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   即・免許皆伝! 卵焼きの奥義

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2006年8月23日放送

今回の番組について

秋は運動会や家族旅行にお弁当が大活躍する季節。幼稚園で子供達のお弁当を調査すると、ダントツ人気だったおかずが今夜のテーマ「卵焼き」!

家庭の味だと思っていたら、なんと行列までできちゃうプロこだわりの卵焼きがあるんです。ふんわりとしてジューシーなおいしさは、家庭ではとてもマネできません。

そこでガッテンがプロの技を科学の目で徹底解明したところ、これまでの卵焼きの作り方には数々の間違いがあることを発見! それさえ分かれば、あなたも即プロ級に大変身!

オープニングクイズ

  • 問題:ダチョウの卵はハチドリの卵何個分?
    答え:3000個
    ※世界最大の鳥の卵はダチョウの卵で、重さはおよそ1.5キログラム。一方世界最小のハチドリの卵は重さおよそ0.5グラム。大きさは1円玉の半分程度しかありません。
  • 問題:ぷるぷる茶わん蒸しの黄金レシピは、「強火4分」のあとに何を「8分」?
    答え:消火(けしび)
    ※蒸している間に温度が80℃を超えると、茶わん蒸しに「す」が入ってしまいます。そこで以前ガッテンでご紹介したのが、強火で4分加熱した後、火を消して8分余熱で蒸らす方法。ぷるぷるに仕上がります。
  • 問題:関西の「だし巻き卵」は、関東の「厚焼き卵」と何が違う?
    答え:甘みがない
    ※「厚焼き卵」も仕上げに巻きすで巻く人は案外多い。関西の「だし巻き卵」の最大の特徴は、砂糖を多く入れる関東と違い、少量のみりんだけで甘みを抑えることです。「厚焼き卵」も「だし巻き卵」もプロはだしをたっぷり入れて焼くのが特徴です。

「卵(らん)戦! 卵焼き選手権」

だしの量はプロと同じでも……

今回番組が調べたところ、多くのプロは、卵3個に対して80ミリリットル程度のだしを入れることが判明しました。食べると口の中にたっぷりのだしがにじみ出て、驚くほどふっくらジューシーに仕上がります。

男女4人に、この分量で卵焼きを作っていただいて食べ比べをしました。焼きたてのときは、初心者のAさんの卵焼きが「ふんわりしておいしい」と一番人気になりました。ところが4人の卵焼きを弁当箱に詰めて、調理後2時間たって冷めたときに食べてもらうと、Aさんの卵焼きの人気は10票から4票にガタ落ち。一方、焼きたてでは5票だったBさんの卵焼きは「ふんわり、ジューシー」と評価され、12票を獲得してトップに躍り出ました。実はBさん、キャリア40年の卵焼きの達人だったのです。なぜこんな大逆転が起こったのでしょうか。

冷めた時の「素人 VS. 達人」

冷えた状態で食べた時の食感を調べると、素人(Aさん)のものは歯ごたえが少なく、ぐずぐず切れる感じがしました。達人のものは表面にしっかりとした歯ごたえがあり、噛み切るとふっくらとほぐれます。また、2人の卵焼きに重りを乗せ、噛んだときに出るだし汁の量を比べると、圧倒的に達人の卵焼きの方が多く、それだけジューシーであることが判明しました。

卵焼きの断面をマイクロスコープで拡大すると、素人の卵焼きは巻く時にできた大きな隙間がある他はツルンとしていました。これに対し、達人の卵焼きは細かい気泡がたくさんあるスポンジ状でした。

写真・卵焼きの断面の拡大図

  • 素人の卵焼き
    • できたて:隙間にだしがたっぷり入り、ふんわりした状態
    • 冷めたとき:その結果、隙間がつぶれて、だしが外へ流れ出た状態
  • 達人の卵焼き:
    • できたて:細かい気泡にだしがたっぷり含まれた状態
    • 冷めたとき:冷めても気泡がつぶれず、噛むと初めてだしがあふれ出す

「細かな気泡がたくさん入ったスポンジ状」の卵焼きが、冷めてもふっくら、ジューシーである秘密だったのです!

「溶くとご卵(らん)!まぜまぜ大調査」

商店街の皆さんに好きな道具を使って好きなだけ卵をかき混ぜてもらったところ、はしを寝かせて回すようにかき混ぜる「グルグル型」が最も多く、次いで泡立て器で念入りにかき混ぜる「シャカシャカ型」が多くみられました。混ぜた卵液が細いガラス管を通過する時間で、液のサラサラ具合を調べたところ、11〜15秒で通過する「ややサラサラ」の人が最も多いことが判明しました。

達人は、商店街の皆さんよりずっと短時間しか卵をかき混ぜませんでした。その卵液がガラス管を通過する時間は、町の皆さんの誰よりも遅い26秒。非常にドロドロの状態だったのです!

素人と達人の混ぜた卵液の違い

素人に多いサラサラの卵と、達人のドロドロの卵を黒い布の上に薄く広げてみたところ、素人の卵液には白身の固まりがほとんど見られませんでしたが、達人の卵液には、最大2〜3センチ程度の白身の固まりがたくさん散らばっていました。

白身のドロドロが気泡をつかまえる!

