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2008.03.16

守りは固く!!妨害電波対策は大丈夫か!

~テロ対策とも通ずる「電波妨害」へのフェイルセイフは~

航空管制用無線と同じ周波数の妨害電波が発信されていたことが判明しました。4時間にもわたるものであったようです。核問題でデッドロックとなっている米中会談、拉致被害に対しての問題、世界20カ国代表が集まった「G20」最終日、近ずく「サミット」などへの嫌がらせなのか、あるいは、拉致問題に対する政府の態度表明

町村信孝官房長官は15日、内閣府で北朝鮮による拉致被害者家族会のメンバーらと懇談し、4月13日に期限を迎える北朝鮮への経済制裁について、「期限までに(拉致問題などで)何らかの進展があれば別だが、拉致問題、6カ国協議、米朝間の状況などをしっかり見据え適切に判断する」と述べ、経済制裁を再延長する考えを明らかにした。 経済制裁は平成18年10月の北朝鮮核実験を受けて発動されたもので、貨客船「万景峰号」を含む北朝鮮籍船舶の入港と、北朝鮮からのすべての品目の輸入を全面禁止している。すでに19年4月、10月と2回制裁期間が延長されている。”

への牽制なのか、趣旨は不明のものがあります。

しかし、テロ対策についても、日本は、欧米諸国に比べ、「縦割り行政で対処していて甘さが見られる」といわざるを得ない点もあります。(テロ対策については、国土交通省、警察庁、エアライン、空港会社、更に財務省、農水省、が携わっています)。今回の電波問題は、「その気になれば空の足を大混乱させることができる」という驕りを与えかねないものでもあり、緊急かつ明確な予防・対処方法を、明示することを「総務省」に対し、求めたいと思います。

北朝鮮方面から航空管制用無線に妨害電波 成田空港
          3月16日14時25分配信 産経新聞

 総務省は16日、航空管制用無線と同じ周波数の妨害電波が、北朝鮮方面から千葉県成田市の成田空港に向け発信されていたことを確認したと発表した。

 同省によると、電波の発信が確認されたのは15日午後5時10分ごろから午後9時ごろまで。成田空港周辺では、航空管制用無線の交信に音楽や人の声が混ざって聞こえるなどしたが、業務への影響はなかった。

 同省は同日、国際電気通信連合(ITU)に対して無線通信規則違反の通報を行った。

【関連ニュース】

北朝鮮、拉致被害者向けラジオに妨害電波 
11/02 18:28更新

 拉致被害者を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」(荒木和博代表)が運営する北朝鮮向け短波ラジオ放送「しおかぜ」に2日、北朝鮮から妨害電波が発信され、総務省は電気通信分野の標準化や規制などを行っている「国際電気通信連合(ITU)」を通じ、北朝鮮に無線通信規則違反を通報した。 総務省によると、妨害電波は2日午前5時12分から同6時31分ごろまで、北朝鮮内部から発信されたことが確認されたという。発信源は平壌付近と推定される。「しおかぜ」は平成17年10月、第三国から放送を開始。今年3月、電波法に基づく免許交付を受け、茨城県内からの放送を始めた。放送開始直後から度々、妨害電波が発せられていた。10月28日には周波数を変更していた。 荒木代表は「周波数を変更してこんなに早く反応があるとは、それだけ北朝鮮がちゃんと聞いているということ。聞こえないのは一部の地域だけで、かなりの地域では聞こえているので効果は期待できる」としている。

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2008.03.09

強風下にランディング、風速70m。     危なかったルフトハンザ機、ハンブルグ空港

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~空港がオープンしていたからといって・・・。~

横風を受けながらランディングする時の難しさは、並大抵ではありません。離着陸時にコックピットにシーティングして、かいま見た体験では、あらためてパイロットの技量に脱帽したものです。

下記CNNによれば、3月5日、ルフトハンザ機が、着陸時危なく事故となるところでしたが、幸いにもパイロットのとっさの決断で、スロットル全開でタッチアンドゴーを行い最悪に事態はまぬかれました。

Lufthansa AirbusA320 (LH44) nearly crashes during storm "Emma" while landing at Hamburg Airport. Fortunately no one gets injured. The pilots landed the plane on another  runway.

~

~空港の判断で、オープンかクローズが決まる~

~エアラインの判断で「ダイブアウト」か、ランディング続行かが~

離着陸は、まず当該空港がオープンかクローズかの判断をします。その後、各エアラインが更に運航するかどうかを決めます。

●例えば2000年10月31日の台北でシンガポール航空747機が離陸時にランウェーを間違えて、クローズしているところを滑走をはじめて、停めてあったトラックに衝突。甚大な被害を出しました。この当時は風速50mでしたが、台風の余波で強い雨が降っておりました。シンガポール航空を除く全便が欠航のなかで、ただ1機出て行った状況でした。

また、●1977(昭和52)年9月27日のJAL・クアラルンプール事故の際は、この地特有の「ヘビーシャワー」のなか、他のエアラインはシンガポール空港へダイバージョンしているなか、ただ一機、着陸を試みたものでした。

今回の件は、「パイロットの技量」で難を逃れたものの、空港サイドの判断、エアラインの業務指示、などを検証し、無理な着陸を防ぐ措置が講じられねばならないと痛感いたしました。

~

~こういう事故も~

    強風下の強行着陸で機体に亀裂、インドネシアの格安航空

ジャカルタ――インドネシアの民間格安航空アダムエアの広報担当は22日、同国第2の都市スラバヤの空港で21日、ジャカルタ発の同社便の米ボーイング社製737─300 型機が強行着陸、中央部の機体に亀裂が入り、尾翼部分が落ち込む被害が出たと述べた。乗客148人は無事だった。負傷者の有無は不明。この影響で同空港が一時閉鎖され、他 便がほかの空港へ代替着陸するなどの混乱が生まれた。強行着陸の原因は不明。当時、豪雨と強風に見舞われていたという。同社広報によると、急ブレーキを掛けた可能性もある。同社はこのトラブルを受け、保有する同型機6機の緊急点検を開始、就航させないことを 決めた。6機は同社の機材の三分の一に当たるという。アダムエアは今年1月1日、スラウェシ島付近で737─400型機が消息を絶ち、乗員 乗客102人が絶望視される事故も起こしている。墜落したとみられている。同島沖合で残がいの一部は見付かっているものの、墜落地点はまだ特定されていない。アダムエアは、インドネシアで近年、続々と生まれた航空会社の一つ。
 
 

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2008.03.06

JAL機、連続管制トラブル!          なにが問題なのでしょうか。

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JALだけの問題ではない、国内線・近距離国際線での「機長昇格訓練」

2月18日の千歳空港、3月4日の小松空港と2度にわたる「管制交信時のトラブル」で、パイロットの昇格訓練がクローズアップされました。国内線やアジアの近距離国際線は、長い間、機長昇格のための最終訓練の場とされてきました。テイクオフ・ランディング回数の多いことが、訓練としては、効率がよいことからだといわれています。「機長席=左側のシート」に座って離着陸時のリードをしたり、航行中も機長としての任務を受け持つ、文字通り訓練フライトです。pilot in command=PICという言葉があります。飛行中、航空機の安全および運航に責任を持つ操縦士を指しますが、一般的に副操縦士と機長の編成であれば、機長。複数の機長がいれば、誰がPICかを決めてフライトをし、責任体制を明確にしています。左側キャプテンシートで訓練していることを通称「レフト」ともいっています。それだけ、当たり前のことになっています。しかし、利用者の身になってよく考えれば、安全上は、通常のフライトと較べれば割引される状態ともいえます。

こうした運用は、「私が現役であった30年間、連綿として続いてきました。コーパイロットですから、時には、ハードランディングなどもありましたが、こうした重大ミスには、遭遇したこともなく、問題視されることもありませんでした。なによりは、国交省航空局が認めているからです。

この問題について、JALは、「自主的に中止し、点検をする」ということです。では、ANAでは?といいますと、ほぼ同様な訓練形態をとっています。

千歳空港での事態は、航空局は「重大インシデント」としながらも訓練のあり方については、言及していません。小松空港のミスの後も、航空局においても、「航空法上は、機長資格をとってからの訓練だから、その運用は、各エアライン内部の規定にまかせる」という姿勢からは、出ておりません。

事を重大視したJALが、いちはやく「総点検」するために、自主的に当面の訓練を中止したことは、近来まれに見る「スピード決断」で、この点は評価できると思います。

しかし、同じ体系で「昇格訓練」を行っているANAには、目だったトラブルがあがっていないことを考えれば、事態はより深刻のようにも映ります。JAL・JAS統合後の問題は、尾をひいてはいないのでしょうか。

また、千歳と小松に共通しているのは、軍民共用の空港だということです。千歳の管制について言えば、自衛隊の管制であり「管制用語、フレーズの使いまわしが、民間空港の管制官と少々でも違っていることはなかったか、パイロットの誤認を誘うようなことはなかったのか」と心配する向きもあります。

航空局として、「管制官の人員配置」の点検や、「管制官とパイロットのコミュニケーションという点で、国内線でも英語の管制でなければならないのか」などの見直しなど、素早いアクションが求められています。海難事故が続くなか、航空で事故が起きた場合をかんがえると、3次元の運航とジェット機のスピードと大量輸送ということに目をやれば、背中が寒くなるものを覚えます。事故調査なども、アメリカのNTSBのように、運輸関係の役所から独立した組織として改編すべき時期にきています。道路問題でも、溢れるような天下り組織のある中、航空専門の組織もなく、いまだに「鉄道・航空事故調査委員会」な訳ですからここも寒いものがあります。

いずれにしても、従前どおり「パイロットの昇格訓練の場を営業路線で行うのか」あるいは「アメリカなどの訓練基地でおこなうのか」など抜本的な議論が必要となってきました。エアラインにとっては、「安全とコスト」という命題の前に立たされ、難しい問題になります。

いずれにしても、パイロット・整備・客室乗務員など運航に直接からむ現場からは批判が強い、安全にからむ「規制緩和」をするだけして来たわけですから、この辺で、国としての納得できる見直しをしていただきたいものです。

エアラインとしても。利用者からは見えない「安全」より、「格安運賃」に走ることを美徳とするような趨勢に負けず、「安全を金看板」とする勇気を持っていただきたいと願うものです。

<営業路線での訓練、日航が当面中止…トラブル相次ぎ
               3月5日11時54分配信 読売新聞
 日本航空は5日、営業路線を使っての運航乗務員の訓練飛行を当面中止することを明らかにした。先月の北海道・新千歳空港での無断離陸滑走や4日の石川・小松空港での滑走路誤進入など訓練中のトラブルが相次いだことを受けた措置。 日航によると、新千歳のケースでは、副操縦士の訓練中だった副操縦士候補生が管制との無線応答を担当中、「ただちに離陸できるよう準備せよ」という言葉を「ただちに離陸せよ」と聞き違え、指示を復唱しなかった。この日航機はその直後、着陸機が走行中の滑走路で離陸滑走を始めた。 小松のケースでは、機長訓練のため操縦を担当していた副操縦士が停止線の位置を見落とし、航空自衛隊小松基地の戦闘機F15計3機が降下中だった滑走路内に誤って進入した。 日航は「訓練自体は国に承認を受けた自社規程に基づいて行われているが、いったん問題点を洗い出して再発防止策を探りたい」としている。 日航はまた、すべての運航乗務員に対し、夜間などで停止線が見えにくい場合は早めに停止するなどの対応をとるよう注意喚起した。 
  

日航機 空自誘導路に誤進入 F15着陸やり直す 小松空港
                       3月5日8時0分配信 産経新聞

 4日午後7時半ごろ、石川県小松市の小松空港で離陸しようとしていた日本航空1280便(ボーイング777、羽田行き)が滑走路を横切り、航空自衛隊小松基地用の誘導路に進入するトラブルがあった。このため、着陸しようとしていた空自F15戦闘機が着陸をやり直した。乗客179人と乗員10人にけがはなかった。日航機は離陸をやり直し、約45分遅れて出発した。空自によると、F15戦闘機は、目視で滑走路まで約2キロに迫っており、着陸まで20-30秒ほどしかなかったという。 国土交通省によると、日航機の機長は「滑走路手前の停止線が暗くてよく見えなかった」と話している。日航は先月16日にも、新千歳空港で、旅客機が管制官の離陸許可を受けずに滑走を始めるトラブルを起こしたばかりだった。 航空幕僚監部によると、日航機は民間機用誘導路で、空自が管轄している管制塔に離陸許可を要請。管制塔からは「ホールド・ショート・オブ・ランウェイ(滑走路の手前で待て)」との指示があり、同機のパイロットも指示を復唱したが、同機は滑走路を越えてしまった。 このため、管制官は、日航機に空自用誘導路を通って民間機用誘導路に戻り、離陸をやり直すよう指示。着陸しようとしていたF15戦闘機には、着陸やり直しを命じた。

<新千歳トラブル>重大事態もJAL、空自管制隊は報告遅れ
                           2月18日15時1分配信 毎日新聞

 新千歳空港で日本航空(JAL)502便(乗員乗客446人)が前方に着陸機がいたのに管制の許可なく離陸滑走したトラブルで、JALと管制業務を担当する航空自衛隊千歳基地管制隊が国土交通省新千歳空港事務所へ報告したのは発生から2時間以上経過した16日午後1時前だったことが分かった。JALは発生後も同じ機体で離陸をやり直す準備をしており、管制も含めた当事者に重大事態という認識が欠落していたことをうかがわせている。 国土交通省は今回のトラブルを事故に結びつく恐れのあった「重大インシデント」と認定している。 トラブルの発生は16日午前10時半ごろ。JALによると、管制官の指示で離陸を中止した502便は滑走路から誘導路を通って駐機場へ戻った。天候が回復すれば同便を運航する予定で、乗客を機内で待機させた。 しかし天候回復の見込みが立たなかったため、午後0時50分ごろ、乗客を降ろすことを決定。ほぼ同時刻に新千歳空港事務所へ報告した。 報告が2時間後になったことについて、JALは「管制と機長が事実関係を整理するのに時間がかかった」(広報部)と説明。同基地は「確認作業などで時間を要した」(広報室)と話している。 国土交通省航空局運航課によると「重大インシデント」の場合、乗員から聞き取りをしたり、ボイスレコーダーを確保する必要があるため、トラブルを起こした機体と乗員は空港を離れないことが原則になっている。今回の場合、同便が目的地の羽田へ出発していれば、聞き取りがすぐにできない可能性もあった。

 航空法によると、重大インシデントの発生時は当該機の機長に国土交通相への報告義務がある。同課は「事実関係の確認に時間を要したのだと思う。報告が遅れたとは思わない」と話し、問題にはしない姿勢だ。

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2008.02.26

      中学生の熱気に押されて、TAKE OFF!

~航空の未来は、若者の手に・・・。~

2月23日(土曜日)愛知県の東海中学・高校の生徒達によって運営されている「サタデープログラム」に講師としてお招きを受けて、「ヒコーキ大好き! 航空の未来」というタイトルで「空」のお話をして参りました。以下のプログラムでもわかりますように、実に幅広い「タイトル」を社会に提供している場でした。

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実行委員会の山田陽太君はじめ皆さん

●国政討論会どうなる年金
  篠田陽介(衆議院議員・自由民主党)、伊藤渉(衆議院議員)、河村たかし(衆議院議員・民主党)、八田ひろ子(元参議院議員・日本共産党)

●田原総ー朗vs柴田洋希 90分一本勝負 政治から人生まで

            田原総ー朗(ジャーナリスト)

 航空産業に憧れと将来の自分を夢見る若者達と父兄の皆様、また、「空を愛する市民の皆様」に囲まれて、私も熱弁を振るわせていただきました。

なにかと「トラブル」の多い航空界ですが、こういう方たちが将来を支えてくれると感じますと新鮮な勇気を戴いたような気が致しました。

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パイロット志望の野本君

 
 

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2008.02.25

携帯サイト「ヒコーキ・大好き」にはや5年!

このブログ上で、私は「星降る夜に!」というコラムを出しております。しかし、相次ぐ航空のトラブルで、「評論・コメント」を先行させるという日々となっております。

一方で、携帯電話に書きつつ゛る「空から降るコラム」を書き始めて、思えばもう5年になります。基本的に月曜更新。このコラムは、私の「評論」からちょっと散歩をして、30年以上世界を放浪(乗務)して、感じていることなどを中心にしています。時には、感動の映画や話題のドラマなどのことも交えます。

このコラムは、携帯電話の公式サイト「ヒコーキ・大好き」に連載をしているものです。大体、携帯電話でじっと文字を見るというのは、苦痛なのではないか、と勝手に推測しておりましたが、「携帯恋愛小説」などに人気が集まっているのを拝聴しますと、私の感覚が遅れていたということになります。あらすじと展開のある小説と違って、私の「コラム」などは、あまり興奮を呼ぶものではありませんが、ともかく読者に支えられて5年も歩いてまいりました。

「ぎすぎす」した世の中に、温かい「風」を送るのだ、という新たな思いで、続けて参りたいと思います。

ご挨拶とお知らせをさせていただきました。アクセス方法は、下記に。

---「ヒコーキ大好き」アクセス方法-------------------------->

■DoCoMoの場合
【メニューからのアクセス】
i-menu → メニュー/検索 → 待受画面・フレーム → フォト→ヒコーキ大好き!

■auの場合
【メニューからのアクセス】
トップメニュー → カテゴリで探す → 画像 → 総合 → ヒコーキ大好き!

■SoftBankの場合
【メニューからのアクセス】
メニューリスト → 趣味・レジャー → 鉄道・ミリタリー → ヒコーキ大好き!

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2008.02.23

アシアナ航空離陸時、危なく空中衝突の危険!

過去の大きな管制上の問題としては、2001年1月31日発生した「JAL機のニアミス事故」があります。

、2002年7月12日に公表された国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の事故調査報告書によると、事故の引き金は東京航空交通管制部の訓練中の航空管制官の間違った指示のために一連のニアミスが発生したと認定されました。

この時に、増加するばかりの航空の往来を、手薄な人員配置でまかなっていることが、「ヒューマンエラー」の背景にあることが明らかになりました。当時のメディアも一部この問題に触れてはおりましたが、その後、「マンパワーが安全上適正なのか、という点でどのように解決されているのか」は、定かではありません。

2月22日の「衝突危機」は、管制官のとっさの指示で、大惨事の事態を免れたとのことです。しかし、昨年の6月から管制がらみのトラブルは6件も上がっています。

「東京航空交通管制部のレーダーコンピューターダウンで、航空機の便名が表示されなくなり、羽田・成田空港での離着陸ができなくなった」のは、原因の深い究明も他の事件に隠れて見えてきません。今回の問題も「混信」を防ぐ手立てはないのでしょうか。

千歳空港JAL機、今回の福岡空港アシアナ機、大きな事故への前触れとならぬことを祈るばかりです。

アシアナ機が無断離陸 ヘリへの許可を取り違えか
2月22日20時16分配信 産経新聞


 22日午後0時10分ごろ、福岡空港で韓国・仁川空港行きのアシアナ航空131便(エアバス330型機、乗員乗客153人)が管制官の許可なく離陸するトラブルがあった。管制官が誘導路で待機中のヘリコプターに離陸許可を出した直後で、アシアナ機が離陸許可を取り違えた可能性があるという。同機はそのまま離陸、けが人はなかった。国土交通省は、管制指示違反があったとしてアシアナ航空に事情を聴く方針。
 同省によると、管制官はヘリコプターに滑走路上を横断する西方向への飛行を許可したが、アシアナ機が滑走を
始めたため、滑走路と平行する誘導路上を南方向へ飛行するよう指示し直し、両機の間隔を取ったという。
 出雲発の日本エアコミューター3552便(SAAB340型機、乗員乗客39人)が着陸体勢に入り通信して
きており、管制官と各機の通信が混信していたという。

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2008.02.20

イージス艦も千歳管制問題も!事実があがるまでに時間がかかりすぎるのでは・・。

イージス艦と漁船の衝突には、空においても他人事とは思えません。空域と海域の差こそあれ、ANAと自衛隊機の空中衝突事故である「雫石事故」を想起してしまいます。

千歳空港での無許可滑走事件では、「訓練生」という問題がでてきました。事件発生直後からこういう事実をなぜ、あきらかにしなかったのか、という点がなにかしっくり来ません。

以下は、毎日新聞報道ですが、朝と夕方での動きです。

新千歳空港の無許可滑走:訓練生が交信担当 副操縦士席の復唱忘れ、機長見逃す

 北海道千歳市の新千歳空港で日本航空(JAL)502便(乗員乗客446人)が管制の許可なく離陸滑走したトラブルで、管制との無線交信を担当していた副操縦士は訓練生(27)だったことが分かった。訓練生は操縦に必要な国家資格を取得済みで、JAL広報部は「社内ライセンスを取るOJT(職場内訓練)の一環で、法的に問題はない」と説明している。 JAL広報部によると、訓練生の飛行時間は340時間。502便のコックピット内では副操縦士の席に訓練生が座り、後部の補助席にもう1人の副操縦士(32)がいた。

 訓練生は管制官の指示を「すぐ離陸せよ」と聞き間違え、復唱せずに「了解」と答えていた。無線の交信内容は機長(58)と後部座席の副操縦士も聞いていたが、マニュアルで求められている復唱を訓練生が怠ったことを2人とも見逃していた。【久野華代】

毎日新聞 2008年2月19日 東京夕刊

新千歳空港の無許可滑走:「すぐ離陸」思い込む 交信記録「~見込み」聞き落とし
 新千歳空港で日本航空(JAL)502便(乗員乗客446人)が管制の許可なく離陸滑走を開始したトラブルで、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会が回収した同機のボイスレコーダーに、管制から「Expect Immediately Take Off(間もなく離陸できる見込み)」との指示が記録されていたことが分かった。機長が指示のうち「Expect(~の見込み)」の部分を聞き落とした上、副操縦士が指示内容の復唱を怠ったことがトラブルにつながったとみられる。 ボイスレコーダーには、冒頭の「Expect」がはっきりと残っており、502便の機長はその部分を聞き逃し、「Immediately Take Off(すぐに離陸せよ)」だけを聞き取り、「Roger(了解)」と返答して離陸滑走を始めたらしい。 JALは05年1月に新千歳空港で起きた同様のトラブルを受け、滑走路進入時は、管制からの指示を副操縦士が復唱し、機長が指示に疑問を感じた場合、副操縦士が管制に指示内容を確認する内容のマニュアルの見直しを行っている。 JAL広報室は、「当時のコックピット内の状況は、詳しく事故調が調べると思うので協力していきたい」と話している。【久野華代】

 ◇管制官の指示、復唱徹底通達--JAL

 日本航空(JAL)は18日付で、管制官からの指示の復唱徹底などを柱とした通達を、全パイロットに出した。管制指示の復唱徹底▽機長と副操縦士の間で管制指示の再確認▽指示内容に疑問がある場合にはちゅうちょなく進言する--などが盛り込まれた。

毎日新聞 2008年2月19日 北海道朝刊

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2008.02.18

リードバック(復唱)とは・・・。

~管制の呼びかけは、どうだったのか~

管制塔は、エアトラフィックコントロールタワー(AirTrafficControllTower)と言われ、ATCと呼称されています。離着陸の許可は、クリアランス(Clerance)です。航空局監修のAIMというマニュアルには、以下のような項があります。AIMとは、Aeronautical Information Manual の略です。

日本航空機操縦士協会発行、国交省航空局監修   「AIM-JAPAN」
                              Aeronautical Information Manual Japan 

Read Back(リード バック=復唱)
 AIMの第4章に、『クリアランス等のリードバック』という規定があります。


    クリアランス等のリードバック(復唱)は、送信内容の聞き違いを防ぎ、ダブルチェックによってパイロ
ット及び管制官が相互に確認するために重要である。~中略~また、通信内容のすべてをリードバックすることで通信量をいたずらに増大させるのは、かえって好ましくない。クリアランスの内容から判断して確認が不必要と思われる部分については適宜省略し、要点のみを簡潔にリードバックすべきである。

これを参照しながら当日のやりとりをイメージしてみますと、

●「すみやかな離陸にそなえよ」→考えられるATC用語:EXPEDITE(急いで行う)とTAKE OFF の組み合わせとなり、IMMEDIETLY(直ちに)TAKE OFFという風な誤解を生んだのではないかとも推定されます。

マニュアルでは、更にリードバックとはいっても適宜省略せよという面もあります。管制官側もパイロットの誤解を避ける配慮が必要なのだということもわかります。

●しかし、最終的には、誤りを避けるために、リードバック=「復唱」が決め手になることも明らかです。

●天候のために遅延することは、「安全」を第一義と考えるならば、やむを得ないことです。利用者にとっては、利便性を欠くことになっても、これは、選択は明快です。こういうポジションに立てる企業の土壌があるかどうかでパイロットの精神状態も安定度を左右するともいえましょう。

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管制指示復唱せず 無許可滑走 機長「テークオフ」誤解
2月18日8時1分配信 産経新聞
 新千歳空港で、日本航空の羽田行き502便が管制官の離陸許可を受けずに滑走したトラブルで、機長が日航のマニュアルに従わず、管制官の指示を復唱していなかったことが分かった。復唱していればトラブルを回避できた可能性がある。管制官が通常では使わないタイミングで「テークオフ」という言葉を使用したため、操縦士が離陸許可と勘違いした疑いも判明。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は当時の詳細な経緯を調べている。

 日航広報部によると、同社のマニュアルは安全確認のため、離着陸時などに管制官の指示を復唱するように定めている。しかし、同便の機長はトラブル直前、管制官から「すみやかな離陸にそなえよ」と英語で指示を受けたさい、離陸許可と勘違いし、「了解」と答えただけで滑走を始めた。 当時は大雪で視界が約500メートルしかなく、着陸後滑走路上にいた日航2503便を目視確認できなかった。事故調委などは復唱していれば勘違いに気付くことができた可能性があるとみている。

 一方、航空関係者によると、管制官が通常では使わないタイミングで「テークオフ(離陸)」との言葉を使用した。通常は「離陸せよ」か「離陸中止」の場合に限り「テークオフ」が用いられるとされる。このため、機長らが離陸許可と勘違いした疑いがあり、事故調委は管制官からも事情を聴いている。

 事故調委は17日、コックピットボイスレコーダーやフライトレコーダー(飛行記録装置)を回収。梅村行男主管調査官は「気象条件が悪い状況での管制官の指示だったので、すべての要因を考慮しながら原因究明を急ぎたい」と話した。

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かつては、「臆病者といわれる勇気を持て!」が社是だった。機長を焦らすのはなにか。

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それは、松尾静麿社長の頃でした。戦後の航空規制を乗り越え、やっと日本の翼が世界の空を飛翔することができるようになり、アメリカへアメリカへと太平洋路線を桧舞台として伸びていった時代です。社長は、「世界一の安全を目指すのだ。現場は、臆病者といわれるぐらいの勇気を持ちなさい。」入ったばかりの現場の若者にも伝わる言葉を発し、社是としていました。今でもその温もりを忘れることはできません。パイロットは、気象条件が悪ければ、整備が整わなければ、こうした社内のバックアップに背中を預け、常に「迷うことのない決断」が出来ていたように思います。整備も、粘りに粘る頑張りと仕事に対する高らかな誇りをもっていました。 客室でも、西洋に負けない「和のサービスを示すのだ。」「一旦ことあれば、旅客を守り、身を盾にする覚悟」という雰囲気が満ちていました。sunsun

実際に、11970年代のニューデリー・モスクワ・クアラルンプール事故までは、「世界一の安全性」を誇り、機内のサービスも「着物着用のアピール」がなくとも、充分通用する「きめ細かいサービス」が確立され、東洋の端くれニッポンの翼も世界の一流エアラインに迫る勢いを得ていました。coldsweats01

現場の声を大事にし、ティームワークを決め手とする方針から、「儲け優先」へと踏み切った頃から、潜在的な危険を抱え込むことになりました。think

日本人に対しては、売り手市場であった頃、航空バブルに悪乗りし、「ドルの先物買いで1000億」「ホテル・不動産・HSST・赤字ばかりの子会社増設などで2000億円」トータル3000億円も損失を出し、このことがいまでもボディーブローのように効いています。こうしたでたらめな経営も、昨今の社会保険庁はじめとした、「誰も責任を取らない」ことで延々と40年も続けて、大企業の経営としては、無責任の先駆者となってきました。angry

最近、部長次長課長級を肩たたきで800名も止めさせ、現場の商品である「機内サービス・保安」の担い手である客室乗務員も、54歳以上の管理職は、対象となる者はすべて辞めさせられました。計320名の経験ある者を放り出しました。think

その結果、年間100億円セイブ出来たと自画自賛している風も感じられますが、「もうこの会社は・・・」と見捨てられたという取りかたもできるといわれています。

だいたい、「3000億の放漫経営で失ったもの」をリストラ・現場のコスト削減で肩代わりしようということそのものが、「安全最優先」をどんどん割引してゆくことにもなってゆくという矛盾を抱えてゆくことでもあり、心配をします。

整備は、わざわざ分けていた子会社をひとつにして、そこに丸投げ。外国への外注化の割合も日増しに増えていっています。JALたるものが、本業の空洞化が進んでいます。

広報発表では、「スピードをあげて人員削減をしてゆく」とありますが、一方では「ますます崩壊へのスピードを上げている」という見方もされてしまう懸念もあります。think

「商品」を劣化すれば、ブランドなどいつでも吹っ飛ぶことは、自動車、建設、食品業界の数々の事件がこれを教えています。、

日航機無断滑走、「防氷液」の効果切れ迫り機長らに焦りか
2月18日3時7分配信 読売新聞

 北海道・新千歳空港で16日、羽田行き日本航空502便(ボーイング747-400型機、乗員乗客446人

)が管制官の許可を得ずに離陸滑走したトラブルで、同便の機長らが離陸直前まで、機体に散布した防氷液の効果時間に気を取られていたことが、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会などの調べでわかった。 同空港は当時、視界500メートルの激しい降雪で、事故調では、乗員が防氷液の効果が持続する間に出発しようと考えていたため、管制官から離陸許可を得たと思い込んだ可能性があるとみて調べている。 事故調などによると、502便は、効果が45分から最大1時間20分間持続する防氷液を使用。出発時間は午前9時5分だったが、滑走路の除雪作業が長引き、地上職員が機体に防氷液の散布を始めたのは同9時27分。

空港は当時、降雪が激しく、2本ある滑走路のうち1本が閉鎖されていた。同便が駐機場から出発したのは、防氷液の散布開始からさらに約30分後だった。

 離陸する前に防氷液の効果が切れる恐れがある場合、駐機場に戻って再散布する必要がある。同便では乗員が客室窓から目視したところ、主翼などに着雪などは見当たらず、機長は再散布は必要ないと判断。そのまま誘導路で離陸のための順番待ちをしていた。

 しかし、同便が滑走路進入を許可されたのは、防氷液の散布開始から約1時間後の午前10時30分過ぎ。管制官から「ただちに離陸できるよう準備せよ」として、滑走路内で待機するよう指示されたが、同便はこの交信が離陸許可と判断。「了解」と返信し、そのまま離陸滑走を始めた。

 事故調では、防氷液の効果が切れる時間が迫っていた点を重視。乗員が、早急に離陸したいと焦っていた可能性が高いとみている。 新千歳空港では2005年1月にも、日航機が無許可で離陸滑走するトラブルが発生。原因は、乗員が防氷液の効果時間などに気を取られて出発を焦り、すでに離陸許可を受けたと思い込んだためだった。 

最終更新:2月18日3時7分

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2008.02.17

ここまで落ちたのか、客室乗務員の資質!

~保安要員として、「許せない、職務怠慢」~

エアラインを問わず、客室乗務員の保安乗務としての、「緊張のなさ」「安易な判断」で、機内でのトラブルが続出しています。(那覇空港チャイナエアライン爆発炎上事故では、顕著でした。)

1.まずは、食事搭載用のカートが収納できないものがあるということに気がつくのが遅いこと

2.責任者であるチーフパーサーは、(JALでは現在キャビンスーパーバイザーと呼称変更している。ANAではチーフパーサー)カートの取り下ろしミスを発見した時点で、自らの責任者としてのミスを糊塗するのではなく、直ちに操縦席に報告をしなければならない。滑走前に引き返すことも当然ありえます。タービュランスなどでトイレからカートが離脱飛び出しをしたら大変です。2007年に2台の食事飲料カートを収納できず、手で押さえてランディングしたJAL。猛省があったはずでした。

しかも、昨年11月スカイマーク機で客室乗務員のカート飛び出し防止のストッパーの点検忘れから2台のカートが機内を暴走し、旅客から怪我人を出しました。人事ではないはずなのですが・・・。

こんな背景の中で、当該責任者は「機長に報告もせず、勝手な判断でトイレへ押し込んで、離陸着陸させました。」こんな判断力のかけらも見られない客室乗務員を責任者として平気で乗務させている日本航空の見識を疑いたくなります。

広報では、「衛生上トイレに入れたのは、まずかったが食事は封印されている」とコメントしていると報道されています。「安全上、もっとも大切な部分にはなんら言及せず、衛生問題に元凶がある」と聞こえるコメントとも思えてしまいます。

ピントがぼけていることが自覚されていない点では、この会社にこの客室乗務員ということで、暗い気持ちになりますね。

おりしも、最近、規制会議の「中条潮氏」の10年来の熱望でと巷間つたえられていますが、「客室乗務員の丸ごと委託OK」という航空法の改悪(旅客にとってもエアラインにとっても)が通されたものです。国交省の航空安全基準会議で2時間半の会議の中でほんの短い時間に大した議論もせず、決められてしまいました。現場の状況を伝える者も一切出席もさせず、何も知らないものばかりで、国交省の誘導どおりに決まってゆくのです。

ちなみに、パイロットと客室乗務員を組織する航空連は「主に、全く別会社のもので、チームワークに大いに不安がある、経験・資質の積み重ねなどにも」という趣旨で強い反対を表明していました。

航空局のHPを拝読し、背筋が寒くなる感がいたしました。

もっとも、こうした法改正に「ANAは積極的に対応したいという姿勢」「JALは、検討をしないとなんとも言えない」としています。ここで、少しJALに対しては、救われた気がいたしました。

軽食入りのカート トイレに押し込む 日航機、離陸後そのまま提供 
2月16日15時42分配信 産経新聞

 日航の釜山発成田行き958便ボーイング767(乗客乗員280人)が今月6日、乗客に出す軽食の弁当が入ったカート1台をギャレー(調理室)に収納できず、トイレに押し込んだまま離着陸していたことが16日、分かった。

 離陸後、トイレから出してそのまま乗客に軽食を出して、着陸時に再びトイレに入れたという。客室乗務員が機長に報告したのは成田到着後だった。

 日航では平成17年、ジャカルタ便でカート2台の収納が間に合わず、客室乗務員が手で押さえたまま成田空港に着陸し、国土交通省が厳重注意している。日航と国交省は「安全上問題なかった」としているが、国交省は「離陸前に機長に報告すべきで、コミュニケーションに問題がある」として、日航に調査を指示した。

 また日航は「機内食は封がしてあったとはいえ、配慮が足りなかった。お客さまに申し訳ない」としている。

 日航によると、958便は機体前方の入り口近くに乗客が新聞を取りやすいようにカート2台を並べ上に置いていた。

 滑走路に向かう誘導路走行中に客室乗務員が後方のギャレーに移動させたが収納スペースがいっぱいで、危険防止のため軽食が入ったカートが離陸中に動かないようトイレに押し込んだ。

 釜山で降ろすはずだった前の便のカートを1台降ろし忘れたため収納スペースが足りなくなったという。958便は午後2時半ごろ、釜山を出発、午後4時25分ごろ成田に到着した。

 カートをめぐってはスカイマーク機でも昨年11月、羽田空港に着陸時にカート2台が収納場所から飛び出し、うち1台が通路を走って乗客2人が足を骨折するなどのけがをする事故が起きている。

客室乗務員の全員委託認める 国交省が規制緩和へ 
01/04 21:05更新  産経IZA
 国土交通省は4日、旅客機の一般の客室乗務員に限って認めていた業務委託を見直し、チーフパーサーも含め客室乗務員全員を別会社に業務委託することを認める方針を決めた。利用客の安全確保策を検討し、近く運用指針を改定する。

 燃料費の高騰や競争の激化で航空各社はコスト削減が急務となっており、全面委託が認められれば一層の人件費の圧縮が可能となる。ただ、客室責任者の委託で、社員と同様に利用客の安全を確保できるか不安の声も出そうだ。

 国交省は平成14年6月、客室乗務員の身分について「運航にかかる業務の委託の運用指針」を策定。それまでパイロットら運航乗務員と同じ会社の社員としていた義務付けを変更し、責任者を除いた客室乗務員の業務委託を可能とした。

 しかし、航空会社が一部の委託にメリットを感じず、正社員と同様に教育できる契約社員の採用を進めたため、実際に委託をした航空会社はなかったという。

 客室乗務員の全員委託が可能になれば、航空会社が委託先として新たに設立した別会社で雇用するなど人件費削減を図ることもできる。

 指針の改定に全日空は「全面委託なら繁忙期と閑散期で人員の調整ができ、経費削減効果は大きい」(広報室)と期待を寄せる一方、日本航空は「選択肢が増えるのは望ましいが、導入するかどうかは分からない」(広報部)としている。

 国交省は「航空会社には客室乗務員に対する教育や訓練を義務付けており、委託先の社員にも同様の義務付けをすれば安全上の問題はない」(運航課)としている。

 【客室乗務員】 機内での接客のほか、非常時に乗客の避難を誘導するなどの保安業務を行う。客室には必ず1人以上の責任者を置かねばならず、チーフパーサーなどと呼ばれる。責任者は、機長ら運航乗務員からの指示を一般の客室乗務員に伝え、指揮する。客室乗務員の給与水準の高さが経営を圧迫する要因になっているとして、航空各社は平成6年以降、相次いで契約社員制度を導入。一定期間後に正社員にするとの内容で現在、日本航空で1割弱、全日空で4割近くが契約社員。

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「雪」であればこそ、慎重でなくてはいけないはずが・・・。JAL無許可離陸

~2月16日、雪の札幌千歳空港で~

詳しい報道は以下のとおりですが、「着陸したJAL機を確認できず、管制官の呼びかけを復唱せず、離陸指示と勘違いし、滑走を始めたというもの」です。 私としては、「どうして・・・」と絶句するばかりです。

 「基本動作を遵守しないことから生まれた思い込みの勘違い」は、「雪の中で遅延を避けるために焦る心や、プレッシャー」が遠因にあるのではないでしょうか。

航空局・事故調は、単にトラブル事故のカテゴリーを「イレギュラー」から「重大インシデント」にするという形式だけでなく、同様同種のミスが起きてきた共通点をはっきり明示し、管制体制とコックピットサイドのコミュニケーションの厳しい反省改善をはかるべきなのではないでしょうか。

「国際競争力をつけるためには、という聞きやすいスローガンをかかげて、「安全に至る規制をゆるゆる」にし、エアラインには、「リストラ・リストラ」と圧力を加えているのが、航空の現状です。信頼と利益の源泉である安全への「危機感」が国を挙げて、どうも希薄すぎるような気が致します。

JAL機、無許可で滑走開始 前方2千メートルに着陸機--新千歳空港
 16日午前10時半ごろ、北海道千歳市の新千歳空港B滑走路で、羽田行き日本航空(JAL)502便(ボーイング747-400D型、乗員乗客446人)が、管制官が離陸を許可していないのに離陸のための滑走を始めた。前方の滑走路上には着陸した関西発JAL2503便(MD90型機、同126人)がおり、管制官は502便に離陸中止を指示。502便は離陸を中止した。けが人はなかった。

 同空港では航空自衛隊千歳基地管制隊が管制業務を担当している。日本航空広報部と同基地広報室によると、502便の男性機長(58)は滑走路に進入後、管制官から「間もなく離陸できる見込み。前方に着陸機あり」(英語)と伝えられた。 機長は離陸許可を受けたと誤解し、「了解」(同)と返答。離陸滑走を始めた。管制塔でレーダーを監視していた管制官が502便が滑走を始めたことに気付き、指示役の管制官に伝えた。離陸時の通常速度は時速200~300キロで離陸中止を指示された時は111キロ出ていた。

 離陸を中止した地点から前方の2503便までの距離は約2000メートルだった。当時の新千歳空港は降雪の影響で視界が500メートルほどしかなく、日本航空広報部は「そのまま滑走していれば、衝突した可能性もあった」と話している。この機長は総飛行時間1万2311時間のベテラン。 2本ある滑走路のうち、A滑走路は除雪のため閉鎖されていた。502便は天候不良のため、この後欠航となった。

 国土交通省は今回のトラブルを事故につながる恐れのある「重大インシデント」に該当するとして16日夜、航空・鉄道事故調査委員会の調査官3人を新千歳空港に派遣。現地入りした調査官は同日深夜までJALの機長らから事情を聴いた。17日は午後1時から管制塔に調査に入る予定。【久野華代、水戸健一】

 ◇日本航空広報部の話

 このような事態はあってはならないことで、心よりおわびします。今後、再発防止策を講じ、最大の使命である安全運航の堅持に取り組みます。

毎日新聞 2008年2月17日 東京朝刊

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2008.02.11

中国国際航空機で乱気流事故!日本人女性重傷

~「機内サービスと厳しい着席指示」のはざまで起きやすい~

現在の報道では、ベルトサイン点灯中であったか、否か、と言う点が不明ですので詳しいコメントはできませんが、後を絶たない「タービュランスによる事故」です。シートベルトサインの点灯中でなくとも、着席時は、軽くでもベルトを着用、点灯中は、「トイレなども出来るだけ我慢する」などの旅客の自主防衛の意識も高めてゆくことが必要となってきています。

Photo

乱気流に巻き込まれた中国国際航空機=10日午後10時46分

中国国際航空機、乱気流に巻き込まれる…女性客1人けが
2月10日22時33分配信 産経新聞

乱気流に巻き込まれた中国国際航空機=10日午後10時46分、関西国際空港(撮影・桐山弘太)

 10日午後6時50分ごろ、北京発関西空港行きの中国国際航空161便が、飛行中に乱気流に巻き込まれた。同便はそのまま飛行を続け、約1時間後、同空港に到着した。
 泉佐野消防本部によると、日本国籍の女性客(48)が腹や腰などを強打しており、歩行できない状態だったことから、大阪府泉佐野市内の病院に搬送した。
 大阪府警関西空港署が、事故の原因をくわしく調べている。

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2008.02.05

空港会社への「外資制限でもめているけれど・・・

~「安全と危機管理」と国交省~

オーストラリアのファンドが、羽田空港の株式を19%取得したと言う動きがあったということで、国交省は危機感を募らせ、空港会社(上場めざす成田・関空など)への外資規制を法案としようとしています。

本当に「日本の民間航空の安全」を願っているなら、安全運航のマザーポートとも言える空港は、大切です。運営離着陸に当たっての「航行援助施設などを有するだけでなく、テロ対策はじめセキュリティー上の危機管理、SARS・鳥インフルなどの防疫体制、密出入国チェック、麻薬などの持ち込み・密貿易のGateWayでもあるからです。

こうした点で、「もうけ優先」になりがちな拠点ではない、とするなら「外資規制も納得」できます。

しかし、どうも矛盾していることがあります。国交省は、同時期に「客室乗務員は、責任者を含めすべて委託会社からの派遣でも良い」と規制を緩めようとしています。去年の「沖縄那覇空港で炎上爆発したチャイナエアラインの事故」をみても、「パイロットの慎重な安全最優先の判断・客室乗務員のあうんの呼吸による乗客脱出誘導」がいかに大事かを生々しい映像で伝えられました。パイロットのもう少し早い航空機停止の判断、乗客をコントロールしての客室乗務員ができれば、あんな「大惨事寸前」の事態はまぬがれていた、のではないかというのが航空界の一般的な感想です。

ヨーロッパでは、「客室乗務員のライセンス制」もすすんでいます。安全の訓練と機内での危機管理成熟度がなければ、本来勤まらない職種なのです。

安全はさておいて、エアラインのコスト削減ばかりを後押しするようなこんな「甘い(乗客から見れば)改正案を通している一方での「外資規制」ですから、「安全確保」というのは建前で、本当は「航空への天下りポスト確保に狙いがあるのではないか、と疑われています。運賃にしても「5年連続で正規運賃の値上げを認め、出まわる格安チケットにはなんの規制もできません。政治がやるべきことは、「良質な安全とサービスを提供するエアライン」が成り立っていくような法規制をし、これを擁護することが「民間航空の政策」なのではないでしょうか。

また、金融庁は、大臣が「折角福田総理が外資の日本投資を呼びかけてきたのにこれはなんだ」と思われてしまうと発言しています。

話があれこれと蛇行いたしましたが、「乗客から見えない安全」を国としてどうやって守るか、と言うのが担当の役所のはずなのですが、「猛毒中国餃子事件」の厚生労働省の対応とも一直線上の体質でもあり、やがて「スポット」が当たらざるを得ないことと思います。

国の政治や外交が「世界の物笑いのたね」になっているのを自覚も出来ず、こうした発言を堂々と許す今の日本は、日本の航空界は、厳しい場面に立たされてゆくことになるでしょう。

<空港整備法改正案>外資規制に反対の声…先行きに不透明感
1月31日20時41分配信 毎日新聞

 国土交通省が空港会社への外資規制導入などを目指す空港整備法改正案の行方が混とんとしてきた。31日に開かれた自民党の国土交通部会と航空対策特別委員会が法案の了承を先送りしたほか、金融庁が同日までに、外資規制部分の削除を求める意見を国交省に提出した。国交省が目指していた5日の閣議決定は困難となるなど、法案の先行きは不透明感が増している。

 改正案は、空港会社などの株式について、外資の保有割合を議決権ベースで3分の1未満に抑え、将来上場を予定する成田国際空港や関西国際空港など、基幹空港の経営権は民族系が保有し、外資に渡さないようにする。羽田空港ターミナルビルを運営する日本空港ビルデングも対象。しかし、政府内では対日投資を促進する国の姿勢に逆行する動きとの慎重論が根強い。

 31日の部会でも、塩崎恭久元官房長官や世耕弘成参院議員など安倍政権時代の官邸メンバーから「外資だけが悪いことをするわけではない」「空港会社の上場を決めた国交省の判断が問題」など強い反対論が出て改めて議論することになった。

 国交省は法改正に伴い東京国際(羽田)、大阪国際(伊丹)両空港の名称から「国際」を外す予定だったが、一連の議論の中で方針を撤回した。【辻本貴洋】 

次回は、「チームワークも大事だが、そんなことよりコストカット」という航空関連法の規制緩和です。「客室乗務員は、まるごと委託会社から派遣されることでよい」となります。エアラインの自殺行為にならなければ・・・。と危惧します。

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2008.01.21

エンジン不調だったBA機

~バードストライクか、トリプル7のエンジントラブルか~

英国事故調の中間報告によれば、事故原因は、約180メーター上空での「エンジン異変」までは突き止めた、模様で、これからが注目されるところです。

B-777の機体・エンジン特有のトラブルか、バードストライクなどのやむを得ぬ外的要因か、あるいは、パイロットによる重大なエラーなのか、きっちりとした解明が待たれるところです。

英空港での着陸失敗、直前にエンジン不調…事故調報告
          1月19日22時22分配信 読売新聞

 【ロンドン支局】ロンドンのヒースロー空港で17日に発生したブリティッシュ・エアウェイズ機の着陸失敗事故について、英航空事故調査当局は18日、着陸直前にエンジン不調が発生したことが原因とする初期調査報告を明らかにした。

 報告によると、同機は滑走路の手前2マイル(約3・2キロ・メートル)、高度600フィート(約180メートル)の地点で、自動操縦装置による推力増加の指示や操縦士の手動操作に対し、エンジンが反応しなくなり、滑走路外の芝生に着地したという。 

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2008.01.19

BA機ヒースローでクラッシュ!

