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「ドイツに絵画貸し出さない」 リヒテンシュタイン憤慨

2008年03月16日22時51分

 ドイツ政府が高額を支払ってリヒテンシュタインの銀行データを入手し、脱税摘発に乗り出した問題で、独政府の姿勢を批判していたリヒテンシュタインが独側への絵画の貸し出しを拒否。事件は両国の文化振興にも微妙な影を落とし始めている。

 絵画展は独ミュンヘンの美術館ノイエ・ピナコテークが企画。同館によれば、今年5月下旬からウィーンにあるリヒテンシュタイン美術館や、リヒテンシュタインのファドゥーツ城が所蔵する油絵60点、水彩画100点以上を借り受け、特別展示する予定だった。

 しかし、今月中旬にリヒテンシュタイン側から「ドイツの態度が法治国家の原則に基づくか疑わしい」として、貸与断念を伝えられたという。リヒテンシュタイン美術館は「脱税問題での独政府の対応を考えれば、この決定は当然だ」(館長)。同美術館のスポンサーに、脱税問題で顧客データが流出した銀行が含まれていることも背景にあると見られる。

 ノイエ・ピナコテークの広報担当者は「政治的な対立が芸術を制限してしまうのはとても残念だ」と失望感をにじませる。

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