靖国合祀 遺族ら提訴/取り下げ求め那覇地裁に
靖国神社に肉親を合祀されている沖縄戦の遺族ら五人が十九日午後、親族を無断で祭られて追悼の自由を侵害されているとして、同神社に合祀の取り下げを求める訴えを那覇地裁に起こした。国が同神社に戦没者情報を提供したのは、憲法の政教分離に違反しているとして、併せて国と同神社に慰謝料の支払いを求めた。
提訴したのは、沖縄戦で母と兄が犠牲になった原告団長の川端光善さん(72)や、ひめゆり学徒に動員されて姉を亡くした男性ら。提訴までに同神社に直接文書で合祀の取り下げを求めたところ、「遺族の承認を得て合祀することはない。靖国神社には信教の自由がある」などと回答したという。
原告側は訴状で「戦争の被害者として無念の死を遂げた人々を、国に殉じた英霊として合祀しているのは許しがたい苦痛で、積極的に合祀に協力した国には怒りを感じる」と主張している。
また壕から追い出されたり「集団自決(強制集団死)」を強いられたりして亡くなった被害者に、戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)が適用されている仕組みにも言及。住民を軍に対する積極的な戦闘協力者にすり替え、加害者の皇軍に取り込んでいるとして、「死者に対する冒涜にほかならない」と訴えている。