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解決済みの質問

お役立ち度:お役立ち度 4点(5点満点中)  5人中 4人が役に立つと評価しています。 この質問の閲覧数: 3,493 Yahoo!ブックマークに登録
質問日時: 2007/8/4 02:35:04  解決日時: 2007/8/7 22:56:02 質問番号: 12,372,603
解決済み SUNTORY マーメイド2号(波浪推進船,ウエーブパワーボート)の推進する仕組みは?

SUNTORY マーメイド2号(波浪推進船,ウエーブパワーボート)の推進する仕組みは?

SUNTORY-MERMAID.COM(堀江謙一氏オフィシャルサイト)
「SUNTORY マーメイド2号」につい
http://www2.suntory-mermaid2.com/sm2_about.html

水力について,公式サイトでは,「水中翼に揚力が働き」,と説明されていました。
それを読んで私は,飛行機の揚力を思い浮かべて,
飛行機の翼は進行方向と垂直の方向に揚力を得ていることから,
波浪推進船は垂直に水中翼を立て,波の上下動から推進力を得ているのかと考えました。
(この考え方では,上昇する力ではないので「揚力」というのは妥当ではないかもしれませんが…)

しかし,さらに説明を読むと,
「推進原理は、船体の前方に取り付けられた水中翼が、波の中で上下し、
あたかもイルカや鯨のドルフィンキックのように動作することによって
波のエネルギーを吸収し船の推進力を発生します」
と書いてありました。
この説明は明らかに,前述の私の理解にはあてはまりません。

また,水中翼のデザインからも,どのように推進力を得ているのか
想像ができませんでした。
http://www2.suntory-mermaid2.com/sm2_image.html

ネットを検索してみても,このサイトより詳しい説明をみつけることができませんでした

波浪推進船の推力を得る仕組みを,
高卒程度の理科の知識でも理解できるように教えてもらえないでしょうか。

補足
願ってもない方にお答えいただけたようで,うれしいです。
推進時の揚力の働を理解しましたし,図解を見ることもできました(一色・八田・寺尾,1989)。
ただ,停船時の推進力だけがまだ理解できませんでした。
水中翼の機構を思い違えているのか,波が上昇するときは,
翼は後ろが上がるのではないかととしか考えられません。
私が考え違いをしている点は何か,補足していただくことはできないでしょうか。

回答数: 1   お礼: 知恵コイン 100 質問した人: kyotax30さん  グレード 2-2  この質問内容が不快なら

ベストアンサーに選ばれた回答

回答日時: 2007/8/6 15:15:56 編集日時: 2007/8/7 01:24:27 回答番号: 39,588,067

振動翼推進を専門に研究していた者です。

この推進方法は二段階に分けて考える方が理解しやすいと思います

まず、船が止まっていてスタートする状態です。
上記URLにある水中翼は、ある程度以上には角度が付き過ぎないようにストッパーが付いてます。
(ものによっては波の力によって翼角度が変わるようにバネが付いているものもあります。)
そのため、船が波によって上に持ち上げられる時には翼は前が上がって後が下がった状態になります。波は表面の水の動きが最大で水深が深くなるほど水の動きが小さい性質があります。従ってこの時翼から見ると翼は下向きの流れを受けます。ほとんど鉛直な流れに対して水平に近く置かれた翼ですので流れは剥離していていわゆる揚力(注1)は働きませんが、翼が斜めになっていますので船を前に押し出す力が働くことはご理解いただけるかと思います。船が波の谷間に向かって落ちる時は全く逆の状態になりますが、翼の角度も逆向きに(後が上がった状態)なるのでやはり船を前に押し出す力が働きます。

(注1)「揚力」とは、「流れに垂直な力」です。鉛直上向きとは限りません。(例えば野球のカーブボールを横に曲げたり下に落としたりする力も揚力です。)従ってここまでの説明の力も上下方向の流れに対して垂直な前向きの力なので揚力と言って差し支えないのですが、一般的には流れが大きく剥離した状態での力は「揚力」というイメージから外れますし、流体力学の教科書に載っているような揚力の計算式も当てはまりません。

