義足で大型二輪免許取得 兵庫県職員が悲願 2003/08/12 交通事故で足を失った神戸市西区の兵庫県職員内田久人さん(42)がこのほど、義足を付けて大型二輪車の免許を取ることに成功した。兵庫県自動車免許運転試験場によると、全国でも珍しいケースという。「バイク好きな障害者たちの希望につながれば」と内田さん。中型バイクを六五〇ccの大型バイクに乗り換え、“風”になる。 内田さんは、大阪府内の体育大学で体操を学んでいた一九八一年、バイク事故で右足を切断。復学を目指し、義足をつけてリハビリに励んだ。元来の身体能力の高さもあり、わずか一年間で百メートルを十三秒台で走ったり、ひねりを加えた宙返りができるまでに回復した。 ところが、壁があった。車の免許を取得しようと訪れた「運転適性相談コーナー」で、義足を理由に二輪免許の取り消しを言い渡されたのだ。すぐに体で反論した。審査官の前で、宙返りや全力疾走をしてみせた。結果、オートマチック(AT)車や左足ブレーキ限定などの条件はついたが、引き続き二輪車に乗ることができるようになった。 オートバイタイプのAT車は少なかったため、約二十年間、一二五ccや二五〇ccなどのスクーターを乗り継いできた。そんな中で登場したのが、四〇〇ccを超える「メガスクーター」。「大きなバイクにあこがれるのはライダーのさが」と、今年三月、カワサキライディングスクール(明石市川崎町)に入学した。 ただ、二輪車のAT免許のカリキュラムはなく、ミッション車で教習を受けた。苦労したのが、後ろブレーキ。操作する右足のかかとは義足で動かない。しかし、足全体で踏み込みの強弱を調整することで、見事にカバー。試験にも一発で合格したうえ、安定したドライビングテクニックが認められ、AT限定も解除された。 「大型は馬力もあるし、安定感も抜群」と内田さん。「バイクの大きさに関係なく障害者のライダーで集まり、ツーリングに出るのが夢。まずはそんな会をつくりたい」と話している。内田さんTEL078・928・6504(午後七―十時) [ 閉じる ]
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