バングラデシュ発のブランド・バッグ
16日の「情熱大陸」(毎日放送製作、TBS系)に、山口絵理子さんが登場してました。
山口さんは、バングラデシュの名産品であるジュートという布を使ったバッグ・ブランド「マザーハウス」を立ち上げた、正真正銘、正統派の社会起業家です。
彼女が「マザーハウス」を立ち上げるまでの経緯を綴った著書「裸でも生きる」はとってもおもしろいので、いずれ紹介しようと思ってたらテレビで先にやられてしまいましたね。(^^;)
というわけで、テレビでは伝え切れてないこの本の魅力を書いてみようと思います。
山口さんは小学校からいじめに遭い、中学生くらいで不良仲間とつるんでグレたりしますが、ふとしたキッカケで柔道を始めます。
元来、頑張り屋だった彼女は、物凄い練習をして県大会で優勝します。
しかし、全国大会では2回戦敗退。
それで、悔しくてもっと強くなりたいということで選んだ高校が、当時、県で一番強い女子柔道部があった高校、
ではなくて、なんと、女子柔道部が無い高校を選びます。
そこは、県で過去50年間トップを走り続けていた、超名門「男子」柔道部がある工業高校でした。
しかし、いかに県大会優勝の彼女でも、超名門「男子」柔道部の猛者連中相手では太刀打ちできません。練習ではボコボコにされてしまいます。
それでも山口さんは、「男子柔道で鍛えることによって、女子柔道の世界で勝つ」ことを目標に頑張るのですが、試合になっても全然勝てません。
何故なら、男子柔道と女子柔道は違うから。
スピード勝負の女子柔道と、力勝負の男子柔道は、同じ柔道でもまったく違う競技だったのです。
このへんのエピソードに、彼女のキャラクターが現れているように思えて、僕は好きなんですが、その後、
合宿中に監督と練習して10回も締め落とされたり、靭帯を三本も切ったりしながら、結局、三年生の時に、全国大会7位の成績を納めます。
しかし、自分は柔道ではオリンピックに行けるほどの才能はないと感じ、一念発起、猛勉強して慶応大学に進学します。
その後の経緯は、テレビでも簡単に紹介されていましたが、米州開発銀行でインターンをします。
ラテン・アメリカ向けに援助を行なう国際機関ですが、あまりに現地の事情を知らないスタッフの姿に憤慨します。
国際援助機関によくいるような、開発援助エリートたちに失望したわけですね。
で、それなら自分で途上国のリアルな姿を見てやろうと思います。
ネットで「アジア 最貧国」で検索して出てきたのが「バングラデシュ」。
それで、バングラデシュに行き、そこでジュートという布に出会い、これでバッグを作ったら日本でも売れるんじゃないかと思って、バッグ・ブランドの「マザーハウス」を立ち上げるワケです。
しかし、途上国で新しいビジネスを立ち上げるのは、並大抵なことではありません。
テレビでは、このあたりはあまり紹介してませんが(出来ないし)、「裸でも生きる」では、いろいろ詳細に描かれています。
いろいろ騙されたり、援助しているはずの工場内でパスポートを盗まれたり。
いろいろあって、ようやく信頼できそうな工場を見つけて、バッグの生産をお願いする。
そんなある日、バングラデシュで大規模なデモが起き、戒厳令が敷かれます。
ゲストハウスから一歩もでることが出来なくなった山口さんは、毎日電話で工場と連絡を取り、いろいろ指示を出します。工場のみんなも頑張ってくれているようです。
一週間後、ようやく外出できるようになったので、工場に向かうのですが、そこで山口さんが見たのは、機材も材料もデザイン画も、スタッフも何にもない、もぬけの殻の工場でした。
「また、裏切られたのか?」とがく然としながら、工場責任者の携帯に電話します。意外にも責任者は電話に出ます。
「あ、アベルさん……。おはよう。えーっと、今どこにいる?」
「あー、えりこ! おはよう! 今日も工場で生産しているよ!」
「え……私、今工場にいるんだけど……」
「……(ガチャ)」
まあ、こんなエピソードがこれでもか!ってくらい出てくるのですが、それでも頑張る山口さんの姿にホロリとしたり。
やっぱり、社会起業家の物語は感動的であります。
情熱大陸を見てマザーハウスに興味を持った人には、ぜひ読んで欲しいです。(竹井)
リンク: Amazon.co.jp: 裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ) (講談社BIZ): 山口 絵理子: 本.
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