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~トリプルセブンが?原因は、「バードストライク」とも・・。~

1月17日午後0時40分(日本時間17日21時40分9ごろ、ブリティッシュ エアウェーズ(BA)のボーイング777型機が、ロンドンヒースロー空港着陸時に、ランウェー手前の芝生にタッチダウンし、クラッシュしました。左右の主翼付け根部分の損傷、メインギア6輪×2の12輪は、衝撃で散乱しものの、着地点が柔らかな地面であったことが幸いし、出火は免れたようです。負傷者18人はいずれも軽症、犠牲者を出すことは免れたようです。

目撃者からの情報もあり、英「テレグラフ」社や「BBC」放送は「バードストライク」の可能性を示唆しています。目撃者の言では「地上120メーターほどのところで、機は突然滑空状態になって下がっていった。」というものもあります。

仮に、バードストライクであった場合でも、このトリプル7機は双発エンジンですから、片側がアウト(エンジン停止)となっても、充分正常な着陸ができますが、2発ともアウトになった場合、ハイドロ(油圧装置)で動く補助翼装置が動かなくなり、着陸は、かろうじて電気で動く「水平尾翼・昇降舵」の操作のみで機体を操らねばならなくなりますから大変です。

事故調査を待つしかありませんが、現在時点での推論は、こういう点にありました。

~バードストライクが原因なら・・・。~

日本では、2006年に1233件ものバードストライク事件(エンジンへの鳥の吸い込み)が報告されています。雀やツバメ程度の小鳥の場合は、エンジンに大きなダメッジを与えるまでには至りませんが、がん(ワイルド グース)や鴨。カモメなどの大型の水鳥になると、エンジンのブレード破壊んつながり、エンジン停止を余儀なくされることになり、危険な事態も生まれます。「遠いロンドンのこと」とは言っていられない面もでてきます。

~私も、「バードストライク」を体験・・・。~

私は、現役乗務中に数回体験しましたが、もっとも大きかったのは、バンコック・ドンムアン空港離陸時のものでした。機体は、DC-10.深夜に東京へ向かう便でした。ランウェーを離陸し、上昇中に突然機首からみて左のエンジンから「ドン!」という爆発音らしきものが聞こえました。上昇中ながらキャップテンにインターフォーンで連絡。「すぐコックピットに来てくれ」との応答でした。事態は1番エンジンに「バードストライク。エンジン停止」でした。

キャプテンは、アナウンスで冷静に事態を乗客に伝えました。「パニックが起きないよう、後は、チーフにまかせる」という進行でした。

乗客には、「これから3~40分かけて、燃料を排出し機体を軽くします。その後、空港に戻ります。この機は、あと二発のエンジンがあり、こうした事態のためには、パイロットはよく訓練されておりますので、何の心配もありません。」とアナウンスと客室乗務員全員の奮闘で、理解を得ることに成功しました。パニックなどゼロでした。

そして首尾よく「バンコック空港」に着陸いたしました。

以下は、1月18日のTV朝日「報道ステーション」でコメントした抜粋です。

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2008.01.13

日本の防疫体制に不安!鳥インフル

~鳥インフルエンザ、人から人に感染。日本はどう防ぐか~

かつて、日本国法務大臣が「アルカイダの友達が友達だ」などと発言したことでもわかるように、日本のテロ対策は、全般にわたって諸外国、特に欧米からみると、誠に甘い、と言われています。

アメリカやアメリカの中東政策に連携した、オーストラリアは、国民旅行者が明らかに狙われ、バリ島で爆弾攻撃で狙われました。イギリスでもl、地下鉄爆破や、バス爆破などに見舞われています。

日本は、と言えば、アメリカと同一行動で足並みをそろえている割には、「まさか狙われまい」という安心感が支配しているような気がいたします。

そもそも、日本においては、多くの旅行者は、「海上」ではなく「航空」で運ばれている現状のなか、「航空保安庁」のような専門統括組織があっても不思議出ないはずなのですが、現実の警備体制は、出入国管理(法務省)税関(財務省)警備(警察庁・都道府県警察)公安調査庁(反社会的団体・行為への取り締まり)空港セキュリティー(空港会社と民間警備会社・各航空会社)と「縦割り」の守備陣形となっており、相互の機能的な連携が充分とはいえないといわれています。

さて、「SARS」に続く、「鳥インフルエンザ」に対しても、「タミフルの備蓄」などはかつてより完備されるようになったものの、いざ、日本上陸された場合、直ちにどんな措置が取れるのか、と言う点に焦点をあててみますと、はなはだ不安なところがあります。

「H5N1」という鳥インフルエンザウィルスは、毒性が高く、高熱・呼吸困難で死にいたるケースが想定されています。

パンデミック(pandemic)状態、つまり、爆発的に全国的に感染が拡大する、と言う事態です。日本の現行制度では、こうした事態にも、「地方自治体」や個々の「病院」の責任のもとで対処されることになっています。残念ながら、国家が責任を持って備え、直ちに対応する体制ではありません。

ちなみに、アメリカは、事態を「国家の責任」とし、国民3億人分のワクチンを用意し、どのように接種してゆくか、まで既に計画されています。日本がアジアに位置している、島国で四方八方から往来が集中している、ことなどを考えると、「防疫」と「事態発生後の対応策」などを比較してみると、考え込んでしまいます。

さて、防疫の最前線と言えば、空港です。空港でのチェック体制といいますと、「高熱」の旅客が通過すると温度センサーでわかると言う機材が導入された、というのは喜ばしいことですが、基本的なチェックというのは、「機内で旅客に異常な状態にあったかどうか」とエアライン頼みの面が多く、検疫官は、せいぜいそれとなく多くの旅客の様子を遠目から伺う、ビラを配布する、程度です。

検疫官の量的拡大や、検疫セクションの機能的科学的強化を迫られているのではないかと強く感じます。下記のニュースにも報道されていますように、「60万人」の被害もあり得るという事態を招かぬことを祈るばかりです。

    鳥インフルエンザ、日本で64万人死亡も 中国で人に感染

        1月11日21時35分配信 産経新聞

 中国で10日、鳥インフルエンザの人から人への感染例が初めて確認されたが、このウイルスが人に移りやすく突然変異して「新型インフルエンザ」として上陸したら、どうなるのか。日本では64万人が死亡し、経済的にも損害が約20兆円に達すると未曾有の被害が予想されている。一部企業は極秘で対策を進めているが、欧米系企業と比べ、大半はまだ危機管理の意識が薄いようだ。(津川綾子)
 鳥インフルエンザが人から人に感染し死者が出たのは、これまで東南アジアを中心に数例報じられていた。中国衛生省が10日、南京市の男性が、鳥インフルエンザ(H5N1)に感染・死亡した息子から感染したと発表。専門家の間では鳥インフルエンザが人に感染しやすく変異した「新型」の発生が時間の問題といわれており、日本上陸も現実味を帯びてきている。
 実は、日本でも最悪のケースを想定して、シミュレーションがされている。
 《1人のビジネスマン(東京在住)が海外出張先で鳥インフルエンザの「新型」に感染して帰国。だが、感染に気づかず電車で会社に通勤した場合、帰国から10日目には首都圏で22万4000人が感染。京阪神にも飛び火し、2万4000人が感染する》
 国立感染症研究所はこのように、人に免疫がない「新型」がまたたく間に全国へと広がると予測。厚生労働省は国内で1人の発生から2500万人が感染して病院に行き、約2カ月で64万人が死亡すると推計している。
 外資系企業では、従業員対策として、「住友スリーエム」(東京)が社員約3000人に1人10枚ずつ、高機能なマスクを備蓄、ファイザー(東京)は社内マニュアルで従業員の20%が感染して欠勤した部署は部員全員を休ませるなどの方針を定めるなど、具体的に進めているところが多い。
 これに対し、日本企業は、顧客への対策を含めて、「予期せぬインフルエンザには何もしていない」(在阪の電鉄会社)、「地震などの災害マニュアルでなんとかする」(全国展開の大手スーパー)と危機意識に乏しい例が目立つ。
 「大幸薬品」(大阪)が平成19年11月、社内マニュアルを作成、「新型」の感染者が出たら、来訪者の立ち入り場所を制限し、来客用のマスクを用意するなどを規定しているが、こうしたケースはまだ少数派といえる。
 このように各企業などで対策が不十分だと、経済的に麻痺(まひ)し、「大流行すれば消費が落ち込むなどして約20兆円の損失が生じる」(第一生命経済研究所)という試算もある。
 「流行すれば社員がかかるだけでなく、流通や原料の調達も難しくなる。業務を続け、経済活動を滞らせないためにも、企業は前もって対策を立てることが重要」と国立感染症研究所・感染症情報センター第一室長の谷口清州さんは呼びかけている。

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羽田空港の20%は、外国ファンドの手に

~上場を目指す成田・関西・中部空港に外資規制~

成田空港会社などに外資規制 外国人持ち株比率3分の1未満 国交省方針

1月9日8時28分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 国土交通省は8日、株式上場を予定している成田国際空港会社など国際拠点空港の管理運営会社について、外国人持ち株比率を3分の1未満に制限する外資規制を導入する方針を固めた。すでに上場している羽田空港の旅客ターミナルビルを運営する日本空港ビルデングなども対象とする。空港運営の公共性を確保すると同時に国の安全保障の観点から、空港インフラに対する外国企業の経営関与や買収を防ぐのが狙い。

 18日に召集される通常国会に、現行の空港整備法を改称した空港法案を提出する。

 外資規制の対象は、2009年をめどに株式上場を目指す成田国際空港のほか、将来的に上場の可能性がある関西国際空港、中部国際空港の3社。

 さらに豪州の投資ファンドが約20%を保有していることが判明した東証1部上場の日本空港ビルデングなど、空港運営に不可欠な旅客・貨物ターミナル会社などの事業者も対象に加えることにした。

 海外では空港会社が外国企業や投資ファンドに買収されるケースが出ており、国交省では「拠点空港を無防備な状態のままにできない」(航空局)と判断した。

 出資比率は3分の1未満とし、経営の重要事項に対する拒否権を発動できないようにする。具体的な規制方法については現在詰めているが、航空法に基づく航空会社への規制と同様に、3分の1超の外国人株主には議決権を付与しないことや名義書き換えを拒否することなどを検討している。

 国交省では、特定の株主の大量保有や重要資産の売却などを拒否できる「黄金株」を国が保有することも検討してきたが、「上場後に外資以外の投資家が保有を敬遠し、株式の流動性が低下する恐れがある」(同)として見送った。

 さらに空港法への改称に合わせ、空港整備から管理・運営に主眼を移す。具体的には全国82カ所の空港を国内での役割に応じて「第1種」「第2種A、B」「第3種」の4種類に分けていた空港の種別を管理主体別の3種類に再分類。成田、関空、中部の3国際空港を「法人管理」、羽田、大阪国際(伊丹)、福岡など21空港を「国管理」、このほかの58空港を「地方自治体管理」とする。

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2008.01.08

「プレミアム エコノミー」について

~エアライン各社のエコノミー改善の努力を~

2007年.12月1日よりJALにおいても「プレミアム エコノミー」という座席が設置され運航がはじまりました

値段はと言えば、EY正規運賃61万4000円プレミアム24万7000円EY正規割引運賃10万円以下と言う実態になります。

私の考え方から言えば、ファーストやビジネスは、実収単価が高い、イールドが高いということで各エアラインとも競い合って「座席の広さ」「食事」「エンターテインメント」に力を入れていますが、航空利用者としての顧客のベーシックな入り口であるEYクラスの座席は、40~50年前の形態のままなのです。この広さを誰が決めたのか、どうしてどのエアラインも追随しているのか、が理解できないところでもあります。

機材の航続距離は、技術革新によって伸びるばかりで、フライトタイムも10時間以上という風に変化してきました。エコノミークラス症候群の発症もここから来ています。

現在のところ、10万円以上違う中間的な新たなクラスを設置する流れしか見えませんが、本来、エコノミー運賃はそのままで「シートピッチ・やシートの横幅」改善に大胆に取り組むべきでしょう。

「それでは、儲からない」と言う声には、「ダンピング横行」のシステムを廃止させることが値崩れを防ぎ、エアラインのエコノミー売り上げを確実にすることで解決することはできます。勿論これは、政治の力を伴うものですが・・・。どこかがやるまで・・の状態を早く脱皮して欲しいものです。

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  JALのプレミアムエコノミー ライバルANAに5年遅れた理由
              2007/10/23               J-CAST ニュース   
  日本航空(JAL)が、国際線でビジネスクラスとエコノミークラスの中間にあたるサービス「プレミアムエコノミー」を開始する。同社がプレミアム戦略の一環として、「ビジネス需要が伸びているため」導入するのだというが、ライバルの全日空はこの制度をすでに5年前に導入しているのだ。この経緯について聞いてみると、JALは「色々と議論があったようで…」と、どうも歯切れが悪い。

成田-ロンドン線だと24万7,000円から

JALは国際線で12月から「プレミアムエコノミー」を開始する   JALは2007年10月10日、「プレミアムエコノミー」のサービスの内容を発表した。最も特徴的なのが、通常のエコノミークラスに比べて座席がグレードアップしたこと。座席の間隔(シートピッチ)や横幅が広がったほか、テーブルが大型化し、各座席に専用モニターやPC用の電源も備えた。空港では、専用カウンターを設け、ラウンジも利用出来るようにもなる。

   12月1日の成田-ロンドン線を皮切りに、08年前半には成田-パリ線など順次導入していく。運賃は、成田-ロンドン線で言えば、エコノミークラスが利用できる正規割引運賃は往復で10万円を切るのに対して、「プレミアムエコノミー」を利用できる運賃「エコノミーセイバープレミアム」は24万7,000円からの価格設定なので、かなり庶民感覚からは「プレミアム」な印象だ。もっとも、エコノミークラスの正規運賃だと、61万4,000円からなので、こちらからすれば「割安」ということにもなる。

   JALの広報部によると、

「路線によって差はあるものの、ビジネス需要は伸びてきています」
と、ビジネスクラス稼働率が好調だとした上で、

「同じエコノミークラスでも、(単価の低い)団体客が減って(単価の高い)個人客が増えているという傾向があって、単価が違うのであれば、違うサービスを提供するのが良いのでは、ということです」
と「プレミアム戦略」の経緯を説明している。

ヴァージンやユナイテッドもすでに導入
   もっとも、この「プレミアムエコノミー」、ライバルの全日空は、実に5年以上前の02年4月に導入しているのだ。これ以外にも、日本国内に乗り入れている外国航空会社では、ヴァージン・アトランティック航空やユナイテッド航空など、少なくとも4社が同様の制度を採用しており、「他者の後塵を拝した」との声も挙がりそうだ。

   このあたりの事情についてJALに聞いてみると、

「(仮に「プレミアムエコノミー」を導入したりすると)提供できる座席数が減って収入が減るのでは、という話など、さまざまな議論があったと聞いています。座席数を確保できるのであれば、サービスを重視する上では、(「プレミアムエコノミー」を導入して)商品の価値を高めていく、という方向になりました」
と、紆余曲折があったことを示唆しつつ、何とも歯切れの悪い答えが返ってきた。

   なお、07年2月に発表した07~10年度の「再生中期プラン」によると、この「プレミアムエコノミー」の導入で40億円の営業利益改善効果を見込んでいる。

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2008.01.07

「CM」が気にかかる・・・。

~新年そうそうですが、ちょっと気にかかります~

2008年を迎えて、ひとときの平和な気持ちを味わっておりましたが、ちょっと「気にかかる」テレビCMがありました。  JALのものです。

数年来、利用者から「安全」についてやや敬遠をされてきている中で、新年からあらためて「安全・安心」を謳うところに、目的はあったのだろうと推察致しますが、私のように「JALと共に日本の空の発展の歴史を歩んできた」者にとっては、皆様が何も感じないところまで、神経が触れてしまいます。

さて、気になるところと言いますと・・・・・・。

~「CM」とは・・・。~

まずは、パイロット1期生の小田泰治氏を登場させています。

小田氏は初代日本人パイロットとして、DC-4型機以降の機長を歴任。と紹介されています。敢えて、初代日本人として紹介されているのは、それなりに意味があります。

かつては、日本航空といっても、パイロット特に機長は、今で言うパイロット派遣会社(IASCO)から派遣された外国人が多く、次に自衛隊出身のパイロット、そして航空大学校出身者、自社養成、という模様でありました。日本の翼としては、一日も早く日本人パイロットによる運航を、と言うのが社としての悲願でもあった訳です。そういう意味では、初代日本人機長ということは、ナショナルフラッグの「誇り」も感じられます。

ちなみに外国人機長の年収は、当時日本人機長のそれより倍かそれ以上あったと聞いています。機長・パイロットの日の丸化という精神的な面と「コスト」面でも、急がれていたことが良く理解できます。しかしながら、昨今の「コスト削減の大合唱」のなかで、「外国人化」へと逆流を起こしていますので、なんとも皮肉な話です。

ちなみに、客室乗務員は?といいますと、ご存知のように、西洋では、ロンドン/フランクフルトをベースとしてEU諸国の方々、南米からはサンパウロベースのブラジリアン、東洋は、香港・シンガポール・バンコック・台北・上海をベースとした面々で機内サービスは繰り広げられています。精神的には「日本の翼と言うよりグローバルを」というお話もありますが、「コスト」の問題というのが衆目の一致するところです。

さて、画面の中で小田氏は・・・。

小田氏

「全世界のサークルのルートにも最初にタッチしたし、特にソビエト経由でヨーロッパ行くコースを直接私は、切り開いて、お客さんには安心して飛べるということが出来たんではないかとおもうんですね」

そして、テロップ  「私たちのすべてを、お客様の安心のために。」

続いて現役キャプテンらしき方が「お客様のやすらぎと楽しみ、こういったものを乗せて空を飛ぶ、これが我々の誇りでもあり喜びでもあります」と続きます。

テロップ  「品質で飛ぶ。」

そして、パイロット・客室乗務員・グラウンドスタッフ・整備スタッフという運航の現場が勢ぞろい、という映像です。

~モスクワ線は、パイロット個人が切り開いたのか~

私は、それまでの日ソ共同運航(ソ連のイリューシャンだったと思います。)からようやくソ連政府からの上空飛行を許されて、JALの自主運航開始の運びとなったのでした。1970年頃、ジャンボ機が華やかに太平洋路線に就航したちょうど同じ時期でした。

モスクワ線開始以来私は、1970年頃から約3年間、このモスクワ線に張り付いて乗務をしてきた経験があります。当時のロシア(ソビエト)は、物資も少なく、輸送も時間がかかる、ホテル事情もインツーリストという国家そのものが代理店の役割を果たしていて、何事も許可がなければ身動きひとつ出来ない窮屈な有様でした。空港は、つい最近新しい空港への移転が決まったようですが、名うての「シェレメチボ空港」でした。私たちが宿泊指定されていたのは、「ホテルウクライナ」で歴史あるホテルですが、チェックインに1~2時間待たされ、エレベーターのない最上階まで、階段で重い荷物を運ばねばならない、ホテル内のレストランに行ってもオーダーしてから1~2時間待たされるのは当たり前、という風景でした。およそ、サービスという概念がない国でしたから、支店・空港支店の開設、機内搭載品の調達などは、地上職員が大変な苦労をされたものと聞き及びます。

ついでに、この路線(東京/モスクワ)は、サンフランシスコと並んで直行した場合9時間を越えるフライトタイムになると言うことで、乗員(パイロット)乗務員(CA)の交代要員を乗せる(途中で休憩を取るために)ことで問題になった路線でもありました。簡単に言えば、パイロットは、通常3名のところを1~2名増やし、2~3分割で休むという条件でした。休む場所は、当時の機材は、DC-8-62でしたが、ファーストクラス旅客用のラウンジをベッドにし、離陸と同時に休む、という形でした。一方の客室乗務員は、台所内のごみの山の横に毛布を敷いて腰を下ろすだけ、という「人間とその他」の扱いでした。モスクワ事故後にこうした問題も提起されて、その後に客室乗務員の休憩するスペースも確保されるようになりました。乗務員だけではなく、搭乗している旅客も、今のようにエンターテインメントがあるわけではなく、しかも狭いDCー8の機内ですから、長時間閉塞での精神状況は、今では考えられないくらいのものがありました。

~モスクワ線開設は、発展の歴史ではありますが・・。~

アラスカ経由の北極廻り線よりも数時間利便性が増したことと引き換えに、人間の尊厳とは何かを自問自答させられる毎フライトでした。DC-8型という機材を使用し、開設されたこの新路線での思い出では、「安らぎと安心」に結びつくものが、どこにあるのかあまり感じ取れません。

開設当時のパイロットは、安全運航のために多大な力を注がれたことはいうまでもありませんが、ここでいう「パイロット個人が切り開いた」と主張されるのは、異なる次元で、悪くすれば単なる自慢話に聞こえてしまうのではないかと危惧します。

大きな問題は、これを会社としてCM化するなど、「古き体質」がなにも変わっていないのではないかという疑問が起きることです。「1社しかない国際線独占」のよき時代を「誇示」し、懐かしむものではありますが、「安心」の基盤というには、少々無理があるのではないでしょうか。

それまでヨーロッパに行くには、アラスカのアンカレッジを経由し、北極のまじかを飛ぶ「北回り欧州線」か香港・バンコック・ニューデリー・テヘラン・カラチ・カイロ・バーレーン・アブダビ・アテネなどアジア中東を経由してゆく、南回り欧州線しかなかったところを、「大圏コース」というシベリア上空を まっすぐにヨーロッパに飛ぶと言う点では、画期的な路線新設であったことは、間違いありません。 この大圏コースは、現在のヨーロッパ直行便のルートでもある訳ですから、大きな分岐点であったことは間違いありません。          「 

しかしながら、もともと航空路の開設は、国家間で始まり、たまたま「ナショナルフラッグキャリアとしては、JALしか存在しない」という条件の中で開かれたものです。政治・外交あっての開設だったのではないでしょうか。エアラインだけで相手が出来る国家体制であったとは到底思えません。

次に、問題なのは、「路線を開設したから、お客に安心して飛んでもらえるようになった」といっていることです。意味不明です。それまでの「北廻り・南廻りのヨーロッパ線は、安心して飛んでもらえる路線ではなかった」という論旨になります。

更に、申せば、モスクワ線では、1973年11月29日、シェレメチボ空港において、離陸後に失速、墜落炎上、63名死亡という事故まで起こしました。この年、日航は6月には「ニューデリー」でも大事故を起こしていました。多くの乗客の皆様と共に、私の先輩・同僚も運命を共に致しました。あのとき、モスクワ線を乗務していた私が当該機に乗っていてもなんら不思議がなかったわけですから、リアルです。現在私が利用者の立場に立った「評論」を志す、原点と言っても過言ではありません。

申し上げるのも、億劫なのですが、具体性のない、抽象的なこういう宣伝は、いやというほど見てまいりました。

~ポイントを外さず、「安全・安心」を誇示してもらいたい、という気持ち~

「安心・安全」とは、具体的に「整備をシンガポールや中国に外注化して不具合を起こした」問題にはどういう安心をくれるのか、エンジンやら機体やらコンピューターを含むシステム整備をすべて子会社に委託することが、これまでよりどう安全安心なのか、「監視ファイル」などチームワークを断裂する問題は、どんな処断をするのか、したのか、などに堂々たる答を出して世に問う姿勢が大事なのではないのでしょうか。

リストラリストラと騒いで、部長・次長・課長級から早期退職者を募ったところ、募集よりも数百人多くのものが辞めることを希望したという実態だそうです。見限るものまで出てきたとは、言えませんが、これで今のJALは大丈夫なのだろうか、と心配になることもあります。

甘いささやきだけの「イメージ広告」は、トラブルが発生した時には逆の作用をもたらすのではないでしょうか。

現場とは遠く離れたセクションとはいえ、「CM」ひとつ、慎重にチェックすることができないのか、とも感じてしまいます。

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2008.01.06

2008年を迎えて、「謹賀新年」です。  

~しのびよる「偽り」の空、

       エアラインだけではなく日本の国の課題です~

皆様、明けましておめでとうございます。

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  本年も、「安全で快適な日本の空」を目指すうえで、微力ではありますが、必要なコメント・提言に力を注いで行きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

さて、年頭より「世界の情勢と日本」という点を大きく見ますと、「イラク問題」「オイルの高騰」「アメリカの経済不況が表面化」「地球温暖化CO2対策問題」などが日本の政治・経済にも直結して影響を与えてゆく状況です。かつては、GMPで名をはせてきた日本も、BRICsの台頭で国としてすべての問題にどう対処するのか、という舞台に立たされてくるようになってきています。同時に、世界における「日本の外交」は、誇らしい側面を失いつつあるようにも感じられます。

航空では、アメリカ・EUをはじめとして多くの国が、日本に「オープンスカイ」と言う名の自由化を迫ってきています。航空協定とは、国家間の契約ですから、日本の国益を損なわない(日本のエアラインが立ち行かないと言うことのないように、利用者にリスクを転化しないように)という点で、慎重にかつフェアーな決断と立場が必要です。

また、アジアでは、ナショナルフラッグキャリアであったエアラインを中心に新たな「格安航空」が増え続けています。ブランドを隠し、「安ければよい」というエアラインつくりです。経済発展の真っ只中にあるアジア諸国では、「安さ」の魅力で好評を博しています。しかし、一方では、「ずさんさ」ゆえと思われる事故も後を絶ちません。事故調査もうやむやになっているのも現実としてあります。また、オセアニアでは、ヨーロッパのように「安くて安全」という評判の「格安航空」も出現してきています。

「こうしたパワーとどのように対決してゆくのか」などの方針も国家的に必要であることは説明の必要もないと思われます。

アメリカの航空規制緩和から始まった「空の乱れ」は、日本の中でも「安全の規制緩和」と言う点で、色濃く表われ、「整備の海外発注」「整備部門全体を委託・外注」「CAの契約社員化」「パイロットの外国人化」などなどと「見えない安全の品質」をダウンさせることにもつながってきています。

「エアラインが赤字」となると「一億総株主」のようにして、「儲けなければいけない」とせきたてていますが、実は「人員を減らしたり、整備を手薄にしたり、機内食の質を下げたり」ということを強要している場面ともなっているのが、偽らない事実です。

「時代が時代だから・・・」という言葉を良く耳にします。

私は、どんな時代が変わろうとも「航空は、徹底的に安全」でなければならないと思います。「船場吉兆」「白い恋人」の偽装も「誇り」と言う点、食の安全と言う点から大きな問題がありますが、多くの人命が瞬間的に失われたということまでには至ってはいません。

「空の交通」の場合、事故あれば「一瞬で多大な人命が失われる」側面が特徴です。

「安全で快適な日本の空」へ向けて、2008年も注視し、問題提起を行ってゆきたいと思います。

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2007.12.27

胸のすく、山崎養世さんの「人民は弱し、されど官吏は強し」

~誰もが、政府の対応に「いらいら」しました~

薬害肝炎に対しての政府の対応には、国民こぞって「深いため息」と「やり場のない怒り」を感じたものと思います。こうした中で、山崎さん のコラムは、事実とヒストリイーに光をあてて、「問題の核心」を突き、「誰が責任をもってことにあたるべきか」を示してくれています。鋭い中にぬくもりも体感できる指摘と感じました。 ご紹介いたします。

人民は弱し、されど官吏は強し!
━━━━━━━━━━━━━━━
《政府は薬害肝炎の立派な加害者だ》
 清水寺のお坊様が書いた今年の世相を現す字は「偽」でした。確かに、偽に明け偽に暮れた一年だったですね。伝統ある銘菓だと信じて賞味期限が過ぎ たお菓子を買った人はだまされました。消費者をバカにした話でした。
 ただ、賞味期限が切れた赤福や白い恋人を食べて命を落とした人は、報告さ れていません。

 一方で、年末にかけて、お菓子とは比較にならない巨大で危険な偽が、改め て注目されました。薬害肝炎のために、多くの国民が命を落とし、責任者で ある企業や国は知らんぷりをし、20年も救済も謝罪もろくに行われず、健康 は蝕まれ、生活も人生も破壊されてきたのです。

 しかも、政府は、今も国民への責任を放棄しています。担当大臣が被害者に 顔を合わせないように会見場から逃げたことを批判されてから、泥縄のように 救済策というものを出してきました。被害者の方々は救われません。

《被害者が弱るのを待っているかのような政府の対応》
 国民の命を守ることは、国家のもっとも基本的な役割です。でも、薬害エイズ や北朝鮮の拉致事件のように、国民に被害が発生していることがわかっていながら、勇気ある被害者やジャーナリストや政治家の告発があるまで、政府が 被害を放置することが続きました。

 しかも、薬害の場合は、政府は被害を最小限にするどころか、問題を隠して 被害を拡大し、責任を回避し、訴訟を通じて被害者と敵対し、ただでさえ苦し い被害者を追い詰めてきました。政府が立派な加害者です。

 確かに、薬は本来リスクを伴います。副作用や思わぬ危険は、薬の宿命かも しれません。薬が救うはずの命と薬害とのバランスもあるでしょう。

 しかし、薬害が発生したときに、薬を認可した政府は、早く薬害の事実を知らせてそれ以上の被害を防ぎ、それまでの被害者を救済するのがつとめです。

 ところが、今の政府は、事実を隠し、被害者を放置し、被害者が多大な負担を強いられる裁判のプロセスまで、何十年でも責任を取らないのです。訴訟する被害者は個人です。訴訟を受ける国は、税金を使っていくらでも控訴し上告します。

 まるで被害者が弱るのを待っているかのようです。まさに「人民は弱し、されど官吏は強し」です。これでは、我々のうち誰が将来の薬害と政府の被害者になるかわかりません。

《問題の根底にあるものは薬害エイズと同じ》
 国が製造承認し、健康保険の適用を受け、全国で投与された血液製剤フィブリノゲンが薬害肝炎の原因です。C型肝炎ウイルスに汚染されたフィブリノゲンが29万人もの人に投与され、そのうち1万人の人がC型肝炎を発症したと推定され、またC型肝炎からは肝臓ガンから死にいたる危険が相当に高いと推定されています。多くの人命が奪われ、さらに多くの人の健康と人生が破壊されています。

 フィブリノゲンを独占的に作ったのが、ミドリ十字でした。薬害エイズの原因となった血液製剤を作った会社です。

 当初、日本ブラッドバンクという名前でスタートしたミドリ十字は、手術での輸血や止血などに使われる血液製剤の分野のトップ企業でした。 血液製剤が薬品と同様に健康保険に指定され、ミドリ十字は大きく成長しました。

 ミドリ十字は、戦時中に毒ガスや生物兵器を開発し、中国人や朝鮮人、さらに捕虜となった米国人兵士に対して人体実験を行って、多くの人を殺したとされる関東軍防疫給水部731部隊のメンバーが中心になり、陸軍軍医の内藤良一をトップに戦後に作られた会社です。

 731部隊関係者は、米国に人体実験の研究資料を提供するのと引き換えに、戦犯としての訴追を免れたといわれています。

 薬害エイズと薬害肝炎の原因は同じです。原料の性格が同じだからです。

《1974年になって「C型」の存在が初めて報告された》
 血液製剤の原料として、ミドリ十字が米国で買い付けた血液は、刑務所や売春者や麻薬中毒患者が売った血が多く混じった売血でした。売血から一定の処理をして血液製剤を作り、健康保険の適用を受けて全国で販売することでミドリ十字は大きな利益を上げていました。

 しかし、原料の売血の中には、C型肝炎ウイルスやエイズを起こすHIVウイルスが含まれていました。ミドリ十字が、フィブリノゲンの製造承認を当時の厚生省から受けたのは1964年でした。この年に日本で輸血を受けたライシャワー大使が肝炎になったことからも、当時から、売血から作った輸血用血液から肝炎になる危険は医学会では知られていました。

 米国では、1974年にはB型肝炎ウイルスとは全く関係の認められない潜伏期の長い輸血後肝炎が存在することが報告され、A型肝炎とも関係なく、第3の病原候補として「型」と呼んだのがC型肝炎の始まりとされ、肝臓ガンから死にいたる危険な病気であることが明らかになりました。

 これから先の経過は錯綜しています。1977年には、米国食品医薬局(FDA)はB型肝炎感染の危険があるとして、フィブリノゲン製剤の製造承認を取り消しました。この情報については、ミドリ十字は社内で回覧していましたから組織として認識していました。

 さらに、当時の国立予防衛生研究所の血液製剤部長が、自著の中でFDAによるフィブリノゲン製剤の製造承認の取り消しについて書いています。

 しかし、ミドリ十字も当時の厚生省もフィブリノゲンの認可・販売を続けました。

《肝炎被害を放置してきたことこそが大きな問題》
 重大なのは、C型かB型かを問わず、輸血による肝炎の被害が発生していることが放置されてきたことです。

 20年前の1986年から翌87年にかけて、青森県で出産のときの出血を止めるために、フィブリノゲンを使った産婦人科で肝炎の集団感染が起き、新聞報道されて社会問題になっています。

 そのころから、政府が責任を持って血液製剤のリスクについて告知し、被害者の救済に動いていれば、ここまでひどいことにはならなかったでしょう。

 どんな病気でも早めの治療が鉄則でしょう。しかし、現実は逆でした。ミドリ十字を吸収した三菱ウェルファーマ(現田辺三菱製薬)は、2002年に、フィブリノゲンからC型肝炎に感染した418人のリストを厚生労働省に提出しました。

 すぐに、インターフェロンなどの治療によって命を救うのが必要な人たちです。ところが、このリストは今年の10月まで放置されました。その間、多くの方が亡くなりました。治療していれば救えた方もいたでしょう。

《患者全員の救済は金銭的に無理という唖然とする論理》
 これだけのことが明るみに出ても、総理大臣も厚生労働大臣も、耳目を疑うような言動を続けてきました。裁判所の和解も理解しがたい内容でした。お金がかかりすぎるから、患者全員の救済は困難で、訴訟の原告になった人だけにするというのです。

 裁判の原告になったかどうかで、被害の事実が変わるのでしょうか。
 1000人だから予算が少ないとか、いやもっと多くなるから切り捨てるとか、国民の税金をムダづかいできないとか、不可解な解釈が平然と並びます。 唖然とします。

 加害者である国が、被害者の数が多すぎるから減らせ、責任は取らないと言っているのです。

 一方で、政府は、金融システム安定化のためと称して、経営に失敗したり放漫な貸付をしたりした銀行に、金銭贈与をしたり資産買取などによって46兆円もの公的資金を投入しました。

 ところが、自らが承認し健康保険の適用範囲であった薬害に対する被害には最低の保障もしないというのです。

 これが民間企業の場合であれば、1000人を超える国民が死亡または深刻な一生の健康被害のある食べ物を作り販売し、その事実を20年にわたり隠し、救えるはずの国民が亡くなっていたとして、そんな会社が許されるでしょうか。被害が大きすぎるから金を負けてくれ、と言ったらどうなるでしょうか。ワイドショーで経営者は非難轟々、集中砲火を浴びるでしょう。

 ところが、薬害肝炎については、テレビの取り上げ方も何か他人事のようです。訴訟の結果と政府の対応を淡々と取り上げています。

 政府だから許されるのでしょうか。マスコミの基本機能が、国民に代わって事実を調査し、報道することであるとすれば、もう一度、薬害肝炎の問題についてきちんとした情報提供をするべきでしょう。
 そして、もちろん、政治の場でのきちんとした議論と行動が必要になります。

《各分野で薬害被害を最小限にする対応作りが重要》
 感情的な対応をしろ、というのではありません。構造的に被害を最小にする道を探るのです。薬害が発生したときの、迅速な対応体制を作ることです。

 まず第一は、責任追及の前に、情報を公開し、被害者を探し、一刻も早く手当てをすることです。 その次には、原因の究明です。学術的な誤りか、製造責任か、医療側の責任か、あるいは患者側の問題か、といった究明です。それによって、対応策が決まってくるはずです。

 裁判のあり方も変えるべきです。国が資金力と人材を生かして何度も判決が出てもさらに訴訟をするのではなくて、敗訴の判決が出た時点で集団的に被害者を救済することです。

 官僚機構の人事のあり方も変えるべきです。薬害を発見し対応した人たちを、高く評価し、人事上も昇進させるべきです。先輩たちの業績に泥を塗ることではないのです。日本の医療の改善への貢献として受け止めるべきです。

 今、問題に取り組む人を評価しなければ、過去の問題に取り組むのが難しくなります。単なる個人攻撃は、将来の隠蔽を生むでしょう。
 マスコミも政治家も国民もこの点を大事にしないと、良心を持つ官僚が国民のために働くのが難しくなります。

《国民本位の医療という原則を再確認するとき》
 ただ、薬害があるから日本の医療がダメだ、とは思いません。
 日本は、WHO(世界保健機関)の評価にもあるように、全体としては米国などより質の高い医療を、米国などに比べて低い対GDPのコストで提供しています。

 その最大の証拠が世界最高の長寿国であることです。長寿社会の負担や混合診療を一切認めない不合理などで揺らいではいるものの、国民誰でも医療を受けられるように皆健康保険を実施しているのは、戦後の政府の大きな功績です。

 健康保険のない国民が多くいて、お金がなくて命を失う国民が多く、それでも医療費のコストが高い米国式の民間の市場原理の医療保険の仕組みを、日本が全面的に取り入れる必要はないでしょう。

 しかし、日本の医療も、薬害を契機に、国民本位という原則を再確認すべきときでしょう。

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「人間の素晴らしさ」JAL機内で・・。

~機内で救命!AEDと看護師さんとCAと~

航空機の性能がアップし、かつてでは考えられないような旅ができるようになりました。東京/ニューヨーク線のように、アンカレッジ・アラスカやL.A経由で航行していたものが、直行することができるようになり、遙かな地がぐんと手に届く感覚へと変化しました。

一方で、機内という狭い箱に16時間以上も軟禁状態、という新たな問題も併せ持つような環境ともなりました。

機内には、隠れた「ハンディキャップ」を抱えた旅客も搭乗しています。特に狭いエコノミークラスでは、疲労とストレスで「機内で具合が悪くなる」ことも数多く発生しています。

こうした事態に備えて、JALでは2001年から自動体外式除細動器(AED)を機内に搭載していました。

今回のフライトでは「職業倫理を全うされた看護師の方」「応急の手配をした客室乗務員」そして、この「AED」のおかげで、一旦は「心肺停止」状態となった旅客が幸いにも蘇生したという朗報です。

角の立っている「話題」ばかりのなかで、久しぶりに爽やかなニュースです。

とはいうものの、「狭隘なエコノミークラスの座席と前後のスペース」すべてのエアラインで改善して欲しいものです。

毎日新聞 万能川柳 から目についた句をご紹介します。

エコノミークラス置き去りJALとANA 佐倉 繁本千秋さん

機内で心肺停止…AEDで命取り留める JAL国際線で初

 【千葉】ハワイ発成田国際空港行きのJALウェイズ機内で、心肺停止状態になった千葉県内在住の自営業の男性(68)が、乗客の女性看護師(27)や客室乗務員らの連携で命を取り留めた。蘇生には自動体外式除細動器(AED)が使用された。日本航空成田広報室によると、国際線にAEDが導入された01年以降、心肺停止から蘇生したのは初めて。同社は「勇気ある行動に感謝している」と話している。

 男性が搭乗していたのは、11月30日のJALウェイズ71便。太平洋上を航行中の午前7時40分ごろ、食事サービスの開始直後に、男性が「心臓が痛む」と訴えた。男性は心臓に持病があり、同10時ごろに容体が急変、けいれんを起こして意識不明になった。

 このため、医療関係者を探す「ドクターコール」を機内に放送したところ、看護師が名乗り出た。血圧を測ったり、無線を使って医師の指示を仰いで点滴を打つなど、着陸までの4時間半にわたり、医療措置を施した。

 男性は到着後、すぐに成田市内の病院に搬送され、集中治療室で治療を受けた。3日には一般病棟に移るまで回復したという。

 看護師は「成田到着まで4時間もあったので、厳しいと思ったが助かってよかった」と話しているという。同社は看護師に感謝状を贈る。【柳澤一男】

 2007年12月14日 毎日

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2007.12.11

問われる「エアラインの品格」!JALのCA「監視ファイル事件」

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~私も、逐一監視ファイルに書かれていた!~

現役当時、誰よりも日本の翼を愛していた私は、当時の会社方針に対しては、労務であれ、営業であれ、政策(ポリシー)に対しては、厳しい意見を公にしながら提言し続けていました。

上げ底や看板に偽りアリの営業方針や宣伝広告に、また「疲労困憊したパイロットやCAを乗務に貼り付けてきたり」「年々緩くなってきた整備の規制にとまどうメカニックの現場」の声を率直に反映させた意見でもありました。

勇気を出して「ものを言う」というバックボーンは、「劣化する安全・サービスを提供する」ことは、そのまま、「旅客をあざむくことになる」「良質な商品を提供し、永いご愛顧を願う」というスピリットがすべてでもありました。

今回露見した「会社・労働組合」合作の監視ファイルは、JALの客室乗務員であれば、誰しも、うすうすは、推定していたものと言われています。
しかし、実際にそのファイルを目の当たりにしますと、「会社の品格」とはなにか「エアラインの品格とはなにかをとあらためて考えさせられることとなりました。

公開を阻みたくなるような、個人のプライバシーの数々、悪口雑言の数々が詳細に記録されていました。
私の場合も、「えっ、こんなことまで・・・!」ということが実際に書かれておりました。勿論事実と違うこと、私生活に至るまで、堂々と、記載されているのでした。記載した者も推定できる中味でもありました。

この件については、どうも会社中枢は「労働組合が情報収集したものだから」と該当組合に責任転嫁し、「合作したのは一部の者が」と組織的関与を否定、また組合側は「漏洩したのは問題だが、情報を集めて何が悪い」というような開き直りの反応のようです。

事態を認めれば、これまでの社内の常識(組合とは、会社と対立してはならない。そういう組合の役員をしてきた者だけを、管理職とし、役員とする。)は総崩れとなり、役員を含めて責任を取らねばいけなくなることを危惧しているからに他ならないといわれています。

まるで「防衛省」と「山田洋行」の写し絵のような話です。

こうした風景を山崎豊子さんは膨大な取材を基に「沈まぬ太陽」に描かれたと聞き及んでいます。監視ファイルでは、この「沈まぬ太陽」を読んでいることだけでリストに書き込まれるわけですから、まるで犯罪扱いしていることから推察しても、「もっとも明らかにしたくない実態」なのかという推定もできますね。

能力や適正に関係なく、自分の出世や保身ばかりが横行する体質には「手つかず」ですから、「銀行やマスコミ向け」の「リストラ」「社員の給料・ボーナスカット」「現場の人員カット」を繰り返しても、抜本的な「再生」は難しいものとならざるを得ないと思えます。

やがて、現場の「品質」を下げられて迷惑するのは利用者ばかりという納得できない現実にぶつかることになります。

仮に今後大事故が起きた場合、こういう問題も必ず「世間の前につまびらか」にせざるを得ないこととなるでしょう。私の知る限りでも1970年代から延々とこうした政策は継承されてきました。

しかし、三次元の世界を絶え間なく超高速で運航される航空機の世界では、いっときも早く「根本的な解決」をして欲しいものと願うものです。

~JALとANAの決定的、深層的ちがいはここに~

ナショナルフラッグキャリアとして栄光の空を飛翔し続けてきた「JAL」が、「ANA」との対比では、翳りが出てきていると言われて久しいものがあります。

大まかに言えば、「JAL」には職場ごとに2つの組合が存在します、子会社に至るまでです。「ANA」には少なくともそういう実態はありません。ここに異常さが浮き彫りです。

「ANA」に搭乗して、逐一、CAの動き、ティームワークの良し悪し、を観察しますと、JAL・ANAとも過酷な勤務ということではほぼ同じ条件でありながら、何かが違います。 「仕事に対する真摯な姿勢」「会社のマニュアル重視より旅客を見るという姿勢」「疲れを見せない」という点で、「かつてのJAL」をそこに見るような気が致しました。更に言えば、数十人のCAや関連子会社のスタッフにインタビューして驚いたのは、「ANAで働けて幸せです」という感想が圧倒的に多かったことです。私に聞かれているということを割引しても、明らかに雰囲気が違います。

