事件・事故
保育士2人に労災認定 保護者苦情で精神性疾患
兵庫県東部の民間保育園で、男性保護者から繰り返し怒鳴られるなどし、ストレス障害やうつ状態となったとして、二十代の女性保育士二人が、西宮労働基準監督署から労災認定を受けていたことが十六日、分かった。
学校など教育現場に理不尽な要求や苦情を寄せる児童・生徒らの保護者により、精神的に追い詰められ休職する教員らも少なくないが、労災が認められたケースは珍しいという。
関係者によると、保育士の一人が最初に苦情を受けたのは二〇〇六年夏。園内の展示物をめぐって、担当する園児の男性保護者が「整理整頓されていない」などと指摘、かばんを床に投げつけるなどして詰め寄ってきたという。
もう一人の担任保育士が謝罪したが、園児の送迎の際、「担任を変えろ」などと怒鳴られるなど、男性の行動はエスカレート。「首をつって死ねとまで言われた」(保育士)といい、男性が園に現れる送迎時間の朝、夕に動悸(どうき)が激しくなったり、身の危険を感じ外出できなくなったりしたらしい。
二人はそれぞれうつ状態、ストレス障害と診断され、最初の苦情から約一カ月後、相次いで休職。一人は職場復帰したが、もう一人はいったん保育園に戻ったものの退職した。
二人は〇七年四月、保護者の激しいクレームで精神性疾患になったなどとして、民間団体「関西労働者安全センター」(大阪市)の協力で、西宮労働基準監督署に労災を申請、昨年末に認定され、療養補償支給が決まった。
文部科学省によると、〇六年度、公立小中高校などの教職員で、精神性疾患による休職は約四千七百人に上り、過去最多を更新。安全センターは「精神性疾患の労災認定は厳しく、今回のようなケースはまれ。仕事の多忙さに加え、保護者らとの人間関係から教育・保育現場での心の病は増えている。認定基準の見直しが必要」と訴えている。(中部 剛)
(3/17 09:54)
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