側面をガラス張りにした特別な卵焼き鍋を用意し、素人のサラサラ卵液を入れて加熱しました。すると熱された鍋の表面に現れた細かな気泡は、次々と浮上して外へ抜けてしまいます。一方、達人のドロドロ卵液を加熱すると、現れた細かな気泡は、白身のドロドロに邪魔されて外へ抜けられません。これにより、たくさんの気泡を残した状態で卵が固まることを発見しました!

冷めたときにおいしい「ふっくら、ジューシー」な卵焼きを作るためには、卵をよくかき混ぜるのは逆効果。卵の白身をちぎるようにまぜてください

「これが火焼(ひや)く的進歩のコツ」

卵焼き選手権の「冷めたときの食べ比べ」で最下位になってしまったCさん。達人との違いを調べると、Cさんは焦げないように弱火で焼いていたのに対し、達人は強火で焼いていることが判明しました。

サーモグラフィで調べると、強火で予熱された卵焼き鍋の表面温度は180℃の高温! この高温だからこそ、流し込んだ卵液にたくさんの気泡が生まれるのです。よく見ると、プロの卵焼きには程よい焼き色が付いています。焦げを恐れて弱火で加熱すると、重要な細かい気泡があまり生まれないのです。

しかし、Cさんがまねして強火で加熱すると、たちまち焦げすぎてしまいます。いったい何が違うのでしょうか?

一度にたっぷりの卵を流し込んで焦げを解決

Cさんは一度におたま3分の2程度しか卵を流し込んでいなかったのですが、これでは急いで巻かないとどんどん焦げてしまいます。一方の達人は、たっぷりと卵を流し込んでいました! 高温の鍋にたっぷりの量の卵を流し込むと、だしの水分が温度の上がりすぎを防ぐのです。表面がドロドロに固まったらパタンと畳むのがコツです。

強火で鍋を180℃くらいまで予熱(はし先につけた卵を焼き鍋につけてすぐ固まればOK)したら、鍋の横幅くらいに火を落とします。あとは火加減一定。気泡がたっぷり閉じこめられるのを待って、パタンと畳みます!

まとめ「免許皆伝!ガッテン流絶品・卵焼き」

冷めてもおいしい卵焼きの作り方!

×従来の作り方

○ガッテン流

  • 卵焼き鍋を温める
  • 卵を少しずつ流し込む
  • 焦げないように弱めの火で焼く
  • 表面が乾いたらクルクル巻く
  • 卵焼き鍋を熱する
  • 卵をたっぷり流し込む
  • 焦げを恐れず強めの火で焼く
  • 表面がドロドロになったらパタンと畳む

実習コーナー「プロ直伝!卵焼きの奥義」

だしたっぷり!達人の絶品・卵焼き(3〜4人分)

※家庭用卵焼き鍋で焼く分量です

写真・調理例

  • 材料
    • 卵 3個(できればM玉)
    • だし汁 80ミリリットル(市販の粉末だし1つまみを80ミリリットルの水に溶かしたものでよい)
      ※お好みのだしをお使い下さい
    • しょうゆ 小さじ1
    • 塩 2つまみ
    • 砂糖 大さじ1.5(調味料はお好みで調節して下さい)
  • 作り方
    1. だし汁に調味料をすべて入れ、よくかき混ぜる。(合わせだし)
    2. はしを隙間をあけてまっすぐ立て、ボールの底に白身をこすりつけてちぎるように、まっすぐ前後に動かす。1秒間に2往復の速さで10往復動かしたら、ボールを90度回転させ、再び10往復動かす。
    3. 合わせだしを混ぜた卵に入れ、再びボールの向きを変えながら、はしで10往復ずつ混ぜる。
    4. 卵焼き鍋を強火で1分間ほど予熱する。(鍋の厚みで時間は異なります)はし先につけた卵がすぐ固まればOK。ここで、鍋の横幅からはみ出ない程度に、火を落とす。
    5. ペーパータオルに染みこませた油を十分に引き、1回目はおたま1杯分の卵を流し込む。
    6. 大きな気泡だけつぶしながら待ち、表面がドロドロになってきたら、卵を奥から手前に三つ折りに畳む。
    7. 卵を奥に寄せ、開いた部分に油を引く。2回目はおたま2杯分の卵を流し込み、卵焼きの下にも流し入れる。15秒ほどおいて、再びまだ固まっていない卵を卵焼きの下に流し入れる。
    8. 表面がドロドロになってきたら、卵を奥から手前に半分に畳む。
    9. 開いた部分に油を十分に引き、3回目は残った卵を全て流し込み、卵焼きの下にも卵を流し入れる。15秒ほどおいて、再びまだ固まっていない卵を卵焼きの下に流し入れる。
    10. 表面がドロドロになってきたら、卵を奥から手前に半分に畳む。
    11. ヘラで軽く上と横から押さえて形を整える。

注意点

  • しっかり卵に火を通すことが大切! とくに、温度の高い時期はいたみやすいのでご注意ください。
  • 余熱をとって冷蔵庫で保存すると2〜3日程度は日持ちします。一度冷蔵庫に入れたものをお弁当に入れる際は、電子レンジで再加熱し、余熱をとってから、弁当に詰めて下さい。
  • きれいにできない場合は、だしの量を少なめにして挑戦し、少しずつ増やすとうまくいきます。

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