4. 棋士/坂東 香奈子
3. ある程度開き直って、とりあえずやってみる
中学へ進学後、間もなく最初の関門である女流育成会BクラスからAクラスへ昇級。しかしその先で、大きな壁にぶつかった。
「Aクラスではなかなか良い成績が出せなくて(プロになるには、Aクラスのリーグ戦で優勝することが条件となる)。正直、焦りましたね。ここまで来てプロになれないなんて…と、結構追い詰められていました」。プロになると決意し、歩み始めた道。ここまで来て、プロになれなかったら
――10代ながら、葛藤と戦っていた。そうした中、中学を卒業し、高校に進学。この環境の変化は、彼女にとって少なからず良い方向へ導くきっかけとなったよう。「中学は勉強にかなり厳しい学校で。はっきり言って生活に余裕がありませんでした。逆に高校は、比較的自由な校風で(笑)。将棋がやりやすい環境であった事は、間違いないでしょうね」。
高校1年の9月、見事Aクラスで優勝。念願の女流プロ棋士2級の称号を得た。「ホッとしましたね(笑)。嬉しいとか感動したとか言うよりも、とにかくホッとしました」。だが、将棋の世界で本格的にプロになるかどうかは、彼女の中では迷いがあった。実際、高校3年生のとき、幼少の頃から学んでいたピアノとどちらをとるか悩んだ。悩んだ末、彼女は本当の意味で“好き”なものが何であるかを理解し、その道を選んだ。「将棋を始めてから、何度も壁に当たり、行き詰まりました。その度に、『やっぱり私は将棋が好きなんだ』って実感できたんです。だから将棋の世界でプロとして生きようと、決心しました」。逆に言えば、この“好き”な気持ちがあるからこそ、将棋の世界で実力をつけることが出来たとも、考えられるので
はないか。
「プロ棋士って、接客業に近い要素を求められるんですよね」。女流棋士となって早4年。その中で経たことを、彼女は搾り出すように語る。「これは最近気付いたのですが、本当、人と人との縁がとても大事なんだなと。私は将棋以外の仕事も多いですので、様々なジャンルの方と知り合うことが出来ます。そういう意味では、本当に私は幸せ者ですね」。
前出の通り、プロ棋士という職業は、将棋を指しているだけで成立するわけではない。将棋普及という名目で、様々な人と出会い、共に時間を過ごす。そうした将棋の周囲にあるものをひとつひとつこなしていくことが、仕事――彼女はこの4年間で、そのことをしっかりと学んできた。「やりたいことだけをやっているだけでは、仕事にはならない。逆に全く関係ないところから、仕事につながることも沢山あります。これはどんな業種・職種にも通じることではないでしょうか」。
「Aクラスではなかなか良い成績が出せなくて(プロになるには、Aクラスのリーグ戦で優勝することが条件となる)。正直、焦りましたね。ここまで来てプロになれないなんて…と、結構追い詰められていました」。プロになると決意し、歩み始めた道。ここまで来て、プロになれなかったら
――10代ながら、葛藤と戦っていた。そうした中、中学を卒業し、高校に進学。この環境の変化は、彼女にとって少なからず良い方向へ導くきっかけとなったよう。「中学は勉強にかなり厳しい学校で。はっきり言って生活に余裕がありませんでした。逆に高校は、比較的自由な校風で(笑)。将棋がやりやすい環境であった事は、間違いないでしょうね」。
高校1年の9月、見事Aクラスで優勝。念願の女流プロ棋士2級の称号を得た。「ホッとしましたね(笑)。嬉しいとか感動したとか言うよりも、とにかくホッとしました」。だが、将棋の世界で本格的にプロになるかどうかは、彼女の中では迷いがあった。実際、高校3年生のとき、幼少の頃から学んでいたピアノとどちらをとるか悩んだ。悩んだ末、彼女は本当の意味で“好き”なものが何であるかを理解し、その道を選んだ。「将棋を始めてから、何度も壁に当たり、行き詰まりました。その度に、『やっぱり私は将棋が好きなんだ』って実感できたんです。だから将棋の世界でプロとして生きようと、決心しました」。逆に言えば、この“好き”な気持ちがあるからこそ、将棋の世界で実力をつけることが出来たとも、考えられるので
はないか。
「プロ棋士って、接客業に近い要素を求められるんですよね」。女流棋士となって早4年。その中で経たことを、彼女は搾り出すように語る。「これは最近気付いたのですが、本当、人と人との縁がとても大事なんだなと。私は将棋以外の仕事も多いですので、様々なジャンルの方と知り合うことが出来ます。そういう意味では、本当に私は幸せ者ですね」。
前出の通り、プロ棋士という職業は、将棋を指しているだけで成立するわけではない。将棋普及という名目で、様々な人と出会い、共に時間を過ごす。そうした将棋の周囲にあるものをひとつひとつこなしていくことが、仕事――彼女はこの4年間で、そのことをしっかりと学んできた。「やりたいことだけをやっているだけでは、仕事にはならない。逆に全く関係ないところから、仕事につながることも沢山あります。これはどんな業種・職種にも通じることではないでしょうか」。