2008年3月15日

毎日欠かさず、足の裏を棒で押しています。
「足の裏棒」と名づけた、整体の先生にいただいた棒で、
毎日毎日・・・同じ作業を続ける僕に、一番最初に
興味を持ったのは、シェーン（ビクトリーノ・外野手）でした。

「ねえ・・・・それって何やってんの？」
「んー？手のひらや、足の裏にはツボがいっぱいあるから、そこを押してやることに
よって、筋肉が緩むの」
「へえ・・・面白そう。ボクも押して」
「いいよ。はい」
「ぎゃあああああ！」

軽ーく押したのに、これ以上ない俊敏さで逃げたシェーン。
「痛い〜！！痛い〜！！！」
「痛いってことは、どこか固まってるんやろなー。足の裏は
柔らかいのが理想なんやけど」

足裏マッサージをしたことのある方なら、この痛みと、足の裏を
押すことの必要性はご存知かと思います。しかし痛さに懲りたシェーンは、
「ボク、手にしておくね・・・」と、かわいく手のひらを押し始めました。
そのうちパット（バレル・外野手）も連日参加し始めて、現在じわじわと、
足の裏棒信者が増えつつあります。

しかし今日。いつものようにトレーナー室で押していたところ、
チームの専属外科医が、うちのトレーナーに、ひそひそ声で、
「ねえ・・・あれ・・・なにやってんの・・・？」
「ああ・・・なんか毎日やってる。筋肉が緩むんだって」
「ふううん」

丸聞こえやっちゅーねん！！
しかも二人は、サルを見る科学者のような面持ちで、
僕を遠巻きにしているのです。
さらに、

「見ててみ。そのうち、奇妙な体操をし始めるよ」
「本当だ。なんだありゃ？あれは、何のためだ？」
「たぶん身体にいいんだろ」
すると外科医が、
「そりゃーすごいね。アハハン！」

その「アハハン」が
いかにも小馬鹿にしたようなトーンで、
「アハハーン」「アハハーン」と、頭の中にこびりついている今夜。

東洋医学、なめたらアカンで！

フロリダ州クリアウオーターにて　田口壮　

2008年3月14日

精神的には、そして肉体的にも疲れています。
しかし、過去６年間のキャンプに比べれば
雲泥の差の、今年の疲れ。
この時期ならたいてい、家に帰り着くなりへろへろで、
食事をしたら倒れたい、という状況なのに、今は寝る前に数独をする
余裕があります。寛とじゃれたり、犬をからかって遊ぶ余裕があります。

ヨメがどこからともなく見つけてきた、大柄で年配のマッサージの先生、彼女がまたいい。
野球をよく理解していて、アメリカ人にありがちな、表面を撫でさするマッサージではなく、
きちんとツボを心得ている。そこに定期的に通うことが、
かなり体調管理に役立っています。
どうしようもなくなってから治療を受けるのではなく、
日ごろのメンテナンスとして、何もなくても受けるべき、というヨメの主張に感謝。
よく考えたら日本では当たり前のようにしていたことですが、こちらに来てからは、
状況も思うようにならず、定期的な治療は半ばあきらめていたのです。
あとは、「贅沢やろか？」とも。

そして、適度な出場回数。昨日は先発。９回に代打を出してもらってゲームから
抜けた僕に、コーチ陣が、
「最後まで行っとけよー！」とからかってきました。
するとチャーリー（監督）が、
「オジサン、オジサン。オヤスミ、オヤスミ」とかばってくれました。

今日も雨の中のゲーム。出場なし。
「オジサン」ってラッキー。

フロリダ州クリアウオーターにて　田口壮　

2008年3月13日

控えの内野手が４打点の活躍。堅実なバッティングと守備の、僕の好きなタイプの
選手ですが、うちは内野のレギュラーが固まっているので、おそらくは
マイナースタートとなるでしょう。どれだけ頑張っても、チーム編成上、食い込む隙間がないのは
精神的にもしんどいはずです。

それは奥さんたちも同じだと、ヨメが話していました。
この時期、オーナーの招待ディナーや、チームパーティーなど、
さまざまな行事があるものの、招かれるのはメジャー当確の選手のみ。
しかしそれは、まだ「落とされていない」マイナーの選手の奥さんたちの前でも
おおっぴらに話題にされます。まだ開幕前。お互いをよく知らない同士だから、
「パーティー、一緒に行く？」「あ、うちは招待されてないの・・・」と、気まずい空気も
流れやすいのだとか。

住居にしても、すでにフィラデルフィアに住処を見つけている家族と、
「上がれるか、マイナースタートかわからないから、ぎりぎりまで決められない」という
家族に分かれ、奥さんたちの顔にも、不安と緊張感が漂っています。
小さな子供を抱えている家庭は、なおさらのこと。
選手はバッグひとつで次の土地へ行きますが、奥さんは、すべての事務処理や手続きなど、
物理的なことを一人でやらなければならないのです。

今にして思えば数年前まで、うちのヨメもそんな表情をしていたんでしょう。
「いったいこの先どうなるんだろう。考えても仕方ないけど、考えていないと
とっさに対応できない」という顔です。

中間どころで状況に左右される生活は、選手よりもむしろ、家族のほうが、
その余波を受けやすいのかもしれません。

フロリダ州クリアウオーターにて　田口壮　

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