現場を軽視した政策の「汚点」は、「ロイヤリティー」という点でも見えない損失を大きくしているのではないでしょうか。

外から眺めると大したことには映らないかもしれませんが、労働組合対策も通常の労使関係を踏み越えて「違法・不当の施策」なものになると、現場は悲惨です。こうしたプライバシー監視はもとより  「乗務員としてのスキルより組合所属がすべて」という基準になり、、「ゴマすりが横行」し、なにより「ティームワークがめちゃくちゃ」になります。サービス業のバックヤードとしては最悪です。

JALのオペレーションセンター(乗員・乗務員が集結する場所)などに行かれるとわかりますが、「制服を着ていて同じエレベーターに乗り合わせても、明らかに自分のフライトに同乗するということがわかっていない限り、挨拶を交わすことは、まれ」です。「接客のプロ」といわれる集団が、「いろはのい」でも平然と無視できる社内事情は、もっとも明らかな異常の表れでしょう。他の航空会社では決して見られる光景ではありません。

「生理休暇常習」「流産」…日航CA「監視ファイル」の中身
     12月1日20時38分配信 産経新聞

≪「生理休暇常習」「流産」「父なし子」…≫

 戦慄(せんりつ)の監視ファイル、その中身は-? 日本航空の最大労組「JAL労働組合」が作成した9000人を超す客室乗務員(CA)の個人情報リスト。26日、日航のCA194人がJAL労組や日航を相手取り、損害賠償を求めて提訴した。家庭環境から病歴、思想信条などプライバシーを丸裸にする情報があふれたリストの内容が報道され、世間を驚かせた。また、リストは契約から正社員へ移行する客室乗務員を丸抱えするために利用された-との見方も広がっている。(水野拓昌)

■「赤っぽい」「私生活乱れている」

 「父なし子を育てている」

 「父親は教員、日教組」

 「総会屋の娘」「流産」

 「SL(生理休暇)常習」

 訴状には、リストに集積されていた個人情報の一例が並ぶ。

 訴状によると、JAL労組は平成8年以降、客室乗務員9862人分の個人情報を無断で収集し、1人158項目ものリストを作成。一部の組合幹部がパソコンで保存、更新、閲覧していた。

 「プライバシーを侵害された」として1人当たり22万円、労組「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)も団結権が侵害されたとして日航に550万円、総額約4800万円の損害賠償を請求した。

 提訴した客室乗務員の多くはCCUに加入。「リストは会社とJAL労組が一体となって作成した」というのが原告の主張だ。

 CCUの報告書は、さらに詳細なリストの内容をうかがい知ることができる。

 「自分は何が書かれているのか」とJAL労組に開示請求した約550人のうち、約200人から提供された情報をもとに内容を分析したという。そこには極めてセンシティブな情報が記録されていた。

 支持政党、思想信条に関しては、「○○党員らしい」「やや赤っぽい」。

 家庭環境では、「子供のために働くシングルマザー」「バツイチ、子供あり」。

 病歴などでは、「自律神経失調症」「乳がん」「心身症で欠勤」。

 容姿や性格、勤務態度について、「不平不満言い放題、トラブルメーカー、人望ない」「独身で私生活も乱れている」「仕事への欲はなく、身だしなみに問題あり」-などの表記があった。

■単なる悪口も…気味が悪い

 CCUの中川香委員長は「女性としての病気や流産、離婚の記録、子供の病気などがあり、許せないし気味が悪い」と話し、多くの客室乗務員が監視されていた恐怖を感じていると憤る。

 リストのひな型には氏名、所属などの基本情報や異動、組合活動に関する項目に加え、「出産予定日」「出産日」「休職開始」などの欄がある。また、問題となった情報の多くは備考欄に積み重ねられており、そこには「悪党、酒癖悪い、何をやるか分からない」「バカ」と個人的な印象や単なる悪口までも記録されていた。

 また、「長欠、休職発令間近、腰部捻挫(ねんざ)」など会社しか知り得ない情報も。中川委員長は「乗務のため会社に提出する人事考課票に記載した情報がある」と指摘。フライトに関係するため会社に申告した既往症、病歴といった他人に知られたくない情報も流出していたという。

 さらに、職場の中で誰かに行動や発言をチェックされているのか、「要注意、傷病者に対しては会社の悪口を言いながら細かくケア」「組合を変われと言って脱加入届を渡している」「(日航をモデルにした山崎豊子の小説)『沈まぬ太陽』を回し読み」との記録もある。

 一方、「よい人だけに影響力がありそうなので要注意」「人望・仕事抜群、非常に危険」と、一見矛盾した表現も。対立する組合の優秀な人材は要注意というわけだ。

■背景に「組合の対立」指摘も

 この問題は2月、週刊誌の報道で発覚。日航とJAL労組はその後、内部調査でリストの存在を認めた。

 日航は5月、関与した社員25人を処分したが、組織的関与は否定している。これに対してCCUは「1万人近いデータを一部の社員、組合幹部だけで集めたとは思えない」と批判する。

 リスト作成の目的は何だったのか。

 作成が始まった平成8年ごろは、日航が6年に採用した契約制客室乗務員1期生が3年間の契約期間を経て、正社員へ移行する時期と重なる。

 JAL労組は加入者約1万人の半数以上が客室乗務員で、特に契約社員は全員加入している。一方、約1900人の客室乗務員で組織するCCUは、会社と対立関係にある。「正社員になったとたんに組合を移られてはかなわないと、JAL労組が囲い込みを狙った」というのが、CCUの見方だ。JAL労組は「リストは契約社員だけを対象にしたものではなく、関係ない」とこの見方を否定している。

 JAL労組は「現時点では裁判についてコメントできない」としながらも、リストに関しては、「組合員への連絡の必要から作成したが、データ化の過程で不必要な情報も蓄積していった」と不適切な状態だったことを認めている。組合間の加入活動が活発に行われてきた状況下、情報を少しでも多く集めようとしたことが加熱したという。下口拓也書記長は「反省すべき点はあり、今後、組合員との信頼関係回復に努めたい」と話している。

 日航は「訴状が届いていないのでコメントは控えたい」としている。

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2007.11.12

空港が危ない!中国南方航空、管制官の指示聞かず。

~今度は、中部空港で~

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11月11日、中部空港で、またも「ランウェー・管制」がらみの「重大インシデント」が発生しました。

ランディングしたキャプテンの話によれば、南方航空当該機は、管制官の緊急停止の指示後も時既に遅く、ランウェーに機体の半分が出ていた状況だったとのことです。(NHKニュースによる)

こうたて続けに、離着陸時のインシデントが続いていると、乗務の体験がある私ですら恐ろしい気持ちがいたします。

状況は、調査を待つことになりますが、「管制官と中国機とのやり取りが本当に通じていたのか」「こういうことが日常的におきてはいないのか」不安です。

国土交通省は、この数ヶ月の管制をめぐるインシデント(伊丹・関空など)に「管制システム・管制用語などの改善」「管制官の人員配置の見直し」などを掲げていますが、「外国機特に英語圏ではない国のエアライン」に対しての実状把握と対策も明らかにしてもらいたいと感じます。

中国南方航空が滑走路誤進入 中部国際空港
2007年11月11日23時57分 asahi

 11日午後1時ごろ、中部国際空港で、瀋陽行きの中国南方航空698便(エアバスA319型機、乗客乗員42人)が管制官の指示に反して滑走路に進入し、この滑走路に着陸を予定していた全日空機が着陸をやり直すトラブルがあった。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故につながりかねない「重大インシデント」と位置づけ、12日に調査官3人を派遣する。

 交信記録などによると、中部国際空港の管制官は午後1時4分、中国機側の求めに応じて滑走路途中からの離陸を許可。その上で、滑走路の手前で待機するよう指示した。中国機は「待機する」と復唱したが、停止線で止まらずに滑走路に進入。管制官は危険を避けるため、8キロ手前まで迫っていた全日空220便(エアバスA320型機、乗客乗員59人)に着陸をいったんやめるよう指示した。

 調査委は中国機がなぜ指示を守らずに進入したか、詳しく調べる。

 管制をめぐるトラブルは9月以降、大阪空港で2件、関西空港1件と続いている。3件は復唱や確認の不徹底が問題となったが、今回復唱は正しくなされていた。関係者からは「新システムの導入など抜本的な改善が必要」との指摘が出ている。

中国機、指示に違反し滑走路へ=全日空機が着陸やり直し-中部国際空港
                  11月11日23時1分配信 時事通信

 11日午後1時すぎ、中部国際空港から離陸しようとしていた中国・瀋陽行き中国南方航空(CSN)698便エアバスA319型機(乗客乗員42人)が管制官の指示に違反して滑走路に入り、福岡発全日空220便エアバスA320型機(同59人)が滑走路から約8キロ手前で、着陸をやり直すトラブルがあった。けが人はなかった。
 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、一歩間違えば衝突の恐れがあった重大インシデントに当たるとして、調査官3人を同空港に派遣する。 

 

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2007.11.04

驚きました!! 機内カートの暴走で乗客が重傷!

~CAの着陸前の「安全確認」もされなかったのか?~

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憂うべき事故が起きました。着陸時に「最後部」にあるギャレー(台所)に収納されていた飲み物サービス用のカートが飛び出し、通路を機首側に向けて暴走し、二人の乗客に大怪我をさせた模様です。

このカートは、重さが約45キログラムと発表されています。国内線ですから、この程度の重量ですが、国際線では、アルコール飲料を含めた飲み物サービス専用のもの、また食事のサービスもあり、大きなカートは、100kgの重さがあるものもあります。一旦これが機内に飛び出した場合、危険な凶器に変わることは、乗務をするものであれば誰もが知っています。

それゆえに、「離着陸」の前には、「ギャレー内のストッパーチェック」は、客室乗務員の業務としては、ギャレーの担当だけではなく、複数でチェックしたり、「声を出して、指差し確認」したりするのが、スタンダードです。いや、最低限の業務となっています。

こうしたギャレー内のカートやストレージ(物いれ)は、ストッパーと呼ばれるもので「物入れのラッチがバカになっていたり」「カートそのものについている固定ブレーキペダルの踏み忘れ」があった場合でも飛び出しを防ぐように、二重の構えをとっています。

事故調査委員会の現時点での発表(11月4日付NHKニュース)によれば、このカート本体に装着されているブレーキに「故障はなかった」とのことです。

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「気象状況などからラフなランディングせざるを得なかった」「不測の乱気流に遭遇し、ランディング前に機内サービスが終了せず、チェックも出来ない状況のままランディングした」と言う事態が考えられますが、もし通常の状況で着陸したとすれば、現在の時点で考えられるのは、「客室乗務員の重大ミス」ということになります。(画像は、他のエアラインのギャレーですが、赤色のストッパーを示しています)

~コックピットのドアを直撃したことも~

過去には、「同様な客室乗務員のミス」からアッパーデック(二階席)の後方にあるギャレーから「カート」が飛び出し、コックピットドアーを直撃したこともあります。基本業務や動作を怠れば、大変な事態を呼ぶことを示すものです。

~改めて「客室乗務員」の質に目を向ける~

今回の事故は、「乗客が怪我を負う」とうことで仔細が明らかになってきていますが、類似のミスは、エアラインを問わずあちこちで発生していると聞いています。

2005年には、客室乗務員が脱出用のシュートがいざと言う時に展開(開く)かどうかの鍵を握る「ドアモードのチェンジ」を行わず、数回の離着陸をした(JAL)ということを初めとして、今回の問題にもいたっているような気が致します。

本年9月の那覇空港でのチャイナエアラインの爆発炎上事故でも、「非常事態での客室乗務員の誘導のあり方」でも問題は、明らかになりました。

客室乗務員は、「若くて」「入れ替わりが早い方が良い」「契約制でコストカット」などと言う論理が社会的にも堂々とまかり通っている感があります。

エアラインは「低運賃競争」で大変な事態を迎えていますが、「安全運航」のひとつの柱を支える客室乗務員の「保安要員」としての機能を発揮してもらうためには、「充分な教育」「貴重なフライト体験」「見かけのサービスより安全第一という思想の浸透」などに力を注いでもらう必要があります。

いわゆる「サービス」は目で見えますが、利用者からはなかなか「見えない」のが「安全」です。今後も事態を注視してゆきます。

<スカイマーク事故>機内カート動き出し衝突、乗客2人けが
11月3日23時7分配信 毎日新聞
 3日午後7時15分ごろ、神戸発羽田行きスカイマーク114便ボーイング767(乗客・乗員190人)が羽田空港に着陸した際、客室内で飲食物を運ぶカートが動き出し、乗客の男性2人にぶつかった。このうち44歳の男性は救急車で病院に搬送された。右足のくるぶし付近の骨を折り全治3カ月の重傷という。もう1人の男性(47)は軽傷。

 国土交通省によると、着陸直後に機体の一番後部にあったカートが突然通路に飛び出し、男性2人に相次いでぶつかった。 

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2007.11.01

軍民共用空港「名古屋」で・・・・。

  ~自衛隊戦闘機、離陸時にクラッシュ~

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11月1日、県営名古屋空港で離陸しようとした自衛隊支援戦闘機F2が離陸に失敗し、クラッシュしました。

事故原因については、エンジン、操縦系統、など事故調査委員会の調査結果を待つ以外にないと思いますが、当該機の大部分が損傷をしていないため、やがて究明は確定されることと考えます。

メディアの傾向として、原因が科学的に明らかでないうちに、「民間航空のパイロット経験者などに原因を予測させる」傾向がありますが、あまり感心できないものと気にかかります。

事故が投げかける大きな問題は、住宅地などを控えた空港で「民間航空」と「戦闘を目的とする軍用機」が入り混じって離発着している状況ではないでしょうか。

那覇空港などでは、民間航空機は「離陸してしばらく低空飛行をする」ことが義務つけられており、離発着には、一般の空港よりも神経を使うとパイロットから聞いておりました。小松空港も共用のひとつです。かつては、福岡空港などは、風の条件などが複雑な上、共用していることも「難しい空港」と言われる要因になっていたと聞いています。

利用者が普段わからないが、ひとたび間違えれば大変な事態になる、こうした問題に立ち入ることがメディアとして本来あるべきことではないか、と強く感じました。

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航空自衛隊 F-2 A/B 支援戦闘機
Japan Air Self Defence Force(JASDF) F-2A/B Support Fighter(Attack) 

航空自衛隊 F-2A/B 支援戦闘機

[機体]
全長:15.52m 全幅:11.13m 全高:4.96m
翼面積:34.84m2 自重:12000kg 総重量:22100kg
F110GE-129 推力:13430kgp×1
戦闘行動半径:830km 最大速度:2.0M
乗員1名(A型) 2名(B型)

[武装]
JM61・A1 20mmバルカン機関砲×1 480発
AIM-7(空対空) AAM-3(空対空)
ASM-2(対艦)最大4発

Photo by JASDF

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2007.10.30

またまたボンバル胴体着陸、「SAS」は使用中止を発表

~日本のエアラインは、どう対処するのでしょうか。~

10月28日、スカンディナビア航空(SAS)が相次ぐボンバルディア社製の航空機の事故を深刻に受け止め、DHC型のQietシリーズのうち最大のQ400の使用中止を決定しました。

10月29日、「SAS」の運航中止を受けて、日本のエアラインとしては、なんらかの「検討」がされいるのでしょうか?という疑問もあり、取材をしましたが、少なくとも「ANA」では「これまでとおりの方針」という回答でした。

このDHC-Q400は、今年に入っても以下のような事故の経過があります。

・2007 3月13日  ANA 高知空港で胴体着陸

  9月9日   SAS デンマーク・オールボー空港で着陸時に右主脚破損

  9月12日  SAS リトアニア・ビリニュス空港で右主脚破損

  9月21日  ドイツ・オーグスブルグ航空 ミュンヘン空港で胴体着陸

 10月27日  SAS デンマーク・コペンハーゲン空港で胴体着陸 

  

  ボンバルディア機が胴体着陸 デンマーク2007.10.27
      NNN 日テレニュース 10月27日
 デンマーク・コペンハーゲン国際空港で27日、「ボンバルディア」製の旅客機が、着陸時に片側の車輪が動かず胴体着陸した。

 胴体着陸したのはノルウェー・ベルゲン発コペンハーゲン行きの「スカンジナビア航空」機で、機体はボンバルディア社製のQ400型機。AP通信によると、着陸の際に片側の車輪が作動しなかったため、機体が傾いたまま胴体着陸した。乗客・乗員44人は全員無事だった。

 ボンバルディア製の航空機は、今年3月に高知空港で胴体着陸したほか、先月、リトアニアとデンマークでも今回と同じ機種が事故を起こしている。

 スカンジナビア航空では、部品交換のため先月、この機種のフライトを見合わせており、フライトを再開したばかりだった。

※ 本日10月30日、中部日本放送(CBC)の番組「朝からP.O.N」に生出演し、以下のような質問にお答えしました。

・ボンバル社とはどういう会社でしょうか?

・DHC8-Q400 とはどんな飛行機なのでしょうか?

着陸の際に前輪が出ないというトラブルは有名ですが、それ以外に世界各地ではどんなトラブルが起きているのでしょうか?

・現在、日本国内では何機ぐらい飛んでいるのでしょうか。

Photo

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2007.10.27

いよいよ。SQ380便にてエアバス380デビュー

~巨大・豪華・静粛~

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10月25日、1年半の遅れを超えてエアバスA-380がシンガポール航空のシドニー便(SIN/SYD)で無事フライトを果たしました。

B-787が「ANA」のロゴをつけてロールアウトしたことを思い起こすと、「アジア」の力を感じさせるものです。

日本の空の機材更新

特に、アジアとEU諸国のハブ空港・アメリカ東海岸主要都市をダイレクトフライトで結ぶと言う点で画期的かつ航空の新たな展開の幕が切って落とされたと言っても過言ではありません。

18時間~20時間の航続を可とし、かつエコノミーのモノクラスであれば、853人を運ぶことが出来るということは、これまでの常識で想定できないことでもあります。

私の場合、「機内の安全・サービスの要」となる「パイロット」「客室乗務員」はどのような勤務体制をしくのか、と言う点でもありますので今後の調査研究課題を抱えました。

~シンガポール航空の機内スペック~

豪華:ファーストクラス→スイートクラス

スイートクラスはスライディングドアで仕切られた完全個室仕様で、座席幅はひじ掛け収納時で1メートルを確保。130度のリクライニングが可能な座席とは別にフルサイズのベッドを装備し、就寝時には客室乗務員が羽毛布団やクッションを用意しベッドメイキングしてくれます。驚くのは、カップルで搭乗した場合に、オプションで中央2列の座席をダブルベッドとして利用できること。まさに最上級の贅沢といえます。【ALL ABOUTより】

業界最大の広さを誇るビジネスクラスは、昨年末にボーイング777-300ERに導入したシートを装備。1-2-1の配列で、87センチの座席幅が特徴です。フルフラットにリクライニングできるほか、全60席が前向きでどの座席からもすぐに通路に出られるようレイアウトされています。

エコノミークラスの座席幅は48センチ。キャビン全体をゆったりと設計し、また大型機で主翼も大きくなりエンジンの取り付け位置が従来機に比べてボディから離れたぶん、静寂性も高まっているといいます。

メーカー側がA380の標準仕様として提案していたのは500席以上ですので、トータルシート数471席で設計したシンガポール航空機は、全体にかなりのゆとりを持たせています。機内には気軽に軽食が楽しめる「パッセンジャー・コーナー」などもあり、長旅の途中では乗客たちの社交の場としても機能出来る装備となっています。【いずれもALL ABOUTより】

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2007.10.24

「管制」をめぐっての重大アクシデントが続く!

しばらく、阿部典史さんの喪に服しておりました。

ブログを再開いたします。

ここのところ、大阪空港、関西空港と離発着時の「管制」にからんだ重大アクシデントが続いています。いずれもパイロットや管制官が「誤認」や「混同」に気がつくのが遅れれば、「大惨事」になるところでした。

普段あまりつまびらかにされない問題ですが、こうしたトラブルが起きるたびに「管制官」や「パイロット」の個人の力量や注意力ということが問われがちです。

しかし、「管制」システムの要となる「管制官」の置かれている状況は、どういうふうになっているか、と言うことにあらためてスポットを当てる必要があるのではないでしょうか。国交省航空局は、

・管制官一人で何機の離着陸誘導を行っているのか、

・各空港の人員配置は適正なのか

などを整理し、「公開」することが緊急に必要と考えます。

カナダ機 管制官指示を復唱せず 関空無許可進入 事故調が本格調査

   【産経新聞 2007/10/22 大阪夕刊 第1社会 11頁 554字】 
 関西国際空港で20日、日航機の着陸滑走路にエア・カナダ機が進入したトラブルで、管制官からの指示をパイロットが復唱する際、意味が理解できれば同じ言葉で復唱していないことが22日、分かった。国際的なルールでは、パイロットは管制官の言葉をそのまま復唱することになっており、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会はこうしたルールが日常的に守られていなかった可能性があるとみて、原因調査を進める。

 事故調は同日午前、3人の調査官を関西空港事務所に派遣し、本格的な調査を始めた。

 同事務所では、管制官が出発前の航空機に「滑走路手前で待機せよ(ホールド・ショート・オブ・ランウェイ)」と指示。これに対し、パイロットは通常、管制官と同じ言葉で復唱するが、今回滑走路に誤進入をしたエア・カナダ機は「ポジション 24レフト(A滑走路の呼称)」と管制用語ではない言葉で返答した。

 同事務所によると、「限られた時間内に多数離着陸が繰り返される実際の管制現場では、100%同じ言葉での復唱はしていない」としており、事故調はこうした現状の中で誤解が生じた可能性があるとみている。

 同事務所では、今月5日に大阪空港で全日空機が管制官の指示と異なる滑走路に着陸したトラブルを受け、19日に管制官とパイロットの交信内容の確認徹底などを決めたばかりだった。

大阪空港トラブルで特別調査チームを派遣へ 国交省
10/09 12:35
 大阪空港で全日空機が管制官の許可とは別の滑走路に着陸したトラブルで、国土交通省は9日、原因究明や再発防止策の策定のため、国交省航空局に特別調査チームを設置することを決めた。9日午後に発足し、近く大阪空港にチームを派遣、管制官や操縦士から直接話を聞くなど調査を始める。

 冬柴鉄三国交相が9日の閣議後の記者会見で明らかにした。

 大阪空港では9月にも日航機が管制官の許可なく滑走路を横断しており、国交省は短期間に管制トラブルが相次いだことを重視した。

 チームは航空局管制保安部の参事官を筆頭に5人。調査では、ヒューマンエラーなどの人的な要因とともに、管制システムの中に構造的にミスを起こしやすい原因がないかを点検。これまでの「ヒヤリハット情報」も分析するなどして、再発防止策に生かす。

 また、離陸直前の旅客機の前を別の旅客機が横切るトラブルが6月にあった新千歳空港についても、今回の調査の成果を生かしていく方針。

 大阪空港のトラブルは今月5日午後5時45分ごろ発生。全日空機は長さ約1800メートルのA滑走路に着陸する予定だったが、管制官は同約3000メートルのB滑走路への着陸を許可。A滑走路に着陸するとの操縦士の復唱も聞き逃し、同機はA滑走路に着陸した。

~一人で15機を担当していた、スイスでの空中衝突事故!

   管制一部民営化に危険な香りも~

空中衝突事故 スイス裁判所、管制会社管理職4人に有罪判決
 
  Date : 2007/09/05 (Wed)

スイスの裁判所は4日、2002年7月1日にスイス上空でロシア機と貨物機が空中衝突した事故で、航空管制会社スカイガードの管理職4人を有罪、管制官4人を無罪とする判決を下した。空中衝突した2機はドイツ領に墜落、スペインでの休暇に向かうロシアの子供たちなど、71人が犠牲となった。

訴追された8人全員が無罪を主張したが、管理職3人には禁固刑、残り1人には罰金が言い渡された。8人の内7人は、判決までスカイガードに勤務していた。管理職を有罪とし、管制官を無罪とした判決が象徴するように、「怠慢の文化」が事故を引き起こしたとする検察側の主張が認められた。

事故当時、ひとりいた管制官が15便を担当、118回の交信をこなした上、1便を着陸誘導していた。後にこの管制官は、事故で2人の子供を亡くしたロシア人の父親に、自宅で刺殺されている。スカイガードは当時、規則には違反しているが、管制官ひとりで業務をこなすのは普通だと主張していた。

【航空事情】より

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2007.10.08

「ノリック」阿部典史君の死を悼む!

~僕のこと知っているんですか?~

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今、10月8日の午前六時を回ったところです。テレビのニュースを斜めに見ながら、仕事をしておりました。「アベノリフミさんが事故死」というアナウンサーの声がなんとなく耳にはいりました。「同姓同名の方がいるんだなぁ。」と気になって画面に目を移すと、なんとなんと、「バイクのレーサー、ノリックの愛称と呼ばれる」と言っているではありませんか。

衝撃でした。・・・・・。

「急にユーターンしたトラックに追突」ということで、さすがのプロライダーもよけ切れなかったものと拝察するしかありません。

思い起こせば、あのときが最初の出会いでした。

機内を巡回するようにファーストクラスからビジネス、エコノミーと歩いているとどうも私が注目していた「ノリック」に似ている旅客がいます。まだ彼が10代の頃ですから、500CCより軽量な250CCか125CCで活躍、天才ライダー現るとその世界では評判になりはじめたころです。

私は声をかけました。

「阿部典史あべのりふみさんですね。拝見してますよ。」

ノリック「えっ、僕のこと知っているんですか?」「周りの方は、誰も知らないのに、感激です」

新鮮な、若者らしい、一言でした。

間合いを見て、空いていたファーストクラスに招いて、お茶をしました。バイクの話で盛り上がったひと時の後、「頑張って下さいね。ニッポンの力を見せてやってくださいね。」と話したことを良く覚えています。

「爽やかな人となりに」すっかり魅了された私でした。

その後たしか、「ドゥーハン」独り勝ちという中で、いつも素晴らしい「走り」思い切りの良い「走り」を繰り広げてくれて、世界を転戦して忙しいライダー生活を送られてきました。私は、外地でもTV観戦できるときは、欠かさずウオッチしていました。

既に次々に「ライダー」を育てる側には回っていたとは思いますが、彼を失ったことは、本当に残念です。

深く哀悼の意を表するものです。悲しみです。

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2007.10.06

「管制」も信用できなかったら、どうすればいい?  あわや大惨事の伊丹空港

~離陸の機長(JAL機)が気がついて救われた~

離陸をしようとしているランウエーに向かって、ランディングしてきた航空機。この衝突が発生したら・・・・考えただけでぞっとします。

「管制」から飛行場管制の引継ぎ時に問題が生じたようですが、なんの言い訳にもなりません。過密化している日本の民間航空の空域、不足気味の管制官の人員配置など、そろそろ「抜本的な見直し」が必要になってきているのではないでしょうか。

<ニアミス>管制官と着陸機機長がミス 離陸機あわや 伊丹

10月6日2時2分配信 毎日新聞

 大阪・伊丹空港で5日夕、着陸しようとした全日空機と離陸しようとした日航機が、管制と全日空機の機長のミスから滑走路上で接近するトラブルが起きたと国土交通省が発表した。けが人や機体の損傷はなかった。
 国交省によると、着陸機は松山発のANA448便(乗客・乗員165人)。離陸機は宮崎行きのJAL2441便。トラブルは午後5時50分ごろ起きた。管制官は同空港の平行する滑走路のうち、ANA機に対して右の滑走路への着陸許可を出した。ANA機が左側滑走路に向かう上空にいると連絡したところ、管制官が左側滑走路への着陸を要求されたと判断。機長は左側への着陸指示に対して、右側滑走路に着陸すると伝えた。
 しかし、管制官から違っているとの指摘はなく、そのまま右側に下りたため、離陸しようと誘導路で待っていたJAL機に接近した。この際、JAL機は管制官から離陸するよう指示されていたが、着陸してくるANA機に気づき、誘導路にとどまったという。 

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2007.10.05

JALしりもち事故、新鋭B-737-800型機!

Photo 10月4日、JALの国内線に投入した最新鋭機B-737-800機が着陸時にしりもちをついた格好で着陸しました。もともと追い風など気象状況によって、着陸時には、機首上げの角度が大きすぎた場合、後ろを擦る可能性があるため、「テールスキッド」が装着されているため、幸いにも人身事故に至るようなことにはなりませんでした。航空局も人身事故ではないため「事故」の範疇には入れないと言っています。いわゆる「イレギュラー運航」というカテゴリーとして扱うようです。

あまり明らかにされてはおりませんが、国際・国内を持つエアラインでは、国内線は、パイロット特に副操縦士が機長昇格をするための予備期間(機長席についてコマンドをとる、つまり副操縦士が離着陸を行い、機長がサポートをする)フライトを抱えています。

私が、現役の頃も、「ドシーン」と着陸した時は、副操縦士が操作していた、ということは度々経験しております。

技量の向上、フライトタイム・離着陸回数の経験確保 のために「国内線フライト」は欠くことが出来ないものとは思いますが、実際に旅客を乗せた中でのプラクティスというのも、考え直した方がよいのではないでしょうか。

ここ数年JAL・ANAとも国内線で同種の事故を体験していることをみれば、優れたパイロット養成と法的問題そしてエアラインの姿勢を見つめなおすきっかけになればと感じます。

日航機事故 着陸時、後部が滑走路に接触 乗客無事 関空
      10月4日16時49分配信 毎日新聞

 4日午前8時ごろ、関西国際空港で、羽田発関西空港行き日本航空(JAL)173便(ボーイング737-800型機)が着陸時、機体後部が滑走路に接触した。同機はそのまま着陸して停止、乗員5人、乗客134人にけがはなかった。この事故で、同空港は、2本ある同空港の滑走路のうち、同機が着陸したA滑走路(3500メートル)の安全を確認するため、同8時45分から同滑走路を閉鎖、同9時半に運用を再開した。同機はこの後、関西空港と青島を往復する予定だったが、運航を取りやめた。
 日本航空によると、接触したのは、機体後方下部にある「テールスキッド」と呼ばれる部分。ニッケル合金製で、離着陸時に機体本体が滑走路に接触することを防ぐためにあり、自動車のバンパーのような役割を果たす。
 同様の事故は、05年3月22日、福島空港で日航機が起こしている。
 乗客の男性会社員(42)は「事故があったことは(取材で)初めて聞いた。大きな衝撃はなかった。機内のアナウンスもいつもどおりで、乗客の様子も変わったことはなかった。そんなことが起きていたとは」と淡々と話した。
 国土交通省大阪航空局関西空港事務所は「飛行に支障が出るような重大な損傷ではないため、事故にあたらない」としている。【江畑佳明】 

産経新聞10月4日 より

国交省によると、今回の尻もちは、事故や重大インシデントには、該当しないその他のインシデントとしているが、航空機の尻もち自体は「軽微なものを含めても発生の頻度は年に1回あるかないか」としている。

 平成17年3月には、福島空港で、大阪発の日航機が機体最後尾を滑走路に接触させ、「テールスキッド」が破損。14年1月には、函館空港で着陸のやり直しを試みた名古屋発の全日空機が、機体後部を滑走路に接触させている。

 また、昭和60年の日航機墜落事故では、7年前に起こした尻もち事故の修理が不十分だったことが、事故につながった可能性があると指摘されている。

以下は2005年福島空港でのしりもち事故の際にJALより出されたお知らせです。また、事後の原因究明では、外山智士さんの「航空事故総覧」に詳しく述べられております。

JL2261便のテール・スキッド滑走路接触について
発生日時 2005年3月22日(火)09:17頃
便名 JL2261便(大阪伊丹08:10-福島09:15)
使用航空機 B767-300型機(JA8265)
到着時刻 福島空港09:21(定刻より6分遅れ)
搭乗者数 運航乗務員3名 客室乗務員6名 乗客124名 総数133名
事例 3月22日午前9時17分ごろ、JL2261便が、福島空港着陸の際にテール・スキッド(注)を滑走路に接触させ、滑走路中心線灯(1個)を損傷させる事例が発生しました。お客さまとと乗員に怪我はありませんでした。機体点検に時間を要し、折り返しのJL2262便は欠航となりました。現在、原因につきまして調査を行なうとともに、当該航空機は徹底した点検を行なった上で運航を再開する事としております。

*テール・スキッド(tail skid):胴体後方下部に取り付けられているソリのようなもの。急角度の引き起こしや着陸時に,胴体後方下部を直接滑走路にこすって破損することを防止する。

平成17年3月22日
株式会社日本航空
株式会社日本航空インターナショナル
株式会社日本航空ジャパン 

【参考】 外山智士さんの航空事故総覧 より

2005年3月22日午前9時17分頃、大阪(伊丹)発福島行き日本航空インターナショナル2261便ボーイング767-300(JA8265)が、福島空港へ着陸時に機体後方下部のテール・スキッドを滑走路に接触させた。
 運航乗務員3名客室乗務員6名、乗客124名、計133名は全員無事であった。
 同機はそのまま着陸して自力走行し、午前9時21分、定刻より6分遅れで駐機場に到着した。接触によりテール・ス
キッドに擦過痕が出来るなど損傷したほか、滑走路上の中央部の中心線灯1個のアルミ製の土台が割れてガラス片が飛び散るなどして破損した。
 本件の影響で福島空港は一時閉鎖されたが、滑走路上の破片を回収したうえで運航が再開された。また、折り返し
便が欠航となったほか、名古屋行きの1便に約40分の遅れが出た。
本件発生当時、福島空港の天候は曇り、風は弱く、視界は良好であった。同機は副操縦士の操縦で進入していた。
 目撃者によると、ドーンという大きな音と共に着陸し、主脚の接地から前輪の接地までに時間を要していたという

 テール・スキッドは、幅約25cm、長さは最も伸びた状態で機体から約45cm突き出したそり状の金属製部品で、離着
陸時に機体後部が滑走路面に接触した際に伸縮して衝撃を吸収する緩衝装置である。内部には高圧ガスが充填されたシリンダーが内蔵されており、主脚を出すとそれに連動して最も伸びた状態になる。ボーイング767-300では、座席数を増やすためにボーイング767-200の胴体をストレッチした結果、離着陸時に滑走路に機体後方下部を接触させやすいために、万一、接触させた場合でも衝撃を緩和して機体が壊れるのを防ぐ目的でテール・スキッドを設けている。国土交通省航空局運航課は、本件について、あってはならないこととしながらも、テール・スキッドが、機体後方下部を構造上接触させやすいボーイング767-300型機を守る緩衝装置であったことから事故にはあたらないとした。
 本件の発生について、日本航空福島事務所から福島県福島空港事務所に連絡があったのは、発生から約20分経過し
た午前9時40分頃で、同事務所では連絡が早ければ、滑走路の修理などの対応が早くできたはずだと指摘した。日本航空によると駐機場到着後、約15~20分で乗客が降機し、その後に機長らが機体を確認し報告したため時間を要したという。
 3月23日には、福島県知事が記者会見で、国と日本航空に原因究明と対策を求める意向を表明した。日本航空は3月
30日、福島県に対して中間報告を行った。中間報告では、予想以上に強い追い風と不安定な気流の中で機長が副操縦士から操縦を引き継ぐ時機を逸した可能性があること、副操縦士が気象状況に気をとられていたこと、機体の失速に副操縦士が気づかなかった可能性があること、着陸時の機首上げの際に水平尾翼のトリムを調整したため機首上げの角度が大きくなって機体後部が接触した可能性があることなどが盛り込まれていた。
 
4月14日、日本航空は、福島県に最終報告を行ったが、中間報告の内容とほぼ同じで、機長が副操縦士から操縦を引き継ぐ時機を逸したこと、副操縦士が不規則な強い追い風などの気象状況に気を取られすぎたこと、着陸時に水平尾翼を調整したため機首上げの角度が大きくなりすぎたことなどを原因として挙げた。
 日本航空グループは、管制塔から許可を得ないまま離陸滑走を開始した件(2005年1月)や、非常脱出装置のモードを切替忘れたまま運航した件などの不安全事象が相次いだことから、3月17日に国土交通大臣から日本航空インターナショナルが業務改善命令を、日本航空と日本航空ジャパンが厳重注意の警告書を受け、CEOの交代人事を当初予定していた6月から4月に早めるなどの発表をしたばかりで、本件についてもマスコミに大きく取り上げられた。国土交通省は、3月24日付で航空・鉄道事業者、航空管制機関宛に、ヒューマンエラーが多発していることから緊急安全点検を行うように通達するとともに、3月28日以降日本航空を中心に航空22社の査察を行った。

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(C)2005 外山智士

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2007.10.04

ボンバルディア社の姿勢に疑問!

ここのところ、ブログの更新に手が回らず、冷汗をかいております。

9月26日の産経新聞にコメントが掲載されました。トラブル・事故続出のボンバルディア社なのに、なぜ「強気」の姿勢だけが目に付くのでしょうか。自動車メーカーでも新車に対してもこのような事故が続けば、三菱自動車の例をみても屋台骨が傾きます。いくら、シェアーが圧倒的と言っても選択肢は、あります。

ニッポンの政府、ユーザーであるエアラインも、甘く見られているように思えてなりません。

ボンバル機“視界不良” ドイツでまた胴体着陸事故
9月26日8時2分配信 産経新聞

 ■経済性人気も/トラブル多発/最優先は安全…

 今年3月、高知空港で前輪が出ず胴体着陸したカナダ・ボンバルディア社のDHC8-Q400型機が、ドイツでまた胴体着陸する事故を起こした。同型機は経済性に優れ、国産旅客機YS-11の後継機として主要国内線で就航してきたが、海外で主脚破損事故が相次ぎ、25日には鹿児島県・沖永良部空港でも不具合が起きた。「トラブルの多い機体」と利用者や関係者に不安が広がっている。(水野拓昌)

 同型機は21日、ドイツ・ミュンヘン空港で前輪が出ず、胴体着陸した。国土交通省は24日、前脚ドア開閉機構のばねと留め具について、目視点検と非破壊検査を行うよう航空各社に指示した。

 国内では全日空グループ2社が14機、日本航空系列の日本エアコミューター(JAC)が10機を保有。高知空港の事故を受けてこまめに非常操作での作動点検を行ってきたこともあり、点検指示による運航への影響はなかった。

 一方、同型機は9日にデンマーク、12日にリトアニアで主脚破損事故を起こし、ボンバルディア社が各国の航空会社に緊急点検を要請。同省も着陸回数が多い機体の詳細点検を求める耐空性改善通報(TCD)を出し、12~17日に計140便が欠航した。追加指示により25日もJAC4便が欠航、大きな影響が出た。

 6日間で85便欠航したJACは「利用者に迷惑をかけたのは不本意だが安全を優先させた」(総務部)。高知空港の事故を経験している全日空は「その後はトラブルも減り、安全性回復が認められていると思った矢先だった」(広報室)と当惑している。

 ボンバルディア社のトッド・ヤング副社長は14日に記者会見し、「利用者に心配をかけ、心苦しく思っている」と陳謝した。それでも業績への影響は小さいとの自信を保っている。

 同型機はプロペラ機としては最高水準の巡航速度(時速約670キロ)を誇り、騒音も小さい。ジェット機に比べて燃費効率が良く、「原油価格の高騰も背景にあり、価値は持ち続ける」(広報担当者)とみているからだ。

 だが、航空関係者の間では「トラブルがやや多い」と不安視する声も。以前にも計器の異常などトラブルによる欠航があったという。

 航空評論家の秀島一生氏は「利用者は安全に敏感。航空会社の機体選びも慎重にならざるを得ない」と、経済性が重視されてきた機体採用は変わっていくとみる。「対症療法だけでは根本解決にならない。自動車の欠陥ならリコールできるのに、航空会社はメーカーにもっと強く言えないのか。厳しい態度で臨むべきだ」と指摘している。

                   ◇

 ■最近のDHC8-Q400 型機の事故

3月13日 全日空機が高知空港で前輪が出ず胴体着陸。乗客乗員60人は無事 

9月 9日 スカンジナビア航空(SAS)機がデンマーク・オールボー空港で右主脚破損、滑走路を逸脱  

  12日 SAS機がリトアニア・ビリニュス空港で右主脚破損      

  21日 ドイツ・オーグスブルグ航空機がミュンヘン空港で前輪が出ず胴体着陸。乗客乗員68人は無事   

                   ◇

【用語解説】ボンバルディア社

 カナダの航空機メーカー。米ボーイング、欧州エアバスに続く世界大手。1980年代以降、カナディア社、デハビランド・カナダ社を買収し急速に成長した。比較的短距離を運航する小型機で大きなシェアを誇る。双発小型プロペラ機「DHC8」の最新型「Q400」はエンジンや客室内の騒音を抑える機能を強化したが、各国でトラブルが相次いでいる。 

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2007.09.17

「格安エアライン」につきまとう「安全への不安」    「オリエント・タイ航空」プーケットでの着陸失敗!

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タイ南部のプーケット国際空港で16日午後3時半(日本時間同5時半)ごろ、バンコク発

のワン・トゥー・ゴー航空269便(MD82型旅客機、乗客123人、乗員7人)が着陸後に滑走路をオーバーランして炎上しました。ロイター通信によりますと乗客乗員88人が死亡、残る42人が負傷した模様です。

~オリエント・タイ航空といえば・・・。~

この「ワン・トゥー・ゴー航空」は、格安航空運賃で人気の「オリエント・タイ航空」の国内部門の航空会社です。日本で言えば、JALの場合はちょっと前までのJALジャパン社、ANAの場合は、エアーニッポン、と思えばほぼイメージできると思います。

さて、オリエント・タイ航空といえば、2004年10月のことですが、東京タワーすれすれに「ジャンボ機」が低空飛行したことがあります。羽田に着陸予定のところを、ランウェーに充分なアプローチができなかったため、「浦安」方面で旋回し、「首都東京」を舐めるように飛行しました。

「管制」のコントロール下になかった時間が「7分間」。日本周辺の国家であれば、「撃墜される」ような事態だったのです。

この航空会社が「オリエント・タイ航空」でした。

~アジアでの格安航空の特徴~

シンガポール、マレーシア、タイを中心として著名なエアラインは直属の格安航空を保持し、熾烈な競争を演じています。しかし、いずれも「経年機材」を駆使したり、「メンテナンス」「乗員の教育・訓練」などに多くの問題も挙げられています。今回の事故については、日本人乗客は搭乗していなかったとのことですが、「アジア経済圏」での動きが高まる中、他人事ではありません。「原因究明」が待たれるものです。

<タイ機炎上>プーケット空港で着陸に失敗、88人が死亡
9月16日21時55分配信 毎日新聞

 タイ南部のプーケット国際空港で16日午後3時半(日本時間同5時半)ごろ、バンコク発のワン・トゥー・ゴー航空269便(MD82型旅客機、乗客123人、乗員7人)が着陸後に滑走路をオーバーランして炎上した。ロイター通信によると、プーケット県のワラポット副知事は88人が死亡、残る42人が負傷したと語った。日本の外務省によると日本人乗客はいなかった。
 現地からの情報によると事故当時、空港周辺は激しい雨が降っていた。事故機はいったん着陸態勢に入った。しか
し視界不良のため、再び上昇しようとしてバランスを崩し、そのまま着陸。横滑りしながら、滑走路脇にはずれ、機体が二つに折れて炎上した。
 事故機に乗っていたマルネ・キッセルさんは「着陸直後に炎上した。機内はパニックになった」とAFP通信に語
った。生存者の一人は「機内アナウンスが一切、なかった」と述べた。
 ワン・トゥー・ゴー航空は、00年に設立された格安運賃が売り物の民間航空会社オリエント・タイ航空の国内線
部門。
 プーケット島はタイ南部のアンダマン海に浮かぶ南北約50キロ、東西約20キロの同国最大の島。国際的なリゾ
ート地で、透明度の高い海と白い砂浜で有名。年間の平均気温が30度近くあり、1年を通してマリンスポーツが盛ん。日本人観光客にも人気がある。04年12月のインド洋大津波で大きな被害を受けた。 

最終更新:9月16日23時38分

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2007.09.13

ボンバルディア機 異聞! 

~デンマークで起きた「ボンバルディア機車軸破損事故」~

着陸時の右ランディングギヤ破壊の瞬間は、繰り返し「映像」でも流れました。「あんなにやわに出来ているのか」と見ているも者は誰もが感じたことと思います。

SAS(スカンジナビア航空」でも大きな問題として扱っています。

ボンバルディア社、DHC8?Q400型機の検査要請 
2007.09.12
Web posted at:  17:02  JST - CNN/AP

ストックホルム――北欧のスカンジナビア航空は12日、カナダの小型航空機製造メーカー大手、ボンバルディア社が同社製のDHC8―Q400型機の運航で、飛行回数が少なくとも1万回に到達した機体の検査を求める通達を出したと述べた。
スカンジナビア航空の同型機は12日、バルト海のリトアニアで車輪の不具合を起こし緊急着陸している。また、3日前にはデンマークでの着陸の際、車輪が故障していた。
同型機を含むボンバルディア社の飛行機は今年、日本でも車輪の格納表示器のトラブル、前輪が出ない不具合などを起こしている。

~日本では~

JALグループのボンバルディア機3機に運行停止を指示=国交省
2007年09月12日18時15分

 [東京 12日 ロイター] 国土交通省は12日、日本航空(JAL)<9205.T>グループの日本エアコミュータ

ーが保有するカナダのボンバルディア社製DHC―8―400型機3機について運航停止を指示した。

 デンマークで9日に、リトアニアで12日に、それぞれスカンジナビア航空の同型機が着陸後に右主脚を破損する

事故が発生し、製造元であるボンバルディア社が着陸回数1万回以上の主脚を装備した機体について運航停止を推奨

すると通知した。これを受け、国交省は国内の同型機計24機のうち該当する3機を運航停止の対象とした。すでに

鹿児島空港で2機、伊丹空港で1機、運航を停止している。

~今後の「航空機選択に当たっては?

