今日は武器の話をいたしましょうｗ

古代韓国を代表する青銅器、琵琶形銅剣についてです。

琵琶形銅剣は、遼寧式銅剣または満州式銅剣、組立式曲刃銅剣とも言います。

ここでひとつ目の疑問が生じます。

韓国の青銅器なのに、どうして中国の地名が冠されているのでしょうか？

その答えを知るために、これまでの出土遺跡を記した分布図を見てみましょう。

（okauchi,mitsuzane,2004,「朝鮮半島青銅器からの視点」『季刊考古学』88号より）

分布の中心も標識資料も中国の遼寧省にあるからです。

さらに疑問が生じます。

分布の中心が中国にあるのに、なぜ古代韓国を代表する青銅器になるのでしょう？

もしかしたら発祥が韓国で、中国で より普及しただけなのからかも知れません。

中国出土資料を使って、自然な型式変遷になるか確かめてみましょう。
半島から伝播したものである場合、中国内での型式変遷には断裂が生じるはずです。
これは考古学で言う、型式学的方法による序列確認法です。

青組さんには難しすぎるかもしれませんね。
能書きはともかく、先ずは見てみましょう。

（miyamoto,kazuo,2004,「中国大陸からの視点」『季刊考古学』88号より）

とっても自然です。

中国の銅剣だけで型式変遷がスムーズに辿れています。

半島内に資料を限定すると、この型式祖列は不可能となります。
これは型式がうまく連結しない、朝鮮半島にとっては外来遺物であるという証拠です。

この事実と分布を照合すると、琵琶形銅剣は中国で生まれたという結論が出ます。

実際、中国での最も古い出土例は遼寧省遼城県小黒石溝遺跡の第8510石槨墓出土品（上の分布図の１）の一鋳式（柄も一緒に鋳造するタイプ）曲刃銅剣と有銎式曲刃銅剣で、紀元前10世紀とされます
組み立て式の最古例は同県南山根遺跡101石槨墓出土品（上の分布図の２）で、紀元前９世紀です

ちなみに、朝鮮半島で一番古い例は黄海南道延安郡金谷洞遺跡出土品で、紀元前８世紀です。

半島の琵琶形銅剣は明らかに後出的です

最古例からも、型式学的・分布論的観点からも、
琵琶形銅剣は古代中国発祥の青銅器であり、
朝鮮半島は伝播先・受容側であったと結論付けられます。

なんで韓国人がこれを誇るのか、全く訳がわかりません。

にもかかわらず韓国には、この中国古代遺物を古朝鮮に結びつけ、あまつさえ教科書に記載した馬鹿がいるのです。

『世界の教科書シリーズ① 新版韓国の歴史 － 国定韓国高等学校歴史教科書』　明石書店　2000年（Ⅰ～Ⅴ章：1996.3.1初版発行／Ⅵ～Ⅸ章：1996.9.1初版発行）
「古朝鮮は遼嶺地方を中心に成長し、次第に隣接した君長社会を統合して、韓半島まで発展したとみられるが、このような事実は出土した琵琶形銅剣の分布によって知ることができる。古朝鮮の勢力範囲は、青銅器時代を特徴づける遺物の一つである琵琶形銅剣が出た地域とほとんど一致している(6)。
※6)　古朝鮮の勢力範囲は、青銅器時代を特徴づける遺物の琵琶形銅剣や美松里式土器などが出てくる地域とほとんど一致している。一方、東夷族の分布は、古代の韓民族だとすることのできる濊、貊、扶餘、高句麗、北沃沮、抱婁などをあわせた地域だと推定されている。
（中略）檀君の記録は、青銅器文化を背景にした古朝鮮の創立という歴史的事実を反映している。」
http://members.tripod.com/textbook_korea/2_2.html

こんな電波を受信させられるなんて、韓国の高校生は可哀想ですね。

前述したとおり、琵琶形銅剣は中国辺境の青銅器文化という歴史的事実があります。

韓国国定教科書の理屈で言うと、

古朝鮮←琵琶形銅剣文化を背景＝中国辺境の文化を背景

ということになってしまいます。

これは中国社会科学院の東北公正を自ら補強する自爆行為に他なりません。

まあ、そもそも古朝鮮はB.C.24世紀に建国されたそうなので
B.C.９世紀頃に出現する琵琶形銅剣とは全く時期が噛み合わないのですけども。

当面「古朝鮮＝琵琶形銅剣文化を背景」といった主張は

保留した方が身のためだと思います。

そう、今後の発掘で

「半島人檀君是作□□傅告後世」

と銘文のある琵琶形銅剣が出土する時まで。

あっ、「半島人」という表現だけでは不十分ですね。

現状では「遼東半島人」だと思われちゃうからｗ