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選挙:神栖市議選 次点候補が逆転当選 再点検で14票増える /茨城

 先月10日投開票の神栖市議選で、5票差で次点となった後藤潤一郎氏(36)=無所属、現職=の異議申し出を受理した市選挙管理委員会は4日、票の再点検の結果、後藤氏の票が14票増えることを確認し、後藤氏の逆転当選を決めた。ずさんな票の管理が問題になりそうだ。【岩本直紀】

 異議申し出を受けて市選管が先月26日に全投票用紙4万9674枚を再点検したところ、名が1文字違う「後藤純一郎」の票が30枚あり、うち15枚を有効、15枚を無効としていた。このため、市選管は30枚すべてを後藤氏の得票とした。

 さらに、後藤氏の有効票の中に、別の候補の姓をひらがなで書いた票が1票見つかった。

 このため後藤氏の得票は999票となり、最下位当選となっていた関口正司氏(64)=共産、現職=らを超えた。関口氏の当選は取り消された。

市選管ずさん票管理

 前代未聞の市選管の対応が異例の当選者の入れ替わりを生んだ。

 ■機械のせい?

 「後藤純一郎」と書かれた30票が有効と無効に分かれたのが直接の原因となった。市選管によると、案分の読取プログラムを組み込んだ3台の読取機で仕分け作業を行ったが、読取精度が70%のため票が分かれたという。

 機械が読み取れた15票は後藤氏の得票となったが、読取不能と判定された15票は疑問票に回って無効になった。本来有効となるはずの混記投票が無効になった理由については「審査係の基本的な認識が甘かった」という。

 さらに、市選管は疑問票の取り扱いについて「開票作業にあたる職員に徹底していなかった」と認めた。

 ■両者の弁

 後藤氏は会見で、15票が無効にされていたことについて「民主主義の根幹を揺るがす重大なミスだ。市選管の説明を聞いても納得いかない。市民のために徹底追及したい」とし、当選となったことについては「最下位当選の関口(正司)氏のことを考えると単純に喜べない」と語った。

 一転、落選が決まった関口氏は「憤りよりも市への信頼がなくなったことが心配だ。弁護士と相談して県選管への審査の申し立てを含め、検討したい」と話した。

 ■これから

 委員会終了後に会見した伊藤實・市選挙管理委員長は「本人や市民、市議会の皆様に迷惑を掛けた。原因を分析して体制を見直し、信頼回復に努める」と謝罪。保立一男・同市長も「選管の所管事項といえども、市政を預かる者として、かかる事態を招いたことは極めて遺憾だ」とコメントした。

 同日から21日以内に県選管への審査申し立てがなければ、後藤氏と最下位当選者の当落逆転が確定する。【岩本直紀、若井耕司】

毎日新聞 2008年3月5日

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