次に、船が無事に走り出した状態を考えてみます。
この状態では、翼に入ってくる流れは、船の前方から流れ込んでくる船速(水平方向:仮に船が左を向いているとすると右向きの流れ)と、波による船体の上下動による流れ(鉛直方向)の合成速度になります。例えば波によって船体が持ち上げられていく時は、前から後への船速の流れと、翼の上にある海水が下向きに当たってくる流れの合成になり、斜め右下向きの流れになります。この時翼も斜め右下を向いていますがストッパー(&バネ)のおかげで合成流速の角度より若干小さな角度になります。その差が迎角となり揚力が発生します。迎角が小さいので流れの剥離は起こらず、流体力学で計算される通りの大きな揚力を発生します。その揚力は斜め右下向きの流れに対して垂直ですから、斜め左下を向いていて船を推進させる方向(左向き)の成分をもっています。これが推力になります。同時にこの力は下向きの成分も持っているので船の揺れを軽減する力としても働きます
船が波の谷に向かって落ちる時も上下逆になるだけで全く上下対称な図となり、やはり推力と揺れ軽減の力が発生します。

従って、HPの説明の中で「揚力が働き」というのは、この航走状態における揚力のことを言ってるのだと思います。止まってる状態からのスタートを考えると理解しにくいでしょう。

また、以上の説明の中で書いたように、揚力は船の推進力成分と、揺れ軽減力の成分を併せ持っています。つまり船の揺れを小さくしつつ船を推進させるということです。これをエネルギー収支の立場から見ると元々波が持っていたエネルギーは、通常の船ではその一部が船を動揺させるエネルギーとして使われて船の上下揺れの運動エネルギーに変換されます。水中翼はこの揺れを小さくしますので船の上下揺れの運動エネルギーは減少し、その減少分が船を船体抵抗に逆らって推進させる仕事に変換されますので、船が進むことが出来るのです。

ここでは図が書けないので文章で説明するしかありませんが、「振動翼推進」というキーワードで検索すると様々な説明を読むことが出来ると思います。特にマーメイド2号の設計にも関わっていらっしゃる東海大の寺尾先生の論文等は参考になると思います。

なお、丸や四角の浮き板の下に振動翼を取り付け、上に手で支えるための棒や紐が付いていて、水に浮かべて乗って揺すると前に進むというおもちゃが昔ありました。今もあるかどうか知りませんが、人が立って乗れるくらいの浮力のある板か桶があれば簡単に自作することも出来ます。これは自然の波を利用するのではなく自らを揺すって推進するものですが、やはり振動翼推進の一種を身近に体験出来ますのでご興味があれば作ってみて下さい。

【補足】
海の波では、海面の水は大きな楕円を描いて動きます。海中の水の動きは同じ楕円ですが、水深と共に急速にその半径は小さくなります。

波が上昇する時、船は海面と同じだけ大きく上昇し、水中翼も同じだけ上昇しますが、水中翼は海面下数メートルにありますので周りの水はそれほどは動きません。よって相対的に翼には下向きの流れが当たります。水中翼は翼長さの中心より前方に回転軸を持って支えられていると思われます。そこに下向きの流れが当たりますので、翼後縁側が下がります。
回答した人: bbbbb_and_bさん  グレード 7-3  この回答内容が不快なら

  質問した人からのコメント
感謝
停船時の推進力も理解できました!補足までありがとうございましたm(_ _)m
振動翼推進のおもちゃはテレビ番組か何かで見た覚えがありますが
身近には知りません。
でも,タッパーや発泡スチロールトレイと(→船体),
皮剥き用のピーラーと(→水中翼の軸),
缶詰のふたを切り抜いた板あたり(→水中翼)を組み合わせれば,
お風呂で実験できるおもちゃくらいなら作れそうですね(^^)
  コメント日時: 2007/8/7 22:56:02
 

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