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更新:2008年1月30日 12:30モバイル:連載・コラム

石川温のケータイ業界事情

auとソフトバンクの春モデルを採点・勢いがあるのは?

 28日、KDDIとソフトバンクモバイルが2008年春商戦向けモデルを同日発表した。KDDIが10機種、ソフトバンクモバイルが15機種と、昨年同様に大量投下してきた。両社を見比べた率直な感想は「ソフトバンクモバイルのほうがやはり勢いがある」という点に尽きる。

■「高速から高級まで」フルラインアップのソフトバンク

 ソフトバンクモバイルの新製品発表会は予定の1時間を大幅に延長して2時間近くにも及んだ。孫正義社長のご機嫌なプレゼンテーションに続き、ゲスト出演の上戸彩、さらにはティファニー日本法人のマイケル・C・クリスト社長も登場するなど華々しい会見となった。

 時間を超過したのは、やはりそれだけ同社にとって「自信作」であったということだろう。3.5インチのディスプレー、ワンセグ、ソフトバンクモバイルが提供するサービスにほとんど対応しながらもフルキーボードを備えた「インターネットマシン 922SH」。タッチパネルや加速度センサーなどでさらに操作性を向上させた「フルフェイス2 921SH」、NTTドコモで人気となり品薄状態が続くP905iとほぼ同じスペックのVIERAケータイ「920P」、さらには株取引がしやすい「株ケータイ 920SH YK」、宝飾ブランドのティファニーとコラボレーションした1000万円以上のモデルなど、幅広いラインアップとなっている。

CMキャラクターの上戸彩さんも登場

 これまでのソフトバンクモバイルのラインアップは確かに機種数は多いのだが、どちらかと言えば、「水増ししている」ような気がしてならなかった。PANTONEケータイ「812SH」のように、本体カラーを大量に用意したり、スペックは同じだが外見の装飾を変えて2モデルにしたりといった工夫を様々に施しているようだった。

 しかし、今回の春モデルは本当に幅広い端末が揃った。孫社長が「今回のラインアップは高速から高級まで、まさにフルラインアップ」というのも納得できる。

 ボーダフォン買収から約1年半が経過するが、買収直後に株取引ケータイなどの開発に着手したと言う話が何となく聞こえてきていた。また、インターネットマシンなどは、ボーダフォン時代には考えられもしなかった端末と言えるだろう。

 買収から1年半経ったことで、ようやく、ソフトバンクモバイルがゼロから開発したモデルが出揃ったことになったと言えそうだ。となると、今後もさらにこれらに輪をかけた驚きのあるモデルが出てくることが想像される。

■「失敗経験がない」から冒険ができる

 NTTドコモやKDDIの場合、メーカーから斬新なアイデアの端末がプレゼンされても、過去の実績やマーケティングデータによって「これは売れそうにないから、ボツ」といって商品化に至らないことが多い。

 しかし、事業を始めて1年半のソフトバンクモバイルはそういった過去のデータはない。それに加えて孫社長自身が積極的に商品開発に携わっているため、冒険的なモデルが次々と投入できるのだろう。

 例えば、インターネットマシンは、フルキーボードが目を引くが一方で、テンキーがなく、さらにはおサイフケータイに非対応など、「フルフェイス2」に比べて見劣りする部分がある。マスコミや一部のガジェット好きは、珍しいこともあり、インターネットマシンにすぐに飛びつくだろう。しかし、一般的なユーザーは意外と保守的だ。

 新スーパーボーナスで2年間所有することが前提となると、一般ユーザーには「無難に使えるフルフェイス2を買った方が安心かも」という心理が働くことも予想され、インターネットマシンが飛び抜けて売れるかは判断が難しい。

 いまのソフトバンクモバイルの強みは「失敗経験がない」という点に尽きる。キャリアは「個性的なモデルを投入したものの売れなかった」という失敗経験ができてしまうと、その後、どうしても保守的な考えになりがちになる。いまのNTTドコモやKDDIなどもそうした道を辿っている。ソフトバンクモバイルには失敗経験がないからこそ個性あふれる端末を次々と投入できる。ユーザーとしては、この先も失敗を恐れずに斬新な端末を投入し続けることを期待したい。

■「らくらくホン」開発者がつくったシニア向け携帯

わかりやすさを第一に設計されている821T

 個性的な端末を用意しつつ、確実にユーザーを獲得できるモデルを用意しているのも、今回のソフトバンクモバイルの特徴だ。特に「かんたん携帯 821T」は、シニア向けに開発されたモデルとなっている。シニア向けと言えば、NTTドコモの「らくらくホンシリーズ(富士通)」が累計販売台数1000万台を突破し、稼働台数も500万〜600万台という大人気モデルだ。ソフトバンクモバイルも821Tを投入することで、NTTドコモと富士通が得意とするシニア市場を取り込もうとしている。

 しかし、この821T、よくみるとNTTドコモ「らくらくホンV」となんとなく酷似しているようだ。3つのワンタッチボタン、日本語表記の操作ボタンといった第一印象だけでなく、触ってみるとメニューの表記や操作性なども「らくらくホン」にそっくりだ。東芝らしさといえば、同社の端末に採用されている「くーまん」がいるくらいだ。

 もしやOEM供給かと思いきや、実はかつて富士通に在籍し、らくらくホンに携わっていた開発者が、ソフトバンクモバイルに転職して821Tを東芝と一緒になって開発したのだという。「余計な機能は搭載せず、ボタンの形状もドーム型で押しやすくするなど、富士通のらくらくホンよりも使いやすくしました」(ソフトバンクモバイル開発者)と、使い勝手に胸を張る。

 ハイスペックモデルからインターネット特化型、子どもやシニア、キャラケーに至るまで幅広い層を取り込むソフトバンクモバイル。「勢い」という面では、他社を大きくリードしているように感じた。

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