“猛暑”“原油高”にビール!?
“猛暑”“原油高”にビール!? 12/24 19:30

きょうは、いちごのたくさんのったクリスマスケーキを買って来たという方も多いのではないでしょうか?

そのいちごですが、今年は夏の猛暑の影響で全国的に収穫量が減り、さらに燃料費の高騰で、いちご農家は頭を悩ませています。

そんな中、注目されているのが、なんとビールなんです。

粒が大きくて甘いと人気の福岡県産のイチゴ「あまおう」、福岡県のイチゴの生産量は栃木県に次ぎ全国2位を誇ります。

イチゴはクリスマスケーキに欠かせないため、この時期、出荷のピークを迎えています。

しかし、実は今年、全国的にその収穫量が例年の半分にまで落ち込んでいるのです。

その理由は夏の猛暑と雨不足。

夏の暑さで、花が早く落ちてしまい、実をつけないものが多く、実を付けても小粒だと言います。

さらに生産者を悩ませているのが燃料費の高騰。

イチゴ栽培ではビニールハウス内の暖房に多くの重油を使います。

燃料費の節約のため、成長が多少遅れるのを覚悟で設定温度を1〜2度低くするなどの対応を余儀なくされています。

しかし、そんな中、ある肥料を実験的に使用したビニールハウスでは、例年通りの収穫が見込まれています。

イチゴ農家の堤孝弘さんが、去年から使用しているのはなんと、ビール酵母から作った肥料です。

イチゴ農家を悩ませてきたのが「炭そ病」。

カビの一種で感染力が強く一度、病気にかかると枯れてしまいます。

しかし、このビール酵母で作った肥料を使うことで、植物自身が持つ免疫力を高め、病気を抑えるということで試してみることにしたのです。

その結果、しっかりと根を張ることで、植物が元気に育ち、収穫量の増加にもつながりました。

この、肥料を開発したのは、大手ビールメーカーの北川隆徳さんです。

ビールは、麦を絞った汁、麦汁に酵母を加えて作ります。

その過程で出るビール酵母に目をつけました。

ビール酵母は、ビタミンB群やアミノ酸、ミネラルなど栄養価が豊富で、これまでにも健康食品として利用されてきました。

きわめて管理が厳しい酵母室、博多工場では今回初めて取材が許可されました。

ビール酵母を使った肥料はイチゴだけでなく、レタスやとまと向けなども研究開発が進められています。

安全・安心な農作物の生産に一役買っているビール、きょうの一杯はいつもよりおいしいかも知れません。