◇医療の立て直し、市民も巻き込んで
救急医療に携わる医療従事者でつくる自主勉強会「西播磨救急医療研究会」が14日夜、姫路市内であり、医師や看護師、救急隊員ら約150人が参加した。日本救急蘇生普及協会長などを務める野口宏・愛知医科大教授が講演し、「医療の立て直しには、市民や行政を巻き込んだ医療システムの改革が必要」と訴えた。
野口教授は「病院医療の崩壊と救急医療」と題し、日本の医療崩壊の現状について解説。そのうえで、病気予防の知識や急病発生時の処置法を学校教育から普及させ、市民に医療機関の適切な利用を促すことや、医療の連携の範囲を広げるため、救急搬送の中心となる消防行政の広域化を検討していくことが、問題の突破口となると話した。
同研究会は「顔が見える医療」を目指して、姫路市など中・西播磨の医師らが、救急医療の場で共に働く看護師や救急隊員らと問題意識を共有し、連携を深めようと結成。年2回開いており、14回目を迎えた。今回、姫路聖マリア病院看護部が患者を対象に救急車利用について聞いたアンケート結果や、姫路市消防局による救急医療情勢なども発表された。
同市では昨年12月、急病の男性が救急搬送中に19病院に受け入れを断られ、死亡する問題が発生。講演を受けて、姫路医療センターの礒部尚志医師は「これまで現場のがんばりで医療を支えてきたが限界。市や県の理解と協力を求めていきたい」と話した。【馬渕晶子】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2008年3月16日