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【国際】

チベット暴動 亡命政府「80遺体確認」

2008年3月17日 朝刊

16日、中国甘粛省の甘南チベット族自治州で、整列する武装警官を見守るチベット人(AP=共同)

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 【バンコク=大場司】中国チベット自治区ラサでの大規模暴動について、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は16日、亡命政府が拠点を置くインド北部ダラムサラで記者会見し、「チベットの治安を維持するために武力に頼っている」と中国政府を批判、国際社会に暴動鎮圧の真相究明を呼び掛けた。

 亡命政府の報道官は同日、ラサからの情報として暴動で少なくとも5人の少女を含む80人の遺体が確認され、負傷者が72人に上ったことを明らかにした。

 AFP通信などによると、暴動後初めて会見したダライ・ラマは「チベット人は第2階級として扱われ、文化遺産が危機に直面している」と中国政府を批判。「チベットで虐殺が起きているかどうかを調べてほしい」と国際機関による真相究明を要請した。

 中国政府はダライ・ラマ支持勢力が暴動を引き起こしたとしているが、ダライ・ラマは「私には抗議行動をやめさせるような力はない」と述べ、あくまで平和的にチベットの自治を求めていることを強調した。

16日、インド北部ダラムサラで記者会見するチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世(AP=共同)

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 チベット独立を支援する団体が今夏の北京五輪反対のデモをダラムサラ周辺などで展開しているが、ダライ・ラマは「中国は五輪のホスト国に値する国だ」と五輪開催に支持を表明した。

 ただ、「良い開催国になることを忘れてはならない」と注文をつけた。

◆四川省では7人死亡か

 【北京=新貝憲弘】AP通信などによると、中国チベット自治区で起きた大規模暴動は、周辺地域に飛び火し、四川省北部のチベット民族自治州で16日、住民約200人が火炎瓶を投げて警察署に放火、当局側との衝突で少なくとも7人が武装警察に射殺されたという。インドに活動拠点を置く非政府組織「チベット人権民主化センター」の話として伝えた。

 抗議に参加した住民たちは、警察車両や消防車にも火を付けた。投石で数人の武装警察官がけがをした。地元警察当局者は「彼らは狂っている」と、震える声で語り、女性2人を含む住民5人を拘束したという。

 また州内の僧院では同日朝、数千人の僧侶が中国政府に掲揚を禁止されているチベットの旗を掲げ「チベット独立」のスローガンを叫んだ。抗議デモは甘粛、青海両省などのチベット民族居住地区でも起きており、拡大する気配を見せている。

 

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