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ダライ・ラマの「中道主義」、チベット人強硬派は非難

  • 2008年03月18日 16:40 発信地:ダラムサラ/インド
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インドのニューデリー(New Delhi)で行われたGlobal Foundation for Civilizational Harmony設立式典で、APJアブドゥル・カラム(APJ Abdul Kalam)元大統領の演説に耳を傾ける、亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(2008年1月22日撮影)。(c)AFP/Manan VATSYAYANA

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【3月18日 AFP】中国チベット(Tibet)自治区のラサ(Lhasa)で起きた騒乱を機に、チベット人強硬派の間から最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(72)が主張する非暴力主義を否定する声が上がり始めている。

 ダライ・ラマは16日、中国のチベット統治を「恐怖による統治」、「文化的虐殺」などと評して非難したが、北京五輪については「良きホスト国となるよう心がけるべきだ」と諭すのみで、ボイコットは呼びかけなかった。

■「中道」貫くダライ・ラマに不満も

 しかし、チベット独立を主張する「チベット青年会議(Tibetan Youth CongressTYC)」は、こうしたダライ・ラマの姿勢を公然と批判し、チベット独立を求める抗議活動を継続すると主張した。

 TYCを主導するツェワン・リグジン(Tsewang Rigzin)氏は、亡命政府がおかれたインド北部ダラムサラ(Dharamshala)で記者会見し、「チベット自治区で人権侵害を続ける中国に五輪開催の資格はない」と中国を糾弾。

 さらに、1959年のチベット動乱でダライ・ラマがインドに亡命して半世紀が経過し、非暴力による自治獲得を目指したダライ・ラマの「中道」主義はチベット人民の考えと乖離(かいり)しているとして、ダライ・ラマをも批判した。

 中国政府と6年にわたって和平交渉を続けながら、根本的な主張の溝は埋まらず何の成果もみられないことから、特に若い世代を中心に非暴力主義への不満が高まっており、亡命政府は「中道」路線を見直し独立を求めていくべきだと、リグジン氏は主張する。

■亡命政府はダライ・ラマ支持

 ダライ・ラマは、中国はチベット独立を決して容認しないとの考えから、「中道」路線による自治獲得が最も現実的だと主張。16日の記者会見でも、「暴力に走ることは自殺行為だ」とチベット人らに自制を呼びかけている。

 サムドン・リンポチェ(Samdhong Rinpoche)亡命政府主席大臣も「非暴力に代わる方策は考えていない」とダライ・ラマに同調し、「チベットの人々が、安易に問題の解決を暴力に求めることはないと信じている」と述べた。

■若い世代には新指導者求める声も

 しかし、若い世代のチベット人らは、「中道」路線を貫いてきた結果、中国はチベット統治を続け、亡命チベット人の帰還もままならない状態が何ら変わっていないと不満を示し、ダラムサラに暮らす10万人の亡命チベット人の間からもダライ・ラマに代わる指導者を求める声が上がる可能性もある。

 ある亡命チベット人教師は、こうした状況について「われわれが求めるのは中国政府とダライ・ラマとの和平交渉だが、現在、起こっていることにダライ・ラマは関係ない。これはチベット人民自身による運動なのだ」と語った。(c)AFP/Nicolas Revise

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