今週のお役立ち情報
事故情報は隠蔽された!土瓶蒸し食中毒の顛末
2008年03月17日06時58分
【PJ 2008年03月17日】− 「中国産松茸入り土瓶蒸しで食中毒、食の事故情報共有が急務」の続報。
以前のオピニオンで伝えたとおり、私は1月20日午前4時ごろマックスバリュ平塚四之宮店でこだま食品が輸入した中国産「松茸入り土瓶蒸し」を購入、午前中に食べたが翌21日未明には嘔吐、下痢などの症状が発生し、約3日間寝込んでしまった。その後、1月31日に同日製造の別商品をサンプルにした品質保証部から届いた原因調査報告書では「殺菌不良が原因ではないか」としながらも、具体的な原因は特定されないままとなっていた。2月1日に私はここでオピニオンを書き、販売したマックスバリュ東海本社と自宅およびメーカー工場を管轄する保健所にこだま食品の原因調査報告書を添付の上、事故報告を行った。
保健所は既に中国産冷凍餃子で忙しいのか、何の反応もなかったが、マックスバリュ東海は営業推進部から「2月3日(日)夕方、当社本部より連絡を受け、初めて事故の内容、状況を知りました」と連絡が入り、店長の連絡先が知らされた。翌日、店長に連絡を取ると「(こだま食品は)商品撤去についても本部経由で、店舗には迷惑がかかるからと事故のことは連絡してこなかった」らしく、事故情報を取引先に開示せずに秘密裏に問題の土瓶蒸しを売り場から撤去していた事実が明らかになった。店長によれば、本部でも問題になっており、こだま食品にはクレームを入れたという。
同時期に、こだま食品の品質保証部の担当者はこのような事故情報隠蔽の事実に触れもせず「通常でしたら代替品をお送りさせて頂くのですが、このような状況で代替品はお召し上がりになりたくないと思いますので、購入代金をご返金させて頂く事でご了承頂きたいと思うのですが、如何でございますでしょうか」と連絡をしてきた。私は、食べる前に事故品と分かったものについて着払いで返品するのは手間だけでまあしようがないかな、と思うが、実際に3日間も仕事を休むまでに至った食中毒を仮にも認めておいて、商品代金を返金してすみません、という対応がメーカーとして標準なのかと疑問に思った。
今回、冷凍餃子で多くの対応を迫られているだろうJTフーズは、「冷凍食品の一部回収について よくあるご質問」としてホームページで公開している中に、
Q.回収対象商品を食べたことによって診療を受ける際の医療費はどうすればよいですか?
A.大変お手数ですが、領収書を保管の上、ジェイティフーズ株式会社 お客様相談室へご連絡くださいますようお願い申し上げます。お手続きをご案内いたします。
とあり、領収書の保管を条件とし、個別に対応しているようだ。
案の定、こだま食品に補償について問い合わせをし、営業担当者が広島のもみじまんじゅうを持参して謝罪に来た席で補償に関する第一声は「病院には行かれましたでしょうか?」だった。突っ込んで補償について聞くと、病院に行かないで出費が確認できないものについての補償はしていないそうだ。また、休業補償もしたことはないという。さらにたとえ、病院に行って診断書が出てもかかった治療費以外は出していないらしい。なんともメーカーにとっては都合の良い話ではないか。あとは、民事訴訟をしていくしか道は残されていない。私がさらに訴訟などについて触れると担当者は「当社の顧問弁護士と相談して対応します」とあとは訴訟してくれ、と言わんばかりの応対となった。
980円で購入した土瓶蒸しについて20円多い1000円の商品代金を返金され、調べたところ2000円のもみじまんじゅうを受け取り、私への補償は完了したことになる。特に示談書などのやりとりはなかったが、もみじまんじゅうをもらったことで、私もこの謝罪を了承したことになるのだろうか。訴訟をしたら、不利になるのは必至だ。私はさらに、意地悪に質問を続けた。「まあ、証拠がないですからね。問題の土瓶蒸しもそちらに送ってしまっていますし。私が食中毒だと、ウソをついているかも知れないですしね?」と言うと、担当者は苦笑いをして「申し訳ありませんが、メーカーとして(の補償)は以上となります」と回答を濁して、場所を後にした。メーカー以外に誰が補償をするのだろうか。
