国の耐震指針の改定や新潟県中越沖地震の影響で着工のめどが立たずにいた大間原発(大間町)の着工時期が、ようやく明示された。Jパワー(電源開発)の中垣喜彦社長は17日、大間町役場や県庁を訪れ、今年5月の着工を報告した。
県庁では蝦名武副知事が応対。中垣社長は「4月中に設置許可、5月に着工という見通しを得た」と報告した。蝦名副知事は「建設にあたり、地元企業への配慮をお願いしたい」と述べた。
着工時期は、04年の原子炉設置許可申請当初に予定していた「06年8月」から延期を繰り返してきた。営業運転開始時期を当初予定の12年3月から変更しなかった点について、中垣社長は「厳しいことは事実」としたうえで、工期短縮などを検討する方針を示した。
一方、大間町は着工時期が明確になったことで、着工から運転終了まで交付され続ける国の交付金約1億8800万円を受け取れることになった。
この交付金は電源立地地域対策交付金のうち、「原子力発電施設等周辺地域交付金相当部分」と呼ばれるもので、電気料金割引に充てられる。町は1億1000万円を一般家庭用とし、残る約7800万円を町の事業に活用する方針だ。
さらに総額約60億円の「核燃料サイクル交付金」も、県の目標通り09年度から県や周辺市町村に交付されるめどが立った。大間町は交付金だけでなく、本体工事着工に伴う物品需要の増大や雇用確保などにも期待を寄せており、金沢満春町長は「新たな進展を見て安堵(あんど)している」と語った。【喜浦遊、松沢康】
毎日新聞 2008年3月18日