近距離、コミューターの需要にマッチングする航空機は、その「経済性」を中心に見ると「ボンバル社」がベストと言う見方がされており、このフィールドではダントツのシェアーを誇ってきました。だからと言ってたに「メーカー」がないわけではありません。

今回の「ボンバルディア機問題」では、機材選択時のポイントとして、「安全性」への比重を高める必要があると教えているのではないでしょうか。

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2007.09.07

クリア エア・タービュランスか?  大韓航空機乱気流事故

~またも、多くのCAが怪我~

Photo 9月2日の大韓航空機の事故は、機長の話から、あるいは「シートベルト着用サインが点灯していない)ということなどから推定しますとCAT(クリアエアタービュランス)=晴天乱気流が原因のようです。

乗客5名乗員6名が負傷したとのことです。事故当時の状況を考えると、当該便がブロックアウトしてから46分後、つまり巡航に入って20~30分後のことですから、「飲み物や食事のサービス真っ盛り」であったと思われます。乗客は着席、CAは、機内で忙しく立ち働いていたことでしょう。客室乗務員の編成数は、推定7名。そのうち6名が負傷していることからも明らかでしょう。

レーダーにも映らず予測もできない「クリア エアー タービュランス」は、乗客は、「シートベルトサインが点灯していなくても、軽くでも締めておく」ように案内されていますから、ある程度危険から身を守ることもできますが、CA達はよけようがありません。

CAの被災については、やむを得ないことと「暗黙の認知」がされてきましたが、このままでよいのでしょうか。

この路線、済州島/関西のフライトタイムはおよそ、平均1時間半です。ブロックアウト→テイクオフ→上昇→クルージング→アプローチ→ランディングのことを考えれば、いわゆる「機内サービス」に許されるのは1時間にも満たないと言えるでしょう。

エアライン・旅行代理店間の競争という問題さえなければ、この区間で食事などのサービスをすることは、本来無理があるのです。

8月20日に起きたチャイナエアライン事故などを思い起こせば、「乗客の脱出」を指揮、援助すべ き客室乗務員のほとんどが、地上に到着する前に怪我をしている状態ですから、不安さを増すものです。

近い将来、こうしたCATのことも鑑み少なくとも短距離路線では、「安全を第一として、食事サービス、到着ぎりぎりまでの機内販売などは、実施しない」という趣旨のエアライン間の申し合わせなどをおこなっていただきたい、と考えるものです。

【タービュランス関連のブログ】

KLM機 2007.06.06

・タービュランスでの怪我追放 2007.01.07

一日に3回も  2007.11.21

・トルコ航空機  2006.08.09

・絶え間ない乱気流事故 2006.07.10

・CA骨折    2006.01.24

乱気流で11人軽傷=済州島発の大韓航空機-関空
9月3日0時30分配信 時事通信

 2日午後7時半ごろ、韓国・済州島から関西国際空港に向かっていた大韓航空機733便(乗客・乗員111人)が、松山市の手前約110キロの上空で乱気流に巻き込まれ、乗客5人、乗員6人が負傷した。同機は午後8時14分、同空港に着陸。大阪府警関西空港署によると、11人全員が軽傷という。
 同署や国土交通省関西空港事務所によると、機体はエアバスA300-600型機で、損傷はないという。
 負傷した乗客5人は、日本人男性と韓国人女性が1人ずつと、中国人の男女3人。乗員は全員韓国人女性。乗客の中国人女性1人が頭から血を流していたが、ほかは打撲という。負傷者は泉佐野市内の病院に搬送された。
 大韓航空によると、733便は午後7時前、済州島を離陸。松山市の北西約110キロ、高度約1万700メートルの地点で乱気流に巻き込まれた。機長は「晴天だったのに、突然機体が約200メートル降下した」と話しているという。  

最終更新:9月3日0時30分

関西空港行き大韓航空機、乱気流に巻き込まれ11人けが
9月3日3時24分配信 読売新聞

 2日午後7時30分ごろ、韓国・済州島発関西空港行き大韓航空733便(エアバス300―600型機、乗客102人、乗員9人)が松山市沖の上空を飛行中、乱気流に巻き込まれた。 午後8時14分、関空に着陸。乗客5人と乗員6人が軽傷を負った。 国土交通省関西空港事務所などによると、けがをした乗客は日本人男性1人、中国人の男性2人と女性1人、韓国人女性1人。 同機は同6時46分、済州島を出発。松山市の北西約110キロの海上、高度約1万メートルを飛行中、乱気流で機体が突然、急降下し、乗客らが天井に頭をぶつけるなどしたという。同社によると、シートベルトの着用サインは出ていなかった。

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2007.09.01

航空機メーカー、ユーザー(エアライン)、監督官庁は、どうあるべきでしょうか?

~チャイナエアライン炎上事故から学ぶもの~

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トラブルや事故は、その大小を問わず、必ず発生します。航空は交通機関の中で最もスピードを伴う乗り物です。このため、二重三重にフェイルセイフ(安全弁)をかけていてもトラブルは起こるのです。便利さ・快適さの裏側で常に「危機」をも抱えています。

仮に「大げさ」と評価されたり、「安全性をとって遅延」したことで利用者から不満をあげられても、「最大で最速」の処置を講じる「パイロットや客室乗務員の判断」がいかに大切かを教えているのではないのでしょうか。かつて、日本航空では「臆病者と言われる勇気を持て」というのが社長命令でした。エアラインを問わず、一刻も早くこの原点に立って運航をしていただきたいと思います。

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私の体験にもとずく実感では、JALやANAのパイロットや客室乗務員であれば、ああした展開にはならなかったと確信しています。

同時に、「安さ」を追及して「契約制の客室乗務員」制度をくまなく張り巡らした現在のあり方で、「そのフライト経験度からくる完熟度を求めることに無理はないか」、「乗客の命を守る」という崇高な職業意識は大丈夫だろうか、という点について「将来の不安」を持0010 つものです。

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~揺れ動く「原因追及」~

2007_0831001 こうした問題と、事故原因の追及は別の問題です。B-737の装備やパーツについては、アメリカ国内で、「内部告発」があり、「ワシントンポスト紙」でもかつて大きくとりあげられていました。この際に、日本の監督官庁である航空局やユーザーである各エアラインの反応は、残念ながらあまり積極的な姿勢ではありませんでした。アメリカの「FAA連邦航空局」の判断を待つような感覚であったと報道では言われています。私から見ますと「日本のユーザーはボーイングから見れば最高の顧客です。怪しい問題に対しては、納得できる回答が得られるまで退かないしつこさを持ったクレームをあげてしかるべきなのではないでしょうか。このことが「利用者」を守る道でもあると思うのです。

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整備上の問題にしても、チャイナエアラインの問題は「他人事」ではありません。ある著名な評論家や大学教授などは、「自社整備をやめて、外注ばかりにして何が悪い」「エアラインが利益をあげるための措置だから仕方がない」などと「エアライン経営者の言い分」を代弁したりするようになってきています。しかし、「エンジンを左右逆に取り付けたまま納品した」ことなどをはじめ、自社整備では考えもしなかったミスが多くあげられています。

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航空輸送事業で莫大な利益をあげようという妄想はそろそろ「考え直す」時期にきているのではないでしょうか。「A地点からB地点まで安全で快適に輸送する」基本を全うすることが、実は「利用者からの信頼」を勝ち取り、頻繁に利用してもらう原動力なのではないでしょうか。みせjかけにつかう費用は、見えない「安全」に重心を転換してもらいたいと考えます。

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ボルト留め具 ANKでも欠落 製造ミスの可能性も 8月31日9時58分配信 毎日新聞  那覇空港の中華航空機爆発炎上事故を受けた一斉点検で、エアーニッポン(ANK)は30日、事故機(ボーイング737-800型)と同系機(737-700型)で、ボルト留め具(ワッシャー)が欠落していたと発表した。同社が保有する13機のうちの1機で事故機同様、主翼にある高揚力装置「スラット」取り付け部で異常が見つかった。同部位の整備歴がないため、ANKは「製造時からワッシャーが無かった可能性がある」としている。【長谷川豊】  ANKは同日、国土交通省に報告。事態を重視した同省は米連邦航空局(FAA)に原因究明を依頼した。ボーイング社も調査を始めた。  異常は左主翼のスラットで見つかり、燃料タンクに近い位置だったが、ボルトは脱落していなかった。今年1月の就航以来、1046回計約1330時間飛行しているが、異常はなかった。現在は、ワッシャーを付けて、機体を使用している。  中華航空機では、右主翼のワッシャーが脱落した影響で外れたボルトが、燃料タンクを突き破ったとされ、整備ミスが疑われているが、今回の件について、ANKは「整備歴がなく、製造時の状態で飛行していた可能性が高い」としている。  ある整備関係者は「ワッシャーがないという点では、中華航空機のケースと共通している。しかし、設計上はワッシャーがないからといって、すぐにボルトが脱落するわけではない」と話す。また、国交省は「長期的にはボルトが脱落する可能性があった」とみている。  点検は国交省の指示に基づくもので、日本航空とスカイマークの2社も保有する同系機計10機を点検したが、異常はなかった。同省によると、海外の航空会社でスラット取り付け部の部品の一部が外れているケースが4件、FAAに報告されたが、ワッシャーの欠落かどうかは不明という。

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2007.08.23

どこかがおかしい・・・。

奇跡の脱出、死角は 中華航空機炎上

朝日8/22

 機体が炎上しながら、乗客に負傷者を出さずに済んだ中華航空機の事故で、同社側は出火の確認から脱出完了までの所要時間を「60秒」と説明している。国際的な安全基準「90秒ルール」はクリアした、と強調した形だ。しかし、炎が上がっても乗員は「大丈夫」と繰り返し、直前まで機内放送もなかった、と複数の乗客らは証言する。危機管理は万全だったのか。

 ●「放送使わず声で」機長指示、誘導聞こえぬ乗客も

 中華航空のスポークスマンは21日の会見で、事故当時、機長は乗客の避難誘導に機内放送は使わず、客室乗務員に直接、客を緊急避難させるよう指示していたことを明らかにした。「時間的に切迫し、機長は機内放送より客室乗務員に直接伝える方が早いと判断した」とし、誘導は適切だったとの考えを強調した。

 台北からの120便(ボーイング737―800型)の機長が火災に気づいたのは、20日午前10時32分すぎ。那覇空港の駐機場に停止した時だ。地上の整備士から、「燃料が漏れ、エンジンから黒煙が上がっている」と報告を受けて事態を把握し、乗客に避難を呼びかけた。157人の乗客は、客室乗務員の誘導を受けて、出口4カ所から緊急時に作動する脱出シュートを使って地上に降りた。機長は「避難マニュアルに従って乗客の避難を優先し、最後に操縦室の窓から脱出した」と説明しているという。

 中華航空は、脱出完了までの時間「60秒」を強調する。整備士の報告から脱出完了までの所要時間。米連邦航空局が定めた「90秒ルール」を意識したと見られる。

 機内の半数の出口を使い、すべての乗客が90秒以内に脱出できるように通路の幅や安全設備などを設計するよう定めた基準で、国際的なルールとなっている。たとえ機体が炎に包まれても、この時間内に逃げ出せれば、乗客への被害は防げるという目安でもある。 だが、乗客からは乗員の対応に不満の声が出ている。

 事故機が那覇空港に着陸してから、駐機場に止まるまで5分間。その間に、台湾籍の乗客は右主翼エンジンから上がる黒煙に気づいた。客室乗務員に伝えたが、「タイヤの煙だ」と取り合ってもらえない。エンジンからだと訴えても、「大丈夫」。

 駐機場で機体が停止する直前、炎が上がり、周囲の乗客が悲鳴とともに座席から立ち上がった。それでも、客室乗務員は「大丈夫」と繰り返し、機長は「立たないように」とアナウンスしたという。「着陸後に焦げ臭いにおいがして、エンジンから煙や炎が上がった」という証言もある。

 香港在住の日本人乗客は、右エンジンから炎が上がり、機内が騒然とする中でも、機内アナウンスはなかったと証言する。前方の出口から脱出シューターが見え、客室乗務員は中国語で「ここから飛び降りて」と叫んでいたという。

 「機内で避難誘導の声は聞こえなかった」と証言する乗客もいる。

 また、脱出完了までの時間について国土交通省は約2分間としている。

<中華航空機炎上事故の経過>

10時27分 那覇空港に着陸

   32分 駐機場41番スポットに到着

       整備士がエンジンからの燃料漏れと出火を目撃し、操縦席に連絡

   34分 乗客らが脱出を完了

   35分 大規模な爆発が発生

11時37分 鎮火

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やはり、駐機前から「予兆」はあった!    チャイナエアライン炎上爆発事故

駐機前から燃料漏れ 作業員が目撃 中華航空機炎上事故
   朝日8/22.夕刊
 那覇空港で起きた中華航空機炎上事故で、事故機は着陸後の地上走行の時点で、すでに右主翼での燃料漏れが起きていた疑いが強いことが、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べでわかった。駐機場にいた作業員が、走行中の事故機の燃料漏れを目撃していたという。事故機は駐機場のスポットに停止し、乗客らが避難した直後に炎上しており、調査委と沖縄県警は燃料漏れがどの時点で始まったのかを詳しく調べている。=16面に関係記事

 事故機は20日午前10時27分に着陸。誘導路を約5分間走行し、同32分に予定されていた41番スポットに到着した。事故機は誘導路から右折し、作業員らの誘導を受けて徐行してスポットに停止した。調査委などによると、この作業員は燃料漏れが起きた事故機の近くに立っており、徐行でスポットに前進してくる事故機で、すでに右主翼で燃料漏れが起きているのを目撃したという。
 これまでの調べによると、事故機が停止した段階で、日本航空グループの整備士らが燃料漏れと出火を確認。機長に報告し乗客らの避難が始まったことが分かっている。
 今回明らかになった作業員の証言から、事故機は少なくとも走行中から燃料漏れが起きていた疑いが強まった。乗客の中には、地上走行中に右主翼にある第2エンジンから上がる黒煙に気づいたと証言する人もいる。
 一方で、事故機のパイロットは、燃料の異常な減少を意味する計器表示やエンジン火災を示す警報はなく、整備士からの連絡で初めて異常に気づいたと説明している。
 国交省と調査委の事故後の調査では、滑走路や誘導路で燃料漏れの形跡は確認できなかった。しかし、当時の気温は約30度で舗装路面はもっと高温になっており、調査委は、仮に走行中に燃料が漏れても、揮発した可能性が高いとみている。

 ●炎迫る脱出劇
 中華航空機事故で、同機に乗っていた那覇市内の大学教員の男性(54)が、脱出の途中、機内の窓から見えた炎などを写真に撮っていた。
 男性は米国・サンフランシスコから台北経由で到着。前方左側9列めの窓側の座席から立ち上がり、出口に向かおうとしたところ、「これは何なんだ」と叫び声がした。座っていた付近の窓の外後方、主翼あたりにどす黒い煙と炎を認め、夢中でシャッターを押した。
 前方左側の脱出シュートから機外に出たのは、早い方だった。後方から「早く前に進め」という怒鳴り声が聞こえた。滑り降りた後、振り返って機体の下方から黒煙が上がる様を撮影。国際線ターミナルに逃げる途中、背後から「ドーン」と鈍い爆発音が聞こえたという。

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トラブルは、避けられない!             問題は「いつどんな対応をしたのか」なのです。

~「乗客の生命を守る」とは、どういうことでしょうか~

航空機は、3次元の空間を飛ぶ交通手段です。地に足が付いている「鉄道」「自動車」とは根本的に違う面を持っています。考えられないくらいのスピードで、常に気流や天候という厳しい自然と対峙しており、立ち止まることもできません。正直なところ、5分10分の「遅延や早着」など当然のことと考えたほうが自然です。分単位のスケジュール運航(定時制)を求めることの方が不自然だと思っています。

「定時制」ということは、多少の安全上の不安を敢えて乗り越えること促す側面もある訳ですから、航空機の「一瞬といえども油断できない」特徴を鑑みると、「危険な追求」と言い換えられるかもしれないのです。

チャイナエアラインのケースでは、こういう観点から見た場合どうだったのでしょうか。

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2007年  8月22日付 朝日新聞朝刊 に「コメント」が掲載されました。

~客室乗務員は、どう行動すべきか!~

~緊急時の対応についての「マニュアル」~

緊急時の客室乗務員の取るべき行動は、どのエアラインでもマニュアル化されています。以下は、要旨です。

☆ 火災発生(煙の異常発生を含む)・FUEL LEAK(燃料漏れ)・機体の著しい損傷・浸水(着水時)などに波及する恐れのある場合は、EVACUATION ALARM(非常ベル)を作動させて脱出を開始する。

緊急陸上脱出の際は、機長からの脱出指示を受けた後、担当ドアの開放(=スライドを出す)の可否判断は、

1.火災がないこと

2.燃料漏れがないこと

3.スライド ラフトを膨らませる充分なスペースがあること

4.海上脱出の際は、さらに、水位を確認する。

さて、「チャイナエアライン事故」の状況は、どうだったのでしょうか?

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2007.08.21

奇跡の60秒脱出か?それとも・・・。               チャイナエアライン炎上!

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~一瞬の差が、命を救った~

8月20日の「チャイナエアライン」事故は、「航空機の安全」とは、いかに切実なものか、いかに壊れやすいものか、を映像を通して利用者に如実に物語るものでした。結果的に、「奇跡の60秒脱出」でひとりの犠牲者も出さないですんだことは、大きな拍手を送るものです。本当に「良かった」と感じます。

メディアを通しての多くの報道・評論の方向性は、表層的な面では語りつくされていると感が致しますので、私としては「永らくフライトをしてきた者として持っている違和感」についてもう一歩踏み込んで見たいと思います。

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~一方で、いくつかの疑問が残ります~

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「60秒の奇跡」の裏を返せば、「10秒遅れれば、大惨事!」になったということでもあります。私とすればいくつかの疑問を抱えております。

☆本当に「運航は正常」だったのだろうか。

チャイナエアラインや航空局の発表によれば、「スポット インまで運航は正常だった」としています。、エンジン停止後に整備士から「燃料漏れが見つかった」というものです。本当にそうなのでしょうか。

まず、搭乗旅客からの聞き取りによれば、機が停止する前に「エンジンから煙が上がっている」と客室乗務員に訴えたが、「大丈夫です。安心してください。」という趣旨のアンサーで返されているいるという事実があります。これは、客室乗務員が「非常事態とは認識していない」か、「認識していてもコックピットとのなんらかのコミュニケーションがあって、旅客にパニックを与えないようにという指示がなされていた」と考えるのが妥当なのではないかと思います。では、どちらなのでしょうか。今後の調査に大きな関心を持ちます。

「フューエル リーク」(燃料漏れ)ということは、今回の事態のように航空機にとって致命的なダメッジになるものです。コックピットでわかる範囲は、「通常フライトの中で、著しく残量が減っている」場合のみということで、原因が燃料パイプの損傷であれなんであれ、リークの量の多少であれ「リークそのものがコックピットのインジケーターに表示されない、ウォーニングもない」ということを聞き及んで改めて「死角」のあることに驚きました。この点については、パイロットの方々のご意見を再度お聞きする必要がありますが・・・。

元全日空機長で同型機を操縦したことのある乙訓昭法さん(64)は、「操縦席には燃料漏れだけを知らせる装置はない。燃料漏れは離着陸の際に地上から指摘を受けるか、飛行中の燃料の消費状態で判断しなければならない。しかし、空港会社はエンジンを切る直前の火災は想定していないのが現実。事故があった以上、これからは徹底した着陸後の管理が求められる」と話している。8/21産経新聞より

当該航空機737-800は、システムを見張る航空機関士は要らない、すべてコンピューターで感知・コントロールできるという触れ込みで「パイロット2人」だけで運航する「ハイテク機」の象徴となっている機でもあります。

仮に燃料の「リーク」があってもパイロットにはわからない、警告も発されないシステム構造となっているとすれば、ハイテクを誇る航空機メーカーとしては、この点については根底から改善する必要があると思います。

また、エンジンについては、報道でも明らかになっているように、トラブルがあれば、インディケーターにすぐ警告がなされ、自動的に「エンジンカットオフ・消火作動、これが効かない場合は手動で」というフェイルセイフ構造になっています。

世界で、この最新鋭737-800型機は1500機以上も生産され、世界中を毎日飛び交っています。同型機(737-700まで)を入れれば6000機にものぼるベストセラー機材です。しかし、今回と同じようにスポットイン(ブロックイン)後に炎上爆発というケースはないと聞いております。

それゆえ、航行中、あるいはランディング直後でも、エンジン停止前に何らかのトラブルの「予兆」があったのではないかという推論を消せないでおります。

事故調査委員会の当初の発表では、着陸後の跡をたどっても「リークの痕跡」はないとしています。揮発性のある燃料が一目でわかるような痕跡として残るものなのでしょうか。少量であってもわかるものなのでしょうか、とも考えます。

事故調査委員会は、20日深夜の会見で「乗員・乗務員からの聞き取り」については発表できないとしています。しかし、私たちからすれば「その時どうだったのか」という鍵になる証言でもあります。明らかにできるものは早期に明らかにすべきではないかと考えてしまいます。

☆チャイナエアラインの事故歴の特徴

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94年の名古屋での墜落事故、747機の空中分解墜落事故、などチャイナエアラインの事故歴の特徴は、事故調査をすると「考えられない」というような事故形態が共通しています。

☆コスト削減で格安運賃の是非

チャイナエアラインのみならず、世界的に「格安運賃競争」は激化しており、「安ければ、多少のことは、目をつぶる」という利用者側の選択も相まって、表には見えない「安全」は危機に瀕しているといえます。

格安運賃という点では、このチャイナエアラインも人気を博している面もあります。ランディング直後に「誘導路で立ち往生。脱出させる」ようなことは、できるだけ避ける。信頼低下をさせないためにも、ぎりぎり表面化しないようにオペレーションすることは、なかったのだろうか、と心配します。

☆90秒脱出の困難性

全部の脱出シュートの半分で90秒以内で脱出できるようなつくりにする、乗務員の訓練もこの中で収まるように考えられています。訓練の場合は、同僚や社員が乗客の役を演ずるわけですので、わかったもの同士の問題です。

パイロット・客室乗務員とも、いざという時の「脱出の想定」は、「予告された場合」「突発的な場合」という風にまったく別の「訓練」を積み重ねています。

予告されている場合は、自分がどのドアから逃げるのか、などを含めて乗務員と乗客とのコミュニケーションは充分にとられていますのでパニックはある程度コントロールできますが、突発的な場合は、そうはいきませんので困難な条件が重なります。乗務体験を重ねた者でも大変です。

こうしたことを合わせて考えますと、「60秒で脱出誘導」したことがいかにラッキーなことかは、理解いただけるものと思います。

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事故調には、こうした疑問をクリアーできるような、今後の安全基準に影響を及ぼせるような、解明を強く期待するものです。

黒い煙に乗務員「大丈夫」…一転、炎と怒声 中華航空機 

asahi.8.21.2007----------------------------------

 観光にビジネスに、沖縄を訪れた160余の人たちが一度に命を落としかねない惨事となった20日の中華航空機の爆発・炎上事故。乗客たちは、うっすらと上がった煙がまたたく間に炎となって機体を包む一部始終を目の当たりにした。機内で一人が「何かがおかしい」と感じてからわずか数分。「間一髪」に何があったのか。

 ■「タイヤの煙」と取り合わず

 出発から約1時間たった午前10時27分。乗客と乗員計165人が乗った中華航空120便は、ごくふつうに那覇空港に着陸、駐機場に向かい始めていた。

 那覇市で食堂を営む知人を手伝うために、前から7列目の右側に座っていた台湾の崔鄭如(サイ・テイニョ)さん(65)が、右主翼下のエンジンから黒い煙が立ち上るのを見たのは、その時だった。すぐに客室乗務員に知らせたが、「タイヤの煙だ」と取り合ってもらえなかった。「エンジンの回転部分からだ」と食い下がったが、「大丈夫」とあしらわれた。

 崔さんの席から8列後ろに、夫と1歳の息子と一緒に沖縄観光に来た羅卉茹(ラ・ケイニョ)さん(27)がいた。羅さんもまた、焦げ臭いにおいが機内に漂っていることに異変を感じた。窓の外を見ると、右翼エンジンの周辺に上がる煙が目に入った。何かおかしい――。

 しかし、何事もないかのように機体は駐機場で静止し、シートベルト着用サインも消えた。乗客は一斉に立ち上がり、棚から荷物を取り出すと通路に並んだ。

 ■あっという間に両翼とも炎に

 突然、右の窓際席から上がった女性の悲鳴が機内を貫いた。

 「煙が出ている!」

 那覇市の実家に帰省するため妻(26)と一緒にやや前方にいた香港在住の会社員、渡部修帆(しゅほ)さん(28)が、その中国語の意味を理解した直後には、右翼エンジンからの煙はもう炎に変わっていた。左側の窓の向こうにも火柱が見えた。あっという間に両翼とも炎に包まれていた。肌に「火照り」を感じた渡部さんの口からは強い言葉がついて出た。

 「早く降りろ。降りないと危ない!」

 それでも乗務員は「大丈夫です、大丈夫です」と繰り返していた。機長からは席を立たないようアナウンスがあった。

 だが、渡部さんには乗降用のタラップを機体につなげる車が遠ざかっていくのがわかった。「むこうも危険を察知したんだ」と焦った。

 「落ち着いて」「大丈夫」――。煙しか見えなかった時には、そんな言葉を掛け合っていた通路の乗客を、「炎」が一変させた。

 ■事故機振り返らずひたすら走った

 「早く進め!」「早く開けろ!」。怒声ばかりになった。ヨーロッパ旅行から台北経由で帰国した沖縄県糸満市の小学教諭、篠原恵子さん(53)も後ろからぐいぐい押され始めた。機内には悲鳴と泣き声が交錯し、前方の乗降用扉に乗客が殺到した。沖縄県豊見城市の中山賢さん(50)は「閉じ込められた」とさえ感じた。

 2、3分後だったと思う。ようやく前方のドアが開いた。足元には脱出用のシュート。乗客はそれぞれの居場所から近いシュートを目がけて駆けだした。乗務員たちが中国語で「ここから飛び降りて」と叫んでいた。

 中山さんも滑り落ちた。ターミナルビルに向かって歩き出すと、後ろから「バババン、バババン、バババン」と爆発音が3回聞こえた。「怖い、怖い」という叫び声もあった。台北市から沖縄を観光で訪れた美容室経営松田裕子さん(34)は脱出後、一度も事故機の方を振り返らずにひたすら走った。

 乗客たちは空港ターミナルのVIPルームに集められ、「気分が悪い」と訴えた香港の女児(7)と台湾の男性(57)だけが病院に搬送された。

 命救った“90秒ルール” 非常用シューター、各国で設計義務化
2007年8月21日 中日 朝刊

 那覇空港の中華航空機事故で、爆発、炎上前に乗客が四カ所から次々と滑り降り、避難した非常用脱出シューター。「九十秒以内に全員が脱出できること」と定めた法規が、命を救った。

 シューターは緊急時、非常口のドアを開けると同時に、自動的に膨らみ約十秒で展開。滑り台の形になり、乗客らが滑り降りて脱出する。飛行機が海上に不時着した場合は、救命いかだになる。

 日航によると、各国の法規が航空機メーカーに対し、九十秒以内に全員が脱出できるよう非常口の数や位置を設計することを求めており、ジャンボ機には二階席を含め非常口は十二カ所ある。

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2007.08.13

御巣鷹から22年。「千の風に乗って百の疑問を解明して!

 ~「千の風に乗って百の疑問を解明して!」~

 思えば22年前の夏。その時私は、乗務後の休みでした。甲子園中継を見ているとテレビからテロップが流れてきました。便名は東京/大阪 123便。「国内線で?」「こんなことは経験したことがない」「何かの間違いでは?」というのが最初の感想でした。

しかし、時間がたつにつれて「心配は」高まってきました。一向に詳しいことが見えてこないからです。そして、遂に「墜落!」の報道。ただただ「絶句」したことを今でも鮮明に思い出します。

永年フライトに乗務してきた関係者としては、今でも多くの疑問を残したまま、いうなれば「胸につかえを残したまま」の22年間でした。

※あの時、なぜ、人命救助が遅れたのだろう。

何千機も飛び回る他のジャンボ機では、隔壁破裂で墜落などという事故はその後も聞いたことがない、事故調査委員会の発表は信頼できるのだろうか。

ボーイング社の責任を中心に、JALの整備責任のようになっているが、それで解明できたのだろうか。

※エアラインとご遺族との話し合いがうまくいかない「根本」はどこにあるのだろうか。

※JAL自身がJALに問題があったと思っているのだろうか。 

などなどが航空関係者の間では共通している想いではないでしょうか。

私も、この事故では、乗客の皆様と共に可愛いがって来た部下や後輩をなくしました。「ニューデリー」

「モスクワ」「クアラルンプール」と重ね合わせても、生存している私たちが疑問を解明してゆかねばならないという誓いを忘れぬように戒めたいと思います。

犠牲者・ご家族の皆様に深く追悼の意をささげるものです。

<日航ジャンボ機事故>惨事から22年 遺品の一部展示へ
            8月10日 毎日新聞

 午後6時56分。十数個の時計が一様にその時刻を指したまま止まっている。520人の犠牲者を出した85年の日航ジャンボ機墜落事故で、持ち主不明のままに保管されてきた遺品の一部だ。御巣鷹(おすたか)山(群馬県上野村)での惨事から22年。関係者の高齢化が進み、風化が危惧(きぐ)されるなか「その時」を永遠に刻んだ物言わぬ証人として、日本航空は遺品の一部展示を決めた。
 日航などによると、いまだに持ち主が分からない遺品は約2700点。衣類、指輪、鍵など多岐にわたる。眼鏡の多くはフレームがひしゃげてレンズが砕け、万年筆はねじれて折れ曲がり、事故の壮絶さをうかがわせる。
 時計はスイス製の高級品から、アニメのキャラクターウオッチまでさまざま。ほぼ原形をとどめているが、関係者は「22家族が全員亡くなるなど、近親者がいない犠牲者も多い。所有者の特定は難しい」と説明する。
 こうした遺品については従来、「荼毘(だび)に付し、慰霊の園にまつりたい」と処分を求めた日航側に対し、保存・公開などを望む遺族側が反発。取り扱いが決まらないまま、日航の施設内で保管されてきた。
 しかし、06年4月に開設された「日航・安全啓発センター」(東京・羽田空港内)の後押しもあり、事故機の部品や犠牲者のメモなどを展示した同センターに遺品も加え、安全意識の醸成などにつなげることになった。
 展示する具体的な遺品や時期については今後、日航と遺族が話し合っていく。遺族でつくる「8・12連絡会」の美谷島邦子事務局長は「遺族には事故を思い出すつらさ以上に、事故が忘れられるつらさが大きい。自分たちが死んだ後、遺品がどうなるかという不安もある。社会の役に立ててもらいたい」と話している。【高橋昌紀】 

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2007.08.10

空港は快適ゾーン!

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本日早朝のラジオ番組に出演いたしました。TBS「生島ヒロシのおはよう一直線」の「いきいき生活」コーナーです。ほぼ以下の内容をコメントいたしました。

本格的に夏休みのシーズン到来といえば、海外旅行にも「大民族移動」がはじまります。

セキュリティー強化のため、知らないことも増えています。

かつてでしたら、「旅慣れているから」とぎりぎりに空港に到着する、ということもできましたが、昨今そんなわけには行きません。
国際線の場合、「余裕を持って」ということですと少なくともETD(予定出発時刻)2時間前には空港に行っていなければ安心できませんね。

(画像は別の番組です)

【成田空港の場合】

「なんでもあり の空港。」

     ~早めに行っても大丈夫!~

・     航空会社の上級旅客ではなくとも有料待合室、各カード会社のラウンジ、など利用できる。

・     シャワールーム・仮眠室

・     マッサージチェアや足つぼマッサージ

      ~借りてゆく!~

    携帯DVDやビデオカメラも

・     海外での携帯電話レンタル→26社も軒を並べて。

     ~待ち合わせには・・。~ 知ってますか?

待ち合わせには、

「ミーティング ポイント」  「コスモ プラザ」「ランデブープラザ」 など各ターミナルにあります。         覚えておきましょう。

     ~子供連れには・・・~

      「キッズパーク」「キッズルーム」「プレールーム」など出国   手続きのあと、サテライトまでの間にあります。長時間フライト搭乗の前に子供に運動させると、機内でぐっすり眠れるという利点もあります。

 :ベビーカーの貸し出し :車椅子の貸し出し(出国前までそのあとはエアラインが引き継ぎます)

      ~駐車場は?~

      改装工事で混雑してます。5日で約1万円。空港の外で見つけておくのも手です。公共交通機関も検討するといいですね。

     ~セキュリティー~
液体物  :国際線の客室に液体を持ち込むルールが新しくなっています。

       1.100ミリリットル以下の個々の容器で

       2.1リットル以下のジッパー付き無色透明プラスチック袋に

       3.1人1袋までに!

※あとでチェックインBAGGAGEに入れるのは、ほとんど無理です。 廃棄を余儀なくされます。 100ミリリットルというのは、本当に少しです。よく考えて用意してください。      飲み物もいわゆるペットボトルは駄目、お茶・水が手放せない人には不便ですね。機内で飲みたい時にいちいち頼むのも・・・という気持ちになります。      特に化粧品など機内で使う量を考えて用意する。男性もです。

      ~隠れ喫煙者?へ。~

  ライター持ち込みについて:ルール変更がありました。

※     チェックインBAGGAGEに隠しても駄目です。必ず見つかります。

※     その代わり、機内持ち込み1個ならOKになりました。

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2007.08.06

熾烈!アジアの戦い

~日本のエアラインにとって、

    巨大市場”インド”は中国に加えてアジア最大の熱いバトルに~

アジアにおいては、急速に経済成長するマレーシア・シンガポール・タイ、などに加え、巨大な”中国””韓国”の市場があります。

ハワイ、ロスアンゼルス、サンフランシスコなど華やかな太平洋路線には、既得枠の壁があって思うように伸ばせないANAは、国際線に乗り出して20年を迎えた経験のなかで、「中国路線」を着実に強化してきました。

JALとしては、IT技術はもとより、知的階級の増強を推し進めるインドの巨大市場は、負けるわけにはいかない戦いという事情もあります。

また、このアジアのシェア争いは、単にJAL・ANAの問題ではなく、アセアン諸国の追い上げに対抗できるかの試金石ともなるものといえるでしょう。航空も「大変な時代」に突入しています。

アジアのハブ空港としては、シンガポール/チャンギ空港、ソウル/インチョン空港、香港,北京・北京首都国際空港

もうかる?インド路線 日航・全日空、ビジネス客増加で火花

  【産経新聞 2007/08/06 東京朝刊 】 
 航空各社がインド路線に力を入れ始めた。日系企業の進出に伴い、ビジネス客が急増していることが背景にある。日本航空は現在週4便運行している成田-デリー線を10月末から週7便に増便。全日本空輸は6年ぶりに運航を再開する成田-ムンバイ線に専用の小型機を投入し、ともに高単価のビジネス客を取り込もうとしている。

両社はインド国内の他都市にも路線を広げていく考えで、インド線をめぐる航空各社の“空中戦”は激しさを増しそうだ。 

日航は10月1日から週4便運航している成田-デリー線を5便に増やす予定だったが、出張などでインドに向かうビジネス客の需要拡大を受け、10月28日からは週7便に増便する。 

一方、全日空は9月1日から全36席がビジネスクラスという小型ジェット機を導入し、成田~インド・ムンバイ線の運航を6年ぶりに再開する。さらに、シンガポール航空との共同運航を拡大し、シンガポール経由のムンバイ線、デリー線、チェンナイ線、バンガロール線を加えた。

 両社はサービスの充実にも躍起だ。日航は週7便化に合わせ、シェル(貝殻)状のシートで隣の席との間を仕切り、安眠しやすくする「シェルフラットシート」を全ビジネスクラスに導入する予定だ。これに対し、全日空は機内食の充実で顧客囲い込みに火花を散らす。

 両社がインド路線に力をいれるのは、「目を見張る」(日航)ほどのビジネス客の需要拡大があるからだ。デリーには日本の自動車メーカーなどが多く進出。ムンバイにも商社などを中心に日系企業の進出が続き、出張するビジネス客が急増している。

 日航によると、出張などの業務渡航によるビジネス客の利用が平成17年から18年の1年間で約5割増加した。高単価なビジネスクラスの利用もここ数年は2~3割のペースで伸び続けている。 昨年12月に来日したインドのシン首相と安倍晋三首相の首脳会談の際、旅客便をこれまでの3倍増とすることで合意。日本の航空会社がインド国内への各地点に週7便まで運航することが可能となったことも追い風となった。

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快適の真髄は変わらない!

快適の真髄は変わらない 

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先月7月に、「JALとANA」のフライトに搭乗いたしました。「エアラインの安全と快適性比較」という雑誌の特集記事の取材のためでした。勿論、エアラインには、知らせずに一般旅客としての搭乗です。久し振りに現役の乗務時代を思い出させる「香港1泊2日」のスケジュールでした。もっともこの香港線を乗務するクルー(パイロット・客室乗 務員)たちは、両社とも「成田/香港/成田」の日帰り乗務パターンですから、両社内の現場からは「きつい勤務」の代表路線とも言われているような背景もあるところです。
 

       

~厳しい「眼」です~

私の求める「機内の保安」「機内サービス」というのは、大変厳しいものだと思います。第一に、日本のナショナルフラッグキャリアとして存在してきた「JAL」のなかで、30年間最上のサービスを目指して実践してきた経験があるからです。第2に、そのJALの中で「形」に流れて「誠実さ」にかけること、コスト削減で品質低下をきたすことに は当時から厳しい声をあげ続けてきました。そして、「高い航空運賃」に見合った「安全・サービス」を利用者に還流しなければいけないという「信念」に、いまだに揺るぎはないからです。このことは、一切の言い訳は私には通用しないことを意味するものでもあります。

~数十に及ぶ、チェック項目~

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さて、私のチェックとは?といいますと、旅客が搭乗してから降機するまで、どんな動きをしているか、忙しい時でも「笑顔」を崩さず対応しているか、突発的なサービス上のトラブルにはどんな判断がされて、どんな指示が下されたか、チームワークで仕事をしているか、新人とベテランと外国人との間の知識や経験の格差は、どう調整されているか、コックピットとの協調・協力体制はどうか、機内アナウンスはどうか、などなど多岐の項目にあたります。

また、病人発生などの緊急時に対応できる知識はブラッシュアップされているか、緊急着陸などの事態に対しての構えはできているか、などの保安要員としての信頼性も見てゆかねばなりません。
 

~商品は、機内にあり~

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昨今、「光るANA」「蔭るJAL」というのが、おおかたの旅客から言われてきているようですが、「さて、その実態はどうなのか」ということに私なりの論評を下さねばなりませんでした。このことは、8月4日発売の「日経トレンディ」誌上でご覧いただけることと思います。

ともあれ、最大の実感は、「いずこのエアラインでも運賃・機材・便の利便性がほぼ肩を並べた競争」になることは必至であり、最終的には、どれだけ旅客の「いい気持ち」を演出できるか、に尽きるということでした。
エアラインの最大の商品は機内であり、客室乗務員に代表される「ヒューマンサービス」がその源泉なのです。

~HAVE A NICE FLIGHT!~

かつての人気ドラマのタイトルは「グッド ラック」でしたが、「運不運」を暗示するこの言葉は、あまり適当とは思えません。
私は皆様に世界のどんなところに行かれても「ナイス フライトを!」と申し上げたいと思います。

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2007.08.04

関心度高い”JALvsANA”

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~さてどちらを選ぶか~

日本の翼は、今「JALとANA」に集約されています。国内を移動する場合、「JALにするか、ANAにするか。」と立ち止まる利用者が多いのも当然です。

エアラインの安全度を比べる場合、既に起きてしまったトラブルや事故だけで、客観的な比較をするのは、あまり正確とはいえないものがあります。

メディアが主に使うのは、過去の事故・トラブルの実態を数値にした例が多いのですが、私の意見では、安全を支える「現場」がどうなっているのか、を調べなければ「実態」は浮かびあがってこないと思います。また、国内・国際線の就航路線便数によっても、つまり会社規模によっての違いをフラットに並べるためには、正確なデータが必要であるからです。また、そのデータは、エアラインや監督官庁である国交省航空局が「現場の状況を正確に正直に表したもの」を提供する(開示する)ことが重要です。

とはいえ、安全運航は、「エアラインにとって当たり前」に完備しなければならない条件ですから、これはいったん外においておいたとして「快適性」は最終的に競争を勝ち上がる決め手となることは、まちがいないことでして「古いようで新しい。」問題です。

~サービスの真髄~

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本日発売の「日経トレンディ9月号」に「JALvsANA」の特集が組まれました。「機内サービスの良し悪しはこういうところにあらわれる」「CAの契約社員化・外国人化によってサービスにどんな影響がでているか」「いざという時にCAは頼りになるか」などを視点にして「チェックインから搭乗・降機に至るまでサービス全般について切り込みました」。

弊ブログ読者の方々におかれましては、是非ご覧下さい。

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2007.07.18

サンパウロで 着陸に失敗!炎上

~TAM航空、A-320.オーバーラン~

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日本時間7月18日午前7時ごろ、ブラジル・サンパウロのコンゴニャス空港で、乗員・乗客176人を乗せた、TAM航空(エアバスA-320型機)が、オーバーランをして炎上しました。

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朝日新聞7/18 より

当時は、雨が降っていたということで、「スリップしてオーバーラン」という推察が出されていますが、調査を待たねば原因はつかみにくい状況です。

考えられるファクターとしては、ランディング(着陸)時に

1.着陸への速度を落としきれていなかった

2.着地のポイントが(延びた)ランウエー上で先になりすぎた。

3.ブレーキイングについての異常があった。(フラップ、リバース、ブレーキ)

  かけるタイミングが遅かった。

などが考えられます。

~ブラジルの航空事情について~

かつては、「VARIG ブラジル航空」がナショナルフラッグキャリアとして、存在していましたが、近年このTAM航空に取って代わられました。TAM航空は、国内線で約50%国際線で約60%のシェアーとなっており、運賃でも熾烈な争いが続いています。

同航空は、昨年8月に「フォッカー100」型機で事故を起こしていること、同空港としては、ランウエーが短く、市街に近いことなどが問題点として上げられていたこと、空港職員の大規模なストが続いていたなども伝えられており、「安全」上の不安要素も伺えます。原因究明の徹底調査が求められている状況です。

【報道】

サンパウロ 旅客機炎上200人死亡か 着陸失敗、建物激突 地上も巻き添え 
                                          7月18日16時42分配信 産経新聞

 ■乗客名簿に日系人?

 【ロサンゼルス=松尾理也】ブラジルの最大都市・サンパウロ市南部のコンゴニャス空港で17日午後7時(日本時間18日午前7時)ごろ、ブラジル南部ポルトアレグレ発の国内線TAM航空エアバスA320型機が着陸に失敗し、滑走路を外れて空港敷地外の同航空倉庫に突っ込み、炎上した。乗客・乗員176人の生存は絶望視されている。米CNNテレビは、地上で事故に巻き込まれた人を含め、犠牲者は200人を超えたと伝えており、同国航空史上最悪の事故となりそうだ。

 事故後TAM航空が公開した一部乗客名簿には、「アキオ・イワサキ」という日本人らしい名前があった。サンパウロ在住の日系2世との情報もあり、在サンパウロ日本総領事館で確認を急いでいる。 AP通信などによると、事故当時は激しい雨が降っており、事故機は着陸直後、ぬれた滑走路で機体のコントロールを失った可能性が強い。

 事故機は空港脇を走る道路を横切り、滑走路に隣接するTAM航空所有の倉庫に激突。付近のガソリンスタンドも巻き込まれ、激しく炎上した。地元紙の報道(電子版)によると、25の遺体が現場から搬出されたが、損傷が激しいため、身元は確認できていない。

 サンパウロの市街地にあるコンゴニャス空港は、ブラジルでもっとも過密な空港として知られる一方で、滑走路が短いため、雨天時の着陸の危険性が以前から指摘されていた。今年2月には、裁判所が同空港への大型機の発着を禁止する決定を下していたが、その後、異議申し立てが認められ、決定は無効となっていた。

 当局は最近改修を行ったが、今月16日にも双発プロペラ旅客機が滑走路を外れる事故があった。1996年にはTAM機が同空港を離陸直後に市街地に墜落し、99人が死亡する事故が起きている。 ブラジルの航空事故としては昨年9月、GOL航空国内線旅客機がアマゾン川流域に墜落し、乗客・乗員約154人の死者を出している。 

[国内便が着陸失敗、炎上=174人搭乗、8人救助-ブラジル]

                            7月18日9時1分配信 時事通信

ブラジル・サンパウロ市南部のコンゴニャス空港で17日午後7時(日本時間18日午前7時)ろ、ポルトアレグレ発のTAM航空エアバスA320型機が着陸に失敗して空港の外にある同航空の物流倉庫に突っ込み、炎上した。地元グロボテレビなどによると、同機には174人が乗っていたが、安否は不明。
 現場では激しい火災が起きており、救助作業が難航しているが、これまでにTAM航空職員2人を含む8人が救出された
という。

[ブラジルの空港で旅客機が着陸失敗、給油施設に突っ込む]

                        7月18日8時35分配信 読売新聞
 

【リオデジャネイロ支局】ブラジル・サンパウロのコンゴーニャス空港で17日、約170人を乗せた旅客機が着陸に失敗、滑走路を外れて給油施設に突っ込んだ。 火災が発生しているが、死傷者の有無などは不明。
 AP通信によると、旅客機はブラジルのTAM航空のエアバス320型で、ブラジル南部のポルトアレグレを出発
、サンパウロに着陸予定だった。 AFP通信は、同機が着陸当時、雨で滑走路が濡れていたと報じた。ブレーキをかけるのが遅れたとの情報もある。 事故の影響で空港は閉鎖されており、消火活動が続いている。

[サンパウロで旅客機が着陸失敗、炎上 給油施設に衝突]

7月18日 産経新聞
 ロイター通信などによると、ブラジル・サンパウロの空港で17日、同国ポルトアレグレ発のTAM航空エアバスA320旅客機(乗員乗客174人)が着陸に失敗。同機はオーバーランして、空港内にある給油施設に衝突した。 地元テレビ放送などによると旅客機では衝突後に火災が発生したもようで、地元消防などで消火活動と救出活動を行っている。死傷者などは不明。(ロサンゼルス支局)

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2007.07.10

来夏には、「787」が飛ぶ!

