【パリ17日高木昭彦】フランスですっかり人気が定着したMANGA(日本の漫画)の全容を紹介する辞典「マンガ・ディコ」がフランスで出版された。フランス語に翻訳された漫画を対象に、全漫画家を収録し、作品もほぼ網羅した本格的な内容で、監修者は「世界初だ」と胸を張っている。

 辞典(624ページ、フルカラー)はアルファベット順に漫画家名・作品名の約1500項目を並べ、特色や日仏での出版状況、エピソード、テレビ・映画化状況を紹介している。収録対象は、「サイボーグ009」などで知られる故石ノ森章太郎氏の作品が日本の漫画で初めてフランス語に翻訳された1979年から2006年まで。

 実際の漫画も900枚以上掲載し、眺めるだけでも楽しめる。さらに「秋葉原」「コンビニ」「萌(も)え」「侍」「神」など、漫画の中の日本を理解するためのキーワードも丁寧に解説している。

 監修したのはフリージャーナリストで出版社の編集者ニコラ・フィネさん(48)。子どもに漫画を求められる親や図書館職員が漫画について何も知らないことに目をつけ、「辞書好きの国民性も考えて」企画を提案。フィネさんが選んだ項目リストに沿って、日本語が堪能な9人のチームが3年がかりでまとめた。

 フィネさん自身、楳図かずお氏や幸村誠氏、つげ義春氏といった漫画家を愛する筋金入りの漫画通で、辞典に取り上げた作品は全部読んだという。欧州屈指の漫画祭典「アングレーム国際漫画祭」の主催者のひとりでもある。

 フィネさんは「日本漫画は今や世界の文化。日本の漫画家に良い作品をどんどん作ってほしい」と話している。

=2008/03/17付 西日本新聞夕刊=