陸の王者
テーマ:MESSAGE世間はセンター試験のようだな。何でも最近は、リスニング試験なんかもあると言うじゃないか。俺の頃は、共通一次試験ってやつだったが、実は俺は共通一次試験を受けていない。
なぜなら、俺は慶応一本勝負だったからだ。
今日は、センター試験を頑張る受験生にエールを送るつもりで、慶応大学に入った理由というものを話したい。俺は気合だけで大学に受かったような人間だからな。東大やトップ国立大学のやつらからすれば、慶応にがんばって受かるレベルとバカにされがちだが(現にオレの部下からはそんな目で見られているような気がする)、それはオレの高校時代を知らない連中からの目線。高校の同級生からは大学合格を“九州の奇跡”といわれたものだ(笑)。
オレは高校3年になる時点で偏差値が40くらい。これほど偏差値って下がるのか?と正直思ったのを覚えている。それまでは勉強なんてしたこともなく、不良とまではいかないが、部活動をやりながら、粋がった田舎の高校生をやっていたよ。俺の高校は“自衛隊の演習よりも厳しい”といわれるくらい厳格な男子校だったが、そんな俺らの一服の清涼剤が、近くの女子高だった。
高校3年になる間際だっただろうか、今は地元の金融機関に勤めているクラスメイトのY君が、オレにある日「猛に女を紹介してやる」と言い出して、その女子高に通うKちゃんを紹介してもらった。
田舎にはありがちなタイプではなく、都会的な子だったな。オレは熱烈に彼女に恋をして数回デートにも誘い出すことに成功した。受験に恋愛は禁物といわれた彼女なんてオレには関係なく、告白した。
しかし、「私は頭の良い人が好きなの。今は西南学院の大学生と付き合っている」と見事振られ、ひどく落ち込んだものだ。考えてみれば、当時の高校生で大学生と付き合っているというのは結構すごいことで、それくらいませていた子だったのだろう。
翌日学校で一番がり勉だったS君(彼は、今、役所勤めをしているらしい)の襟をつかんで、脅すように、「西南学院大学よりもいい大学はどこだ?!」となかば脅しにも似た声色で問いただしたところ、怯えた表情で「慶応大学じゃないか・・・」と言ってきた。俺はそこから猛烈に勉強をしたよ。1日の平均睡眠時間は2時間くらいじゃないだろうか。学校から帰って部屋に閉じこもってひたすら高校1年からの勉強をやりこんだ。見る見るうちにオレの学力は伸びた。伸びたどころか、進路指導では東大受験を勧められたくらいだ。ただ、俺の中では慶応に入ればKちゃんと付き合えると言う妄想だったので、東大すら眼中になかった。
見事、慶応に合格した俺は、地元では結構話題になり、東京に出る前日にKちゃんから電話があった。何と、「会ってれないか」とのこと。
オレの頭の中では、99.99%くらい会いたかったが、残りの0.001%くらいが「行くな」と言い続ける。0.01%はオレのプライドだった。今考えれば大学名でついてくるアホな女に過ぎないが、当時のオレにとってはとにかく悩んだ。でも、俺は断った。その翌日、日吉の地に向ったものだ。
今日、若い君らに伝えたいのは、恋愛の駆け引きとかじゃなくて、要するに、オレのような馬鹿でも気合と気力とモチベーションさえあれば最後はなんとでもなったってことだ。オレは多くの人よりもスキルはないと思うが、でも諦めない気力と体力だけはある。安直にスキルを磨くというのが最近の傾向だが、そんなことよりは魂を鍛えたほうがいいと思っている。つまり何事からも「逃げるな」と。逃げないで何かを成し遂げた人間が得る満足感、プライドは本物だ。そういうプライドを沢山積み重ねて骨太な器の大きな人間になりたいもの。
塾生達よ、君らの行く手には、クールな頭脳集団の東大生、如水会と言う三田会以上のネットワークを財界に持つ少数精鋭の一橋大生、そして永遠のライバルである強烈な個性を持った早大生が待ち構えている。福澤先生の志をどうか忘れず、負けないでいただきたい。
■「中央公論」
如水会も強いですが、数と社会的インパクトでは
三田会の方が強いようです。
「中央公論」2月号では、「三田会は、宗教団体並みの影響力がある」と指摘されています。
あと、慶応は、今現在よりも明治・大正時代の方が財界でのプレゼンスがあったと思います。
実は福沢諭吉の高弟たちが、三井や三菱系の主要企業を設立しています(三井財閥の祖は、福沢の甥の中上川彦次郎。
三菱は、岩崎弥太郎が福沢と親交があったことから、慶応出身者が幹部の中心。特に荘田平五郎は三菱に簿記法を導入し、東京海上、三菱銀行、日本郵船、麒麟麦主等を設立)。
あと、百貨店や電鉄・電力・保険事業も、当時の慶応出身者が中心になった分野らしいです。
「新潮45」の「日本経済慶応閥史」という特集でも、「大昔の福沢諭吉の弟子たちの産業界での活躍が、今現在の慶応の経済界での圧倒的な
強さの根源」と指摘されていました。