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~切り札のカーボンファイバー素材~

7月8日、ボーイング社のお膝元、エバレット(ワシントン州)で次世代機B-787のお披露目がありました。エアバス社のA-380のデリバーが遅れている中、世界の航空機シェアを二分するエアバス社とボーイング社の熾烈なバトルに大きな影響を及ぼすショーと言ったほうが良いかもしれません。

JAL・ANAとも「大都市ハブ空港と外国ハブ空港を結ぶ大量輸送」よりも、「中型機材」による「ダウンサイジング」をはかり、小回りの聞くラインナップにすることに方針を固めてきていました。JALとてANAに遅れること数ヶ月でこの新型機がラインに投入される予定とはなっていますが、衝撃的だったのは、日本の翼としてこの新型機を最初に飛ばすのが「ANA」であること(世界で最初に飛ばすというおまけまである)、7月8日の記念すべき場面に世界に向かって「ベール」を脱いで出てきたのが「ANA」の塗装を施された機体であったこと、ではないでしょうか。詳しくは下記報道に。

~B-777との違いは、どこに?~

747-400に代表される大型機との違いは、明らかですが、現行の中型の最新鋭機B-777との違いは、どうなのでしょうか。

☆カーボンファイバーという素材の凄さ

 「鉄よりも強く、アルミよりも軽く、錆びにくい」というのですからまるで魔法です。そしてなんと、主翼をはじめ 機体の35%は、日本で製造されているのですから、愛国的「誇り」のような妙にむずかゆいものも感じさせます。

☆燃費

 機体重量が軽くなるわけですから当然燃料効率も上がりますが、777比較では、20%、747-400との比較では、なんと60%の改善、というのですから「争って」購入したくなるのもわかる気が致します。

☆軽量になると

 当然航続距離が伸びてきます。最大15200kmということですから、時速880kmとしても16時間以上のフライトが可能となります。

これは、どういう風景になるかと言いますと、ヨーロッパのみならず、アメリカ東海岸へも中型機で効率運航ができるようになる訳です。

現在でも既にJALにおいては、ヨーロッパ線は747が退役し、すべて中型機トリプルセブン(777)で運航されており、ANAではロンドン便では、747とトリプルが併用して運航されています。しかし、米国東海岸の「ニューヨーク」「シカゴ」線では、ジェット気流の関係で日本への復路に15時間以上かかることもあり、現行では747-400いわゆるジャンボ機による運航を維持しています。こうした課題を一挙にクリアーすることになります。

☆「トイレに向かう通路で失神する」ことも少なくなる?

 現行の機材では、機内は0.7気圧に与圧されています。これは、富士山で言えば3合目付近にいることと同じです。いつもと同じような量の「飲酒」でも、気圧と空気の薄さで「倍ぐらい」酔うことになりますが、着席したままですと体感的には感じないため、トイレへ行こうと歩き始めて、突然ふらっときて失神するケースは、珍しくありません。倒れたときにアームレストなど角のあるところにぶつけたりしなければ、CAも慣れていますのであまり心配はありません。通常は、酸素吸入ですぐ回復します。

話は、少しそれておりますが、報道によれば、「機密性に優れている」ということでこういう局面にも25%の改良があるようです。怖い話ではありますが、航行中にドア付近から空気が漏れていたことも体験しておりますのでより身近に感じるものです。

☆湿度が体感できるのか?

また、機内は、ほとんど湿度が感じられないくらい乾燥しており、「おしぼり」などが大した時間も経たずに「からから」になるのは、ご存知のとおりです。現行の2倍(?)は、「湿度が感じられる」ということなのでcabinを長く体験したものとして、快適性という点でも期待をしてしまいます。

~シンガポール エアラインの戦略~

一方で、アジアの航空情勢は刻々と変化をしています。日本のエアラインは「格安航空」と長期的にどう戦うかと言う課題に加えて、中国・韓国はじめアジアのエアラインは、エアバスA-380を多量に発注して、「アジアとヨーロッパ・アメリカをノンストップで結ぶ」つまり日本を経由せずに、増える一方の需要をすべて刈り取る構えでいます。巨大ジャンボといわれるA-380は、客室550席の総2階建で、18時間~20時間の航続距離を可能としています。かつてでは考えられない世界を生み出すことは、必至であり、今や「機内サービスも世界一」と言う評価は定着する中で、シンガポールエアラインは、その中心部隊でもあります。日本の翼はどういう舵取りをしてゆくのか、「新鋭B-787」という機材だけに頼りきれない側面もあると言えます。

cbc(中部日本放送)ラジオ「朝からP.O.N」でコメント致しました

以下は、これまでの主な【関係ブログ】です。

ひたひたと迫りくる「新鋭機材」のバトル!2005.11.16

エアバス380、デリバー遅延に思う!2006.10.08

巨大エアバス、日本初見参!2006.11.26

JAL機材更新の一番手、737-800!2006.11.26

<B787>軽くて頑丈、経費削減…航空会社の期待高まる
            7月9日  毎日新聞
 次世代中型旅客機として世界の航空会社が注目する米航空機・防衛大手ボーイングの「787」(通称ドリームライナー)1号機が8日、同社工場がある米ワシントン州エバレットで初公開された。記念式典には、航空会社や製造にかかわったメーカーの幹部ら約1万5000人が参加した。「787」は、燃費効率や乗り心地、航続距離の飛躍的な向上が大きな特徴。全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)は次期主力機と位置づけ、経営改善への効果に期待を寄せている。
 787は、主翼など機体の約50%を「鉄より強く、アルミニウムより軽い」と言われる炭素繊維の複合素材で製造。燃費効率は同型機比で20%、主力大型機「747―400」比で60%改善する。軽量化効果で、中型機(標準機種の座席数210~250)にもかかわらず、航続距離は最大1万5200キロと大型機並み。日本から米東海岸へも直行できる。
 また、複合素材は頑丈でさびないため、従来機比で機内の気圧を約25%、湿度を2倍弱高く保てる。窓も同型機より1.6倍大きくなり、利用者にとっても快適なフライトが期待できそうだ。
 航空会社の期待も大きく、すでに世界47社から677機を受注し、「民間航空機では史上最速のペース」(ボーイング)という。国内では、ANAが世界最大規模の50機を、JALが35機を発注済み。世界で最も早い受領はANAの来年5月で、JALは同8月を予定している。
 収益改善効果は、ANAの場合でみると、燃料削減で年間40億円、機内スペース拡大による積載貨物量の増加などで同60億円の計約100億円を、JALは787を含めた機材更新全体で、10年度に06年度比670億円をそれぞれ見込んでいる。
 経費削減のほか、路線の拡大も期待される。現在、欧米など長距離路線は大型機でしか飛べないため、就航をあきらめるか低収益も覚悟するしかなかった。しかし、低コストで長距離飛行が可能な787の登場で、実験的な路線設定も可能になる。
 JALの西松遥社長は8日のシアトルでの会見で、「成田―モスクワ線などを念頭に置いている」と述べ、現在は需要が少ない路線も含めて投入する意向を示した。ANAも来年8月の北京五輪に合わせた羽田―北京線のほか、長距離路線への活用も検討中だ。【ワシントン木村旬、増田博樹】

 ◇主要部品生産に日本のメーカー
 ボーイング「787」は、日本のメーカーが主要部品生産に深くかかわっている。三菱重工業が主翼、川崎重工業が前部胴体と主脚格納部などを、富士重工業は主翼と胴体を結合する中央翼を生産している。3社合計で機体の部品・部材の約35%を担当、各社は同機に採用された技術を武器に世界の航空機産業の中で存在感を高めたい考えだ。
 三菱重工は昨年9月、名古屋市内に主翼の組み立て工場を完成させ、300人体制で現在は2号機以降の主翼生産を手がけている。「787」は、今後20年で1000機超の需要があるとの予測もあり、需要を取り込むことで「世界の主翼センター」を目指す。川重も同7月に愛知県弥富市に約170億円を投じて部品工場を新設。受注の伸び次第では、生産設備の増強も検討する。
 機体に使用される炭素繊維複合材は東レが開発した。東レは米仏と日本(愛媛工場)の3カ所で生産しているが、ボーイングへの納入のためいずれも増産を計画しており、8月にはフランス工場で増産体制が整う。【谷川貴史、小島昇】 

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2007.06.26

「携帯電源切らず」!航空法違反で逮捕

~「乗客なら、何をしてもよい。」という神話も・・・~

下記の報道は、「2004年の航空法改正」・・・・安全阻害行為には、罰則も立法化した・・・・以来、初めての逮捕者ということで、テレビなどのメディアでも大きく取り上げられました。後ほど述べますが、直接、航空機の運航に障害が出ているにもかかわらず、「安易な機内での行動」は、「旅客になれば、何をしてもよい」という風潮の反映でもあります。マナーを含めて、絶え間なく起きていた「機内での暴力行為やセクハラ」にも、問題を投げかけるものとなりました。私も、いくつかの番組でコメントを致しました。

~なぜ、こんな事態が起きているのか~

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もともと、私が乗務をしていたころから、私の知る限りでも、「人前に出られないくらいの傷跡になるほど、殴られた」ケース(被害者は勿論CAです。)が3件あったことは記憶しています。被害者は、いずれも「訴えたい」との状況でしたが、会社からの圧力(お客のことだから、あまり大事にしないように)で、うやむやに終わっていました。

Tbs_12 私の当時の信条から言いますと、「他の旅客に迷惑をかける、不快な思いをさせる」旅客には、断固とした態度で接する、それが社会的にどんな立場にある方でも、どんな団体に所属していようとも、ことに徹してまいりました。

しかし、こうした立場は、社内で言えば、「マイナー」で、とにかく「へらへら」することが求められていたのは、歴史的事実でもあります。

こうした側面つまり「文句を言えばいうだけ、なんでも言うことを聞く」という風にエアラインから教育されてきた旅客気質の土壌が、いまだに色濃く残っている証明という風にも見ることができます。

成田が大雪の日のことでした。多くの便が欠航・遅延となりましたが、「判断の遅さ」からホテルの手配もできず、多くの旅客を、空港内サテライトで仮眠してもらう事態を呼びました。ある便の乗客から、集団的に厳しい文句を言われた空港スタッフは慌てて「現金」を用意し、確か一人当たり5万円を配ったものでした。ところが後に「遅延・欠航」した全便の旅客に「お詫びとして配った」のではなく、「強烈な文句」を言った便にだけ手当てをしていたことが判明し、顰蹙(ひんしゅく)を買いました。

まあ、言い出せば切りがないくらいですが、「土壌」とはこういうところです。

~「飛行機の乗り慣れ」~

国際線といえども、航空運賃は、ジャンボ機の出現以来、団体運賃の活用で格安となりました。国内線でもパック旅行や各種「割引」を使うと、一部利用者にとっては、「信じられない」ほどの低額で飛行機に乗ることもできるようになりました。(一部といいましたのは、正規運賃は、依然値上がりを続けています。従って急にビジネスで使う場合などは、高価な運賃で使わざるを得ません。)

話がそれ気味になりましたが、「航空機に乗り慣れてきた」ことが「安全」への認識をも薄れさせているといってもよいのではないでしょうか。

~知られていない「安全への実害」~

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電子機器が微弱といっても電波を発し、それが「航空機の機器」に障害を及ぼしている、実例などはあまり「積極的」に宣伝告知されてはいないような気がいたします。この原因は、「テロ」への予防ということが一義としてあるからと推定します。

とはいうものの、身近に増え続ける「電子機器群」です。再度以下に掲げて起きますが、少なくとも「トラブルや事故の原因を自らが発しない」ように留意したいものです。

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航空法違反:携帯電源切らず、容疑で組員に逮捕状

 航空機の安全な運航に支障を及ぼす恐れがあるにもかかわらず、離陸前に携帯電話の電源を切らなかったとして、警視庁東京空港署が航空法違反容疑(安全阻害行為)で神奈川県内の暴力団組員の男(34)の逮捕状を取っていたことが分かった。
 調べでは、男は今年3月10日午後2時ごろ、羽田発宮崎行き全日空609便内で、機長が禁止命令書を出したに
もかかわらず、携帯電話の電源を切らなかった疑い。
 客室乗務員が再三注意したが、男は「自動的に電源が入る携帯だ。逮捕すればいいじゃないか」などと怒鳴り、指
示に従わなかった。滑走路に向かっていた同機は引き返して男を降ろし、約30分遅れで離陸したという。機内での安全阻害行為の禁止を盛り込んだ改正航空法(04年1月施行)後、初の逮捕となる。

[毎日新聞 ]2007年6月18日 東京朝刊

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2007.06.06

KLM機タービュランスについて

~なぜ、戻らなかったのか?

~なぜ、緊急着陸を要請しなかったのか?~

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私が、毎日新聞社会部の方からこの一報を受けたのは、移動中の車の中でした。事態の概要を聞いて、まず「疑問」を感じたのは「これだけの負傷者を出しながら、なぜ事件後9時間もあるフライトを続ける決断をしたのか」「モスコーのシェレメチボ空港、サンクトペテルブルグでも着陸できたのではないか」ということでした。

私は、JALのモスクワ線(東京/モスコー/ヨーロッパ)自主運航開始時に、数年この路線を固定した形で乗務をしてきました。天候不良のため、サンクトペテルブルグに緊急着陸したこともありました。この路線を飛んでいるクルーが、「なぜ飛び続けたのか」ということに、一般的な感想よりもより強いものがあります。

~そのとき、CAはどうしていたのか~

2007053100000023maipsociview000 もちろん、負傷者が出るような事態だったわけですから、パイロットもコックピットからでてきて、実状を把握はしたことでしょうが、旅客や客室内のことを「リアル」に捉えているのはCA達並びにCAの責任者だったと思います。引き返しや緊急着陸を強く進言しなかったのかも、大いに疑問でもあります。特にCAの負傷も画像などでは伺われるだけに・・。

~パイロットには、客室内のことはわからない場合も~

ジャンボ機が一番良い例ですが、機首にあるファーストクラスではコーヒーの入ったカップが「かたかた」という程度でも、機の最後尾つまりエコノミークラスでは、上下のゆれだけではなく、ヨーイングといって、魚が尻尾を振るような揺れが、加わります。

「すっ」と体が浮かぶような感覚があったときには、「500メーター」程度はほぼ垂直に降下していると思って間違いありません・

私は、東京/香港間のフライトで強いタービュランスに遭遇しました。はじめはチョッピー(がたがたという程度)でしたが30分ほどでひどい揺れがというか乱上下動でした。航行に雲の中を航行せざるを得ないという、コックピットからの情報もあり、ベルトサインの点灯もされており、CAは3度にわたり「旅客のベルト着用チェック」をしました。そして私は全CAの着席を指示し、コールボタンにも応えないで着席、トイレへの離席許さず、を徹底しました。にもかかわらず、「そのとき」は来ました。3度にわたって、落下と上昇を繰り返したのです。私の横においてあった業務用の「カーゴパウチ」など重いものが、ふわふわと浮き上がり、下に叩きつけられ、これを繰り返しました。通路に身を乗り出して客席を見ると旅客が3人天井に頭を打ちつけ、他の旅客の頭の上に叩きつけられているのです。機内持ち込みの手荷物は通路にぶちまけたようになっていました。

あとでわかったことですが、「ベルトはしていたものの、タイトにしめていなくて、数人で酒を酌み交わしていたため、体がベルトからすっぽり抜けて浮き上がったのでした。CA並びに他の旅客はしっかりとベルトを締めていたため、無事でした。

この際は、香港到着も近かったため、シップサイドに「アンビュランス」待機を要請し、事態を処置しました。

コックピットとしては、客室内映像があるわけではなく、操縦側機内後方の揺れの実態などはリアルにわかるすべもありません。保安上に「いかにCAの判断」が重要かも理解できると思います。少しの揺れで「ベルト着用サイン」が点灯していない時に、「点灯要請」をしたこと、当時は「着用サインが点灯していても、サービス優先の社内ムード」もあり「気をつけながらサービスを」という指示もありましたが、私は「一切危険なことはしない。」で30年間を通してきました。食事か安全かでは、当たり前のことですが安全を優先させて、食事サービス抜きとしたことも何度もありました。現在は、こうした不安全要素も改善されて、「ベルトサイン点灯中はサービスしたり、離席したりしてはならない」というようになってきています。多くのCAと旅客の死亡や怪我の歴史の後の話です。

~最近のタービュランスに関する私のブログ~

2007.01.07  タービュランスで怪我を追放するには・・。

2006.11.21  一日に3回もタービュランス人身事故

2006.08.09  けが人が出たトルコ航空乱気流事故

2006.07.10 絶え間なく「乱気流事故」が・・・。

2006.01.24 タービュランスでCA骨折、ANA機

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2007.05.23

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「エアライン オブ ザ イヤー’07」に輝いた「ANA」

~空のアカデミープライズです。ATWランキング~

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 世界の民間航空の現状とエアラインの力量を伝える「エアー・トランスポート・ワールド(ATW)」誌は、航空界の中でもっとも信頼できるものとして有名です。ここのランキングで上位に選ばれるということは、エアラインの「誇り」ともされてきました。特に大型機による定期航空会社を対象とした「エアライン オブ ザ イヤー」のトップに輝くためには、

☆ 「安全性が模範的であるか」
☆ 「乗客へのサービスは素晴らしいものがあるか」
☆ 「運航全般が評価される優位性があるか」
☆ 「革新的な情報技術を持っているか」
☆ 「強靭な収益性を有しているか」

という基準にすべて高得点を挙げられることが必須です。審査は相当な数と質の審査員によって行われますので情実が入りにくいとも言われています。それゆえ権威の高さは、レストランの「ミシュラン」と匹敵するといっても良いと思います。

~“上昇機運”とぴたりあう、このプライズ(PRIZE)~

2007年2月に、この「ランキング」が発表されました。ANAは、堂々の「トップ」を飾っています。国内においても、リクルート(入りたい会社)のトップにランキングされたり、JALとがっぷり四つに組み合って、一歩リードの印象を与えている「ANA」は、国際的にも認められるという「追い風」を得たと言っても過言ではないと思えます。

~「機内サービスが評判」という噂は、ほぼまちがっていない~


【パッセンジャーサービス 】というカテゴリーがあります。「旅客がいかに喜んだか」という部門別のものです。
2007・・・・・該当なし
2006・・・・・JET BLUE(前輪が90度横を向いたまま着陸。世界にライブでオンエアーされた)
2005・・・・・Virgin Atlantic(ヴァージンアトランティック)
2004・・・・・Singapore(シンガポール航空)
2003・・・・・Emirates (エミレーツ・UAEです)
2002・・・・・BritishAirways(英国航空)
2001・・・・・Ashiana(アシアナ航空)

Tvasahi_jetbluejpg_18_1 利用者から評判となったエアラインがそれぞれ、トップに輝いていますね。この部門では、JALは1977年に、ANAは1990年にトップランクされています。時の流れ、ANAの急成長も表しているかもしれません。

~「JAL」はどうなっているの?~

こうした国際的なランキングでは、日本の翼としてはかつて「JAL」の独壇場でもありました。ヨーロッパ・アメリカ・アジアのエアラインのことも合わせて、少しご紹介いたしましょう。

    「エアライン オブ ザ イヤー」の歴代トップ


最近のトップランクエアラインは以下のとおりです。ANAはこのような総合的部門でトップ評価されたのは初めてです。なおかっこ内は、過去トップに輝いた実績です。

2007・・・・・ANA
2006・・・・・CATHAY PACIFIC(1987)
2005・・・・・AIR FRANCE &KLM(1976、1985、1997)
2004・・・・・QANTAS(1995)
2003・・・・・SOUTHWEST(1991)
2002・・・・・JAL(1980)
2001・・・・・CONTINENTAL(1996)
2000・・・・・LUFTHANZA(1982、1994)

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ANAが国際線に参入してから今年で20年。「JAL」の栄光は、1070年代~2002年
まで色濃く伺われます。

日本の翼である「JAL&ANA」には、その「安全性・快適性」がグローバルに認められるようにますます切磋琢磨していただきたいと思います。

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2007.04.26

JR西福知山線事故から2年。            公共交通機関のあるべき姿が問われている!

~「安全第一」と言う掛け声も虚しく~

2005年4月25日に起きた鉄道として最悪の「JR西日本福知山線事故」から2年が経過しました。

公共交通機関としての、「安全への反省」「安全への抜本的改善策」に誠意が見られないとして、犠牲者のご遺族からは、なべて不満の声が聞こえます。

その特徴は、JR西日本の経営陣は時間の経過するほど「利益優先」「事故を起こした根本にメスを入れようとしない無責任」さが浮き彫りとなり、「掛け声と実態」の差に反発が強くなっています。責任を取ったはずの役員がちゃっかり子会社の社長に納まったりはその実例です。

悲しみの2年語り合う/JR西の対応批判も
         四国新聞  2007/04/25 17:42
 尼崎JR脱線事故の犠牲者を慰霊し、鉄道の安全を訴える「追悼と安全のつどい」が25日午後、兵庫県尼崎市の市総合文化センターで開かれ、遺族らが事故から2年たっても消えない悲しみや心情を訴えた。 つどいは遺族らでつくる「4・25ネットワーク」が主催し、遺族や負傷者ら約350人が参加。遺族と負傷者計11人が壇上からそれぞれの思いを語り、JR西日本の対応を批判した。

 ネットワーク世話人の1人、木下広史さん(48)=同県三田市=は、亡くなった長男に「なぜ犠牲にならないといけなかったのかを報告したい」と考え活動に参加したと説明。 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の意見聴取会で、「日勤教育は有用」などと自社弁護に終始したJR西を「自らの保身と企業防衛そのもの」と批判した。

 2両目に乗車し重傷を負った小椋聡さん(37)=同県西宮市=は事故後ほとんどの休日を、犠牲者の最期の乗車位置を特定する活動などに充ててきた。「負傷者本人が最後まで納得いく治療が受けられるようにしてほしい」とJR西に誠意ある対応を求めた。

遺族への補償問題も解決が長引いています。まさに、誠意の所在を問われる問題といえます。

「空」でも続く、「掛け声ばかり?の安全第一」~

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4月18日に北海道放送(HBC)で「JALの航行中の部品脱落トラブル」について報道がありましたが、4月25日TBS「JNNニュース」でもこの内容が報道されました。

B777_aerodynamicseal 航行中の新千歳発那覇行きB777から、部品が脱落。この模様をたまたま目撃していた乗客がビデオでつぶさに撮影しました。不安に思った乗客は、すぐに「客室乗務員」に通報したものの、操縦席からの「アナウンス」もなかった、また到着後も「再度目撃状況を伝えた」のだが、その後「JAL」から連絡もお詫びもなく、「トラブル隠しでは?」と思った当該の乗客がテレビ局に相談した模様です。

HBC(北海道放送)によれば、この問題についてJALに問い合わせたところ、当初は、「部品はラバー製エアロダイナミックシール」「飛行に影響はなく、無い状態での 就航も内規で認めている」「この部品の脱落は他社でも起きていて、ボーイング社も含め対策を検討中である」としていましたが、最終的に「ラバーシールの脱落は問題と考え、対策に取り組んでいる」「どんな部品であれ、落下してはいけないと考えている」との回答を得たと聞いています。

~問題は、「安全への姿勢」と言う指摘も~

同機材を運航しているANAへの照会によると、「この部品の脱落は、2005年に解決。その後の2年間発生していない」とのことですから、JALの「ボーイング社を含め対策に取り組んでいる」と言う回答がどうも合点がゆかないものを残しています。

それよりも、大きな問題は社会的に言えば国交省から「事業改善命令」まで受けて、その後「安全への姿勢」がどういうものなのか、注視の的となっている中で、この処置の仕方は、褒められたものではないと思えます。

乗客から通報を受けたときに、「客室乗務員」はどうしたのか。すぐさまコックピットに報告をしたのだろうか。周りの乗客へのパニックコントロールはどのようにしたのだろうか。報告を受けていたとすれば、コックピットはなぜなにも反応しなかったのか。到着後、報告を受けた整備関係者はこのことをどう捉えていたのだろうか。本社サイドとして総合的にどう取り扱ったのだろうか。ビデオ撮影までされていた事態を知った後の広報対応は妥当だったのだろうか。「エンジン左右逆に取り付けたまま半年も運航していた」事態発覚のとき、広報第一声は「運航の安全上問題ない」としたことが、どれだけ不信を買ったのかと言う自覚はなかったのだろうか。

「たいした問題ではない」としても、日本を代表するエアラインとしては、「第一声に」「大きな声で」ひたすら「恥ずべきことです」と認めなければ、いけないのではないでしょうか。

「安全第一」とは、形ばかり、と言われないためにも、緊張感を持ち、謙虚な姿勢が求められているのではないかと思います。これは、現場というよりも「そういう気分」が持てる社内環境を整えねばいけない経営陣の問題です。

鉄道も航空も「公共の交通機関たる会社」は、メディアや銀行や株主からどのような突き上げがあろうとも、断固として実態的な「安全確保」を遂行するべきと考えます。利用者からの絶大なサポートと信頼を得るには、そうした道に踏みきるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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2007.04.14

アカギヘリ事故から考察する「小型機・回転翼機の安全」

~事故がなければ、わからなかった危ない輸送~

20070410_2   ヘリコプターや小型機は、一般的に「定期輸送」に使われていないことから、話題に上ることが少ない日常です。事故があって初めてその「実態」が公になります。

今回の事故については、その後の調べで、「乗客の座席が確保されていない」状況下で運航されていたことが判明しました。もし、事故がなければ、公になることもなく運航が繰り返されていた、あるいは繰り返される可能性を示唆しています。

現在では、テロ対策との関係であり得ないことですが、かつてJALでも、オーバーセールで満席になるとコックピット内にある「オブザーブ用のジャンプシート」にまで乗客を乗せていました。まあ、この場合は「座席」があるわけですから、ちょっとケースは違いますが、「いい加減」「異常」ということでは似ています。エアラインの場合は、機長や整備や客室乗務員が安全上の意見を提起しても、空港支店長の判断ひとつでかなり「無理」があることでも強行されてきたことを体験しています。

今回のケースは「座席を装着しない」ことが「ないほうが乗り降りしやすい」などという判断が優先されていました。ずさんさも極まっていると感じます。

~航空局では・・。~

ここのところ、救助に向った「自衛隊ヘリの墜落」、そして今回の事故と「回転翼機=ヘリコプター」の事故が相次いでいます。いずれも人身事故です。幹線を飛ぶ大エアライン、定期航空の問題の陰に、「小型機・ヘリコプター」などの安全管理がおろそかになってはいないかという点で航空局に問い合わせを致しました。

航空局航空保安部の官制本部管制課、技術部運航課、航空機安全課などの関係各課でした。

☆冬柴大臣のコメントでは、航空法違反とあるが、どの点が法違反と考えているのか?

 ・少なくとも3席を座席として装備していなかったという点は、航空法11条の耐空証明上の違反と考えている

☆たまたま事故があったことで、「違反」が発覚したが、こういう事態が日常的に行われている可能性があると思われる。今後、どのような措置をとるのか?

  ・立ち入り検査を行う。抜き打ちも考えている。

☆毎飛行のたびの飛行計画(フライト プラン)の提出時に定員と装備座席の確認はできないのか?

  ・定期航空レベルでは、フライトプランの「承認」はあるが、不定期の小型飛行機・回転翼機では「通報」を   受け取るだけとなっている。また、フライトプランでは、座席装備のことまで読み取れない。

また、「9km以内は飛行計画を通報する必要がない」という例外があり、今回のケースは、これに該当するもので「飛行計画」の「通報」の必要もなかった。

おおむね、以上のようなものでした。

~ローカル路線・小型機・ヘリコプター/などマイナーな輸送にも、「安全の灯」を~

2005102200000000maipsociview000 ボンバルディア機の続発するトラブルにも、利用者が安心できる対応策も不明のまま運航は持続されています。小型機では、運航の現場が「チャーターした顧客の要望には、無理も聞かざるを得ない」という側面も報告されています。官民を問わず「ヘリ事故」は、「電線に引っかかる」「天候不良への判断ミス」などは多くの場合「操縦者のミス」と片付けられてしまっている感が否めません。

2007 大量輸送の定期航空からローカル航空・コミューター、産業用の小型飛行機、ヘリコプターに至るまで、今一度「安全規制」の見直しを図る時期に来ているのではないでしょうか。

北ア墜落のヘリ会社、「航空法違反」で処分へ…国交相会見
     4月13日11時31分配信 読売新聞

 富山県の北アルプス・水晶岳で「アカギヘリコプター」(前橋市)のヘリが墜落し、10人が死傷した事故で、冬柴国土交通相は13日、閣議後の記者会見で、同社が人数分の座席を装備せずに運航したことについて、「航空法違反があった」と述べ、同社に対して行政処分を行う考えを明らかにした。 冬柴国交相は「人の命を預かる公共交通機関でこういうことがあってはならず、厳しく処分をしなければならない」と語った。国交省東京航空局は週明けにも同社へ2度目の立ち入り検査を行い、運航状況などの事実関係を確認した上で、具体的な処分内容を検討する。 同局は12日の立ち入り検査で、事故機は2列目の3人用シートが取り外され、7人分の席しかなかったことや、シートの管理は機長に一任され、会社として把握していなかったことを確認した。 

北アのヘリ墜落、死傷3人分の座席なし
4月11日15時25分配信 読売新聞

 富山県の北アルプス・水晶岳(2986メートル)で、「アカギヘリコプター」(前橋市)の10人乗りヘリが墜落し、2人が死亡、8人が重軽傷を負った事故で、10人のうち3人は座席ではなく、ヘリの床に座っていたことが、同社の聞き取り調査で分かった。 国土交通省航空機安全課は、「搭乗人数分の座席を用意していない場合、航空法に違反する可能性がある」としている。 この3人は、脳損傷で死亡した長野県松本市、建設会社員長屋修さん(49)と、重傷を負ったアカギヘリの男性社員2人。長屋さんらはシートベルトを締めずに乗っており、被害を拡大させた可能性もある。

 同社によると、事故機は前列に操縦士と副操縦士の席、2列目に3席、最後列に5席の座席が装備できる。しかし、2列目は、外傷性ショックで死亡した奈良市、藤田哲也機長(52)の指示で、同社の東京基地を8日に出た際に装備しなかったという。乗っていた社員の1人は「2列目の座席が無い方が、乗り降りがスムーズにできると思った」と話しているという。 

3人座席ないまま離陸=ベルト未装着、雲包まれバランス崩す-ヘリの整備士ら供述
4月11日11時31分配信 時事通信

 北アルプス水晶岳(富山市)のヘリコプター墜落事故で、事故機の座席が事故当時7席分しかなく、乗客乗員10人のうち死亡した1人を含む3人は座席に座らずに離陸していたことが11日、分かった。またヘリは水晶小屋からの離陸直後に雲に包まれ、バランスを崩して墜落したとみられ、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故原因を詳しく調べている。 事故機を運航したアカギヘリコプター(前橋市)が10日夕、ヘリに乗っていて負傷した同社整備士大城敦さん(37)と営業担当小川力皇さん(31)から搬送先の富山市内の病院で事情聴取し、明らかにした。  

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2007.04.09

JAL機、片肺エンジンで着陸!

~実は、私も経験しました・・。~

3月13日のANAボンバルディア機の胴体着陸に続き、4月2日、JALの最新鋭機B-777(略称トリプル)のエンジンオーバーヒートということで、片側エンジンだけでの着陸となりました。多くの方は、「えっ!」と驚かされたことと思います。後の発表では、「計器の誤表示」だったことが判明しましたが・・・。

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(着陸後のB-777機)

当日は、テレビ各局が着陸の様子を「生放送」していたこともあり、ショッキングな話題を投げかけました。
私は、この時、出張で北海道に居り、移動中の車の中で事態を知りました。航空関係者、特にパイロットやメカニックや客室乗務員など現場のことを知るものは、エンジンなどが火を噴いているわけでもないようなので「つつがなく着陸できるだろう」と安心しておりました。結果は、ご承知のとおりの「完璧なランディング」を果たし、事なきを得ました。

~エンジントラブルだけなら、安心です~
この時の航行中の状況をもう少し詳しく説明(推定)致しますと、
1. 右翼エンジンの温度が上昇している旨の警告が計器上表示された。
2. この警告は、エンジン停止をすべきカテゴリーのもの(3段階の警告の中で)であった
3. 片側エンジンを停止した場合、かつての機材では、手動で推進力のバランスをとらねばなりませんが、B-777機の場合、コンピューターがエンジンの推力と尾翼の調整を自動的に行うようになっているため、
4. パイロットは、通常より慎重に「着陸」の操縦を行うことで、あまり慌てることもない状況だったと思えます。
また、言うまでもないことですが、当然こうした事態を想定した「訓練」は行われていますから、パイロットの対応能力は、ほぼ万全です。

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(着陸後のB-777機右エンジン)

~アンカレッジから東京へ向っていた時に~
さて、かつて私も太平洋上で、同じような体験を致しました。アンカレッジ・アラスカ/東京間のことでした。ちょうど航路の半分を飛行した頃でした。シップ(機材)は、DC-8型機でしたので、4発のエンジンですが、1発が不調となり、バランスを取るために反対側の2発のうち1発もエンジン停止させました。この当時は、現在の機材のように、コンピューター化されていなかった訳ですので、その後に、もし残り2発のうちひとつでもトラブルを起こせば、相当困難な「操縦」を余儀なくさせられる環境でした。太平洋上で、です。

Dc8_03 (DC-8型機)

乗客は、深い眠りについていたこともありまして、このトラブルをしばらく伏せて飛行しました。外も明るくなったころ、コックピットからは、キャプテンがトラブル状況を説明、また、このアナウンスをフォローする形で実際に旅客と体面する私はじめ客室乗務員が総出で、事情を説明しました。

なにしろ、エンジンの推力が4発が2発になった訳ですから、当然フライトタイムも約2倍かかることになりました。
機内の旅客に「到着まで、時間はかかるが、安全上は心配ない」ことを理解していただくには相当なエネルギーが要ったことを覚えています。「パニック コントロール」できるかどうかの正念場でもありました。

ちなみに、この当時は、「ニュース」にもならない出来事でした。

~フライトタイムの短い国内線でのエンジン停止は、
      さまざまな問題があります~

さて、かつて欧米を始め長距離を飛行する国際線では、時にはこうしたエンジン停止もあったように思います。しかし、たった1時間前後のフライトタイムの国内線で、エンジンを停止せざるを得ないという事態は、今後の問題点を示唆しているような気が致します。

☆ 航空機関士がいないパイロット2人乗務で果たしていいのかという問題です。
  パイロットは、機内の航行機関システムについては、ほとんど知らなくて良いのが実態ですから、パネルに表れた「警告=ウォーニング」の指示のまま、操作をせざるを得ません。技術革新の一方で、「計器の誤表示か?」「本当に故障か?」の見分けがつきにくい実態です。この結果「引き返し」「緊急着陸」などのトラブル件数が増えている点もあります。航行中、システム(エンジン、油圧系、空調系などのシステム)を監視し、調整する専門職(航空機関士)乗務の必要性も検討のひとつにのせる必要があるのではないかとも思えます。

☆  「今回のケース」は、「エンジン温度を感知するセンサーの電線接続部分に水付着があり、これが原因で温度上昇の誤表示」が起こったとみられています。
ANA・天草エアラインのトラブルでは、「時間に迫られた飛行間整備の甘さ」も指摘されました。JAL・ANAを問わず、「整備の委託、外国への外注化」「整備士資格制度」「キャリーオーバースタンダード(故障持ち越し基準)」に代表される整備のあり方が見直しが迫られているのではないでしょうか。

~機付き整備士制度ももはやなく・・・。~

私が乗務をしていたころ、と言ってももう10年になりますが、「個々の機体には整備場の主治医」とも言える「機付整備士」がついていました。画像では見ずらいのですが、機長、副操縦士、チーフパーサーと並んで、機付整備長ということで、旅客の前に責任者たることを明示していました。コストカットの波に洗われる中、その後この制度は「廃止」されました。

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2007.03.16

「事故調」は、どこまで迫るか!

15日、事故調は、今回のトラブルの主因は「ボルトの脱落」と断定しました。「ボンバルディア社の製造欠陥か、メンテナンスの問題か、その両方なのか、今でも運航が続けられているボンバルディア機の安全性について、更なる究明が必要です。

全日空機胴体着陸 ボルト脱落で前脚下りず 事故調が断定
        3月15日17時11分配信 毎日新聞

 全日空1603便(ボンバルディアDHC8-Q400型)の前脚が出ず高知空港に胴体着陸した事故で、前脚の格納ドアを開閉するアーム(連結器)部分のボルト1本(直径8ミリ、長さ4.5センチ)が脱落していたことが、14日の国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調)の調べで分かった。このため、アームの正常な動きを阻み、ドアが開かなかったという。アーム周辺の構造は、ボンバルディア機特有で、ボルトが脱落した原因は不明。事故調は、構造上の欠陥かどうかについても、さらに詳しく調べる。
 事故調の松尾真調査官が同省高知空港事務所で会見して明らかにした。松尾調査官によると、脱落したボルトは本来、左右に開閉するドアを動かすアームの関節部にあり、摩耗などを防ぐ管状の金属部品「ブッシング」(直径1センチ、長さ3センチ)に覆われている。しかしボルトなどの脱落で、ブッシングは本来の位置から約1センチ飛び出して、格納部内の部品を支える三角形の支持材にひっかかり、ドアが正常に動かなかったとみている。格納部からはボルトのほかナットなども見つかっていない。この日、格納ドアの前方に穴を開け、内視鏡で確認した。ブッシングを元に戻すと、ドアは正常に開閉できた。
 アーム部分はアルミ製カバーで覆われており、松尾調査官は「通常は点検対象になっておらず、点検項目を見直す必要がある」と指摘。「(同型機のトラブルとしては)世界的にも報告がないケースではないか」としている。
 ボンバルディア機では着陸時、操縦席のレバーを操作し、油圧装置に電気信号を与えて脚格納ドアを開け、前脚を下ろす。しかし、油圧装置の故障など非常時には、操縦席床下に設置されたハンドルを手動で引き上げることでドアを開ける。さらにハンドルを引っ張ると、脚が下りる仕組みだ。ボルトが脱落したアーム部分は、油圧や手動による操作をドアに伝える部分にあたる。
 事故機は、胴体着陸を起こした13日の前は、11日に大阪(伊丹)空港-高知空港を往復。その際は、異常はなかった。13日に操縦した今里仁機長(36)らは事故調に対し、「伊丹を離陸し、前脚を格納した際には異常を感じなかった」と話しており、事故調は飛行中にブッシングがずれた可能性が高いとみているが、ボルトなどが脱落した時期は不明という。【

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2007.03.14

衝撃!胴体着陸 ANAボンバルディア機

~各方面から危惧されていたトラブル頻発の機材~

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3月13日、高知空港で、ANAボンバルディア8-Q400型機がノーズギア(前輪)が出ないため、胴体着陸を敢行しました。熟練パイロットの冷静かつ沈着な操縦で負傷者もなく、無事ランディングすることができましたが、いくつかの問題点があることを指摘せざるを得ません。2005年3月当時で既に36件のトラブルがあり、当ブログでもウォーニングを発しておりました。「また、ボンバルディア機故障?」11/ 21.2006

ANAでは・・・?「安全運航」は会社を選ばず!ミニマムです。3/25。2007

高知新聞・・地元は切実で具体的な提起です。

1.国交省航空にあげられた「イレギュラー運航」の件数だけでも、このボンバルディア機   は、2003年の就航以来77件にも上っている。ANAだけでも43件(ANA社発表)あった。

2.今回の事態にまで至らないまでも、ランディングギア(車輪)の格納・ギアダウンについては、同種のトラブルが起きていた。

3.このほか、オイル臭のある煙が機内に充満した、エルロン(補助翼)などに不具合がありフライトを取りやめたなどトラブルの種類が広い。

4.週9便という頻度があるとはいえ、なぜ、「伊丹/高知」線にトラブルが集中しているのか、不明である。

5.明らかに機体製造メーカーであるカナダボンバルディア社の「ミス」ということが判明していたこともあるのに、就航後4年を経過してもトラブルは増加の一方であった。

6.ユーザーであるANA・JALが、ボンバルディア社への「クレーム」をどこまで強固にあげて、改善・改良を迫っていたか、が不透明であった。本来なら損害賠償にも匹敵する事態と考えられるのに。(ボンバルディア機への対応は、ANA・JALは連携しているとのこと・・・JAC総務の話)

7.仮に「不十分な機材」と言うことを認識していたとすれば、この機材による運航は中止し、代替機材を投入すべきだったのではないか。この際、ユーザー両社は、かかわる経費をボ社に請求できるのではないか。

8.整備点検上の不充分さは、なかったのだろうか。

ちなみにANAは、自社並びにANAM(系列子会社)JALはJAC(日本エアコミューターJALグループ)、JTA(元南西航空)の協力下で整備をおこなっているとのこと。(ANA広報、JAC総務の話)中国・シンガポールなどへの海外外注はしていないとのこと。

9.トラブル頻発を察知していながら、国交省航空局の対応は、いかにも形式的に過ぎてはいなかっただろうか。

毎日新聞夕刊3月13日付より取材を受けました。

<全日空機>現役機長「理想的な着陸」と評価

3月13日14時9分配信 毎日新聞

 全日空機が13日、高知空港で胴体着陸した事故で、テレビ中継を見ていたある大手航空会社の現役機長は「映像を見ている限りは理想的な着陸だったと思う」と全日空機の着陸方法を評価した。
 前輪が出ない場合の手順としては、(1)着陸時の火事を招かないために出来るだけ燃料を減らす(2)客室乗務員(CA)が着陸前に乗客を落ち着かせ、心構えを説明(3)着陸する時はできるだけ主脚をハードランディング(強い衝撃を伴う着陸)させ、速度を落とす(4)主脚接地後は、機首を落とさずに水平飛行(5)機首を地面に落とす――などが考えられるといい、この機長は「教科書的な手順に沿っていたと思う」と話した。パイロットはシミュレーターを使って、脚が出ない場合の訓練を行っているという。
 また「主脚が出ない場合は、機体がバランスを崩して滑走路から飛び出す恐れがあるが、前脚の場合はその可能性は小さい」と指摘。前脚が出なかった理由については「脚を作動させる作動油のトラブルなどが考えられるが、実際どうだったかは分からない」と話した。
 ◇前輪は油圧で操作
 航空関係者によると、前脚はブレーキも兼ねる重要な装置。方向の変更だけでなく、収納したり前脚を出す際も油圧によって操作する。操作不能になった場合は、今回の「タッチ・アンド・ゴー」のように、他の車輪を接地させた衝撃で車輪を出すのが操縦の基本。しかし、今回はそれでも車輪が出なかった。
 ◇同メーカー製でトラブル多発は問題
 
航空評論家・前根明さんの話 事故は大事に至らなかったが、同じメーカー製の航空機で、これだけ多くのトラブルが続くのは問題だ。事故は航空会社の整備だけでは防ぎきれず、メーカーによる品質管理体制の見直しなどが必要になるだろう。
 ◇油圧系統故障か
 
航空評論家の秀島一生さんの話 国内のローカル線で使うには効率的な機種だが、トラブルを繰り返しているだけに全日空は反省すべきだ。前輪が下りない事故では、不十分な角度で降りる例が多いが、今回のように全く下りないことは珍しい。前輪は操縦席のレバーで格納部分に油圧をかけて下ろすが、この油圧系統が故障した可能性がある
続きは、明日にでも・・。

3月14日フジテレビ「めざましテレビ」、TBS 14日「ピンポン」にも出演し、コメント致しましたので、御視聴のほど、お願い致します。

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2007.03.13

操縦席に客室乗務員!

「フライト中のコックピットで、キャプテンが客室乗務員を機長席に座らせて記念撮影をした」と言うことが報道されました。

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「9.11テロ事件」以前は、サービスの一環として旅客を招き入れることもごく普通の風景でした。アメリカのエアラインなどは、離陸後は「旅客が気軽にパイロットと話ができるように、ドアは開放されていたくらいです。私も30年の乗務生活の中で、たびたびこうした場面は経験しております。

しかし、現在では、

1.対テロ対策の法律で関係者以外の入室は「禁止」されています。

2.デジカメなどの機器は、旅客に要請しているように、航行上の障害になると禁止されている瞬間もあります。

3.こうした問題(CAの記念写真)などが外に漏れた場合、ただでさえ「士気の緩みがあるのではないか」という世評に加速をつける恐れがあると言う判断が「なっていない」という側面が明らかです。

4.JALの場合、今、どの現場でもそのくらいの「慎重さ」が求められている。

5.広報のコメントとして「デジカメの使用も含め、運航に影響はなかった」と対応していますが、余計な弁明として、旅客の反発を受けかねない面もあるのではないでしょうか。「危機管理」の心構えと言う点では、今後の工夫が求められているとも感じます。

などの点で、「軽率」のそしりは免れないような気が致します。いろいろな「サイト」で皆さんのご意見がだされておりますので、参考までに掲載いたします。ご意見は「匿名」と致します。

機長が操縦席で記念撮影=飛行中に客室乗務員を座らせる-日航
                  3月12日11時0分配信 時事通信

 ロンドン・ヒースロー空港発関西国際空港行きの日航機で昨年12月、飛行中に機長(45)が客室乗務員(28)を操縦席に座らせ、デジカメで記念撮影していたことが12日、分かった。日航は「軽率な行為だった」として、同乗していた副操縦士を含む3人を所属長の厳重注意とした。
 日航によると、記念撮影していたのは日航422便ボーイング777-200ER型機(乗客乗員計190人)の機長。シベリア上空約10000メートルを飛行中、飲み物を差し入れた客室乗務員を操縦席に招き入れ、撮影を勧めたという。 機長のデジカメで撮影した際、客室乗務員は機長席に座り、ポーズを取って軽く操縦桿(かん)に触れるなどした。当時は自動操縦で飛行していたが、日航はデジカメの使用を含め「運航に影響はなかった」としている。  

いろいろなサイトであげられている生の声です!

