【北京=牧野田亨】中国チベット自治区ラサで起きた大規模暴動で、インド北部ダラムサラに拠点を置く民間活動団体(NGO)「チベット人権民主化センター」は16日夜、人民武装警察部隊など中国治安当局がラサのチベット族住民の住宅を一軒一軒捜索し、これまでに数百人を拘束したと伝えた。
一方、青海省や甘粛省の省都・蘭州でもデモが行われたとの情報があり、中国政府に対する抗議行動はさらに広がりをみせている模様だ。新華社通信は17日、ラサの暴動の死者が13人になったと伝えた。
同センターによると、ラサ市内の表通りは武装した警官や装甲車が厳重に警戒。すべてのチベット族住民の住宅に対して徹底した捜索が行われ、疑わしい人物が次々に拘束されている。元政治犯もすべて拘束された。警官が若者を連行する際、激しい暴行を加えるため、母親たちがやめるよう懇願していたという。
自治区当局は15日、暴動に関与した住民に対し、18日午前0時までに自首すれば処罰を軽減するとの通知を出した。だが、その後も投石行為が行われるなど緊張した情勢が続いている事態を重視し、前倒しで拘束に乗り出したとみられる。
新華社電によると、自治区当局は16日、「安全への懸念」を理由に、外国人の旅行許可申請の取り扱いを一時停止すると発表した。
また、同センターは、16日に四川省アバチベット族・チャン族自治州のアバ県で起きた暴動は数千人が参加した大規模なもので、死者は15人に増えたと報じた。青海省黄南チベット族自治州同仁県でも同日、僧侶約300人がデモ行進し、警官隊が制止したという。米政府系メディア「ラジオ自由アジア」によると、蘭州の大学でもチベット族の学生数百人がラサでの住民弾圧をやめるよう当局に求め、デモ行進した。
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