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2008年2月16日 (土)

政府系ファンドは受け入れるべきだ

中国の政府系ファンドCICの社長が来日して、渡辺喜美金融担当相らと会談した。
渡辺金融相はメディアの記者団に対して「対日投資を拒否する理由はない」とコメントした。
これは当然のコメントでしょうね。

政府系ファンドの動きを警戒する向きもありますが、基本的には政府系ファンドが他国の企業に投資するのは、世界平和の構築にも繋がるからだと思うからです。

世界平和の構築、戦争の回避に最も有効な手段は、平和運動の推進と拡大、
ではありません。

戦争をしたほうが儲かる人より、戦争しないほうが儲かる人が多い。
そんな状況を作り出すことが、戦争への抑止力になります。

僕がこのことを実感したのは、2005年の竹島問題においてです。

当時、日本は韓流ブームの真っ最中。
一気に高まった、日韓友好ムードをさらに高めようと、2005年は日韓友好の年とされて、官民挙げてのキャンペーンをやります。

そこに降って湧いたような竹島問題。
事態は急転直下、日韓で激しい非難合戦が起こります。反韓ムード、反日ムードが一気に高まります。

当時は、ソウルのオシャレ・スポット清潭洞あたりのクラブで、若い人たちが
「独島(トクト=竹島のこと)はオレたちのものだ!!」
などと叫びながら踊りまくってました。

韓国で嫌な目にあったことのない僕でも、この時ばかりはタクシーの運転手に嫌がらせをされたり、街を歩いていると挑戦的な目で見られたこともありました。

#まあ、ほんのちょっとだけですけどね。

芸能人も、メディアに思想チェックされたりして、当然、独島は韓国のものだと主張しないと、それこそ倖田來未どころの騒ぎではない。マジ、芸能界だけでなく、国を追放されるぞ、くらいの雰囲気でした。

しかし、韓流スターや芸能関係者の本音は、
「どっちのものでもいいから、竹島問題、早く終われ」
というものでした。

反日より親日の方が、彼らは儲かるわけですから。

もちろん、芸能界だけでなく、他の業界で日本とビジネスしている人間も同様でした。

経済合理性は戦争の抑止力にもなることを、当時のソウルで目の当たりにしたわけです。

台湾人だって、中国に資本進出したり、中国人相手のビジネスで儲けたりしている人も多いですから、本音では独立問題は避けたいはずです。それで、今度の選挙で独立派が負けたのかもしれません。

そんなわけで、政府系ファンドが世界各国の企業に投資すると、利害関係が生まれて、なんとか相手の国と仲良くしようという圧力がかかる、有効ムードが高まるわけです。

政府系ファンドが警戒されるのは、それが政治利用されるのでは?という懸念からですが、それは世界中から激しいバッシングを受けるはずですから、合理的に考えれば政治利用は難しいでしょう。

英エコノミスト誌あたりが激しい批判記事を書いたり、過激派NGOも黙ってないでしょうし、世界の投資家も、投資を政治利用するような国からはお金を引き上げるでしょうから、その国の経済はガタガタになります。

経済合理的に考えれば、政治利用しない方が得なのです。

もっとも、世の中は経済合理性だけで動いているわけではないですから、経済的な相互依存関係の構築だけで戦争は無くなりませんが、少なくとも投資の世界は経済合理性で動いてますから。

それより、日本も中国や中東の政府系ファンドに怯えてないで、自前の政府系ファンドを創ることでも考えた方がいいと思います。(竹井)

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