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【社会】

車強奪の被告、強盗傷害など一部無罪 岐阜地裁判決「薬物で心神喪失」

2008年3月18日 朝刊

 覚せい剤を使用後、車3台を強奪したとして、覚せい剤取締法違反や強盗傷害などの罪に問われたイラン国籍で名古屋市の塗装工、ジャムシッド・モハマディ被告(34)の判決公判が17日、岐阜地裁であった。田辺三保子裁判長は「覚せい剤使用による中毒で心神喪失状態だった」として強盗傷害や強盗罪などについて無罪を言い渡した。

 覚せい剤取締法違反と出入国管理法違反(不法残留)の罪は認め、懲役2年、執行猶予4年とした。検察側は懲役10年を求刑していた。

 田辺裁判長は強盗傷害罪などについて「一連の行動は明らかに異常で、合理的に理解できるような動機や目的を見いだせない」と述べ、責任能力は問えないとした。

 モハマディ被告は2006年6月6日、覚せい剤を使用した上、無免許で乗用車を運転し、岐阜県海津市で突然、対向車線に出て衝突事故を起こした。同市などで自分の車を乗り捨て、事故車両とは関係のない車3台を奪い、ナイフを突きつけて運転手らを車外へ引きずり降ろし、2人に重傷を負わせたとして、8つの罪に問われた。

 弁護人の綴喜秀光弁護士は「刑事法の原則を踏まえた妥当な判断だ」とし、岐阜地検の中村孝次席検事は「判決を検討の上、適切に対応したい」とコメントした。

 ▽愛知正博・中京大教授(刑事法)の話 心神喪失と判断せざるを得ないケースではないか。覚せい剤使用後の危険な行為を処罰できないなら、覚せい剤取締法違反罪の量刑を重くするしかない。

 

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