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2008年03月16日

話し合いをダメにする論証パタン13個(有意義な論争のための議論ハック)

↓こちらに続編あります↓
論争に絶対負けない議論ハック(心構え編) - 女教師ブログ

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常々「ダメな論証方法」に関する話が好きで、自分でも色々考えたりしていたのだけれど、先日、ウィキペディアでまさにそれがリスト化されているページを見つけ、とても嬉しくなってしまった。

というわけで、以下は、wikiのページから13個の「間違った論証方法」を抜粋・再構成して、勝手に自分で例を考えてみたものです。こういうのを俗に、人の海パンで水泳をする、と言うんですね。


論理ルールの違反

  • 1. 後件肯定
    • 「PならばQだ」という論理を改変し、逆に「Qだ」から出発して「Pだ」を導く
      • 例「瀧沢の彼女・奈々子は『もし浮気したら、別れるから!』と言っていた。最近、彼らは別れたらしい。ということは、瀧沢は浮気したということだ」
  • 2. 前件否定
    • 「PならばQだ」という論理を改変し、「Pではない」から出発して「Qではない」を導く
      • 例「瀧沢の彼女・奈々子は『もし浮気したら、別れるから!』と言っていた。瀧沢は激しくブサイクなので浮気したくてもできない。ということは、彼らは別れることはない」
  • 3. 選言肯定
    • 必ずしも排他的でないものを「A vs. B」ように対立化させ、「A であるから、Bではない」と断定する
      • 例「奈々子は、『ネカマ』か『ただの痛い子』のどちらかである。瀧沢によると、奈々子はやっぱりネカマだそうだ。したがって、奈々子は、ただの痛い子ではない」
      • (注:奈々子が、「ネカマ」かつ「ただの痛い子」である子の可能性は十分ある)

論理ルールには従っているが、根拠の引き方に問題がある

  • 4. 例外無視の一般化
    • 例外の存在を無視して強引に一般化する
      • 例「学校教育は、程度の差はあれ、社会的に必要な「しつけ」として認められている。体罰も物理的な「しつけ」なのだから、教育的体罰も認められるべきだ」
  • 5. 早急な一般化
    • 論拠が不十分なうちに一般化する
      • 例「私が一昨日会った若者は内気だった。昨日会った大学生は、きちんと目を見て話せなかった。今日話した高校生はみな、自発的に意見を言おうとしなかった。したがって、最近の若者はコミュニケーションへの意欲が低下している」
  • 6. 引いてくる例の偏り
    • ある特定の集団のみから論拠を引用し、一般化すること
      • 例「私は、毎日、ヴェトナムからの国費留学生たちといっしょに仕事をしているのだが、彼らはとても頭がよい。ヴェトナム人はなんと賢い国民なのかと驚嘆する毎日である」
      • (注:国費留学生が頭がいいのは当たり前)
  • 7. 類推の濫用
    • 論証を、類推を用いて行う、言い換えれば、比喩に頼って論証を組み立てる
      • 例「教師は、野球で言えば監督兼選手だ。しかし、プロアマを問わず、選手が監督を兼ねているチームは弱い。したがって、教師は無能だ。」
  • 8. 二枚舌(Equivocation):
    • 同じ単語を使いつつも、一方ではある意味で、もう一方ではまったく別の意味で用いて、論証する
      • 例「自閉症児は、“コミュニケーション”に障害がある。かたや、英会話の基本は“コミュニケーション”である。したがって、自閉症児の教育には英会話が最適である」
      • (注:後者の「コミュニケーション」が意味するところは、前者よりも圧倒的に狭い)
      • see also (5) in http://shogakko.alc.co.jp/jack/2006/04/_vol3.html
  • 9. 相関と因果の混同
    • 「Aだったら、Bだった」という相関関係に過ぎないものを「AだったからBだった」という因果関係に誤解する
      • 例「平成不況が深刻化した90年代、JポップのCDは売れに売れミリオンセラーが量産された。不況によって、逆に人々の邦楽消費が喚起されたのだろう」
  • 10. 先後と因果の混同
    • 「Aが起きてから、Bが起きた」という先後関係的な事実を、「AがBの原因だ」という因果関係に誤解する
      • 例「中3夏まで僕は、勉強・部活動・恋どれもすごいダメダメだったんです。でも、夏休みに進研ゼミをはじめたら、途端に成績が急上昇、文化祭でも大活躍、おまけに彼女までできたんです。彼女ができたのは進研ゼミのおかげです。本当にありがとうございました
  • 11. 仮想的論法(Strawman):
    • 反論したい立場の主張を、反論しやすいように加工し、批判を加える
      • 例「最近、学校には行き過ぎた悪平等が蔓延してましてね、ほら、最近の小学校は、運動会なんかで徒競走をすると、“手をつないでゴール”させるんですよ。こんな馬鹿なことってありますか。平等主義は本当にけしからんですよ」
      • (注:“手をつないでゴール”させる徒競走は「都市伝説」の疑いが強い)
  • 12. 無批判な権威の根拠化
    • 偉い(あるいは頭がいい)人物が言っているのだから、正しい。
      • 例「ノアム・チョムスキーは以前、ポルポトを擁護していたらしい。彼は若干30代そこそこで認知革命を巻き起こしたほどの天才である。彼ほどの人物が言うのだから、ポルポトは実は正しいことをしていたんだろう」
      • (注:上記のチョムスキー話は2重3重の誤謬である。詳しくは、http://rootless.org/chomsky/falserumor.html 参照)
  • 13. 事実と規範の混同
    • 「Aである」という事実に過ぎないものを「Aであるべき」と混同する。あるいはその逆
      • 「話し合いでは平和が達成されないことは、戦争の歴史を見れば明らかだ。したがって、話し合いを紛争解決の手段にするべきではない」

