産科、小児科、精神科を中心に医師が不足している。偏在化も顕著で、県央、県南に比べ県北地区が厳しい。
北秋田市の公立米内沢総合病院では医師が17人から6人に激減。鈴木紀行院長や事務長、看護職員ら約40人が退職の予定だ。相次ぐ病床再編や病棟閉鎖で病院は運営の危機に直面している。
鹿角市の厚生連・鹿角組合総合病院が4月から精神科外来の休止を決めた背景には06年度から始まった「新研修医制度」がある。自分で働く病院を選ぶことができるようになった研修医が、都市部へ集中。地方の大学病院が付属病院の医師確保のため、派遣先の自治体病院などから医師を引き揚げる動きが広がっている。鹿角組合総合病院からも岩手医科大が3人の引き揚げを決めた。
先日、社民党の福島瑞穂党首が大館と北秋田市の3病院を視察。大館市立総合病院で「言いたいことはたくさんある。医師は過労死寸前だ」と訴えた武内俊院長の言葉は切実だった。
病床数497床、医師47人、1日の外来患者1300~1500人。地域の2次医療を担う中核病院で、医師の1週間の時間外勤務時間は80~90時間という。平均は40時間余りというから、その労働実態はあまりに過酷だ。
年間500件の出産を取り扱っていた市立扇田病院が医師退職で06年9月から産科を休診。このあおりで大館市立病院の産科医療は厳しさを増した。医師1人で扱う年間出産数は150人が限度だが、同病院では200人を超す。この影響で同病院は里帰り出産を断っている。武内院長は福島党首に医療現場のリスク増大を訴えた。党首は「自治体、県レベルで医師不足問題を対応できない。国の政策に失敗があった」と述べた。
国会議員として問題把握が遅きに失しているように思えた。医師確保に本気で取り組まないと、医療福祉は崩れてしまう危険をはらんでいる。【村川幸夫】
毎日新聞 2008年3月16日
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