既に健康状態は回復しているし、実際に寝込んだときの苦しみはもう残っていない。もちろん、訴訟をするつもりもない。しかし、食中毒に進んでなる人はいない。これは事故なのだ。交通事故ならばいざ知らず、なかなか食中毒事故への消費者の対応方法というのは知られていない。しかし、病院にお世話になるほどでなければ、文字通り、泣き寝入りだ。病院に行っても出費した治療費が返ってくるだけ。もちろん、領収書は絶対条件だ。立替代金を少なくするために保険診療をしたのならば、健康保険組合は本来負担しなくても良いはずの治療費の7割を負担させられることになる。致命傷にはならない食中毒の場合、安静に寝て点滴をするぐらいが治療法であるだけに、早く直すことよりも自己防衛の証拠としての通院は必要なのかも知れない。
やはり、食の安全は自己責任でしかないのか。JAS法の改正などで未然に防ぐことについての法整備は徐々に整ってきたように思えるが、日本で食の安全のうち、起こってしまった事故に関しての法整備は遅れていると言わざるを得ない。事故報告の義務もなければ、今回の話のように、話が大きくならないうちに、メーカーは事故情報を隠蔽しようとさえする。私ができることはこういう具体的なケースをネット上に公開し、アーカイブしていくことだけだ。
事故情報の隠蔽について、こだま食品品質保証部は「営業担当より問屋様並びにマックスバリュのバイヤー様へ報告を致しました。その為、本部への直接報告ではなかった為、別件として取り違えが生じたようです。大変申し訳ございません」としている。【了】
■関連情報
こだま食品 松茸入り土瓶蒸し
JTフーズ 冷凍食品の一部回収について よくあるご質問
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パブリック・ジャーナリスト 國分 裕之【 神奈川県 】
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以前のオピニオンで伝えたとおり、私は1月20日午前4時ごろマックスバリュ平塚四之宮店でこだま食品が輸入した中国産「松茸入り土瓶蒸し」を購入、午前中に食べたが翌21日未明には嘔吐、下痢などの症状が発生し、約3日間寝込んでしまった。その後、1月31日に同日製造の別商品をサンプルにした品質保証部から届いた原因調査報告書では「殺菌不良が原因ではないか」としながらも、具体的な原因は特定されないままとなっていた。2月1日に私はここでオピニオンを書き、販売したマックスバリュ東海本社と自宅およびメーカー工場を管轄する保健所にこだま食品の原因調査報告書を添付の上、事故報告を行った。
保健所は既に中国産冷凍餃子で忙しいのか、何の反応もなかったが、マックスバリュ東海は営業推進部から「2月3日(日)夕方、当社本部より連絡を受け、初めて事故の内容、状況を知りました」と連絡が入り、店長の連絡先が知らされた。翌日、店長に連絡を取ると「(こだま食品は)商品撤去についても本部経由で、店舗には迷惑がかかるからと事故のことは連絡してこなかった」らしく、事故情報を取引先に開示せずに秘密裏に問題の土瓶蒸しを売り場から撤去していた事実が明らかになった。店長によれば、本部でも問題になっており、こだま食品にはクレームを入れたという。
同時期に、こだま食品の品質保証部の担当者はこのような事故情報隠蔽の事実に触れもせず「通常でしたら代替品をお送りさせて頂くのですが、このような状況で代替品はお召し上がりになりたくないと思いますので、購入代金をご返金させて頂く事でご了承頂きたいと思うのですが、如何でございますでしょうか」と連絡をしてきた。私は、食べる前に事故品と分かったものについて着払いで返品するのは手間だけでまあしようがないかな、と思うが、実際に3日間も仕事を休むまでに至った食中毒を仮にも認めておいて、商品代金を返金してすみません、という対応がメーカーとして標準なのかと疑問に思った。
今回、冷凍餃子で多くの対応を迫られているだろうJTフーズは、「冷凍食品の一部回収について よくあるご質問」としてホームページで公開している中に、
Q.回収対象商品を食べたことによって診療を受ける際の医療費はどうすればよいですか?
