バブル&ロスジェネ 100人の転職、年収・・・
東大卒の「人生格差」
2008年3月13日(木)12時0分配信 AERA
掲載: AERA 2008年3月17日号
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こうしたバブル世代の先輩の背中を見てきたのが、冒頭の藤井さんや竜さんらロストジェネレーションだろう。
大隈さんよりちょうど10歳下の藤井恵美さん(28)は、いま医学部の3年生。03年に一度、法学部を卒業している。
「日本経済の活性化に貢献することができる仕事」
そう考え、ゴールドマン・サックス証券に入った。充実していたが、仕事は連日深夜まで及び、収益を厳しく求められた。
「貴重な経験をさせてもらいましたが、日々人の役に立っていると実感できる仕事をしたいと、強く思うようになりました」
1年半で退職。一生の仕事をと志したのは医師への道だった。
もともと聖心女子学院高を卒業して入ったのは、理科1類。センター試験まであまり日数がなかったが、05年3月、最難関の理科3類で2度目の東大合格を果たした。
実は恵美さんは、冒頭の藤井良太郎さんの妻。ゴールドマンで知り合い結婚。そろそろ2歳になる娘と一家3人で暮らす。
良太郎さんはいう。
「学生時代に学んだことや東大で出会った仲間は貴重な財産。娘が僕らと同じ道を歩んでくれたらうれしいだろう。けれど、留学したスタンフォードなど海外には素晴らしい大学がたくさんある。娘にはいろいろな道を見させてあげたいと思います」
就職に失敗し雀士に
ロスジェネは東大生といえども就職がままならなかった世代。だからこそ「やりたいこと」を追い求めた結果、同じ東大卒でも人生の振れ幅は大きくなった。
アンケート結果を見ても、年収が億に迫る人もいれば無収入のフリーターもいる。学生時代に起業した人がいる一方で、ずっと同じ会社で出世の階段をこつこつ上り続ける人もいる。
出勤時間は午後5時。東京・大久保の雀荘「ポン」が、須田良規さん(32)の職場だ。4卓だけの小さな雀荘の店長として、接客のかたわら客と麻雀を打つ。
「プロ雀士」の肩書もあるが、専門誌「近代麻雀」のコラムや漫画の原作も手がけ、生計をたてている。
1浪して理科1類に入学。奨学金は麻雀で消え、雀荘で働いた。工学部を卒業するころはちょうど就職氷河期。推薦された2社も含め、受けた会社はすべて落ちた。パチンコ会社に勤めたが、あまりの過重労働で退社した。
それから、麻雀一本の生活。
今年結婚する。子どもも生まれる予定。将来に全く不安がないといえばウソになる。客から、
「東大を出てるのにもったいない。うちで働かないか」
そんな誘いも受けるが、いまの仕事を気に入っている。
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