この機長席に座るように勧めた機長はそのCAがよっぽど好きだったのでしょうか?それにしてもJALはストーカーまがいと言い、個人情報流出と言い、一昨年の安全上のトラブルよりも今度は倫理的に問題がある不祥事続きですね。

日本航空の機長が、飛行中に客室乗務員を操縦席に座らせ、
操縦桿を握った写真をデジカメで撮ったことが問題になっています。以前は、子供とか、ハネムーンの夫婦とか、記念にと、機長によってはお客を操縦席に座らせてくれたり、コックピットに入れてくれたりしたのに最近は、こういうふうにニュースになってしまうんですねぇ。まあ、日航はいろいろと問題を起こしてるから、仕方ないといえば仕方ないですが。

以前、東武野田線の運転士が息子を運転室内に入れ解雇されています。
自動操縦とはいえ注意で済ませてしまって良いのでしょうか?

★う~ん、日航には乗りたくないな~。
  日航422便ボーイング777-200ER型機で飛行中に機長が客室乗務員(28)を操縦席に座らせ、デジカメで記念撮影していた。いくらオートパイロットとはいえ、緊急事態が起きたらどうするつもり。副操縦士が座っていたから・・・なんて言わないよね。映画の中では、子供をコックピットに招き入れて・・・ってシーンはあるし、私も飛行中のコックピットに入ってみたいけど。乗客乗員計190人が乗っている機長がする行動ではないよね。


記念撮影ですか。自動操縦じゃなければ機長もそんなことできないんでしょうけど。でもやりすぎですね。
私たちは命委ねてますから、責任と自覚をもっと持って下さい。

飛行機の操縦席でいくら大丈夫とはいえ、飛行中に客室乗務員を座らせて、デジカメで記念撮影なんて軽率すぎます。!
遊びじゃないんだから・・・これじゃあコワくて飛行機に乗れなくなっちゃう・・・わざわざ招き入れるなんて、よっぽどお気に入り子だったんでしょうか・・・
   客室乗務員の人が自分から言ったのかと思っていましたが、そうではないようですね。。。影響がなかったという問題ではないですよね!
乗ってた人たちはこの機長に命を預けていたみたいなものなんですからね!


飛行機の操縦席でこんなことしていいの? いいわけないよね~?
機長もアホだけど、このスッチーもロクデモないですね。乗客を馬鹿にしています。 他でやってくださいな。こんなプレイは^^;

いくら自動操縦になっていたとしても、飛行中に客室乗務員を操縦席に座らせるのはまずかったでしょう。 JALは何かとあらば叩かれる。
そんな状況になってきているのは仕方ないのかもしれない。でも、三人の秘密にしておけば大丈夫だったんじゃないの?


えー?コクピットの中って電子機器使っていいの?
(突っ込むところはそこじゃないだろ)好みのスチュワーデス(今はキャビンアテンダントか)だったんですかねぇ。そりゃ彼女だって、操縦席座る機会なんてまずないでしょうし、機長命令には逆らえないんじゃないかとは思いますが…。地上で、止まってる状態でだけにしてください。
飛行機に乗っているのはあなたたちだけじゃないですよ~><!
お客さん含めて190人乗ってるんですよ~!!

自動操縦だったからって、それ言い訳になりませんよ~><!!…日航、なんか呪われてるんじゃないかってくらい、不祥事が多い気がするんですが、気のせいですか?

客室乗務員を操縦席に座らせる行為が、いけない事かどうか知りませんが、飛行中に気軽に記念撮影をするなど、あるまじき行為です。自動操縦なのは分かりますが、飛ぶ乗物は、落ちたら終わりなんですから、おフザケはいけませんね。

辞めさせるべきだな。こんな操縦士に自分の命を預けているのかと思うと背筋が寒くなる。“日航はデジカメの使用を含め「運航に影響はなかった」としている”←そういう問題ではないでしょ!?この機長…叩けばもっと埃が出るのでは??きっと日常的にこういうことをしていたのだろうし、一体何のために操縦席にデジカメを持ち込んでいたのでしょうね~?追及すべき!しかし…これってどうやって発覚したのでしょうか。やっぱり考えられるのは密告した人がいるんでしょう。我慢できなかった人がいたってことかな。誰でどんな立場の人かはわからないけどね。

機長が撮影を勧めたというはなしですよね。
どんな関係だったのかわかりませんが、機長はそもそもなんでデジカメを持ってたんでしょうかね 。

最近の流れの中で、今回の件が世間から批判されるのはJALの誰もがわかっていたと思います。なのになぜやった?みたいな疑問はあります。問題は、まだまだJAL内に「気の緩み」がある、ということなのかもしれません。まぁ、ずっと張り詰めたまま十何時間も仕事するのは無理でしょうが。。。

一昔前ならちょっとコネのある人なら誰でもやらせてもらえた事だよね、 色んな意味で空気を読まない当事者も問題だけど、 (こんなのが明るみに出るという事は機長かそのCAのどちらかが、同僚から足を引っ張られるような人柄だったという証だし) マスコミの尻馬に乗って危険危険騒ぐのもまた恥ずかしいよ。

JだけじゃなくてAでもやってるよん♪ 息抜き息抜き。


別にCAさんが座ってもいいじゃん? 別に離着陸の操縦をする訳でもない安定飛行中に、 ちょっと息抜きで操縦席に座って笑顔で写真撮っただけ。 職場の仲間同士の楽しいコミュニケーションなんだから、 他人がとやかく文句言うようなことじゃないって。 それを規則で禁じて処罰する会社は行き過ぎだし、 LOSAがどうだの無免許運転だのライセンスがどうしたとか言って、 マスコミに便乗して批判するアナタの感覚が変だってことさ。 写真ぐらいであーだこーだ言われるなら、 乗務員はストレスで行き場が無くなっちまうぞ?

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2007.03.09

ガルーダ航空機、着陸失敗炎上!

2月7日、インドネシアのジョクジャカルタ空港で、「ガルーダ航空機-B737型機」が着陸に失敗、滑走路をオーバーランして、クラッシュ。炎上しました。詳しくは以下のとおりです。

原因究明は、調査の結果を待たねばなりませんが、現在のところでは、天候・風などに特に異常な事態は見られないため、「着陸時の何らかの事態発生か、操縦上の問題と言う公算が高い」といわれています。

また、事故に至る背景としては、タイ・シンガポール・マレーシア・オーストラリアを中心とした東南アジア・オセアニアでの「格安航空会社の乱立、激しい低運賃競争」があげられます。コストカットのためには、「経年機材の使用」「整備の不十分」「パイロットの獲得合戦」「客室乗務員の保安要員要素の低下」なども考えられ、今後の注意が必要です。特に、インドネシアでは、国勢として島が多い関係上、これまでの「フェリーなど海上輸送に変えて航空が3倍の伸びを示しています。約40都市をこうしたエアラインが「低運賃」・・・タイバンコック/シンガポールなどでは、往復3000円などという格安ぶりです。・・・・・ を掲げて飛び交っています。事故を起こした「ガルーダ航空はもともとインドネシアのナショナルフラッグキャリアであり、国際線も多く有しており、国内での低運賃競争には、経営的に難しい課題を迫られていたものと推察されます。こうした問題は、これからの日本の翼とも「共通する問題点」を含んでいるものと思えます。詳しくはまたの機会に述べます。

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インドネシア機 着陸失敗、49人死亡 2邦人無事確認
           3月7日16時16分配信 産経新聞

 【バンコク=岩田智雄】インドネシアのジャワ島中部ジョクジャカルタ空港で7日午前7時(日本時間同9時)すぎ、ジャカルタ発のガルーダ航空ボーイング737型機が着陸に失敗して炎上した。同機には乗客乗員140人が乗っており、ロイター通信によると、少なくとも49人が死亡した。

 外務省などによると、同機にはソニー・インドネシア社員の伊藤伸二さん(45)と観光旅行中の広島市の会社員、山田憲司さん(31)が搭乗していたが、いずれも無事が確認された。伊藤さんと同乗の現地社員3人も脱出したという。

 同機は着陸後、滑走路を外れて炎上し、尾翼部分を残してほぼ全焼した。約90人が自力で逃げたり、救出されたりし、生存者の大半は地元の病院に収容された。同国のハッタ運輸相は「(事故機から)76人が脱出して無事だが、それ以外の安否は不明だ」と述べた。

 テロ対策協議のため、インドネシアを訪問中のオーストラリアのダウナー外相が7日にジョクジャカルタを訪れる予定だったため、同機にはオーストラリアの外交官と記者約10人が搭乗しており、犠牲者が出ているもよう。 

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~脱出は、「後部ドア」からしかできなかった模様・・・~

生存者の大半は、後部ドアからの脱出者です。こういう火災が発生した事故では、怪我だけではなく高熱有毒な煙を吸い込むことが生死を分けます。また、力が残っていても脱出すべきドアが開かなかったりすれば、ますます生存への確率が狭まります。

さて、日本に目を移すと、最低「ドアの数」だけは、必要とされていた、客室乗務員の数も航空法の「規制緩和」で、クリアーしなくてよいことになりました。実際に、JALのMD型機では4つのドアに対し、客室乗務員の数を「これまでの4名から3名にする」という計画が進められていると聞いています。こうした事故を目の当たりにして、あらためて、「エアラインの自主的安全対応」の重要性を認識させられました。

「全員ミラクル脱出」のエールフランス機オーバーラン事故を参照。

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画像は、いずれも テレビ朝日「報道ステーション」より

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2007.03.05

JALとJTB、ANAと楽天

JALとJTBがパートナーを組んで、国際線のよりきめ細かい企画と販売を行うと報道されました。一方のANAは「楽天」とコーディネートし、まずは、国内販売の強化に手をつけています。

巨大元国策会社(元ナショナルフラッグ日本航空、日本交通公社)の組み合わせ、新進急成長純民間(国内線から国際線へ進出してはや20年のANA、楽天トラベル)果たしてどんなバトルを繰り広げてゆくのか、利用者としても大きな関心を呼ぶところです。

JAL&JTB、2007年夏、欧州へのチャーター便を大幅増便
           2月24日  日刊工業新聞

日本航空(JAL)とジェイティービー(JTB)は包括提携を結び、日本各地の新たな海外旅行需要創造・海外の新デスティネーション(方面)開発・海外発訪日旅行需要の拡大などで協力を行っておりますが、今般、2007年夏の欧州方面へ運航するチャーター便の計画を決定致しました。 

チャーター便は、団塊の世代を含むシニア層などの多様化するヨーロッパ方面への観光客需要にお応えすべく、2007年6月~9月にかけて日本各地=スイス/イタリア間に、7月~10月にかけて成田/名古屋/関西/福岡=中欧(クロアチア、ハンガリー、チェコ)間に設定します。 

スイスとイタリアへのチャーター便は札幌、函館、仙台、新潟、広島、北九州、福岡、長崎、大分、熊本、鹿児島の各都市発着で、それぞれの都市から直行運航※1 することで、日本国内における「乗り継ぎ」を解消し、また、一部の便をオープンジョー運航※2 することで、効率が良い旅程を組むことが可能となり、利便性が大幅に向上します。 

観光人気が高まりつつあるクロアチアへは、日本から初めてとなる直行チャーター便を成田発着で合計3往復設定いたします。クロアチアの首都ザグレブと、アドリア海に面した世界遺産都市ドブロブニクをチャーター便の乗り入れ空港とし、クロアチアとその隣国を縦断するツアーを組みます。 

また、成田、関西、名古屋、福岡を発着するブダペスト(ハンガリー)、プラハ(チェコ)チャーター便は、中欧地域を周遊するツアー行程を考慮して、両都市に交互に乗り入れるオープンジョー※2運航として合計14往復設定いたします。 

旅程全体の利便性向上に加え、直接中欧地域の都市に乗り入れることで日本からの渡航時間が3~5時間短縮可能となります。その結果、例えば、到着したその日からゆっくりと優雅に食事を味わい、帰国する当日も出発時刻ギリギリまで観光や買い物などを楽しむことが可能となります。 

JALとJTBは、今後とも、お互いの会社が持つメリットを共有、活用し、お客さまの満足度をより一層高め、お客様から求められる観光商品を提供して、旅行観光需要の開拓と拡大に努めてまいります。 

*1 一部の空港発着便では日本国内を経由する場合があります。 

ANAと楽天 国内旅行企画、ネット販売 来月1日新会社設立
              (フジサンケイ ビジネスアイ) - 7月13日.2006

 全日本空輸(ANA)と楽天は12日、国内旅行を企画しインターネット上で販売するための共同出資会社「楽天ANAトラベルオンライン」を設立すると発表した。
 新会社は資本金が9000万円で8月1日に設立する予定。楽天が50%、ANAが40%、ANAグループの旅行会社であるANAセールスが10%を出資する。
 新会社では、ANAグループが供給する自社運航の国内線約900便の座席と、楽天グループが契約している全国の約2万軒の宿泊施設を組み合わせた旅行商品を企画。楽天グループの旅行会社、楽天トラベルがインターネットを通じて同社の3300万人いる会員に対して販売する。
 旅行商品は、定番型のツアーのほか、登録されている航空機の便、宿泊施設、レンタカーやテーマパークの入場券といった関連サービスをネット上で組み合わせることもできるという。
 両社は、このサービスを「ANA楽パック」と名付け、他のサービスも含め10月から提供する考えだ。
 ANAグループでは、これまでもANAセールスなどが同様のサービスを提供してきた。
 今回の新会社設立については「宿泊施設などの登録数が、国内で最も多い楽天との共同展開で、より多様なサービスを顧客に提供できるようになる」(伊東信一郎・ANA専務)としている。
 一方の楽天は「このサービスは、24時間思い立ったときに希望の旅行を組み立てて予約できるという新しいサービス。こうした取り組みを通じ、旅行需要を刺激できればと思う」(山田善久・楽天トラベル社長)とした。
 両社は2004年7月から会員組織間のポイント相互交換サービスなどの分野で業務提携してきており、その後も

インターネットを活用した旅行事業の創出などを検討してきた。

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JAL「アライアンス」始動へ!「ワンワールド」                   

ANAが「スターアライエンス」加盟して、既に10年が経過、「アライエンス」については、後塵を拝することとなりましたが、JALも「アライアンス」強化が再建への重要な鍵となる旨姿勢を明らかにしています。なお、「ワンワールド加盟の意向を示したのが2005年10月ですので、1年半かけてようやくこの4月1日より参加となります。日本へのインバウンド観光客増加をめざす、「観光立国日本」政策は、これまで「YOKOSO JAPAN」キャンペーンなどでも知られていますが、JALのワンワールド参加始動で、二大エアラインが「アライエンスによる顧客獲得」に動くこととなり、冬柴国交大臣も期待を寄せているようです。

    JAL再生に追い風 ワンワールドに4月加盟

                   3月2日 フジサンケイ ビジネスアイ
 経営再建中の日本航空(JAL)は1日、今後の主力小型機「ボーイング737-800型」を就航させるとともに、4月1日に加盟する国際航空連合「ワンワールド」のメンバーとして初会見に臨んだ。2月にまとめた再生中期計画に背水の陣で取り組むJALは、2つの追い風に乗って、再生に弾みを付けたい考えだ。

 「ワンワールド」に加盟する航空会社のトップが一堂に会して行われた同日の記者会見で、4月1日に正式加盟するJALの西松遥社長は、「単独や2社間の提携ではなしえなかった世界規模の高品質なサービスを提供できる」と、加盟効果に期待を表明した。

 JALはこれまで、世界3大航空連合のいずれにも加盟せず、単独路線を取ってきた。ワンワールドにとっては、6年ぶりの新規加盟。JALと同時に、マレブ航空(ハンガリー)とロイヤルヨルダン航空(ヨルダン)も加わり、加盟社は10社に拡大する。

 JALでは、加盟と同時に北東アジア、東南アジア、南太平洋の3地区にまたがる旅を割安価格で楽しめる「ワンワールド・ワークルアジア&南西太平洋・エクスプローラー運賃」など、ワンワールド商品の販売を開始する。

 また、加盟航空会社を利用して訪れた旅客が割安で国内路線を利用できる「ワンワールドYOKOSOジャパン・パス」を販売するなど、商品力を強化し競争力を高める。

 会見では、カンタス航空のジェフ・ディクソンCEO(最高経営責任者)が、「JALの加盟で、ワンワールドのプレゼンスはますます高まる」と歓迎。冬柴鉄三国土交通相も、「2010年の日本への観光客1000万人達成に向け、百万の味方を得た気分だ」と語った。

                   ◇

【用語解説】ワンワールド

 アメリカン航空やブリティッシュ・エアウェイズなど5社中心に1999年設立した国際航空連合。加盟社は4月に3社増え10社となる。各社は共同運航や乗り継ぎ、空港ラウンジの共有など幅広い分野で協力。運営事務局はカナダ・バンクーバー。 

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2007.03.01

「グッドラック」ではなく             「グッドタイミング」過ぎて・・・。

~JAL労組幹部が、「ボーナス半分で良い。」と応じる姿勢~

「JAL労組の客室乗務員9000人に及ぶ個人情報」は社内の監視ツールとして活用されていたとも言われており、「保護法違反のプライバシー・人権侵害」は言うに及ばず、内容の低劣さは、内外に「ショック」を与えています。当労組ではこの事実を認めて、委員長名で下記のお詫びを社内に配布、HPでも公表しました。

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上記は「週刊朝日」3月9日号 より

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サンケイスポーツ 02.28.2007

その一方で、社内的なパワーバランスを維持することに思惑があるのか、2月28日「コスト削減の具体化として出されてきた、ボーナスのカット」に現場の意見を聞く暇もなくトップダウンで説得する方向で、「OK」の姿勢を明らかにしたそうです。年間3.8ヶ月のものが2ヶ月になるということでは、下々のあいだでは、住宅ローンなどの返済などにも大きなダメッジがあることでしょうから、社内の混乱は更に輪をかけ「安全運航の再構築」という気概にも水をかけることになるのでは・・・と心配です。社内の声なき声(なにしろ声を出せば、反会社的というレッテルが貼られるシステムになっていますから。)は、「現場からの声を真剣に聞くこともなく、経営方針の失敗で失った数千億円の責任を誰も取らず、なぜ従業員がその責めを負わねばならないのか。」という懐疑心が湧き上がっているとも言われています。労働組合がその機能を停止したと言っても過言でないような気も致します。

私などは、現役のときに、「見せ掛けのキャンペーンなどに大きな費用を毎年使っているが、どういう効果があったのかということも明らかにされていない。そんなことよりも機内のCAの人数を一人でも増やせば、旅客一人当たりに接する時間も余裕ができる。商品としてこの方が受け入れられるという確信がある。検討すべきではないか。」など常々まともに意見を申しておりましたから「そのファイルには自分はなんと書かれていたのか」覗き見したい欲望に駆られてしまいます。
もっとも、会社の役員でも、こうした腐ったシステムに異を唱えた方も何人か存じておりますが、どの方も「あっと」いう間に左遷されたり、辞めざるを得ない立場に追い込まれました。

言わせて戴けば、これは、もう「組合問題」などではなく一流航空会社としてのミニマムモラムなのではないでしょうか。「特定の組合元幹部が社内の要所/人事・労務・営業を固め、代々ポストを引き継いで行く」「旅客のニーズを良く見て斬新な政策や企画をスピーディーに決断し実行するなど考えられないムード」「他社の動向を見て成功している場合は、真似をする」「自社の社員でも盲目的に何でも言うことを聞くセクションは、エリート扱いをするが、整備やパイロットや客室や空港などの現場部門は、将棋の駒扱いをする」などなど「社員でもううんざり」しているこういう風習を改めなければならないギリギリの時期にきているのではないかと推察いたします。

ちなみに、かつてJALは、自社にとって都合の悪いことを書かれた場合、該当の「新聞・雑誌」を機内に搭載しないとしておりましたが、今はどうなのでしょうか。

 そういう意味で、メディアの皆様も、単に「近々の収支・株主配当」ばかりを追いかけず、「JALの再建とはなにか」をテーマとした根本的報道を行って戴きたいと願うものです。

また、JAL・JAS統合後のの客室乗務員で組織されている日本航空キャビンクルーユニオンの声明も下記に載せておきます。(他労組と会社人事・労務部?提携の監視下に置かれていた被害者にもなりますが)

       客室乗務員リストの外部流出について 

 このたび、数年前のものと思われる客室乗務員の皆様の個人データが社外に漏洩したことが発覚しました。皆様に多大なご迷惑ならびに、ご心配をおかけし申し訳ございません。深くお詫び致します。
JALFIOでは、組合員の皆様への連絡や、きめ細かな対応をするためのツールとして、皆様の氏名や社員番号、所属や電話番号、住所といった情報をデータ管理しています。
これらのデータは、個人情報保護法の施行以前の2005年3月まで会社から公式に入手したものであり、2005年4月以降は、組合団体保険の運用に係わる生年月日のみが会社から提供されております。そして組合員の皆様から寄せられた情報に基づき、必要な修正や新たな情報の追加を行い、あくまでも組合内部の情報として使用しています。

またこの件についてはマスコミから取材を受け、これまでに確認している事実に基づいて対応しております。
なお取材にあたっては、これ以上皆様にご迷惑がかかることがないよう、データを保持しているマスコミに対して、個人への連絡をしないことを依頼し、また取材終了後のデータを破棄することに関する了承を得ております。
 JALFIOとしても、組合内の調査が終了した後、全てのデータを削除することと致します。組合員サービスに必要な情報については、改めて個人情報保護法に基づいた必要な手続きを取った上で、会社に提供を依頼することと致します。
 今後、このようなことのないよう、再発防止に向け一層の情報管理を徹底するとともに、働きやすい職場創りのために、より一層の力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

                2007年2月26日                                                     JAL労働組合   本部執行委員長   石川 茂一

JALの最大労組、賞与半減を容認へ
2月28日  読売新聞

 日本航空の最大労組である「JAL労働組合」(組合員約1万人)は28日、会社側が経営再建策として打ち出した賞与の引き下げを認める執行部案を固めた。

 2006年度に3・8か月分(特別手当0・2か月分を含む)だった賞与を、07年度に「2か月プラス10万円」とすることを認める方針だ。ベースアップの要求も見送る。組合員に説明した後、3月8日にも正式に会社側に伝える見通しだ。

 日航は2月中旬、07年度の賞与を06年度に比べてほぼ半減させ、人件費を約150億円削減する方針を社内の8労組に伝えていた。最大労組がこの水準を認める方針を固めたことで、難航が予想されていた労使交渉が前進する可能性が出てきた。 

     「個人情報漏洩事件」に関する見解
                                                         キャビンクルーユニオン

2月26目、羽田、成田岡乗員部メールボックスに、JALFIO(JAL労働組合)本部執行委員長石川茂一名で「客室乗務員の皆様へ」と題する文書が配布されました。その内容は「このたび、数年前のものと思われる客室乗務員の皆様の個人データが社外に漏洩したことが発覚しました。皆様に多大なご迷惑ならびに、ご心配をおかけし申し訳ございません。深くお詫び致します」「今後、このようなことのないよう、再発防止に向け一層の情報管理を徹底するとともに・・・・」というものです。文面からすると、「個人データの社外への漏洩」の責任はJALFIOにある事を認めた内容になっています。

 同26日に販売された、週間朝日(3月9日号)の記事と現物と思われる写真を見ても、情報漏洩は明白な事実であると判断せざるを得ません。また、その情報は会社の関与無くして作成出来るものではないことも明らかといえます。

上述の個人情報の記載内容は一人ひとりの客室乗務員の人権侵害・人権蹂躙にあたり、到底許せるものではありません。そして、個人情報の集約行為は違法そのものです。

 このような行為は、安全を担保する保安要員である客室乗務員に対して、その於も重要なチームワークを破壊し、「安全運航確立」に逆行する許しがたいものであり、今回の事態を招いた会社・JAL労働組合の責任は重大です。

JALの信頼をまたしても失墜させ、社員である全ての客室乗務員に不信と不安を植え付ける今回の事態を招いた会社とJALFIOに対して、キャビンクルーユニオンは断固抗議します。
そして事態の解明に向け、全力を挙げて取り組みます。

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2007.02.28

JAL労組が無断で客室乗務員の個人情報を!

~「沈まぬ太陽」を地で行く?~

2007013100000019reubus_allview000_1 2月27日発売の「週刊朝日3月9日号」では、以下のニュース内容が報道されました。簡単に言えば、特定の労働組合に個人の同意もなく「客室乗務員7000人の個人の情報」を提供していたと言うことのようです。それも「思想信条」「支持政党」「性格」「交友関係」といったことまで詳細にわたっていたということで、大きな問題となっています。

JALの「安全とサービスを回復するには、社内が一丸となることが必須」と言われている一方で「社内に8つもの労働組合があるのは、なぜ?」という「疑問」も段々おおやけに解明されてくる傾向にあるようです。

山崎豊子さん著作のベストセラー「沈まぬ太陽」を地で行く実態とも受け止められます。

参考:美しい「日本の航空」へ新たな動き

少しこまかく申し上げますと、客室乗務員7000人の個人情報を取得しているということは・・・

★JAL労組(JALFIO)客室乗務員支部の組合員だけではなく、日本航空キャビンクルーユニオンの組合員の個人情報まである程度正確に収集できていることになります。これは「特定の労働組合の活動に利するように情報を提供している」と問われる内容であるとともに、明解な「本人の同意を得ず不必要な情報を集めることを禁じた個人情報保護法」違反です。

★また、その情報の中味が「管理職」によって口にすることも恥ずかしいような「人権侵害にも及ぶメモがついているようです。もともとJALは「不当労働行為のデパート」という不名誉な記録もありましたが、事実とすれば、おぞましいことです。

★「ANAとJAL」の経営体質の違いのもっとも大きな部分が「明らかに」なってゆくのでしょうか。もっとも、逃げることなくこういう40年来の「膿や澱」をきれいに整理することができれば、「確実に信頼は回復できる」のですが・・・。さて、・・。

★ちなみに冬柴鉄三国土交通相は27日の閣議後会見で、「思想信条や政党支持、病歴など(を集めること)はとんでもない話だと思う」と述べたようです。

<JAL労組>無断で客室乗務員の容姿などの情報集め…流出
               2月27日12時12分配信 毎日新聞

 日本航空の最大労組「JAL労働組合」(1万500人、石川茂一委員長)が、7000人以上の客室乗務員について、支持政党や容姿など不必要な個人情報を無断で集め、内容を外部へ流出させていたことが分かった。本人の同意を得ず不必要な情報を集めることを禁じた個人情報保護法の施行(05年4月)後も収集を続けていた。同労組は「集める必要のない情報が含まれ、法律の趣旨も理解していなかった。おわびしたい」としてデータを削除した。
 同労組によると、個人情報の収集を始めたのはパソコンが組合に導入された96年ごろから。会社から提供を受けた客室乗務員の名前、住所、電話番号、職位に加え、労組が独自に病歴や支持政党、容姿、性格、交友関係などを追加し、支部の代表者などに保管させていたという。会社側は「所定の必要な個人情報以外、労組に一切提供していない」としている。
 冬柴鉄三国土交通相は27日の閣議後会見で、「思想信条や政党支持、病歴など(を集めること)はとんでもない話だと思う」と述べた。【長谷川豊】 

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元JASのMD機にまたもトラブル!

あらためて説明しますと、JAL・JAS統合の結果、JAL便でも当然元JAS所有の機体が運航されています。JASの主力機であった「MD=マクドネルダグラス社製」機材は、MD-81、MD-87、MD-90というもので、元JASの路線で使われています。

MD-81,87型は、JAS時代からエンジンなど各種のトラブルもあり、かつ使用年数も約20年経過しており、最近の「JAL中期再建プラン」でも、予定より1年前倒しで退役させることが発表されていました。 なお、今回のトラブルは、比較的新しいMD-90に多く見つかったと言うことでは、航空機は必ずしも機齢だけでは判断できないことも示しているようです。

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MD-90機影 「JALHPより」

日航機 配管に亀裂 MD90型機など9機
                                 2月25日 産経新聞

 日本航空のMD90型機など9機で、機体尾部のエンジンから主翼にある凍結防止用装置まで空気を送る配管に亀裂が入っていたことが24日、分かった。うち1機は今月17日、関西空港に緊急着陸するトラブルを起こしている。日航は9機の部品を交換するとともに原因を調べている。

 日航によると、亀裂が見つかったのは、エンジンから取り込んだ空気を送る直径12センチの配管と配管をつなぐコネクターと呼ばれる接合部分。

 配管は機体尾部のエンジンから取り出した高圧の熱い空気を主翼に送るもので、凍結を防ぐ役割をしている。凍結すると飛行が不安定になるなど支障は出るが、即、墜落につながることはないという。

 緊急着陸したのは花巻発関空行き2620便。近畿上空で火災警報灯が点灯したため、17日午後0時7分、関空に緊急着陸した。亀裂は接合部分を1周しており、配管がずれ落ちていた。

 この接合部の亀裂から空気が漏れ、周りの断熱材がちり状に舞い上がり、煙のようになったため、火災警報灯が点灯したものと分かった。

 さらに日航が他のMD90型機15機を調べたところ、7機に亀裂が見つかった。またMD87型、MD81型機計23機中、1機に同様の亀裂があった。亀裂は小さなもので周囲の6分の1、大きなものは1周していた。

 日航は接合部分の溶接に問題があった可能性もあるとみて、メーカーの米ボーイング社とともに原因を調べる方針。

                   ◇

【用語解説】MD90

 MDシリーズは米マクドネル・ダグラス社(米ボーイング社に吸収合併)が1960年代から開発した短距離用小型ジェット機DC9の後継で、エンジンが機体尾部に2基あり、丁字形の垂直尾翼が特徴。95年に就航したMD90は、低騒音の高性能エンジンを搭載し、標準座席数は166と初期のDC9の2倍近くまで大型化した。ボーイング社のホームページによると113機が製造され、日航と経営統合した旧日本エアシステム(JAS)が95年に16機を導入した。 

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「整備の海外委託」指摘通りの実態が・・・。

~シンガポールに続き「中国」でも整備ミス~

JALは、これまで公に「安全にかかわるようなコストカットはしない。」旨の発言をおこなってきました。しかし、こうした建前とは、裏腹に、つい最近の「中期計画」(中期再建プランとも呼ばれています)では、西松社長が「自前主義は排する」とも言っています。これは、わかりやすく説明しますと、「自前つまり自社整備はコストがかかるので、これまで以上に子会社へ委託、海外への外注を増やしたい」という表明です。

金融機関への手前ということを、多少割り引いても、「JALの運航・整備の安全がどんな状況におかれているのか」をリアルに捕らえていないものと思えました。

記憶に新しいことですが、2005年12月には「左右のエンジンを逆に付けたまま、8ヶ月/2700時間も飛行を続けていた」事が判明しました。エンジンを逆に装着するほうもするほうですが、整備上がりした機体をチェックしても気がつかないという整備レベルについて「信じられないような事件」でした。シンガポールの外注先Sasco社での整備でした。こうした問題を抱えながらも、整備の海外外注率に特段の減少も見られない中、今度は中国「アモイ」での整備に次々にミスが発見されました。

JALは、いま「安全運航への旅客からの信頼感」を取り戻すことが、最優先課題とされています。コストだけに目を向けた「整備の海外外注化」は、「内容とボリューム」について改めて見直しすることが、必要なのではないでしょうか。

日航、補助翼部品付け忘れて運航 海外整備委託先がミス

                朝日新聞

 日本航空が整備業務を委託している中国・アモイの整備会社「TAECO」が1月、日航のボーイング767型機の整備の際、旋回に用いる補助翼の操作の伝達経路にある微細な金属部品を付け忘れたことがわかった。2月1日に見つかるまで約2週間に64回発着していた。

 06年春ごろにはボーイング747―400型機の複数ある燃料タンクの1基の内部にマニュアルのコピー十数枚を置き忘れた。燃料が完全に注入できないことから発覚したが、機体が引き渡された06年5月から9月まで227回運航した。  日航や国土交通省によると、いずれも飛行の安全性に支障はなかった。

 整備業務の海外委託は世界中の航空会社が進めている。TAECO社も国交省の認定を受けた工場で、各社が委託。日航も品質担当者を派遣している。

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2007.02.25

この時、客室乗務員は?

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2月20日に起きた鹿児島空港での出来事ですが、旅客が降機する際に、先任客室乗務員(いわゆるチーフパーサー)に「折りたたみナイフを見せて「セキュリティーなんて宛てにならない」旨をアピールしたとのことです。その後、空港警察に届け出たのですが、旅客を捕捉できませんでした。

客室乗務員の主たる任務は、「保安要員」です。まして、責任者がこの事態に直面したにもかかわらず、「旅客の掌握」を何ひとつできなかったため、「警察」はじめ「空港」としては「当該旅客の乗り継ぎの可能性」などを考慮し、遅延便なども出た模様です。

客室乗務員のあり方、先任客室乗務員の経験度・判断能力などが問われる問題でもありますが、この路線の特性、社内体制などを調査中です。

お願い :  ブログランキング」 をクリックしていただければ幸甚です。

男がナイフ見せ逃走=空港到着後、機内で-鹿児島
      2月21日配信 時事通信

 20日午後7時50分ごろ、鹿児島県霧島市の鹿児島空港で、「男が客室乗務員にナイフを見せて逃げた」と、空港内の警備派出所から県警霧島署に連絡があった。同署員が空港内を捜したが、見つかっていない。けが人はなかった。
 調べでは、男は50代ぐらい。同日午後6時10分ごろ、鹿児島・奄美発の日本航空3736便(乗客140人)が到着後、飛行機のドア付近で客室乗務員に折り畳み式のナイフのようなものをちらつかせ、そのまま歩いて逃げ去ったという。 

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ABOUT パイロット

~あれこれ②~

華やかさ・制服のかっこよさ・高給というイメージは強いものがありますが、パイロットの生活というのは、あまり知られていない気が致します。

フライトとフライトの間で、シュミレーターによる訓練、デイリーで更新されるマニュアルの差し替え整備、フライト前は、次のショウアップ(出勤時間)から12時間遡って「アルコール摂取は厳禁であり、夕食前の一杯も制限されています。また、機長ともなると「管理職扱い」ですから、一緒に飛ばない部下(コーパイロット)の人事的管理もあります。日夜変わる技術革新への学習も不可欠。毎日規定の操縦をしていればよいというほどたんじゅんではありません。フライト前日は、空港ごとに違うアプローチのチャートを頭に叩き込んでおかねばならず、いわゆる「予習」もミニマム必要です。簡単に言えば、休日でありながらゆったりと過ごす休日には、ならないのが実状でしょう。

また定期的健康チェックも大変厳しいものがあり、視力や内臓疾患(特に心臓関係)などに少しでも異常があれば、たちまち「乗務」から降ろされてしまいます。日常の「健康管理」は「安全運航」の要でもあり、家族の神経も通常の地上勤務者を超える気遣いが必要です。

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先日、久しぶりにおはなしをした、かつての後輩(CA)がパイロットと結婚して生活をともにしていて、「あれだけフライトを一緒してきたパイロットでしたが、これほど神経を使った生活をしなければいけないなんて思わなかった」と述懐しておりました。

私が乗務をしていた折には、多いときは、500名からの人命を預かる職務、できるだけ良い環境で「操縦できる」ように心を砕いたものでした。

今日は、パイロットの生活の一端に触れてみました。

「毎フライトに命をかける」「熟練と日々の修練」仕事へのプライドを傷つけ、信頼感にかげりを呼ぶ「盗聴事件」が報道されました。個人的とはいえ、利用者に与えるショックは大きなものがあり、まことに残念な出来事です。

JAL機長を逮捕=交際の客室乗務員宅に盗聴器-「気持ち知りたかった」・警視庁
          2月23日13時1分配信 時事通信

 交際相手で日本航空の客室乗務員の女性の部屋に盗聴器を仕掛けたとして、警視庁玉川署は23日までに、同社機長野村昌弘容疑者(39)=東京都豊島区駒込=を電波法違反容疑で逮捕した。調べに対し「どんな気持ちで自分と付き合っているのか知りたかった」と話しているという。
 調べでは、野村容疑者は2002年6月から昨年11月までの間、交際していた同社の客室乗務員の都内の部屋に盗聴器を仕掛けた疑い。
 盗聴器は東京・秋葉原で購入。女性の家の近くに車をとめて、5、6回にわたり、車内から盗聴していたという。  

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2007.02.20

”JAL中期計画へのコメント”に!

去る2月20日号の「週刊SPA!」よりのインタビューを受けて、修正に動く「JAL中期計画」略称「JAL中期再建プラン」について、誌上にコメントを致しました。

再建をめざすというプランは、

☆「西松社長が自らの年収をこの1年間960万円とする。」「役員個室は廃止する。」

 「役員上席でも黒塗り専有車はやめて、電車通勤とする。」

などは話題性を、を呼ぶことになりました。お暇な折には一読戴ければ、幸甚でございます。

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2007.02.14

ABOUT パイロット

~あれこれ①~

私が現役で「飛んで」いた頃のことです。パイロット(機長・副操縦士)航空機関士は、コックピット クルー
、客室はキャビンクルーと言っておりました。日本語では、一般的に「乗員」「乗務員」という表記です。同じ
クルーでも片や、コックピットは「機械」が相手、他方は旅客という「ヒューマン」が相手という違いがあります。この辺で、「気質」の違いは大きく、同じ「クルー」同士でも操縦室のドア一枚隔ててのコーディネーションはフライト毎に、気を使うものでした。

例えば、泥酔・セクハラ・バイオレンスなど他に迷惑をかけていて始末の仕様がない旅客、急病人などが搭乗していた場合など、「引き返し・緊急着陸」を含めて決断が必要になります。その際は、旅客を把握しているのは、キャビンですから「報告・相談・結論」ということが必要で、ティームワークがすべての「要」となります。
勿論、「航行中の故障トラブル」「爆弾・ハイジャック」などは、更なる緊張で臨むことになります。

良いキャプテンとは・・・・・。

あくまで「クルー」という内々の話となりますが、「ティームワーク」上「あのキャプテンは、いいねぇ。」とCA達からも人気になる「像」というものがありました。これは、今でも変わらないと聞いています。機長というのは、安全上は、機の最高コマンダーですから、その責任と権威は高いのですが、DUTY WORK とPRIVATE(私的感情)をきちっと区分けできる人。インターフォンで、CAに「ファーストクラスのフルーツをもってこい」などと命令口調でものを言うなんてことをしない人です。いつも、「旅客あっての航空機」という認識を忘れない人。コックピットからの挨拶、航路上の情報、遅延・タービュランス時のすばやい対応をアナウンスできる人です。英語については、クリアーでわかりやすく、聞いている仲間(CA)が恥ずかしくならない程度ですね。コックピット内はご承知のように物理的にも狭く、人間関係も「二人の世界」です。その上、究極の上下関係にあるわけですから、副操縦士の精神的プレッシャーは大変です。こうした「ヒューマン」な要素にも心配りができる人。到着後、旅客より早く飛行機を降りない人、民間航空として当たり前ですが、周囲への配慮を考える人。  などがあげられます。

~「高い」か「安い」か~

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さて、「運航安全のかなめ」である「パイロット」の「仕事と生活」については、サイドから30年おつきあいしてきました私が、次回に触れてゆきたいと思います。
昨今、JALの再建策の中に、「パイロットの給与が高すぎる」という大合唱がありますので、「高いか、安いか」を利用者が判断する材料にでもなれば・・という気持ちです。

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2007.02.04

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~「快適って・・・」~

TBSラジオ 安住紳一郎の日曜天国 でお話を

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2月4日、日曜日。TBSラジオ安住紳一郎の日曜天国にゲスト出演致しました。番組では「空の旅を快適にすごすために」という話題が中心となりました。

☆客室乗務員の「座席守備率」(編成数)は、きめ細かいサービスの決め手 

☆旅客のマナーでサービスも変わる

☆搭乗機の機令と「安全性」

などをお話しました。30分の時間帯でしたので、いつもより突っ込んで「快適性 」について述べることができました

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2007.01.31

JAL再建策へのメディアの対応に異論あり!