A.大変お手数ですが、領収書を保管の上、ジェイティフーズ株式会社 お客様相談室へご連絡くださいますようお願い申し上げます。お手続きをご案内いたします。
とあり、領収書の保管を条件とし、個別に対応しているようだ。
案の定、こだま食品に補償について問い合わせをし、営業担当者が広島のもみじまんじゅうを持参して謝罪に来た席で補償に関する第一声は「病院には行かれましたでしょうか?」だった。突っ込んで補償について聞くと、病院に行かないで出費が確認できないものについての補償はしていないそうだ。また、休業補償もしたことはないという。さらにたとえ、病院に行って診断書が出てもかかった治療費以外は出していないらしい。なんともメーカーにとっては都合の良い話ではないか。あとは、民事訴訟をしていくしか道は残されていない。私がさらに訴訟などについて触れると担当者は「当社の顧問弁護士と相談して対応します」とあとは訴訟してくれ、と言わんばかりの応対となった。
980円で購入した土瓶蒸しについて20円多い1000円の商品代金を返金され、調べたところ2000円のもみじまんじゅうを受け取り、私への補償は完了したことになる。特に示談書などのやりとりはなかったが、もみじまんじゅうをもらったことで、私もこの謝罪を了承したことになるのだろうか。訴訟をしたら、不利になるのは必至だ。私はさらに、意地悪に質問を続けた。「まあ、証拠がないですからね。問題の土瓶蒸しもそちらに送ってしまっていますし。私が食中毒だと、ウソをついているかも知れないですしね?」と言うと、担当者は苦笑いをして「申し訳ありませんが、メーカーとして(の補償)は以上となります」と回答を濁して、場所を後にした。メーカー以外に誰が補償をするのだろうか。
既に健康状態は回復しているし、実際に寝込んだときの苦しみはもう残っていない。もちろん、訴訟をするつもりもない。しかし、食中毒に進んでなる人はいない。これは事故なのだ。交通事故ならばいざ知らず、なかなか食中毒事故への消費者の対応方法というのは知られていない。しかし、病院にお世話になるほどでなければ、文字通り、泣き寝入りだ。病院に行っても出費した治療費が返ってくるだけ。もちろん、領収書は絶対条件だ。立替代金を少なくするために保険診療をしたのならば、健康保険組合は本来負担しなくても良いはずの治療費の7割を負担させられることになる。致命傷にはならない食中毒の場合、安静に寝て点滴をするぐらいが治療法であるだけに、早く直すことよりも自己防衛の証拠としての通院は必要なのかも知れない。
やはり、食の安全は自己責任でしかないのか。JAS法の改正などで未然に防ぐことについての法整備は徐々に整ってきたように思えるが、日本で食の安全のうち、起こってしまった事故に関しての法整備は遅れていると言わざるを得ない。事故報告の義務もなければ、今回の話のように、話が大きくならないうちに、メーカーは事故情報を隠蔽しようとさえする。私ができることはこういう具体的なケースをネット上に公開し、アーカイブしていくことだけだ。
事故情報の隠蔽について、こだま食品品質保証部は「営業担当より問屋様並びにマックスバリュのバイヤー様へ報告を致しました。その為、本部への直接報告ではなかった為、別件として取り違えが生じたようです。大変申し訳ございません」としている。【了】
■関連情報
こだま食品 松茸入り土瓶蒸し
JTフーズ 冷凍食品の一部回収について よくあるご質問
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