アスベスト家庭内で吸い肺がん 夫の衣類洗濯中に暴露?2008年03月16日23時58分 アスベスト(石綿)による健康被害が判明している兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場内で働いていた男性の妻が、衣類を洗うなどした際に石綿を吸い込んだことが原因とみられる肺がんで死亡したと、石綿被害者を支援している尼崎労働者安全衛生センターが16日発表した。石綿による疾患のなかで肺がんは中皮腫より多量の石綿を吸うことで発症するとされ、家庭内で吸引した人の発症確認は異例。 会見した遺族らによると、男性は1960〜65年ごろ、下請け会社「中川工業所」の社員として石綿管の加工作業をしていた。男性は工場から戻ると玄関先で作業服についた石綿繊維を手で払い落として洗濯機に入れ、妻が洗っていた。男性は中皮腫を発症し、88年12月に55歳で死亡した。 専業主婦だった妻の身体に異変が起きたのは06年秋ごろ。せきやたんが出るなど風邪に似た症状が続いた。翌年1月、自宅で急に胸が苦しくなり、階段から転落した。病院で検査をしたところ末期の肺がんだった。 石綿が原因とされる肺がんについて、環境省は肺1グラム当たり5000本の石綿小体が認められる場合と定めている。妻の肺からは1万2903本の石綿小体が見つかったという。妻は07年2月に74歳で亡くなった。 遺族の申請で男性は07年1月に労災認定を受け、妻も同年10月、石綿新法の救済対象に認定された。尼崎労働者安全衛生センターの飯田浩事務局長は「旧神崎工場内に相当量の石綿が飛散していた実態が浮き彫りになった」としている。 中皮腫・じん肺・アスベストセンター(東京)の名取雄司医師は「家庭内暴露で肺がんを発症した例は聞いたことがない。相当量の石綿を吸ったと思われる」と話している。 PR情報社会
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