jiangmin-altjiangmin-alt 2008/03/16 20:49 ”「PならばQだ」という論理を、逆に「B」から出発して論証する”は、s/B/Q/;

terracaoterracao 2008/03/16 20:59 ゴメンね。直したよ。

hatesthatest 2008/03/16 23:40 ×『もし浮気したら、別れるから!」
○『もし浮気したら、別れるから!』
瀧沢と奈々子ってつきあってるの?

terracaoterracao 2008/03/17 00:17 付き合ってたけど別れたらしいよ。

bathrobebathrobe 2008/03/17 14:45 これはいいまとめ。

こういうのはダメな論証に入るのかな。

極小の可能性を過大評価
「携帯電話がペースメーカーに及ぼす危険性は全く無いと証明されていない。だから携帯電話は使うべきではない」

terracaoterracao 2008/03/17 19:17 bathrobeさん

お褒めのことばどうもありがとうございます。

>極小の可能性を過大評価

微妙、なところですよね。難しいです。論理ルールはきちんと満たしているので、問題は、統計的可能性(生起する確率の問題)とか倫理的な判断(万が一事態が起きてしまったときの深刻度)のような、論理とはまた別の要因を勘案しないといけない、という点ですよね。
この点で、温暖化とCO2の因果関係に関する議論にもかなり似ていると思いました。

sho_tasho_ta 2008/03/18 03:37 wiki応用シリーズ第2弾は「詭弁」でやってください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A9%AD%E5%BC%81

terracaoterracao 2008/03/18 04:07 sho_taさん、
うああ、こっちのページのほうが良くまとまっているし、いじりやすいorz
半年後くらいにみんなが忘れたころに、ブクマ乞食よろしく、このページをネタにしてやろうかなと思った。

gakeppgakepp 2008/03/18 05:40 こんばんは。ブックマークでsuikyoさんも仰っていたのですが4と13の違いがイマイチピンときません。
よろしければ、別の例を使ってご教授願えませんか?

terracaoterracao 2008/03/18 05:56 基本的に論者が肯定したい現状を枕にするのが、13です。
「日本は代々天皇を中心とする神の国だった。したがって、天皇制は存続されるべきだ」

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