「総合医の確立を」国保中央会が提言

 全国47都道府県の公法人や国保連合会が加盟する国民健康保険中央会(国保中央会)は3月17日、特定の専門分野に偏らず日常的な疾患(コモン・ディジーズ)に対応する「総合医」の確立・普及の提言を盛り込んだ報告書をまとめた。地域住民が期待する総合医像のポイントとして「他の専門的な医療機関等を適切に紹介することができる」などを提示。これらの活動内容に見合った診療報酬の在り方の検討や、へき地などの総合医を支援するためのインフラ整備も求めた。

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 報告書では、総合医像のポイントとして▽日常的な疾患(コモン・ディジーズ)に対応しプライマリケアを実践▽他の専門的な医療機関等を適切に紹介できる▽疾病予防や健康相談を含めた健康づくりの取り組み―など6点==を提示した。

 その上で、わが国ではこれらの医療の位置付けが諸外国に比べて弱いため、「総合医を社会的に早急に確立し、全国に普及していくことが求められる」と提言。総合医の普及に向けた課題に、これらの活動を評価する診療報酬の検討や、へき地・離島の総合医を支援できるだけのインフラ整備などを挙げている。

 総合医の担い手については「原則として開業医・診療所を念頭に置いている」とする一方、「地域特性によっては中小病院が担うことも考えられる」と含みを持たせている。

 報告書ではまた、総合医を確立するための道筋として▼これから医師になる人が学部教育や卒後研修を通じて一定の教育・研修を受け、総合医の認定を受ける▼臨床経験のある医師が生涯教育を経て総合医に転換する―の2通りを提示。総合医育成のための学部教育のカリキュラム見直しや、現役医師向けの生涯学習による機会の拡充なども求めた。

 このほか総合医の認定条件については「国や日本医師会、関係学会などが協議していくことが妥当」としている。

■国保中央会「フリーアクセス制限などは今回も踏襲」
 国保中央会は2006年末、後期高齢者が原則としてかかりつけ医以外は受診できないようにし、かかりつけ医への報酬は、登録した後期高齢者の人数に応じて定額を支払う仕組み(人頭払い)を提案。これに対して日本医師会が「フリーアクセスを阻害し、医療の質を低下させる」と猛反発した経緯がある。

 今回の報告書ではこれらの内容には触れていないが、国保中央会では「前回の報告書で示した方向性は今回も踏襲している。今回は、その上でより踏み込んで具体的な総合医のイメージを示した」と話している。

 報告書は、国保中央会の「地域住民が期待するかかりつけ医師像に関する研究会」(水野肇委員長)が地域医療に従事する医師ら266人を対象に昨年実施した調査結果を踏まえてまとめた。

 同研究会は08年度、総合医の育成に必要な学部教育の在り方などについて引き続き検討する方針という。


更新:2008/03/18 02:26     キャリアブレイン

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08/01/25配信

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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。