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セクター別アプローチ



 二酸化炭素(CO2)などの排出量が多い産業・分野(セクター)ごとにエネルギー効率指標を使って潜在的な削減可能量を算出し、その積み上げで国別総量目標を設定する温室効果ガスの排出削減策。京都議定書に代わる2013年以降の温室効果ガス削減の枠組み(ポスト京都)として、日本政府が提案している。政府は、国別排出削減量を決める際の公平性と透明性の確保につながると主張するが、大幅な排出削減は困難との指摘もある。

「分野別」多難な船出 G20閉幕 途上国、強い警戒感表明 サミットへ課題鮮明

2008年3月17日掲載)

 16日閉幕した「地球環境に関する閣僚級会合」(環境G20)は、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を取り仕切る日本にとって最初の国際舞台。2013年以降の地球温暖化対策(ポスト京都議定書)の論議をリードしたい日本だが「全員参加の枠組みづくりの切り札」と期待した「セクター別アプローチ」に、途上国側が予想以上の警戒感を表明。難しいかじ取りを予感させる船出となった。

 ■紛糾

 思わぬ“誤算”で始まった。15日午前の会合後、記者団からセクター別アプローチに対する各国の評価を問われた甘利明経済産業相が「共通の理解が得られた」と総括すると、一部途上国などが「われわれの意見が反映されていない」と猛反発。午後の議論が紛糾する事態となった。

 途上国には「削減義務を課されれば経済発展が阻害されかねない」との警戒感が根強い。セクター別アプローチに対しても「先進国が削減義務を課そうとしている」といった疑いを抱く。

 先進国からの省エネ技術移転・普及には(1)コスト低減がもたらす国際競争力の強化(2)エネルギー安全保障の向上(3)温室効果ガスの削減と「一石三鳥の効果がある」(甘利氏)とPRした。だが途上国は「日本に都合のいい方式」(関係者)との見方を崩さなかった。

 セクター別アプローチは、有効性や課題などについての「論議を継続する」ことで、日本は何とかメンツを保った格好。

 鴨下一郎環境相は16日、「サミットに対して極めて重要な位置付けになった」と強調したが、残された課題は少なくない。



 ■成果

 成果もあった。その1つが「省エネ先進国」と自負する日本が温暖化の抜本解決策と訴える革新的技術開発に対する参加各国からの理解と賛同だ。

 九州でも研究開発が進んでいる石炭からの二酸化炭素(CO2)分離・貯蔵(CCS)には途上国からも大きな関心が寄せられ「全員参加型」の枠組みづくりへ展望を開いた。

 今会合で最後となるG20に代わる「新たな対話の場」への期待感が参加国から示されたことで、洞爺湖サミットを契機として、主要排出国が参加する新たな舞台「洞爺湖プロセス」が創設される見通しも強まってきた。日本の指導力への期待は高い。

 ポスト京都の枠組みづくりの最終ゴールは、09年にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)。洞爺湖で全員参加の仕組みをつくり、落後者を出さずにコペンハーゲンまで向かうことができるか。日本のリーダーシップが問われている。

 (東京報道部・久永健志、阪口由美、吉武和彦)

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