肌をケアすることは、フラウ本誌でも書いたように、肌だけをターゲットとしていたのでは思うような結果がでないのだと思います。
身体は魂の入れ物。だとすると、魂への気遣いこそが、必要なのだというふうに思うのです。

そんなことを真剣にといていたのは15世紀のフィレンツェで活躍していた神学者にして占星術家のマルシリオ・フィチーノという人でした。フィチーノは心と体を健やかにするために、いまでいうさまざまなセラピーを実践せよといっているのです。

たとえば、気の利いた友人たちと心行くまで会話を楽しむこと。太陽の光を浴びること。すてきな音楽を聴くこと。そして美しく清潔な衣服をまとうこと。そしてハーブの香りをかぎ、ワインをたしなむこと。

こうしたことが、魂を暗いところから引き出して明るさを取り戻すことができる、というのです。考えてみればこれは音楽療法やアロマセラピーのルーツだといえるかもしれません。

自分の生活を整えて美しく、楽しむこと。これが魂への、そして肌へのケアになるということではないでしょうか。