きょうは、いちごのたくさんのったクリスマスケーキを買って来たという方も多いのではないでしょうか?
そのいちごですが、今年は夏の猛暑の影響で全国的に収穫量が減り、さらに燃料費の高騰で、いちご農家は頭を悩ませています。
そんな中、注目されているのが、なんとビールなんです。
粒が大きくて甘いと人気の福岡県産のイチゴ「あまおう」、福岡県のイチゴの生産量は栃木県に次ぎ全国2位を誇ります。
イチゴはクリスマスケーキに欠かせないため、この時期、出荷のピークを迎えています。
しかし、実は今年、全国的にその収穫量が例年の半分にまで落ち込んでいるのです。
その理由は夏の猛暑と雨不足。
夏の暑さで、花が早く落ちてしまい、実をつけないものが多く、実を付けても小粒だと言います。
さらに生産者を悩ませているのが燃料費の高騰。
イチゴ栽培ではビニールハウス内の暖房に多くの重油を使います。
燃料費の節約のため、成長が多少遅れるのを覚悟で設定温度を1〜2度低くするなどの対応を余儀なくされています。
しかし、そんな中、ある肥料を実験的に使用したビニールハウスでは、例年通りの収穫が見込まれています。
イチゴ農家の堤孝弘さんが、去年から使用しているのはなんと、ビール酵母から作った肥料です。
イチゴ農家を悩ませてきたのが「炭そ病」。
カビの一種で感染力が強く一度、病気にかかると枯れてしまいます。
しかし、このビール酵母で作った肥料を使うことで、植物自身が持つ免疫力を高め、病気を抑えるということで試してみることにしたのです。
その結果、しっかりと根を張ることで、植物が元気に育ち、収穫量の増加にもつながりました。
この、肥料を開発したのは、大手ビールメーカーの北川隆徳さんです。
ビールは、麦を絞った汁、麦汁に酵母を加えて作ります。
その過程で出るビール酵母に目をつけました。
ビール酵母は、ビタミンB群やアミノ酸、ミネラルなど栄養価が豊富で、これまでにも健康食品として利用されてきました。
きわめて管理が厳しい酵母室、博多工場では今回初めて取材が許可されました。
ビール酵母を使った肥料はイチゴだけでなく、レタスやとまと向けなども研究開発が進められています。
安全・安心な農作物の生産に一役買っているビール、きょうの一杯はいつもよりおいしいかも知れません。