがスルガ社から得た地上げの報酬は約65億円だったことが分かった。このうち約26億円が現金で引き出され、使途不明になっていることも新たに判明。警視庁組織犯罪対策4課は、この約65億円が組織犯罪処罰法に定める犯罪収益にあたる可能性もあるとみて調べを進めている。

 朝治容疑者は指定暴力団山口組宅見組の幹部とゴルフをするなど交友があり、その威力を背景に強引な立ち退き交渉を進めた。

 調べでは、スルガ社は03~07年にかけ、都内5カ所のビル地上げの委託料として、朝治容疑者をスルガ社につないだ「共同都心住宅販売」元社長、風間勇二容疑者(57)が管理する口座と、朝治容疑者が管理する光誉名義の口座に計約150億円を振り込んだ。ビルのテナント料約20億円も入金しており、支払った地上げ資金は約170億円に達した。

 風間容疑者の手数料とみられる数億円を差し引いた後、光誉名義の口座にいったん集約され、賃借人への立ち退き料やビル管理料に約105億円が支出された。警視庁は残りの約65億円を報酬とみているが、口座記録などを調べたところ、事件の舞台となった秀和紀尾井町TBRビル(東京都千代田区)の約10億円分を含め、少なくとも約26億円が現金で引き出され、使途が分からなくなっていた。

 残る約39億円についても、朝治容疑者の親族が代表を務めるグループ会社に送金されたり、地上げとは関係のない投資会社や不動産会社に振り込まれていた。最終的に逮捕時の口座残高はゼロに近い状態だったという。

 一方、スルガ社は地上げしたビルを取り壊し、底地を転売することで巨額の利益を得ていた。今年2月までに5カ所で、光誉側に提供した地上げ資金を差し引いても約270億円の利益があった。

 スルガ社は毎日新聞の取材に対し「地上げを依頼した経緯や資金の流れについては外部の弁護士や公認会計士が調査中で、結果を待って公表する」としている。

 【犯罪収益】 振り込め詐欺やヤミ金融事犯など犯罪行為そのもので得た財産や、犯罪の報酬として得た財産。組織犯罪処罰法は、その隠匿や収受を禁じており、罰則や没収の規定もある。

毎日新聞 2008年3月20日 2時30分

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