『加藤千洋が行く 天空の聖地・チベット』 11月3日放送

雲上の聖地・チベット。8千メートル級の山々を有する世界の屋根。
チベット自治区最大の町、ラサ。古くからチベットの政治・信仰の中心。中国の民族自治区となって今年で40年。加藤千洋は6年ぶりにこの地を訪れた。
ラサ一番の繁華街、パルコル街にはチベット仏教に関する物が溢れている。ここに移り住んで商売を始める漢民族も増えてきたという。
ラサの中心にそびえるポタラ宮。チベット仏教で観音菩薩が降り立ったといわれる丘に立つ高さ115mの宮殿。白い壁の「白宮」は政治・生活の場、紅い壁の「紅宮」は歴代のダライラマを祭る墓。
「垂直のベルサイユ」と呼ばれるこの宮殿は400年前に完成した。中国に併合され、ダライラマ14世がインドに亡命した今も、ポタラ宮はチベットの象徴として残されている。巡礼者が途絶えることのないラサ。チベットの人達にとって、ここは聖地。

2000年に始まった中国の国家プロジェクト「西部大開発」。
青蔵鉄道は中国国内で唯一鉄道がなかったチベットを走る初めての列車。2007年に全面開通すれば北京とラサの約5000キロが一本のレールで結ばれることになる。新しい大動脈の完成で一段と中国化に拍車がかかり、軍事的にも大きな意味を持ちそうだ。
標高5190mのランツェン峠にある湖・ナムツォ。チベット語で天の湖という意味の湖はチベット仏教の聖地のひとつ。鉄道の開通によってこの聖なる地にも多くの観光客が訪れることになりそうだ。

チベットの家庭では普通に飲まれているバター茶をご馳走してくれたチャシパイマーさんの家の農地に青蔵鉄道が通ることになった。
「国は全部で11万元(150万円)払ってくれた」。年収の20倍の補償金を受け取った一家。息子はそのお金でマイクロバスを購入し商売の準備を始めたという。
チベット自治区政府・ルオサンチアンツン副主席は「チベット自治区の生活レベルは日進月歩です。西部大開発はチベットにとって歴史的なチャンス」と話す。

加藤千洋は「チベットの経済発展は目覚しいものがある。ポタラ宮がなければ中国の内地の大都市と変わらないような趣もある。チベット初の鉄道が開通すれば中国化が加速する可能性もある。チベットは岐路に立っている、というのが実感」。

 

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