~利用者よりも金融機関に顔を向ける?~

Sony_dvd_recorder_volume39 1月29日、JALが国内11路線の廃止を発表しました。

報道各社は、1月25日に先行して発表された「ANA」の路線減便・休止発表に加えての報道を行っています。

立て続けのトラブルなどを引き金として、利用者離れを起こしたJALの場合とANAのそれとは若干性質を異にするものなのですが、報道の多くは、「両社とも、09年の羽田空港の発着枠拡大による競争激化に備えてのこと」と共通括弧でくくっている傾向が多いようです。

~路線廃止で地方の「足」は大丈夫か~

Ana_1 これは、JRなどの「赤字ローカル路線」廃止とも共通する問題でもありますが、本来、報道としては、路線の減便・廃止などで「利用者はどういう打撃を受けるか」「空も鉄道やバス並みの公共の交通機関である以上、民間エアラインの経営状況の都合だけで決められていってよいものか、国としてはどうあるべきか」など「利用者の側面に立った」配慮も必要なのではないでしょうか。

現実に、廃止される路線に関連する地元自治体では、知事らが相次いで上京して、JAL側に路線の存続を要請するなど、反発が強まっています。また、ANAでは、こうした声に対し、当面計画を見送ることにした路線もあります。【資料1】

 

【資料1】

ANA、4路線廃止を当面見送り 地元の反対で
              1月25日 毎日新聞

 全日本空輸(ANA)は25日、07年度の国内線の再編方針を発表した。廃止方針を固めていた7路線のうち地元の強い反対を受け中部―福島の廃止を当面見送り、廃止は6路線になった。また、7路線とは別に地元に廃止を打診していた3路線も、地元の強い反発に配慮し当面は存続させることにした。

ANA、効率化で07年度に国内14路線で休止・減便
              1月25日   ロイター

 1月25日、全日空は、国内14路線で休止や減便をする2007年度の航空輸送事業計画を発表した。09年に予定されている羽田空港の発着枠拡大による競争激化に備え、不採算路線を見直して効率化を図る。
 国内線では、神戸―沖縄など8路線で増便するが、関西―宮崎など6路線を休止し、伊丹―新千歳など8路線で減便する。このほか、中部―福島など4路線では運行期間を短縮したり、今後の実績に応じて休止の検討も進める。
 一方、国際線では、9月に成田―ムンバイ路線を開設するほか、5月に成田―広州路線の便数を週14往復に倍増する。

~人件費カットを煽れば・・どういうことが起きるか~

~JALの場合~

この発表に関連して、例えば、1月30日付朝日新聞朝刊では「JALの再建策」にも触れています。 【資料2】このなかで大変気になるのは、

”金融機関やアナリストには「踏み込み不足」との厳しい評価が目立つ。本業の航空事業で営業赤字が続くJALは固定費の抜本的な削減が不可欠で、今後、リストラの上積みを迫られる可能性もある” あるいは、”とりわけ金融機関や株式市場では、高コストが指摘される人件費にどう踏み込むかに注目が集まっていた。” と更なる「リストラ」や「賃金カット」を煽るような報道がされていることです。

もともと、JALの場合は、これまでの歴代経営トップの判断の誤りから過去少なくとも2千億円以上の損失を出しており、順風満帆だった経営をおかしくしました。9.11やSARSなどで収入悪化などがあっても財務基盤としては、こうした巨大な損失がなかったとしたら現在のような苦境にたたされていることもないといえます。

その上、重大なことは「この実態を明らかにし、責任を取るものが誰一人いなかったこと」です。現場は雨の日も風の日も「安全と快適」のために力を尽くしているわけですから、こんなことが延々と続けば、「やる気」を出せといってもせいぜい風見鶏のように上にへつらうしかなかったでしょう。昨年起きた「社長交代劇」にしても「メディア」では「内紛問題」などと矮小化してしまっていますが、社内の感じ方とはおよそ異質なものでしょう。まして現場の声を上げても耳を傾けず、ブラックホールに落ち込めば、およそ現場の手の届かないところで大切な売り上げを湯水のようにどぶに流されて、結果として、後始末は「従業員の賃金カット」、では誰も納得していないのが実態ではないでしょうか。こんなヒストリーにはまったく触れることもなく、「お家の大事だから我慢して当たり前」という一般的論理はなかなか通用するものではありません。危機を乗り切るための「社内一丸となって」という自発性など果たしてでてくるでしょうか。こうした点は、メディアが鋭く追求する必要があるのではないでしょうか。

そして、安全問題でいえば、整備の外注化、パイロットの外人雇用化、CAの契約社員化、サービスで言えばカウンター含め利用者と接しているところはすべて子会社化か契約社員化して、チケット購入にはじまり、「搭乗から降機」までの流れを把握している者さえ年々少なくなり、品質の劣化は目を覆うばかりです。

さて、こうした中で「更なる固定費削減!固定費削減!」と煽れば、いったい「JALの品格と品質」はどうなるのでしょうか。取り戻すことができるのか、更に劣化する危険性があるのか、答えは明快なのではないでしょうか。

~社長の立場~

2006030204296741jijpbus_allview001 こうしたヒストリーと現状をかかえて就任した西松社長は、大変な重荷を背負っていると推察できます。私の印象では、「どこまで本気なのか」「改革の勇気と決断はどこまであるのか」という点で見えないところがありました。スポット的にですが、本社部門、運航部門など社内の雰囲気をうかがったところ、要約しますと「この社長は、今までと違う」「少し前にきているのではないか」「西松社長で駄目ならもうJALは終わりだ」と大きな期待がかけられているようです。

社内の人心を掌握する、経営の責任を明らかにする、という点で、金融・株主・メディアからの批判を浴びることは、覚悟の上で、「更なる賃金カットはしない」と断言したことは、社外では小さなことでも社内ではそれなりの信頼を勝ち取っているのではないかと思われます。また、トラブルの多かった旧JAS所有機であるMD機材を予定より前倒しで退役させるなども利用者にとっては、歓迎される方針です。

一方で、「安全を揺るがす」構造的要因である重要な部分については、「自前主義を排す」といわれていますから、「安全運航をウォッチする立場」の私としましては、目が離せないところでもあります。

~経営と安全は別ではない~

「経営、つまり、儲からなくては、安全といっても限度がある」という認識がメディアを含め、薄く広く存在しているような気がいたします。最近の事例では、「不二家」問題には、こぞって「食品を扱うのに、もうけを優先させるなんて・・。」という意見が定着しています。航空とて、ひとたび「重大な人身事故」を起こせば、昨日まで利益のためなら「安全」問題はさておいて、「コストカットせよ」で傾いていたものが、180度変わって「何をしていたのか」という追及をする側に回ることは、必至です。

「利用者の立場に立った」論理に常に立ち返ることが大事とかみ締めております。

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【資料2】

JAL、緩い再建策 人員対策、自然減頼み

 経営再建中の日本航空(JAL)が29日、国内11路線の廃止を正式に公表した。2月6日に発表する新たな中期経営計画には約3千人の人員削減なども盛り込まれる見通しで、詰めの作業を急いでいる。ただ、金融機関やアナリストには「踏み込み不足」との厳しい評価が目立つ。本業の航空事業で営業赤字が続くJALは固定費の抜本的な削減が不可欠で、今後、リストラの上積みを迫られる可能性もある。   

●基本給カット拡大せず

 JALの新中期経営計画は、(1)生産性の向上(2)不採算路線の再編(3)商品力強化(4)グループ再編が4大柱。とりわけ金融機関や株式市場では、高コストが指摘される人件費にどう踏み込むかに注目が集まっていた。  だが、現時点で固まっている再建計画は、「大規模リストラ」には遠い。07~09年度にグループの約5%の3千人を削減する方針だが、うち2千人強は団塊世代の大量退職に伴う自然減だ。 賃金についても、06年度に2年間の予定で始めた従業員の基本給1割カットの継続にとどまる見通し。労使交渉を意識してか、西松遥社長は17日の定例会見で、基本給のカット幅の拡大について「それは、やらない」と明言した。今後は、ボーナスや退職金の抑制策を盛り込めるか が焦点だ。

 運航トラブルや内紛騒動による客離れがなかなか回復しない国内線にはファーストクラスを導入し、40億円の増収効果を期待する。だが、スタートは12月で、収支に貢献するのは08年以降だ。

●経営、追い風も 燃料価格、融資協議

 JALのリストラが加速しない背景には、企業体質のほか、足元の経営環境に「追い風」が吹いていることもある。 国内路線では4月から平均2・7%の値上げが認められ、200億円の増収が期待できる見通し。さらに、上昇の一途だった燃料価格にも下落の兆しが見え始めた。  主取引銀行の日本政策投資銀行、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行の3行は、JALとリストラ策のすり合わせを続けている。銀行側からは「『ナショナルフラッグ』は突き放せない」(幹部)との声も漏れる。主力行は、まず今年度内に必要な約600億円の融資に応じるか検討。さらに社債の償還などで来年度、必要になる約1800億円についても協議に入る方針だ。  ただ、金融機関のJALを見る目は一様ではない。微妙な立場なのは、通常国会で政府系金融機関の統廃合の法案審議を控える政投銀だ。同行のJALへの融資額は約3千億円。かつて問題となったダイエー、三菱自動車より多い。JALの再建策の中身次第では国会審議での「風当たり」が厳しさを増しかねない。  JALの高コスト体質が続けば、収支の急回復を描く中期経営計画の実現性は後退する。JAL経営陣に「自立」に向けた覚悟が問われている。

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2007.01.19

「安全」には、コストがかかるのです。

~不二家に三菱ふそうに、etc・・・。~

Title_2 あの夢を売る「不二家」がこんなずさんな「食品衛生」をしていたとは・・。誰が予想できたでしょうか。2004年にタイヤが外れ、死傷事件まで起こして、リコールしたホイールとハブがまたも「リコール」で回収騒ぎです。

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不二家は、経費を惜しんで「消費期限切れ」の材料を使用して販売。三菱は、「ボルトの締めすぎ」をチェックできるシステムが怠っていた。おおむねこうした内容は、「運送の安全」や「食品の安全衛生」に完璧を期すべきところを、「コスト」を惜しんだことが根源的原因と言わざるを得ません。

行政機関が普段から「厳しい監督」にあるべきところですが、「規制緩和の流行」と「本来国民の安全を守るべきセクションの役所の人員削減」にその元凶があるように思えます。

さて、航空の問題に戻りますと、自動車の部品が2~3万種類に比べ、航空機は200万~300万種類と桁違いの量です。しかも、運航する「スピード」は時速880㌔メーターと車と比して10倍にもなります。

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「決して飛行機を落とさない」ための「整備」「操縦」「客室保安」には、それなりのコストがかかって当然です。その一方で「事故事件トラブル」が起きるまで衆目に触れない、明らかにならないのが特徴です。

「利用者」は、「運賃・機内サービス」だけに目を奪われず、「厳しい目」で見守ることが重要になってきています。

かつて本社部門の幹部数名と大議論をしたことがあります。

本社サイドは、オフレコだがと前置きして「飛行機は飛んでいる以上、必ず墜ちる。損耗率の問題である。」と言う意見。現場の私たちは「一機も落とさない。そのためにできる最善のコストと手間を掛けるべきでそのことが商品価値を上げ、信頼のブランドを勝ち取れる」 この当時は、平行線のままでした。こうした積み重ねが一体どういう事態を招いたか皆様ご承知のとおりです。

政府は「オープンスカイ政策」といって、依然不平等な航空協定を結んだまま、アメリカから押し付けられた政策を国内にこなそうとしております。激しい低価格競争に晒されることで、ますますエアラインは「コストきり詰め」に苦渋の選択をしてゆくように追い込まれます。

果たして、これで「日本の空の安全」は守れるでしょうか。甚だ不安です。

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華麗な「シート」さて、機内サービスは?

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~かつての「スーパーシート」をどう上回るか~

収支改善のひとつとして、兼ねてより発表されていた「JAL国内線のファーストクラス」の試作シートがメディア向けに公開されたようです。豪華でおしゃれな感じです。料金は「1万円程度」ということですが、かつてのスーパーシート料金の約倍額にあたります。当初導入路線は、東京/大阪(伊丹)とのことですが、30分程度の巡航フライトタイムの中で、「どういう差別化をした機内サービスがお目見えするのでしょうか」関係者・利用者の興味関心の的ともなっているようです。

 JAL ファーストクラスの試作品公開 国内線で初                  

 日本航空(JAL)は17日、国内線で初となるファーストクラスのシートの試作品を公開した。安全トラブルなどの影響で業績不振に悩むJALは、特に国内線の落ち込みが深刻。同クラス導入を「本業で利益を生むための最重要施策」(西松遥社長)と位置づけ、全日本空輸(ANA)に流れたビジネス客の奪還を図る。
 ファーストクラスは、今年12月1日から羽田-伊丹線に投入。その後、羽田-福岡、札幌などの幹線で提供
する予定だ。価格は1万円程度を想定。年間約40億円の増収効果を見込む。対象機材はボーイング777-200型機で1機あたり14席を配置。座席は本革製でソファ感覚で使える点や、広い座面や背もたれが特徴。機内サービスについても今後、検討する。     1月18日 毎日新聞

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2007.01.18

秋田空港「誤着陸」についてパートⅡ

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~見えない「危険」~

事実については、事故調査委員会の調査結果を待たざるを得ませんが、
現在の時点でも下記の点は言えると思います。

日本のパイロットからすれば、考えられない事態、である。

●ILS(計器着陸飛行)ではないので、若干ずれながら滑走路に向かうということで間違えやすい状況がないことはないが、誘導路と滑走路を見誤るほど視界が著しく悪かったとはいえない。
   (視程10㌔ということが事実とすれば。) 

●仮に誤認してもコーパイロットの意見(ずれているのではないか?)を容れれば、
   ゴーアラウンド(着陸やり直し)をすることもできた。

燃料の問題で、やり直しをしなかったのでは?という意見もあるが、航空機の燃料搭載がいくらギリギリと   言っても、天候不順の場合は、「代替空港」までの最低燃料を想定しているはず。また混雑による空港上空での「ホールディング」などを考慮してフライトプランはたてられているはずなので論拠に薄い。本当に燃料切れを心配したということが事実であれば、法定の燃料搭載を下回っていることになり、「エアライン」の姿勢が厳しく問われる問題にもなる。

 【以上の点は、10数名の現役機長の方々から意見を戴きました。】

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~大惨事とならなかった幸運~

結果として被害はなかったが、無事着陸は更に以下の点で幸運に恵まれた奇跡と言ってよい。

 ●誘導路に、タクシング中、プッシュバック中の航空機がいなかった、各種作業車が走行していなかった。
 ●誘導路は、走行して通過できる程度の強度しかなく、滑走路と違い、着地の衝撃に耐えるようには
   出来ていない。衝撃で破壊されたりすれば、機体のバランスが崩れる可能性があった。
 ●B737という小型機だったから、強度の許容範囲におさまっていたと推察できる。

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~オープンスカイ政策の下で~

今回のトラブルを見るように、「安全」と言う点で大きなミスが散見されるようなエアラインを、国家としてチェックできる体制が充分なのでしょうか。私は不安を感じるものです。


  フランスにおいては、「事故・トラブル」が多いエアラインは、着陸を拒否している事例もあります。
  国交省航空局としては、事故調の結果、仮に「パイロット個人のミス」という結論がでても、
  少なくとも、当該エアラインの「事故・重大トラブル」のヒストリーを加えて調査し、
  日本での受け入れについて検討することが重要と思われます。今後アジア・オセアニアにおいては、有名エアラインの傘下に、多くの「格安航空」が生まれており、その中から日本に飛来する航空会社も増加することは間違いありません。日本政府としても、更に航空の規制を緩和する「オープンスカイ政策」を発表しました。「安全基準についても「日本の受け入れ」として確たる姿勢を示す必要があるのではないでしょうか。

  

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2007.01.16

ハイテク機材の30㌫以上は、日本の力も!

~航空といえば、~

どうしてもエアラインばかりが前に出ますが、航空機の製作分野にも目を転じたいと思います。ボーイング・エアバスの最新鋭機の「胴体」や「主翼」に日本のハイテク技術が採用されています。しかもこうしたメーカーは中部地方に集中しています。ご存知でしたでしょうか。まさに、日本の誇りでもありますね。

以下は、毎日新聞。

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中部国際空港 ボーイング787の部品、空輸作業始まる
        1月12日17時16分配信 毎日新聞

 愛知県内で生産されているボーイングの次期主力旅客機787の部品を米国に空輸する作業が12日、中部国際空港で始まった。
 787は主翼などの部品が同県内にある三菱重工業、富士重工業、川崎重工業の3社の工場で製造されており、空港まで海上輸送後に空輸する日本初の本格的「シー・アンド・エアー」となる。
 空港に陸揚げされた部品は専用道で駐機場の輸送機に運ばれ、旅客機より太く改造された胴体部分に収納された。輸送機は同日夕に離陸し、米国の組み立て工場へ向かう。【井崎憲】

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2007.01.15

「日航に2000億円の融資」はいいのですが・・・。

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~7月14日、朝日新聞がトップで報道~

経営再建中と言われているJAL日本航空に対して、主要な取引先である日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行などが総額2000億円の融資を計画していることがあきらかになりました。

 ところで、永田町・霞ヶ関また丸の内大手町などの金融関連の場では、「政策投資銀行主導のシナリオ」とか「国際協力銀行が機材更新の債務保証をするのでは・・」などということは、だいぶ前からささやかれていたことでした。「来るべきものが来た」というのが関係者の偽らざる感想と言えます。

少々解説を加えれば、昨年7月に実施した公募増資でも2000億を予定したものが、約1400億円しか集まらず、3月の転換社債の繰上げ償還分1000億円、5月の500億円に充当するのがやっとであり、この2000億円とて当面のキャッシュフローを安堵することに過ぎません。この4年間で7500億円の機材更新費用を必要としているともいわれており、まだまだ道は険しいものがあります。

~融資銀行のつける条件~

報道によれば、融資側は、更なる「合理化」を条件としているとあり、中でも「人件費の一層の削減」を求められているようです。銀行家の算盤どうりにすることが、果たしてそのまま「日本航空の明るい未来につながる」ものかどうか、「創業50年を越える日本航空、空の公共交通機関の雄としての日本航空」の舵取りをする経営者の判断にすべてがかかる正念場となってきています。

~労働意欲の減退は、もはや限界に~

社内を見渡せば、JASとの統合でできた賃金・役職・その他の勤務環境の不合理性や差別感、放漫経営で失った数千億円の損失のつけを社員に10パーセント賃金カットで負わせている実態、所属する労働組合による昇格や賃金の差別、現場の声をストレートに反映させない歴史、などで「やる気」を失わせることばかりが充満しているとも言われています。この上、「もっと賃金ダウンを」ということになれば、帳簿上の支出は、抑えられても現場が活気つくことなど残念ながら想定することは出来ません。

~「安全の経費には手をつけない」とのことですが・・。~

産経新聞の報道では、人員削減は安全性にかかわる航空現業部門は人員を維持しながら、」とありますが、JALでは、現在でも「MD機の客室乗務員を4名から3名にする」との問題がでています。4箇所の非常口に対して4名だったものを、1箇所の非常口には「客室乗務員」を貼り付けないと言う風に「削減」されてしまうことです。機内から脱出しなければならない場合、火災・クラッシュなどですべてのドアが使えないケースの方が多いのですが、助かる乗客も助からない「危険性」を高める人減らしです。

銀行からの融資と言っても、「利用者不在・安全性低下」を条件にするようではたまりません。今後とも、ウォッチが重要です。

                 みずほ・政投銀、日航に2千億円規模融資

 経営再建中の日本航空(JAL)に対し、主取引銀行の日本政策投資銀行、みずほコーポレート銀行を中心とする取引金融機関が総額2千億円前後の融資を計画していることがわかった。JALは現在、人員削減や不採算路線の撤退などを柱とした中期経営計画の策定を進めており、各行は一層の合理化努力を条件に融資に乗り出す。運航上のトラブルなどで顧客離れに苦しむJALには金融市場から厳しい評価が出ていたが、この融資によって当面の財務問題は解決される見通しだ。

 JALは昨年7月、中小型機の購入目的で公募増資を実施したが、2000億円の計画に対して約1400億円しか集まらなかった。同社は3月に償還を迎える約1000億円の転換社債の償還資金の手当てが必要になっていることに加え、今後4年間で約7500億円の機体更新費用が見込まれている。市場や顧客の信頼を取り戻すためにも、その財源を手当てすることが再建の条件となっていた。

 金融機関からの融資は2千億円規模が必要と見込まれ、主取引行が今後、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行をはじめとする大手行や地方銀行など10を超えるJALの取引金融機関に協調融資を呼びかける。多くの取引金融機関がこれまでのJALからの説明で、リストラを進めれば融資できる環境は整いつつある、と判断している模様だ。

 運航上のトラブルや経営陣の内紛などが続いたJALは国内線を中心に乗客が減少し、本業の航空部門の業績不振が続いている。07年3月期連結決算では、保有資産の売却や厚生年金基金の代行返上益などで当期利益30億円を達成する計画だが、本業の立て直しが急務となっている。

 そのためJALは2月6日に公表する中期経営計画で、(1)07~09年度の3年間でグループ全体の約5%にあたる約3000人を削減(2)不採算の国内路線の縮小(3)東証1部上場の商社JALUX株や系列ホテルの売却、グループ企業の再編、などを盛り込むことを検討している。国内線へのファーストクラス導入なども決めた。

 ただ、政投銀やみずほなど主取引行は「資産の切り売りでなく、安定的に利益が出る体質にならないと支援できない」との立場で、JALが黒字体質に転換するためにさらに徹底した合理化が必要としている。JALが実施中の基本給10%カットを上積みすることなどを求めている模様だ。

 金融機関側は、JALの中期経営計画が最終的に決定した後、融資額を確定して実施する方針だ。人件費の一層の削減を求める金融機関側の要求をJAL側が受け入れるかどうかなど、2月の計画決定に向けてはまだ詰めの作業が残されている。

0114.2007  朝日新聞(06:40)

<日航>早期退職者1000人募集 来年度


 経営再建中の日本航空(JAL)は9日、来年度に1000人を超す規模の早期退職者を募集する方針を固めた。2月6日に発表する新しい経営計画の柱として盛り込む。グループで約5万人の従業員を擁するJALは、人件費負担の重さが以前から指摘されており、大規模な人員削減で金融機関などの理解を得る意向だ。
 JALはさらに今後2~3年間に追加募集を実施し、最大約3000人を削減することも検討している。早期退職の募集対象は、「団塊の世代」やこれに近い高年代層の地上職が中心になる見通しだ。JALが大規模な早期退職募集に踏み切るのは、05年度に客室乗務員や地上職計200~300人を対象に実施して以来。
 新経営計画では、人員削減に合わせてグループ企業の再編も行う。本業と関連の薄いグループ企業のうち、東証1部上場の商事子会社「JALUX」を含む主要約15社は、売却などグループからの切り離しも含めて再編する。このほか、旅行、サービス事業会社の見直しも検討する。ただ、カード子会社の「JALカード」は、カード会員とJALに搭乗する優良顧客が重なる例が多いことから、戦略子会社と位置づけてグループ内にとどめる。

 JALは一昨年から昨年にかけて相次いだ安全トラブルや経営陣の内紛の影響で、国内線を中心に利用者が減少。06年9月中間決算で、本業の航空事業は34億円の営業赤字を計上した。今後の新鋭機の購入や借金返済に向けた負担が重いため、JALは昨年11月に、経営再建のために新経営計画を策定すると表明していた。
 新経営計画は、(1)人件費抑制など生産性の向上(2)不採算路線のリストラ(3)商品・サービス力の強化(4)グループ会社再編――を4本柱にしており、JALは既に、国内線の不採算約10路線の廃止や、サービスの充実に向け国内線へのファーストクラス導入などを決めた。計画以外でも、ホテルを年度内に売却することや、来年度からの役員定年の引き下げも実施する方針だ。

1月10日3時5分配信 毎日新聞

日本航空、3000人削減へ 「団塊」中心、早期退職も募集

 経営再建中の日本航空は10日、平成19年から21年までの新中期経営計画の期間中に、グループ社員のうち約3000人を削減する方針を明らかにした。定年退職による自然減に加え、早期退職制度による募集も行う予定。大規模な人員削減で人件費負担を軽減するのが狙い。

 人員削減は2月6日に発表する中期経営計画の柱のひとつとして盛り込む方針。グループ5万3000人のうち、安全性にかかわる航空現業部門は人員を維持しながら、間接部門やグループ会社などを中心に人員を削減する。まず19年度に1000人を削減し、その後も年間で約1000人程度の減を見込んでおり、3年間で最大約3000人程度の削減となる。

 今回、早期退職の募集対象となる部署や年齢層などについては現在、調整を進めている。日航では、17年度に地上職や客室乗務員らを対象に約300人規模の早期退職募集を実施しているが、今回の削減では、給与負担の重い「団塊の世代」など高年代層が中心となる見通し。 日航では、新中期計画では、生産性の向上▽不採算路線のリストラ▽商品力の強化▽グループ会社再編の4つの柱を元に、経営再建を進める方針で、人件費負担の軽減は財務体質の改善に加え、生産性向上にもつながるとして、金融機関などからの理解を得る考えだ。

(2007/01/10 19:24)産経新聞

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2007.01.12

JAL・ANAの「快適競争」のヒストリー

~JAL・国内線にもファーストクラス?~

日本航空(JAL)が07年度から国内線にファーストクラス並みの高級座席を導入する予定であることが発表されました。単価の高い新座席にビジネス客を取り込みことが狙いとのことです。追加料金1000円で広い座席が利用できる「クラスJ」はそのまま存続する方針ということですから、JALの国内線は、国際線並みの3クラス体制となります。

利用者にとって、こうした「快適・使いやすさ」への進化は、大いに歓迎すべきことなのですが、少し「JALvsANA」の快適コンペティションの歴史を振り返ってみるのも一興です。

~ビジネスクラス7アブレスト(横列席数)を引っさげて・・~

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思い起こせば、ANAが国際線に参入したのが、1986年。もう20年もたちます。当時私は、現役チーフパーサーのばりばりでした。当時の国際線の主力機材は、「ジャンボ機」正確に言えば、747-LRでした。ナショナルフラッグキャリアとして、国際線を独占的に運航してきたJALに対抗して、国際線にデビューするにあたって、ANAは、ビジネスクラスの座席を横7座席を打ち出しました。JALは、それまで8座席でしたから、「衝撃的」でした。旅客と毎日接する私たちが、大きな危惧を抱いていたにもかかわらず、当時の客室の現場の幹部たちも、驚き」を隠せませんでしたが、その一方で「JALの経験にかなうはずはない。」「コスト割れして、すぐJALに合わせるに決まっている」などと会社をあげてのんきなことを言っていたのが、未だに耳にこびりついております。そして、しばらくして旅客からのブーイングに我慢できず、逆にANAに追随することになりました。誠に恥ずかしい限りでした。

~国内線では・・・。~

JALがそれまでの「スーパークラス」から「クラスJ」へと方向転換したのは、2004年です。それまでの5000円から1000円でより広い座席に座れるという点では、好評を博してきました。しかし、「静かにゆったりと」という旅客からは、不評でした。この時、ANAの対応は、断固としたものがあり、正直に申し上げて驚かされました。一座席当たりの収益性、需要の動向をみますと、ANAの決断も理解できますが、JALに合わせず独自の方針を貫くと言うのは、勇気がいることです。当時、私は、両社に対して「それぞれの思惑」について、かなりしつこく取材しましたので、記憶が鮮明です。時の流れに沿ってみますと、結果的にそれまでの「スーパークラス愛用者」は殆どJALからANAへ流れたのでは?と推定されます。 

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~つまり、国内「スーパーシート」の復活ですね~

今や、エアライン各社の収支の具合いは、国際線では、エコノミークラスは、運賃の値崩れで大した利益は見込めず、座席に限りがあるファーストクラスは、頼りにならず、もっぱら『ビジネスクラス」にターゲットを絞っての競争となっています。国内線においても、「スーパーシート」「クラスJ」などが収益性という点で、重要なファクターとして見直されている訳です。ANAの戦略に立ち遅れた形となったJALは、「プラス1000円でゆったりできるクラスジェイ」を温存し、「かつてのスーパーシート」を化粧直しし、「スリークラス」で勝負してゆくことになりました。

~利用者の声は大事です~

こうした競争は、基本的に狭すぎた「国内線のシート」が底上げされてゆくことにもつながります。利用者としては、「安い」ことだけではなく、「リーゾナブルな運賃とリンクして最低限の快適性」を備えているか、厳しくチェックしてゆかねばなりません。

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2007.01.09

JAL国内線にファーストクラス?

20061117jal 1月5日、JALの国内線に、新たにANAのスーパーシート並みかそれ以上のファーストクラスを設置することを明らかにしました。

永年にわたるJAL・ANAの「快適競争」も一層激化してきました。

これまでのヒストリーを含め別コラムにて解説いたす予定です。

「JAL」国内線にファーストクラス並みの高級座席導入へ

 日本航空(JAL)が07年度から国内線にファーストクラス並みの高級座席を導入する予定であることが4日、分かった。単価の高い新座席にビジネス客を取り込み、業績改善につなげたい考え。追加料金1000円で広い座席が利用できる「クラスJ」も存続する方針で、JALの国内線は、国際線並みの3クラス体制となる。

1月5日1時5分配信 毎日新聞

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2007.01.08

「タービュランスで怪我」を追放するには・・。

~乗客に怪我がなかったから良いということではない~

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日本中が、台風並みの低気圧にみまわれ、各地で大雪・強風の影響がでています。近代的装備と言われた「セントレア中部空港」も雪には弱く、大量の欠航便を出しています。こうした気象状況下では、「乱気流」への備えは、各フライトで充分なされているはずなのですが、1月7日の鹿児島/伊丹日本航空2404便で乗務員がまたも負傷した模様です。当該機は、着陸態勢に入っていて、機内サービスの後片づけをしていた客室乗務員が被害にあっています。悪天候のもとでは、「いつもより早く着席する」ことは常識と思えますが、一体どういう指示がされていたのでしょうか?はなはだ疑問に感じます。

報道においては、やむを得ないことですが、「乗務員に怪我」があっても「乗客に怪我なし」ということですと、「安全運航」への追求の手が弱まる傾向にあります。

~怪我は、「エアラインの誇り」を汚す事件~

JAL・ANAはじめ、これだけ「タービュランスによる怪我」が続くなかで、「乗員・乗客」に「怪我」があった場合、エアラインとしての「安全ブランド」は「誇り」は大きく傷つけられる、という社会的な認識が必要になってきているのではないでしょうか。

一日三回もタービュランス人身事故!2006.11.21

乱気流でJAL機乗務員4人、軽いけが…紀伊水道上空
     1月7日21時44分配信 読売新聞 7日午後1時5分ごろ、鹿児島発大阪(伊丹)行き日本航空2404便(MD90―30型、乗員・乗客165人)が和歌山白浜町の西約50キロ沖の紀伊水道上空で乱気流に巻き込まれ、客室乗務員4人が転倒するなどして頭や足などに軽いけがをした。 乗客にけがはなく、定刻通り到着した。

 大阪空港事務所によると、同便は当時、着陸態勢で高度5800メートル付近を降下中で、激しい揺れが3秒間ほど続いたという。大半の乗客はシートベルトを締めていたが、4人は立って機内サービスの後片づけなどをしていたらしい。

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2007.01.07

新たな波、日本の空の機材更新

~2008年には、「ボーイング 787」がお目見え~

新年を迎えて、将来の「日本の翼」のイメージが報道されています。

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もともと、「機材の更新年数」と「機種の統一性」については、「究極の安全」を目指す航空会社としては、避けては通れない問題でした。

加えて、コンピューターライズされたコックピットまわり、機体の軽量化など目を見張る技術革新によって、「燃費効率の高い」、「CO2対策にも優れた」航空機が生まれました。世界のシェアをほぼ二分するエアバスとボーイング、日本の空は、今のところ「ボーイング」の誇る最新鋭787型機が次世代を担います。

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JAL・ANA 航空機の更新急ぐ 「中小型・少機種」に       

 日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が航空機の更新を急いでいる。「大型・多機種」路線から「中小型・少機種」に変わるのが特徴で、大型機の代表、ジャンボ機(ボーイング747)は近い将来、主役の座を明け渡す。両社は更新を通じ燃料費節約など効率運航につなげ、09年度の羽田空港拡張や成田空港の滑走路延伸で予想される競争激化に備える。
 ANAは79年に導入を始めた前期型ジャンボが06年3月に退役。90年から導入した後期型も07~09年に順次売却し、将来は新鋭機に入れ替える。JALも09年度までに前期型が姿を消し、10年度から後期型の退役が始まる予定だ。世界最大のジャンボユーザーのJALは大型機比率が現在6割だが、10年度末に4割に下がる。
 更新による効率化効果は大きい。JALの欧州線の場合、後期型ジャンボ機(325席)から同777-300ER型機(292席)に替えると、燃料費節約などの効果は毎日飛んでいる便の場合、年15億~20億円にのぼる。座席減で収入は減るが、経費削減がそれを上回る。
 機種の絞り込みも更新の大きなポイントだ。とくに今はJALが多くの機種を運航しているが、近い将来、大・中・小型それぞれ1機種程度に絞る。従来は機種ごとに必要だった部品調達や乗員の訓練、整備士の養成などが少なくて済む。
 両社が次期主力機と期待するのが中型機のボーイング787型機(250~300席)。炭素繊維など軽い素材を多用、燃費効率が従来の同型機に比べ約20%、後期型ジャンボ比では約60%向上する。機内の気圧や湿度、窓の大きさなど客室環境も大幅に改善するという。両社とも08年に1号機が納入され、計80機の発注を決めている。
 新鋭小型機の導入も順次始まった。ANAは05年12月に同737-700型機(118~136席)が就航し、同機の新しいタイプを07年3月に投入する。JALは07年3月から従来型に比べ航続距離が4割長く燃費が15%よい737-800型機(144~165席)が飛ぶ。
 09年度の羽田空港の再拡張・国際化と成田空港の滑走路延伸で、2空港合わせた発着回数は今の年間50万回から同63万回に増える。とくに羽田は現在の1.4倍と大幅に増えるため、内外航空各社の新規参入が予想される。両社は新型機による効率的な運航でコストを下げ、多様化する利用者の需要に増便で応える方針。      1月6日 毎日新聞

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2007.01.06

緊張!!大韓航空誤着陸 2007.1月6日

2007年を迎え、本年も日本の空の「安全運航」と「快適性」に提言を続けて参りたいと思います。皆様、よろしくお願い致します。

~秋田空港で・・・~

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さて、まだ松の内に、思わず「緊張」が走る事件がありました。なんと、秋田空港で、”「ランウェー」でなく「誘導路」に誤着陸してしまった”というものです。折りしも、離発着する航空機もなく、無事着陸。怪我人も機体の損傷ひとつもなく、不幸中の幸いでした。事故調査委員会は、「重大アクシデント」として、調査を開始した模様ですが、「直接・間接を問わず、なにが、こういうミスの原因になったのか」を徹底的に調べ、早期に公開して欲しいと願います。

   大韓航空機、秋田空港の誘導路に誤着陸…けが人はなし
         1月6日15時58分配信 読売新聞
 6日午後0時15分ごろ、秋田市の秋田空港で、韓国・仁川発の大韓航空機769便(ボーイング737―900型機)が誤って誘導路に着陸した。 同便には乗客124人、乗員9人が乗っていたが、けが人はなかった。 国土交通省などによると、誘導路は滑走路と平行し、南側約120メートルの位置にある。長さは滑走路と同じ2500メートルあるが、幅は30メートルで滑走路の半分しかない。 国交省は、大惨事につながる恐れもあったとして、6日中にも航空・鉄道事故調査委員会の調査官2人を現地に派遣し、調査に乗り出す。

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2006.12.15

えっ!カンタス航空が買収?

~「航空会社は、投機の対象とされるべきではない」と思うのですが・・・~

2006120100000109reubus_allview000 11月16日、カンタス航空は、関連子会社「ジェットスター」をもって、日本市場の対応を関西圏のみならず、日本全域に拡大する旨発表しました。

また、12月1日には、2006年の利益を上方修正することも報道されていました。しかし、12月14日、約一兆円で買収されることがほぼ決まったようです。

カンタス航空といえば、「事故がない」「機材更新が頻繁に行われている」など「安全性」では、世界一といわれていました。また、快適性の面でも、他社より、「客室乗務員の編成数も多い」ということでも評判です。

更に「9.11」「SARS」「原油高」などの荒波をかぶりながらも、堅調な経営をしていることでも知られています。いわば、航空会社の「お手本」のような側面があります。

ところが、こうした優良な航空会社もとうとう「ファンド」に買収されることになりました。

驚きです。カンタスは創業83年、ナショナルフラッグキャリアだったのですが、10年前に民営化されたものです。

さて、かつてのナショナルフラッグキャリア=日本の翼であった「日本航空」も、ここのところ、経営状況がおもわしくありません。勿論民営化されて以降の「経営のあり方」に大きな問題もありますが、更に根っこをたどれば、 「超安全であるべき公共交通機関であること」 「機材更新に莫大な費用が恒常的にかかること」などからすれば、「儲けさえすればよい」という一般的な企業観では、計れぬ点もあります。

また、「規制緩和」によって、国内・国際とも「競争激化」したことで、運賃に値崩れを起こし、実質の売り上げ・収入が落ち込んでいることも事実です。更に、帳簿にない約束手形といわれる「マイレッジ」も花盛りで、有償旅客も見てくれと違って減ってきており、収入減に追い討ちをかけている状態です。

JAL日本航空は、自らの経営失点と同時に、まさに、エアラインの構造的危機をすべて背負った形にもなっています。

最近では、「政策投資銀行がリードした再建策」「国際協力銀行が機材更新を支える」などなど、エアラインを儲けのツールとして使おうという話も聞こえてきます。

あらためて、政府並びに関係機関は、「日本の航空」を守るために、「国」はどうあるべきか、また、これまでの民営化・規制緩和のあり方を総点検し、見直す時期にきているのではないでしょうか。

「カンタス問題は、他人事にあらず」の感を深く致します。

    豪カンタス、投資会社が買収=総額1兆円-非公開企業に
                           12月14日11時2分配信 時事通信

 【シドニー14日時事】豪航空最大手カンタス航空は14日、豪投資銀行のマコーリー銀行、米大手投資ファンド、テキサス・パシフィック・グループ(TPG)などの企業連合から提示されていた買収案を受け入れることで合意した。買収額は現金で1株5.60豪ドル、総額約111億豪ドル(約1兆円)に上る。
 提案額は当初、1株5.50豪ドルだったが、カンタスが拒否したため、引き上げられた。同社は株主に買収案の受け入れを勧告する。
 企業連合には、マコーリー銀、TPGのほか、豪投資会社アルコ、カナダの投資会社オネックスなどが参加している。
 買収完了後、カンタス株は非公開、上場廃止となるが、ディクソン最高経営責任者(CEO)ら経営陣は維持され、経営方針やサービス内容も引き継がれる見通し。 
最終更新:12月14日13時2分

Http___wwwqantascom

      カンタス航空 日本路線運航体制の変更を発表 
ケアンズ発1 1月16日】カンタスグループ(本社: シドニー、CEO:ジェフ・ディクソン)は、グループ内のジェットスター(本社:メルボルン、CEO: アラン・ジョイス) が、2007 年半ばから関空・名古屋― ケアンズ路線に就航し、現在、カンタス航空が運航している同路線を引き継ぐことを本日発表い 
たしました。ジェフ・ディクソン最高経営責任者(CEO) は、ジェットスターのコスト構造とプロダクトは関空・名古屋―ケアンズ路線により適している、と述べています。さらに次のように続けています。「オーストラリアは、日本人の海外旅行市場において厳しい競争に直面しており、さらにこの問題 は豪ドルに対する円安によって悪化している。現在、カンタス航空がボーイングB76 7型機を使用して毎日運航している路線を、エアバスA330―20 0型機を使用するジェットスターが引き継ぐことにより、同路線は4,000万豪ドルのコスト削減になる。これらの新規路線と既に就航が発表されている関空―ブリスベン― シドニー路線を合わせると、カンタスグループの西日本地域からの供給座席数は30% 増加する。」ジェットスターの今後の就航スケジュールは、以下のとおりです。

 
z  2 007年8月2日から、名古屋―ケアンズ間を週6便にて運航 
z  2 007年9月8日から、関空― ケアンズ間を週4便にて運航 
z  2007 年3 月25 日から、関空― ブリスベン― シドニー路線を毎日運航

( いずれも、使用機材は新規A330-2 00型機)

また、ディクソンCEO は、次のように述べています。「現在B767 型機を使用する関空・名古屋発 
着便は、カンタスの便名でケアンズを拠点とするオーストラリア航空スタッフによって運航されている。運航体制変更後もオーストラリア航空は存続する。今後、カンタス航空は、大阪や名古屋に比べてビジネス目的の利用者の多い東京エリアに今まで以上に専念することになる。以前から表明しているとおり、カンタスグループはカンタス航空とジェットスターの2 ブランドを国際線市場で育てていく所存だが、個別の市場に合ったコスト構造やサー ビス様式を提供していかなければならない。 
カンタス航空は今後もレジャー層に向けた運航サービスを提供していくが、現在のコスト状況の 

豪カンタス航空、06年度税引き前利益予想を25―30%増に上方修正
 12月1日、オーストラリアのカンタス航空、2006年度税引き前利益予想を25―30%増に上方修正。

[メルボルン 1日 ロイター] 

オーストラリアのカンタス航空<QAN.AX>は1日、2006年度(2007年6月まで)の税引き前利益見通しを、市場予想を大幅に上回る前年比25―30%増に引き上げた。上方修正は過去3カ月で2度目。 業況の堅調が成長をけん引するとしている。ただし、燃料価格が現在の水準を維持することが前提。 カンタスが8月に発表した当初見通しでは利益が横ばいとなっていた。その後10月に増益に上方修正。数値は特定していなかったが税引き前ベースで8億3900万豪ドル(6億6100万米ドル)―8億7200万豪ドルと想定されていた。
 今回の修正発表前の時点で、ロイター調査によるアナリストの税引き前利益予想は、前年比20%増の8億0
400万豪ドル前後となっていた。
                 (ロイター) - 12月1日12時52分更新

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2006.12.10

美しい「日本の航空」へ新たな動き!

~ANAのホテル売却の「深層」~

2006081800000097reubus_allthum000_1 ANA全日空が「ホテルを売却!」というニュースを車の中のラジオで聞きました。耳をそばだてて聞いていますとどうやらポイントは、「売却代金は、新機材購入にあてる。本来の航空運送という本業に専心する。」このことで「激化する競争に備える」というものでした。

私は、耳を疑いました。本業以外の資産を売却して、利益を計上する方法は、JALでも幾度となく行われてきましたので、珍しいことでもないのですが、 「本業に専心する。」ということに「重心をおくことが大事」という航空会社としての態度・方針表明というのは、ついぞ聞いたことがなかったからでありましょう。従って今回の「売却に当たってのコメント」は、大変新鮮に響きました。

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~JAL・ANAの決定的違いは?~

ご承知のように、現在ここ数年のトラブル続きもあり、JALは利益という点では、ANAに水をあけられています。過去の「本業から逸脱した多角経営」という点では、JAL・ANAともに少なからず失敗しています。 

例:

☆ANA 

・1997年、全日空開発(ゴルフ場開発会社)の破産状態を全日空ビルディングが151億円を肩代わりした。

☆JAL

・ドルの先物予約で2200億円以上の損失

86年~96年、変動の多い相場であるのに10年も先物買いをした。オーダーした航空機はすべて割高購入せざるを得なくなった。

・ニューヨークのホテル「エセックス ハウス」の購入・運営で多額の損失。500億円(3億7000万ドル)以上で購入し、一度も黒字に出来ず、安価で売却した。

・ハワイに新規ゴルフ場建設で30億円投資。その後売却。コオリナゴルフ場・ホテルイヒラニなど。

・HSST計画の破綻。52億円投資し、1億2000万円で売却。

・その他:JAPANユニバーサル航空(JUST)、シティーエアリンクなどの失敗。

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20060705jaljtb_1 さて、私が現役でフライトをしていた頃からですから、1990年代です。

航空会社の現場からは、

●200社を超える子会社を作って、ホテルやゴルフ場を建設し、その結果は大きな赤字損失を出している。そして安全への経費を削ったり、運賃値上げで帳尻をあわせようとしている。利用者にとっては、大変な問題だ。

●本業に専心し、公共交通機関としての社会的使命を果たすべきではないか。

と強い指摘があげられていました。こうした現場の声に、ANAは、10年の歳月を経て、ようやく「応えた」ようにも見えます。

阿部総理は『美しい日本』をつくると表明されているようですが、私は、一刻も早く、大事故の起きないうちに「安全」で「快適」な「美しい日本の航空」の実現を望む心境にあります。

ANA ホテル売却 優良資産踏み台に飛躍

 ■一気にJAL引き離し

 全日本空輸(ANA)が8日、直営13ホテルの資産売却する方針を決めた。ホテル事業はこれまで、中核事業と位置付けられ、ブランド戦略でも大きな役割を果たしてきた。しかも業績は順調だ。不振事業を切り捨てるのではなく、中核事業の再編に踏み込むことで、本業の「航空」に経営資源を集中する強い姿勢を示したといえる。

 これに対し、ライバルの日本航空(JAL)もホテルや社員寮など資産売却を急いでいる。ただ、JALの場合は経営再建に向けた“公約”である2007年3月期の黒字を確保するための苦肉の策に過ぎず、その差は明白。ライバルがもたつく間に国内線の地盤をさらに強固にし、一気にJALを引き離そうという思惑も透けてみえる。

 ANAではすでに英国系インターコンチネンタル・ホテルズ・グループと設立した合弁会社に運営を委託しているが、新たに土地、建物を売却する。売却後も合弁会社が運営を継続。今年度中に入札で売却先を決定し、売却額は1000億円程度を見込んでいる。

 ホテル事業は06年3月期に46億円の営業利益を上げているが、それでも、あえて手放す背景には、本業の航空事業の競争環境が一段と厳しくなるとの危機感がある。

 2009年には羽田、成田空港が相次ぎ拡張される。自らのビジネスチャンス拡大の機会であると同時に、これまで十分な便数を確保できていなかった国内外のライバルが一気に攻勢をかけてくるのは確実だ。ANAとしても高効率の最新鋭機の導入などを急ぎ、競争力はさらに高める必要に迫られている。

 不動産を切り離すメリットはほかにもある。大手総合不動産の幹部は、「保有不動産の大胆な処分は、国内大手企業で共通した動きになりつつある。そのきっかけは、村上ファンドによる阪神電鉄の買収だった」と指摘する。村上ファンドが阪神に目を付けたのは、有効活用し収益性を高めても売り払っても、多額のリターンが期待できる優良不動産を多く保有していたことにある。

 保有する不動産を有効活用できないでいると、ファンドなどによる買収リスクは格段に高まる。そんな危機感が企業を不動産売却へと駆り立てている。

 ANAの売却資産について、すでに多くの総合不動産、大小の不動産投資ファンドが強い関心を示している。高い収益が期待できる優良物件は都市部で枯渇しているだけに、好立地の東京全日空ホテル、大阪全日空ホテルなどは、落札価格が跳ね上がる可能性が高く、「売り時」であることは間違いない。

 ANAに限らず、経営から不動産を切り離そうという動きは今後も一段と加速していくことになりそうだ。(高山豊司)
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 12月9日8時32分更新

<JAL>保有する6ホテルを売却予定 社宅や株の売却も

 日本航空(JAL)が保有する国内外の6ホテルを売却する予定であることが7日、明らかになった。社宅や株式の売却も含め、今年度下期で計約100億円の資産売却益を特別利益として計上、今期連結決算で目標としている最終黒字30億円の達成を目指す。
 売却を予定しているのはJALプライベートリゾートオクマなど沖縄の3ホテルや北海道、ロンドン、サイパンの計6ホテル。売却によってホテルの所有権は失うが、運営は引き続きJALグループが行い、名称も変更しない。JALグループは63ホテルのうち57ホテルについて、すでに資産を売却し運営に特化しており、6ホテルの売却が完了すればグループの所有ホテルはなくなる。
 下期には、千葉県成田市内の社宅なども売却し、ホテル分も合わせ固定資産売却益として約60億円を見込む。保有株式も売却し約40億円の利益を計上する予定。さらに、厚生年金のうち、国に代わって運用してきた部分を国に返上することに伴い約250億円の利益を営業利益に計上し、航空事業の赤字を穴埋めする。【増田博樹】
(毎日新聞) - 12月7日18時49分更新

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2006.11.26

JAL「機材更新」の一番手!B-737-800

~近距離の「エース」となるか~

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航空会社にとって、 日に日に経年劣化する「機材の更新」は、「安全性を保障し」かつ 「燃費効率・整備効率」を高めるためにもどうしても通らなければならない関門です。

かつて、70年代に「大量輸送」の申し子として華々しくデビューしたジャンボ機もこうした荒波にさらされ、世界的に次々と退役の方向にあります。

さて、エアラインとしては、自らの置かれた状況と今後の動向を「正確に把握し」、膨大な資金を要する「機材更新」に向かわなければなりません。

基本的に3つの選択肢から選ばざるを得ないといってよいと思います。

一つは、「大型機を使用し、大都市ハブ空港と同士を結ぶ大量輸送」二つ目は、「大都市と地方都市、地方都市同士にそのまま乗り入れる点と点結ぶ方針、中型機を中心とした柔軟な構成」3っ目は、この二つのコンビネーションです。

日本の翼は、主に「アメリカ・ヨーロッパ」へ向けての長距離直行路線をどうするか、豪州・東南アジア・中東へ向けての中距離・短距離路線をどうするか、中国・韓国・シンガポール地区から欧米への長距離大量輸送路線とどう競合するか、アジアに次々と生まれている「格安航空会社とどう戦うか」などの課題を充分考慮した上で、「フリート=機材」の更新全体を考えねばならないのです。大変難しい問題と思います。JALでは「機材のダウンサイジング」がスローガン的方針とされています。

大まかに言えば「エアバスAー380」のオーダーについても、この問題が絡みます。次世代機としてエアバス380を購入するかの問いには、JALは「考えていない」ANA「現在のところ考えていない。検討はしている。」とほんの少し温度差は感じられるものの、ほぼ一致しています。そして、「ボーイング787機」を発注しています。

日本の経済的背景として、「米国」「EU」のどちらの航空機を購入するかという問題も絡んでいるという見方も出来ましょう。

とはいいながら、来年には、就航するであろう「エアバス380機」は、シンガポール航空大韓航空、カンタス航空などが日本へ向けて飛ばしてくることもあり、利用者の反応も見ながらという側面もあります。

ちなみに、エールフランス航空は、中距離用フリートとしては147機のうちA-320、A-321で既に80機をラインナップしています。また、アメリカ国内の「雄」である「ジェットブルー」は、エアバスA-320で機材統一し、現在82機保有し、毎週「デリバー」を受けつつ、2012年には「202機」の保有を予定しています。

この「B-737-800」は、まさに「機材更新」のポリーシーの基となるものと思えます。 

        JAL再生の”切り札”新小型機で効率化

 経営再建を進める日本航空(JAL)は21日、今後の小型機の主力と位置づける「ボーイング737-800型」機の1号機を報道陣に公開した。国内線として運航した場合、1座席当たりの燃費効率を現行機よりも15%改善できる。本業の航空事業の赤字体質からの脱却を目指す同社にとって、“切り札”ともいえる機体だ。 「機材のダウンサイジングを進めている当社にとって、きわめて戦略的な機材」 同日、記者会見した西松遥社長は、羽田空港に到着した1号機を前に感慨深そうにこう語った。 燃費効率を飛躍的に改善できるだけではなく、エンジン性能の向上などにより航続距離は従来の3300キロメートルから4500キロメートルへと大きく伸びる。東南アジアや中国など近距離国際路線の小型機での運航が可能となり、「路線の特性や需要規模に応じ、きめ細かい便数、ダイヤ設定が可能となり、お客さまの利便性を向上できる」と期待を寄せる。

 同社は、同型機30機を発注済み。さらに10機のオプション権を保有しており、年間8機程度のペースで同機材を導入していく。機種更新に投じる費用は、今後5年間で7500億円の巨額に上る。

 現在、同社の航空機の6割近くが325人乗りの「ボーイング747」といった大型機。これまでは、不採算路線や搭乗客数が少ない時間帯の運航でも大型機を使うほかなく、これが同社の収益を圧迫していた。このため、今後5年間で同機のほか、中型機「787型」を合わせ計86機を新規購入。中小型機比率を06年度の42%から10年度には62%に高める。

 中小型機へのシフトによる客席減は減収の要因となるが、ファーストクラスやビジネスクラスといった付加価値の高い客層を取り込めば、収益は改善できるとみている。 中小型機への機材の更新は、09年に予定されている羽田空港の再拡張への備えの意味もある。発着枠を最大限に確保できなければ、大きなビジネスチャンスを逃しかねないからだ。

 だが、中小型機へのシフトには巨額の費用を要する。7月末に公募増資で調達した2000億円も機種更新で消えていく。今月上旬に発表した06年9月中間決算で、2期ぶりに黒字化したJAL。新型機が本業の黒字化と再生の布石となるかは依然、不透明だ。(門倉千賀子)
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 11月22日8時54分更新

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巨大“エアバスA380”です。日本に初見参!

