「おおむね順調」評価に異論 秋田県の医療体制づくり秋田県が実施した2007年度の政策評価結果に異論が噴出している。深刻な医師不足のため、県内の病院では産科などの休診が相次ぐが、県の取り組みは「おおむね順調」と判定された。制度上、やむを得ない結果というが、県議会には「実態とかけ離れている」と疑問の声が少なくない。開会中の県議会2月定例会。17日の予算特別委員会総括審査で、ベテラン議員が寺田典城知事に質問した。「現状は県民が満足する医療体制だと言えるか」。寺田知事は首を横に振り、「医師不足で大変な状況だと認識している」と答えた。 県北で屈指の出産数だった大館市立扇田病院は、06年9月に秋田大が常勤医派遣を打ち切り、産科の休診が続く。仙北市立田沢湖病院は同年8月、常勤医の不足から救急指定を取り下げ、地域の救急医療に不安が広がっている。 鹿角組合総合病院も精神科の常勤医を確保できず、06年4月の入院病棟休止に加え、今年4月からは外来も休診する。北秋田市の公立米内沢総合病院は、医師や看護師の大量退職で、診療体制縮小を余儀なくされた。 だが、07年度政策評価によると、県の「いつでもどこでも受けられる医療体制づくり」は順調、おおむね順調、遅れている、の三段階評価で中位となっている。ベテラン議員は「おおむね順調なんて、とんでもない話」と厳しく指摘した。 医療体制づくりの政策評価は、まず施策の必要性を決め、(1)人口10万当たりの医師数(2)地域中核病院整備済み数(3)年間献血者数―など、6項目の目標達成率から有効性を算出し、基準に当てはめて機械的に判定する。 07年度の必要性は最高のA判定で、医師数や病院整備数の達成率も100%を超えたため、総合評価が「おおむね順調」となったというが、ベテラン議員は「あまりにも実態と異なる」と評価基準の見直しを求めた。 県総合政策課は「『おおむね順調』の表現が妥当かという問題もあるが、有効性を判定する項目が十分かは検証したい。ただ、政策評価は県民満足度を調べるシステムではないので、結果と実態とのマッチングは簡単ではない」と話している。
2008年03月18日火曜日
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