全国いじめ被害者の会代表の大沢秀明さん(63)=大分県在住=が21日、各務原市那加東亜町の市立那加第三小で、6年生約80人と保護者約20人に「思いやりの心、命の尊さ」と題して講演した。
大沢さんの四男秀猛(ひでたけ)君(当時15歳)は96年1月22日、福岡県城島町(現・久留米市)でいじめを苦に自殺した。大沢さんは06年10月に全国いじめ被害者の会をつくり、全国で講演活動をしている。
秀猛君の遺書には「お父さん、お母さん、ごめんなさい」と記され、殴る、けるの暴行を受けただけでなく、約30万円を脅し取られていたことが書かれていたという。
大沢さんは「いじめは弱い立場にある人をいじめて楽しむひきょうな行為。いじめは絶対にしないと約束してほしい」と訴えた。また「学校側にはいじめはダメと指導するだけでなく、いじめを断ち切る安全配慮義務がある」と述べた。
大沢さんが声を詰まらせながら遺書を読み上げると会場からはすすり泣きが聞こえた。目をはらして聞いていた母親(42)は「実体験を聞いて胸が熱くなった。いじめを受けていることは恥ずかしいことではないので、ちゃんと親に打ち明けるよう子どもと話し合いたい」と語った。講演に熱心に耳を傾けていた浅野将史君(12)は「人の気持ちを考え、人にされて嫌なことはしないようにしたい」と話していた。
大沢さんは秀猛君の命日の22日、各務原市の那加第一小と那加中でも講演をする。【鈴木敬子】
毎日新聞 2008年1月22日