エアバスA380の顔

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~成田空港にふわりと着陸、「これが噂の380」~

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撮影:成田市 檜垣 博氏11.19.2006


11月19日、あの巨大旅客機「エアバスA-380」が、日本に初めてその姿を見せました。私にとっては、「大変な出来事」でした。

と申しますのも、エアバス社は、この10月に3度目のデリバー遅延を発表したばかりで、この「日本」を含むアジア各国へのデモフライトが果たして予定通り行われるのか、少しばかり不安な思いがよぎっておりました。

勿論、航空ファンにとっても「巨大さをこの目で!」という意味で待ちに待った日でもありました。空はあいにくの雨模様ながら多くの方々が見学デッキで着陸の瞬間を見守りました。そして、着陸の瞬間は、幸運にも雨はあがり、堂々のランディングを観ることができました。
今更なのですが、この飛行機の巨大さは、尋常ではありません。あのジャンボ機を更に一回り大きくしたもので、「こんなものが空を飛ぶのか」とあらためて考えるほどの大きさなのです。大きさは、「ジャンボ機」と比較した画像でまずお解かりいただけると思います。

この日、成田で実機の真近で見守った方たちに感想を聞きますと、「とにかくでかい」「横幅の大きさというか、広さに驚いた」「胴体が太い」というのが共通しておりました。下記画像は、左の場合は実寸での比較で手前、右は奥の誘導路にいる、のがジャンボ機です。

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そして、その内容ですが、まず、世界で始めての「総二階建て」で、機内には合わせて「4本の通路」があります。座席は、ファースト・ビジネス・エコノミーを配した標準で、「555席」、オールエコノミークラスにしますと「800席」の仕様が可能です。また、巨体を支えるタイヤは、22本(ジャンボ機で18本です)主翼の大きさ(幅)は、約80㍍でジャンボ機より15㍍も大きいというものです。

ちなみに世界に先駆けて就航するのは、シンガポール航空のロンドン・ヒースロー空港/シンガポール/シドニー便です。シンガポール航空の客室スペックは、3クラスで「470席」ということですから、それなりの「ゆったり感」が伺えます。

車輪の数にも注目してしまいます・・・。

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~マスコミは、なぜかあまり反応しない~
これだけの「驚き」があるものなのですが、なぜか日本のマスコミはそれほど大きな扱いをしていないように感じます。私の知る限りでは、TVではわずかに、NHK、フジテレビなどが「テスト飛行で来た」という程度の報道しかなかったような気がしました。これには、理由があるようです。

~大量輸送か、機敏性か~
この巨大機を既に発注している航空会社は?といいますと、多い順に申し上げますと、

エミレーツ航空(アラブ首長国連邦です。お金持ちの国ですから、大量買付けもわかる気が致します)41機、カンタス航空20機、ルフトハンザ航空15機エールフランス航空10機(EUという意味で、製造国ですからね)シンガポール航空10機、マレーシア航空6機、中国南方航空5機、タイ国際航空6機(今後の東南アジア特に中国マーケットを伺う姿勢が明らかです)となっています。さて、我が日本の翼は?といいますと、JAL/ANAの両社とも今後の世界への航空戦略は、「大都市から大都市」の大量輸送より、目的地のローカル空港までダイレクトに(点と点を結ぶ)運ぶ機動力を持った輸送のほうが、採算に合うとし、両社とも現時点では、
ボーイング社の中型次世代機であるB-787にすべての発注を掛けています。
 
B-787JAL・ANA仕様

~シンガポールがやってくる~
数は別にしても、この巨大機を真っ先に発注したのは、シンガポール航空です。相当な決断ですが、世界最初の飛行は、ロンドンからシンガポールへのフライトになります。航続距離が8000マイル、14800kmですから「20時間の直行フライト」も可能といわれています。
そして、この巨鳥フライトは、必ず日本にもやってくるものと思います。
旅客獲得には、どちらの戦略が功を奏すものか、新たな航空の幕開けとして注目して行きたいと思います。

成田空港にて:檜垣氏撮影

 

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2006.11.21

一日に3回も、タービュランス人身事故!

~身を守るには?~

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11月19日、日本上空周辺で「3度にわたる」タービュランスによる人身事故が発生しました。上海からバンクーバー・カナダへ向け飛び立ったエアカナダ機は、成田空港に「緊急着陸」しました。「異常」な事態と思えます。

これまでのこうした「乱気流事故」の歴史を紐解けば、おおむね2種類の状況に分かれます。

1.  限られたフライト時間の中で、「機内での飲食サービスをする時間がなくなる」ような状況下で、レーダー上に、雲が映っていても、たいした揺れではないと機長が判断した場合は、「ベルト着用サイン」は点灯したまま、サービスを続行させる。この場合は、乗客は基本的に「着席」していますから、いざ急な揺れがあった場合、怪我をするのは「客室乗務員」ということが圧倒的です。

2.  まるでレーダーに映らない「晴天乱気流=CAT=クリアエアタービュランス」に遭遇した場合で、予測ができない訳ですから、この場合、「ベルト着用のサイン」も点灯していないので、「乗客」「客室乗務員」とも大きなダメッジを受けます。

さて、1.の場合は、航空各社の「安全徹底」で今はこのような事態はなくなりました。

2.のケース、つまり「晴天乱気流」の遭遇予測については、ドップラー航法などの進化など新たな研究がされているようですが、実用には至っていない現状です。では、「こうした事故から身を守る術」はなにか?といいますと、ひたすら「ベルトサインが点灯していなくとも、航行中は軽くでもシートベルトを着用しておく」以外には、ありません。

日本列島周辺で起きた異常な事態に、敢えて再録いたします。

2006.08.09  怪我人が出た「トルコ航空乱気流事故は・・・。」

2006.07.10 絶え間なく「乱気流事故」が・・・。

2006.01.24 タービュランスでCA骨折、ANA機

2005.04.19 油断大敵!の「タービュランス」

乱気流 大揺れの旅客機、乗客ら6人けが

 19日午後、日本上空で旅客機が乱気流に相次ぎ巻き込まれ、乗客・乗員計6人が負傷した。

 午後8時20分ごろ、上海発バンクーバー行きカナダ航空38便ボーイング767が日本上空で乱気流に巻き込まれ、約1時間40分後に成田空港に緊急着陸した。 成田国際空港署などによると、客室乗務員の女性1人が胸を強く打って救急車で病院に搬送されたほか、乗務員3人が軽いけがをした。 乗客のカナダ人男性(41)は「突然機体がエアポケットに落ち、乗務員が天井に頭などを打ちつけ大きな悲鳴が上がった」と話した。

 午後5時ごろにも、兵庫県伊丹市の上空で神戸発羽田行き日航1348便ボーイング777が乱気流で大きく揺れ、乗客の男性(37)と客室乗務員の女性の計2人が天井や荷物入れで頭を打った。羽田空港に到着後、救急車で病院に運ばれたが、いずれも軽傷。 日航によると、ベルト着用サインが消えてしばらくした後に大きく揺れた。機長は「気象レーダーでは見えない薄い雲の中を飛行していた」と報告しているという。

 午後7時半ごろには、和歌山県沖を飛行中の徳島発羽田行き日航1442便エアバスA300が揺れ、客室乗務員の女性(30)がコーヒーやスープをこぼし、両足に軽いやけどをした。
(産経新聞) - 11月20日8時0分更新

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「また?」ボンバルディア機故障

~離陸前でよかった・・・。~

ANAのボンバルディアDHC8-400機にまたトラブルが発生しました。高知線の旅客としては不安な思いがしていることと思います。それにしても、エアラインは航空機製造メーカーからすれば、大切な顧客です。ANAからも相当なクレームがつき、入念なサポートがされているとも聞いていますが、どういうことなのでしょうか。ひき続き見守りたいと思います

ボンバル機また故障 高知―伊丹2便欠航

             2006年09月22日 高知新聞

 22日午前8時ごろ、高知空港で事前点検していた午前8時半発大阪・伊丹行き全日空ボンバルディアDHC8―400型機で、右翼先端部のライトのカバーにひびが入っているのが見つかり、修理のため欠航した。原因は不明という。

 この影響で、折り返しの伊丹発高知行き1便も欠航した。

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交代なしの『長時間連続操縦 フライト』は、大丈夫なのだろうか?

~トラック過労運転事故に思う~

航空機は、地上の車どころのスピードではない上、立体空間を飛行する訳ですから、ひとたび間違いが起これば、悲劇的な結末となる危険性が大きいものです。『疲労のものさし』としても、陸路(固定された平面の道路や線路)と単純に比較できない領域もあります。「安全第一」ということが言われ続けてきた航空界ですが、昨年来、「トラブル」が頻発し、「空」への信頼感は、揺らぎました。「儲かるエアライン」ではなく「安全なエアライン」としての再出発が求められたはずですが、社会的には、「現場がどうなっているのか」などの細かい追究は、持続的に行われていないのではないでしょうか。心配です。

2500キロで休憩5時間過労運転指示で社長ら逮捕-居眠り死傷事故・茨城県警

 関東と中国地方の往復約2500キロを2日半足らずで運転させたとして、茨城県警交通指導課などは20日、道交法違反(過労運転下命)の疑いで、運送会社「北関東運輸」(栃木県大田原市)社長石塚安民容疑者(55)=同市前田=ら2人を逮捕した。
 運転手の男(24)は5月、茨城県常陸大宮市で居眠り運転をして乗用車2台と衝突、6人を死傷させる事故を起こし、業務上過失致死傷罪で懲役2年8月の実刑が確定している。
 調べによると、石塚容疑者らは、この運転手が過労で正常に運転できない恐れがあると認識しながら、5月26日午前1時から28日午前10時までの間に、大田原市から岡山県新見市などに積み荷を配送するよう指示し、約2500キロを運転させた疑い。 
(時事通信) - 11月20日17時1分更新

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2006.11.04

JAL 黒字達成へ。しかし・・・。

~年度末は30億の黒字へ~

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JR東日本、東急電鉄など保有株の売却をはじめとした資産の売却や「国に代わって厚生年金基金の一部運用代行のとりやめ」などの方策で、JAL日本航空は、年度末はかろうじて黒字決算が出来る見通しとなったようです。すべてを見直すという点では、相当な苦労を重ねている様子が伺え、「健全経営」への道ということであれば、利用者にとっても歓迎すべきニュースといえます。

ただし、営業上の利益については、マイナスですから、「信頼回復で搭乗者増」にはまだまだという感が否めません。

心配なのは、こうした経営工夫に連動して「飛行機を運航する現場」に「コスト削減」がギリギリと行われていることです。「安全への信頼」にほころびが生じたことから利用者離れが起きた訳ですから、本来「安全」にかける経費は、従来より手厚くしてしかるべきですが、「現場」からは、「これで大丈夫なのだろうか?」という声も聞こえてきます。

辻褄を合わせるような「黒字化」を急ぐことより、これまで「緩められてきた」「安全への縛り」を着々と固めて行くことが最重要課題なのではないかとも思われます。

10年20年と積み重ねてきた「言葉ばかりの安全第一」という「経営方針」を大転回するのには、体が大きいだけによほどの「決断」と「忍耐」が必要です。利用者・株主各位は、経営サイドがこうした姿勢を示すのであれば、「今日明日」の赤字には理解を示すのではないでしょうか。

9月中間最終損益、黒字確保へ=燃料高で営業利益はマイナス-日航

日本航空は8日発表予定の2006年9月中間連結決算で、05年3月期(通期)以来の最終黒字を確保できる見通しだ。関係者が1日明らかにしたもので、燃料費高騰や国内線不振で営業利益は減益となるが、資産売却益により最終損益段階で黒字化する見込み。西松遙社長が「絶対に実現する」と明言する、07年3月通期での最終利益30億円の達成に道筋をつける。 
(時事通信) - 11月2日7時1分更新

<JAL>厚生年金基金のうち国に代わって運用の代行返上へ

日本航空(JAL)が、社員が加入する厚生年金基金のうち、国に代わって運用していた厚生年金の代行部分を返上する手続きを月内にも始めることが1日、分かった。返上に伴い、約250億円の利益を特別計上できる見込みで、目標に掲げる07年3月期連結決算の最終(当期)利益30億円の達成につなげる。
(毎日新聞) - 11月1日22時4分更新

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2006.10.31

6名生存の情報も!

アフリカで墜落事故がありました。身近に飛んでいるB-737型機です。このADC航空機は、以前にも墜落事故を起こしています。原因究明が待たれますが、ナイジェリアの「安全規制」が問われることになりそうです。「危険だ!」と言われながらそのまま運航を続け、悲劇の事故を起こしたアメリカ「バリュージェット」のことが想起されます。   

<旅客機墜落>ナイジェリアで 乗客114人 6人生存情報

 【キンシャサ白戸圭一】ナイジェリアからの報道によると、首都アブジャの空港近くで29日、同国のADC航空のボーイング737型旅客機が墜落した。ロイター通信によると乗客114人が乗っており、乗員の数は不明。6人の生存者がいるという情報があり、警察当局は捜索活動を続けている。在アブジャの日本大使館によると、29日午後3時半(日本時間同日午後11時半)現在、日本人が搭乗していたという情報はない。
 ロイター通信が政府当局者の話として伝えたところでは、旅客機はアブジャから北部の都市ソコトへ向けて離陸した直後に墜落したという。
 ナイジェリアでは05年10月、最大都市ラゴスで同国のベルビュー航空の旅客機が墜落。同年12月にも産油地帯の都市ポートハーコートでソソリソ航空機が墜落し、2件の事故で計220人以上が死亡した。オバサンジョ大統領は国内の航空会社に運航停止命令を出し、安全管理を徹底させる措置を取った。
 ADC航空の旅客機は96年にもナイジェリアで墜落、乗員乗客140人以上が死亡している。
(毎日新聞) - 10月30日0時40分更新

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2006.10.28

世界の歴史を知らずして

~「グローバル」と言う言葉ばかりがひた走る現実~

受験に必要な科目ではないから「世界史」など学習する必要はないということが起きていることを知って「愕然」としました。

かつてロンドン郊外を列車でぶらり旅をした折に、車中のコンパートメントで高校生達と一緒になり、「世界の話、あれこれ」のトークになりました。特に政治情勢に触れた時、「中曽根首相は××と言っている。」など知識の豊富さ、「自分なりの意見」を持っていることに感心させられました。一方アメリカなどでは、テレビで放映されているニュースの大半は、「国内で起きている衝撃的な、特にバイオレンスがらみ」と言うのが実態です。客観的な国際情勢を知らされていない国民は、9.11後も、「いいことをしてあげているのに、なぜアメリカが憎まれたりしなければならないのか?」という感覚が一般的だったというのもうなずけるものがありました。

2006年の今、航空は、かつてでは考えられないほどの「低額となった運賃」「door to door ではるかなヨーロッパ・アメリカへも直行できる利便性」、インターネット・衛星放送などでは、瞬時に情報を共有できるまでに来ています。そして巷には「グローバル」が溢れ、子供でも知っている言葉にさえなってきています。

さて、日本のことに思いを返せば、私の高校時代の記憶でも「現代世界史」についてはだいぶ薄められた授業になっていたような気が致しますが、「必要がない」などと公言されることなど決してありませんでした。

言わずもがな、国を越えて「互いを理解する」こととは、相手の「歴史」を知ることからはじまります。氷山の一角から日本全体に広がっている「憂うべきこの現実」、世界を知ることから避けて育ち、やがて社会へ、企業へはいり、その現実のまま多くの国の人と接して行く、考えただけで背筋が寒くなります。

与党から「愛国問題」を中心に「教育基本法の改正」が提起されている中、この実態の改善は緊急に行われなければならないと感じます。現実的な対処としては、卒業後でもOKという義務つけを付加して「卒業」を認めることではないでしょうか。本来の教育は「世界の歴史」を学習することですから、受験対策一辺倒となって来ていた現実の認識についていえば、もともと文科省・教育委員会の指導の甘さ、現況把握のいいかげんさにその元凶はあり、また、有名大学合格率競争に負けて本来の教育のあり方から離れてきた学校関係者、の責任は大きく深いものがあります。

関係各機関は、受験を迎えている生徒たちに過大な負担をかけない政治的判断を緊急に下すべきではないでしょうか。

<履修不足>350回の補習も 不安渦巻く生徒たち

 受験を控えた高校3年生を巻き込んで、全国に広がった高校の履修単位不足問題。伊吹文明文部科学相は27日、「(単位不足の高校生に)特別な配慮は難しい」と補習授業を厳格に実施することを求めたが、岩手県には50分授業を350回も受けなければならない生徒たちがいる。「そんなに受けられるのか」「受験に影響する」。生徒たちには不安が渦巻く。一方、北九州市の高校では補習授業が始まった。【門田修一、念佛明奈、古川修司】
 同日午前、伊吹文科相は「卒業証書を出すまでの間に学習指導要領に決めた通りの授業は受けていただく。特別な配慮は難しい。みんなが決めたルールを守るところから社会の秩序は成り立っている」と述べた。さらに責任の所在について「所管をしている教育委員会そのものに責任があるんじゃないか」と言及した。
 こうした文科相の発言を受け、各学校は来年3月までに厳格に補習授業を実施する必要に迫られている。
 しかし、盛岡市の私立盛岡中央高では、普通科特進コースの3年生51人の履修不足は10単位に上る。履修が必要なのは世界史B、家庭基礎、情報A、芸術の4科目。50分の補習を計350回受けなければ卒業できない。
 対応策について、3年生は補習やリポートなどで補充する予定だが、生徒の負担を軽減する措置を検討中という。富澤正一校長は「学習指導要領にのっとらなかったことは悪かったと思っている。しかし生徒のためを思って、進路目標を達成させるためにやったことだ」と強調する。未履修科目の授業時間には受験に必要な科目の授業をしていた。少なくとも97年ごろから行っていたという。
 女子生徒(18)は「仕方ないと思う。はっきり言って私たちの責任でもないです」。別の女子生徒(17)は「補習は受験が落ち着いてからやるという話もあるけど、国公立の後期は長引く。大学に合格した人と落ちた人がまた集まって一緒に補習するのは嫌だ」と話した。男子生徒(18)は「どこの学校でもやってたわけだし、大学入試制度が変わらない限りどうしようもない」と語った。
 愛媛県立八幡浜高の普通科3年生198人は、世界史や政治経済など必修2科目で計140時間分を補習などで補う。国立大の推薦入試を受けるという理系の女子生徒(17)は「友達の中には負担に感じて泣いている子もいる。センター試験が終わった後に補習してほしい」と話した。同校は冬休みなどに補習を行うという。
 一方、北九州市八幡東区にある私立の九州国際大付属高男子部は26日から、世界史や地理などの必修科目を履修していなかった3年生の補習授業を始めた。
 同校によると、3年生322人のうち、社会系科目の補習が必要な生徒は150人程度、卒業には最低でも70時間の補習が必要という。今後は1日2時間程度の補習を実施し、受験シーズン前までに終了させる。
(毎日新聞) - 10月27日23時28分更新

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2006.10.19

『ローマ地下鉄事故』に想う

~ヴィットリオ・エマニュエール~

フミチノ空港からダウンタウンのホテルまでの途中で、毎度通ってきた「ヴィットリオ・エマニュエ-レ」。まさかこんな場所で、事故が・・・。という思いです。ロンドンにしても、ここローマにしても、『地下鉄』も信頼できないとなるとツーリストにとっては「重い気持ち」にさせられます。

事故被災者の一日も早い回復を祈ります。

ローマ地下鉄事故、1人死亡170人負傷・日本人1人重傷
 【ミラノ=野沢正憲】イタリアの首都ローマ中心部にある地下鉄駅で17日午前9時半(日本時間午後4時半)ごろ、列車どうしが衝突した。ローマ県当局は1人が死亡、約170人が重軽傷を負ったと発表。ローマ在住の日本人女性の小林道代さん(44)が重傷で市内の病院で治療を受けている。このほか日本人旅行者の男性1人、女性2人も軽傷。

 死亡したのは30代のイタリア人女性。ビアンキ運輸相の発表では、6人が重傷。伊メディアによると、けがをした日本人女性は市内のサンジョバンニ病院で治療を受けており、「注意が必要な状況」だという。軽傷の日本人旅行者らは家族とみられる。

 事故が起きたのは、ローマ市内を走る地下鉄A線のビットリオ・エマヌエーレ駅。停車中の列車に後続列車が衝突した。伊テレビの報道では、後続列車が赤信号で止まらずに突っ込んだ。 (01:23)

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トルコ「バス事故」に・・・。

~パッケージの質(安全)について、見直しも~

Photo_1 今回の事故については、「雨の中、スリップ」というのが主因と報道されています。

一般的に、大きな「旅行代理店」の看板のもとに、組まれたパッケージツアーについては、利用者は「使用航空会社とタイムテーブル・スケジュール」「現地での観光を含めたトランスポーテーション、いわゆるランド」についても安心してまかせていると思います。

この「ランド=LAND」の業者選択・発注については、「安全運行」という角度で新たなチェックが求められてきているのではないでしょうか。

~日本人観光バス、横転・一人死亡~
 【カイロ18日共同】在トルコ日本大使館によると、トルコ中部のコンヤで17日夜(日本時間18日未明)、日本人観光客が乗ったバスが事故に遭い、日本人1人が死亡した。ツアーを企画した旅行代理店エイチ・アイ・エス(東京)によると、このほか日本人23人と日本人添乗員1人、現地の運転手の計25人が負傷した。うち日本人女性1人が意識不明の重体。大使館が詳しい状況の確認を急いでいる。

 エイチ・アイ・エスによると、事故が起きたのは現地時間17日午後6時(18日午前零時)から同7時(同1時)ごろ。バスは強い雨の中を走行中にスリップ、中央分離帯を越えて路肩に衝突し横転した。単独事故とみられるが、現地の警察当局が詳しい原因を調べている。

 ツアーは個人旅行で申し込んだ観光客が参加。東京から添乗員が同行し、今月14日に日本を出発、トルコ国内を巡り22日に帰国する予定だった。

 コンヤは首都アンカラから南に約二百数十キロ。11世紀から13世紀にかけてルーム・セルジューク朝の首都が置かれるなど、当時の遺跡を訪れる観光客も多い。

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2006.10.18

ハワイでの地震・停電

~昨日は、「ローマ」で「地下鉄事故」

       ”海外旅行の心得”をもう一度~

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リゾート地に限らず、多くの観光都市では、伝統と味わいのあるホテルも「経済性・効率性」に押されて、次々と高層化しています。便利で快適、眺望もGoodである反面、「いざ!」というときは大変です。最低限の「Self Diffence」は、忘れないように致しましょう (海外旅行の心得をクリックしてください)

 ハワイ地震による停電、ほぼ全域で復旧
 【ロサンゼルス=古沢由紀子】米ハワイ州のハワイ島沖で15日朝起きた地震で、オアフ島の観光地ホノルルなどで続いていた大規模な停電は16日午前2時ごろまでに、ほぼ全域で復旧した。
 日系の旅行業者などによると、同日朝商店やレストランの大半は再開。航空便の運航も平常通りに戻っている。 一方、ハワイ島の防災当局によると、この地震で2人が腕の骨を折り、48人が打撲などの軽傷で病院で手当てを受けた。在ホノルル日本総領事館によると、日本人が負傷者したとの情報は入っていない。同島では停電は解消されているが、道路が寸断され、ホテルの一部が損壊するなどの被害を受けており、復旧には時間がかかりそうだ。 東京都出身でオアフ島在住の観光ガイド、ジョイ・モリオカさん(65)は、「昨夜はホテルの部屋の電気がつかず、食事も十分にとれないなど観光客は大変だった。ホノルルの街はもう元に戻り、ツアーも予定通り行われています」とほっとしていた。

  米地質調査所は16日、この地震の規模をマグニチュード(M)6・6から6・7に修正した。

(2006年10月17日11時58分  読売新聞)

 地震受け、一部ハワイツアー中止 滞在客もうんざり 
 
ハワイ島西岸沖の地震を受け、日本の旅行会社は16日、ツアーを一部中止するなど、対応に追われた。 エイチ・アイ・エスなど数社は、ハワイ 島へ向かう16日出発のツアーの中止を決めた。エイチ社は「ハワイ島の復旧の情報が不明で、サービスの提供を約束できなかった」としている。 JTBや近畿日本ツーリスト、阪急交通社は、同日午後に日本を出発するハワイ方面へのツアーを実施。JTBによるとツアーには約770人の旅行客が参加したが、現在滞在している旅行客がオアフ―ハワイ島間を周遊する日帰りツアーは中止したという。 一方、成田空港にはこの日午後、現地に足止めになっていた日本人観光客らが到着。千葉県成田市の女性会社員(22)は「ホテルの11階にいたが、揺れが激しく、立っていられないぐらいだった。停電でトイレも使えなかった。空港はすごい人混みで床に座り込んでしまう人が多かった」と、うんざりした様子だった。 
【2006/10/17 東京朝刊から】

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2006.10.14

「大空への夢」多様!

~「夢」には「輝き」を、そして

                    リアルな「空」の姿を捉えていただく・・。~

 

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たまには、筆者近影と言うことも含めまして、皆様との距離を縮めてみたいと思います。
 早稲田大学でのオープンカレッジでは、2005年の冬講座、2006年夏講座と重ねてきましたが、「現役の学生、バリバリに活躍中の社会人、そして既にお仕事からリタイアされた読者の皆さんと同年代の方まで、幅広い年代層のさまざまなライフスタイルの方々と接することが出来ました
一回の講義が休憩なしの「2時間」そして4回。学生時代と違いますから、話す方も聞く方もややヘビーかもしれません。相当広範囲にわたっての「お話」となりました。 

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もともと、「狭く、マニアックに」という趣旨と違って「民間航空の現状と未来」という大上段から大きな風呂敷を拡げての講座(タイトルは「よくわかる現代エアライン事情」)ですから皆さんが「自分として関心を持っている」ことに突っ込んで、そして「未知の分野」へも知識を広げていただけたようです。「ALL ABOUT」というサイトでも紹介をしていただいております。

 「秀島エアライン教室」
http://allabout.co.jp/travel/airplane/closeup/CU20060626A/index2.htm


「秀島 一生さんと航空の未来を語る」
http://allabout.co.jp/travel/airplane/closeup/CU20051028A/index.htm

   ~ふり返って思うこと~
 前回の講座で「どきり」とさせられたことがあります。最後の講義を終えて、皆さんの感想タイムになりました。若者から「毎週、京都から通ってくるのは大変でしたが、受講できて良かった」年配の主婦の方から「筑波から通いました。楽しかった。」と言うコメントでした。「嬉しい」「感動する」ものですが、逆に「私の講演が本当に受講されている方一人ひとりに満足を与えているだろうか」という点で、「はっと、させられる重いコメント」ともなりました。    

 
~旅は夢の世界~
 さて、わたしの中には、2つの世界が混在しています。「安全で快適な日本の航空を」と言う強い願いと、「飛行機は、旅する上でのはじめと終わり。楽しさへの弾みをつけ、帰ってきた安堵感を提供できるものでなければ・・・。」「同じ旅をするなら、自分の切り口を見つけて・・。」「世界のどんなところへ出されても日本の伝統を背中に背負った素晴らしいマナーに自信を持って欲しい。」と言う思いです。「コラム」は後者の思いが筆になります。 
 
~10/14(土)は関西へ!26時から深夜放送で~
 来る、10月14日、大阪 毎日放送の深夜番組「ゴー傑P」にゲスト生出演の仕事がはいりました。土曜の26時から28時55分までの番組で、私は1時間半ほどしゃべる時間があるようです。新幹線でとんぼ返りと言う強行軍もありますが、何より不安なのは、いつもの報道番組と違って、吉本の漫才のかたが「突っ込んで」こられるようですから、果たして対応できるかなということもあります。まあ、何事も「チャレンジ」ということで「お受けし」心の準備をしております。眠れない夜の時はリスニングしていただければ幸いです。 

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2006.10.13

衝撃的マンハッタンの事故

~コーリー・ライドル 投手・同乗者に哀悼の意を捧ぐ~

9.11を想起させる痛ましい事故でした。深く哀悼の意をささげるものです。

それにしても、セスナ機とはいえ、マンハッタン地区は、セキュリティー上の飛行禁止区域でした。テロ対策としての「死角」があったという課題も残す「不幸な事故」となりました。以下は、ニューヨーク タイムズの一報です。

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Manhattan Plane Crash Kills Yankee Pitcher

A single-engine plane carrying the Yankees pitcher Cory Lidle smashed into a 42-story building on the Upper East Side yesterday, killing Mr. Lidle and his flight instructor,

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2006.10.12

ちょっとびっくりしますが・・。

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10月6日の「台風並みの秋雨強風前線」の影響で、「NRT空港」から羽田空港へ「ダイバージョン」する航空機が続出しました。このため羽田空港は「大混雑」。14.~5時間のロングレンジを飛行してきた長距離便は、羽田上空でのホールディングが続くと「燃料が持たない」心配がでてきて、「管制官」に優先着陸をリクエストしました。ちなみに当該のJAL便は、JL005便で「ニューヨーク/NARITA」、14時間を越えるフライトタイムで帰ってきた模様です。このような長距離便は、長時間フライトに備えて「貨物・乗客の預託荷物・3回にわたる機内食・多量の飲料などを搭載せねばならず、「燃料」もダイバージョン(代替空港への着陸)想定はしているものの、ぎりぎりと言うのが実態です。報道だけでは、「どうしたのだろう?」という感想もあるのではないかと敢えて説明を加えました。                

            JAL機が緊急着陸=羽田

 東京消防庁などに入った連絡によると、6日午後5時20分ごろ、日本航空機が燃料欠乏のため、羽田空港に緊急着陸した。 警視庁東京空港署などによると、けが人や機体損傷などの情報は入っていない。
 空港事務所によると、同機は成田空港に着陸予定だった。 
(時事通信) - 10月6日18時1分更新

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2006.10.08

エアバス380、デリバー遅延に思う。

~期待していたのですが~

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エアバス社A-380のデリバーが遅れることがわかりました。日本から見ますと、東南アジアの空をシンガポール航空の「380」が飾り、東京にも飛翔してくるものとイメージしておりました。「未曾有の巨大旅客機」をこの目で見たい、欲望は私も皆様と同様強いものがあります。特に「スペック」です。聞くところによれば、例えばシンガポール機は、550席設定可能なところを470席ということですから、「スペース快適性どこまで広げてくるか」「特にエコノミークラス」に注目しております。50年も前から「今のスペースのまま」というエコノミーに光りを!と言う思いが募ります。

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【手前がジャンボ機】

さて、エアラインの生き残りを賭けた次世代新鋭航空機の選択は、「ボーイング」か「エアバス」かで熾烈な戦いを演じています。日本の空は、現在のところ「JAL」「ANA」ともボーイング社の中型機「B-787」を発注しており、「総2階建ての巨大エアバス」のデリバー遅延には幸いなことに影響を受けていません。

エアバス社 A380型、一号機引き渡しは2007年10月に

エアバス社の親会社EADS社は3日、A380型の生産遅延で2006年から2010年までに28億ユーロの営業損失が出ることを明らかにした。また、経費削減策を発表、2010年までに20億ユーロの削減を期待している。

エアバス社はA380型一号機をシンガポール航空に、2007年10月に引き渡すのに続き、2008年に13機(シンガポール航空、カンタス・オーストラリア航空、エミレーツ航空分)、2009年に25機、2010年には当初の計画通り、貨物専用型一号機を含む45機を引き渡すとしている。

エアバス社のクリスチャン・ストレイフ最高経営責任者(CEO)は3日、更なる遅れにもかかわらず、これまでにA380型はキャンセルされていないと述べている。ストレイフ氏はアナリストや報道関係者との電話会議で、航空会社には毎月、A380型の再生計画の進展状況を報告するとしている。

ストレイフ氏は4ヶ月以内に、生産拠点の見直しを検討するとしている。既にボーイング社がウィチタなどの工場を売却したように、アナリストらはこの見直しが、生産施設を低いコストで稼動出来る先への売却に進展すると見ている。

また、ストレイフ氏はA380型の生産問題に伴い、エアバス社は親会社のEADS社や部品供給元に、技術的な支援を求めることを明らかにしている。しかし、計画している軍用輸送機のA400M型や他の新型機の開発には、作業が異なることから、影響は限定的としている。 【航空事情より】

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2006.10.06

ブラジル空中衝突ヒューマンエラーの可能性大!

ブラジルGOL航空の墜落事故は、空中衝突された気配が出てきました。小型機のレスポンダーのスイッチが入っていなかったといことで、GOL機には、存在が感知できなかったわけです。あらためて、「どんな先進機器も人間が動かしている。」ことを痛感させられる事態です。

 ゴル航空機事故 レガシー機、トランスポンダーがオフに

   

ブラジルの航空当局者は4日、ゴル航空のB737型と空中衝突した、レガシー600型に乗務していたパイロット2人が、トランスポンダーをオフにしていた可能性があることを明らかにしている。
トランスポンダーは機体を識別する電波を発信する装置で、管制官に機体の位置を知らせると伴に、他の機体との空中衝突を警告し、回避を促す装置の一部を構成している。
ブラジルのエンブラエル社が製造したレガシー600型は、ニューヨークのエクセルエアーが引き渡しを受け、米国へのフェリー中に事故に遭っている。航空当局者はトランスポンダーが故障していた可能性もあるが、故障したままメーカーが引き渡すことは考え難いとしている。
エクセルエアーのパイロット2人は3日、ブラジル国外への出国を禁止する為、ゴル航空機が墜落したマトグロソ州の裁判所命令で、旅券(パスポート)を取り上げられている。事故調査期間中はブラジルの連邦警察当局の監視下に置かれることになる。

また、ブラジルの空軍司令官は、2機が衝突した高度は37,000フィート(11,300メートル)で、どちらかの機体が飛行計画から逸脱したルートを飛行していたことになると述べている。衝突当時、ゴル航空機は自動操縦で飛行していたと見られている。
3日までに2人のパイロットを含む約50人の遺体が、熱帯雨林の墜落現場から回収されている。

<続報>ゴル航空は5日、乗客名簿に誤りがあり、同一人物がふたりの異なる乗客と見なされていたことを明らかにし、事故機に搭乗していたのは乗客148人、乗員6人の154人だったと発表を訂正している。 

Date : 2006/10/04(Wed) 【航空事情より】

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2006.10.05

JAL/JASの完全統合とは・・・。

~とっくに一つになっていたのでは?~

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利用者からは、「なにを今更・・。」と言う感想は当然至極のことで、あちこちで聞き及びました。この点について少々説明を加えれば、合併にあたっては、これまでまず「JALシステム」というホールディング会社を設立、その中に「JALインターナショナル=旧JAL国際線」「JAL ジャパン=JAS」が事業会社として存在すると言うしくみとなっていました。これまでの実態でした。運航の現場では、パイロットは、もともと機種によってライセンスがあるわけですから、エアバスA-300、MD80,90シリーズをメインとするJAS・JALジャパンと、ボーイング747、767、777を主力とするJALインターナショナルでは、相互が入れ替わって乗務するなどは、あり得ない事でした。また、整備面においても、整備機種・整備マニュアルが全く違う訳ですから、安全上も形だけ統一するのも無意味なこととなっていました。Jal100206_23 客室乗務員においても、やはり機種が違う、パイロットとのコミュニケーションのとり方、搭乗から降機に至るまでのマニュアルが違うなどと言う実態で、すり合わせてみると、40項目のうち30項目以上違うと言うことが最近明らかになってきたようです。現場での問題点をかいつまんで申し上げましたが、ひとことで「合併・統一」といってもこのように山のような問題点を抱えているのが内情です。少しでも「運航の安全」に関わるようなことは、「心配は要らない。このように措置している」旨の社会的開示も工夫する余地はありそうです。

~晴れやかな「宣伝・セレブレーション」の陰に・・・~

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さて、10月1日に「JAL完全統合」ということが大きな「ニュース」になっておりました。羽田空港では「歴代スチュワーデスの制服を着用させて盛大なセレブレーションが催された模様です。もともと、JAL/JASは2001年11月に統合が発表されました。当時の金子社長舩曳会長のもとで。合併に至るまでの条件がどういうことにあり、現在どういう影響を及ぼしているのかは後に述べます。

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2001年以来、現実的には、会社のロゴは統一され、国内各ステーションのカウンターもひとつになり、タイムテーブル上もすべての便名は「JAL」と表示されています。勿論 JAS航空機の塗装もとっくに模様変えされて久しくなります。

●安全運航上の問題●合併時にJAS側に約束してきたJAS社員の処遇上の問題●JALインターナショナル(旧JAL)側の人件費労働環境を更にコストカットすると言う問題などが「JAL経営」にとって重い負荷となってのしかかっています。

もとより、当時の金子社長体制は、

1.国際線のアライアンスには、参加迎合しない。加盟するとしても[JAL」中心と言う枠組みでなければならな  い。

2.国内線では、ANA追撃のため、路線網拡大を至上命題とする。そのために、大手の企業が手を差し伸べることをしり込みしていた「赤字で、機材更新に莫大な資金を要するJAS」を傘下に加える。

3.おりしも、整備でいえば、子会社を設立して外注、更にシンガポール・中国などへの外注化で自社整備方式の放棄、またJALグループ全体で、パイロットの外人化、CAは契約社員化、カウンターは制服だけ同じでもすべて子会社化、など、「安全」に直結する経費までカットしてゆくことに邁進しました。このことが、後に国交省航空局から「事業改善命令」を受ける事態にまで至っていったことは、衆知の事実となっている。

言わば、現状のJALは、「こうした過去の遺産」をそのままパスされている訳ですから、「おざなりの処置」では、「栄光の日本の翼」へ回帰することなど出来ません。

~8つの労働組合の意味するものとは・・~

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JALには、「多くの労働組合があって、大変だ」「何でそんなに分かれているの?」という疑問が良く寄せられます。もともと、経営側からすれば、「リストラでも、給与のダウン、労働環境の悪化」でも、言ってみれば同じそろばんであり、現場で働く者の権利や会社へのロイヤリティー、モチベーションを度外視すれば、「何でもOKという労働組合」をかわいがりたいものです。簡単に言えば、「JAL」の場合、職種に応じてもともとあった組合に対抗してより経営に協力的な組合を擁護する政策をとってきた、長いですねぇこれが。少なくとも私の乗務してきた30年間はこの政策を死守してきていました。更に具体的に言えば、JALでは、整備・営業・空港カウンターなどを組織した日本航空労働組合と全日本航空労働組合、パイロット・フライトエンジニアでは、日本航空乗員組合(副操縦士・航空機関士)、日本航空機長組合(機長管理職としたため管理職組合)、日本航空先任航空機関士組合、客室乗務員では、日本航空客室乗務員組合、後に加えて全日本航空労働組合の客室乗務員支部設立、そしてJAS統合の後には、JASに存在した現JALジャパン労働組合(地上)、JALジャパン乗員組合、JALジャパンキャビンクルーユニオン(客室乗務員)を加えて、実に9つの労働組合です。現在では、客室乗務員においては、JALキャビンクルーユニオンとして一部統一が果たされ、計8つの組合となっています。

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労働組合問題は深いので、これ以上は触れませんが、例えば労使間でのやり取りは、「ANA」といえどもそう変わりはありませんが、決定的に違うのは「職種職場ごとに対立するような複数組合があるわけではない」とうことです。これは日ごろの現場業務の中で、社員同士のコミュニケーション、会社へのロイヤリティー上からいいますと、断然の違いがあるといえます。ANAの明るさの秘密はここにあるのかもしれません。

~現場の声をフィードバックする妨げに~

こういう事態は山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」にかなり、リアルに描かれています。こうしたお家事情は、「安全保持」「信頼回復」への足かせになっていることは、JALにたずさわってきたものであれば、意見は多少違っても「良いことではない」と言う点で一致していると思います。空の現場では、本来労働組合の提起する問題でもないことでも、「明日の命」に関わることですから「要求」として出てゆきます。経営サイドからすると「要求を呑む訳には行かない」と多くの経営サイドが「まずいな」と思っていても自縄自縛に陥り、小手先の「言葉だけ安全第一」で通過してしまいます。少なくともこれが30年以上は続いているわけですから、事態は深刻でしょう。

また、完全統一へ向けての「社内で大問題」となっていることですが、金子・船曳間で取り交わされた合併に当たっての「約束」として、「JAS社員の労働条件は一切現行を切り下げない」と言う存在があります。このことが切り下げるだけ切り下げてきたJAL社員の労働条件より、あらゆる職種において上回っている差別となって表れてきていることです。そして更に現場のコストカットをしてゆく具体案が出されており、複雑でギクシャクした社内模様を呈しています。

私の手元に調査の結果がありますが、JAL<JAS「40代で月10万円、住宅手当など入れれば年間数百万円のちがい」となります。こうした矛盾を単に「低い方にあわせる」方針に固執せず、両社内の「モチベーション アップ」につながるような解決策が臨まれているようです。これこそ「経営者の手腕」が問われるところでしょう。

~難題を抱えた以上、「火中の栗を拾う」覚悟がないと~

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JALでは、財務出身ということで期待もされた西松社長でしたが、6月の株主総会宛挨拶では、「安全運航は、『まず心の問題』」などと述べており、「社員の心構えが悪い」といわんばかりで、経営として本質的に癌となっているところはどこかと言うことを捕らえているのだろうか、と疑わせる発言をしています。まさに「危機感」とは縁遠い雰囲気を感じます。その2日後、総会には内緒で、「新株発行」を発表、社会を呆れさせました。

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そして、今回の10月1日「JAL完全統合」のインタビューでは、きっちりやることはやって再生は真近いのでは・・。」といとも簡単に「問題を認識し」更に天気予報士の様な、他人事のようなご託宣です。その上、「信頼回復は基本命題」「この1年いやというほど信頼を失うと会社がどうなるか・・身にしみて感じさせられた。」と述べています。今頃気が付いたのでしょうか?これまで「利用者からの信頼は自然と降ってくると思っていたのかも知れない」と思わせる発言で、苦労を重ねている現場には、きついものと思えます。なんでもないといえばなんでもない、「晴れの式典・会見」でのコメントでありました。

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~利用者に直結の具体的な話~

ほんの一例ですが・・・。元JASの使用機だった「MD機」は現在4名の客室乗務員が配置されていますが、ドアが4箇所あることに対応しています。これを「完全統一を機会に」と3名にするということを考えています。非常事態に周囲を判断し一刻も早く乗客を脱出させる観点から言えば「危なっかしい」話だと思います。「事業改善命令」を受けた折の国会では「安全に関わることは、コスト削減の対象にはしない」と言う趣旨の答弁をされていたような記憶があるのですが・・。

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「JAL/JAS 統合」については、その「功罪」と言う点では、サイト上では話し足らないと感じて取り上げることを躊躇しておりましたが、少しだけお話させて戴きました。

なお、10月2日、フジテレビ「めざましテレビ」でもコメントを致しました。

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ブラジル事故、生存者なく・・。

~空中衝突が原因~

ブラジルGOL航空機の事故は、生存者なしと報道されました。犠牲者のご冥福をお祈りします。

原因については、「空中衝突」が主因ということです。あの広大なブラジルでさえこうした事故があることを考えますと、「日本の民間航空路の極端に狭いこと、混雑の度合い」に思わず、身震いが致します。「ますます油断ができない」と身が引き締まります。

ゴル航空機事故 ブラジル空軍、生存者がいないことを確認

    Date : 2006/10/02

(Mon)

ゴル航空は現地時間の1日夜遅く、29日に墜落した1907便の乗客149人・乗員6人に、生存者がいないことをブラジル空軍が確認したことを、深い悲しみのなか発表した。ブラジル空軍は1日、ロープ伝いに墜落現場付近に降り立った兵士が、日没で捜索活動を中断する前に、初めて犠牲者2人の遺体を回収したことを明らかにしている。遺体は現場からヘリコプターで引き上げ、近くの空軍基地に輸送した。ブラジルの航空当局(ANAC)は、事故原因はゴル航空のB737型とエクセル・エアウェイズのレガシー600型が、空中で衝突したものと見られるとの声明を発表している。レガシー600型のブラック・ボックスは回収され、製造元のエンブラエル社で記録内容の分析を受けている。ゴル航空のB737型からは、まだブラック・ボックスは回収されていない。 【航空事情 より】

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