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「4月パニック」カウントダウン 民主の「時限爆弾」法案 (2/3ページ)
与党執行部も3月初旬にこの作戦に気づいたが、「民主党もそこまでやるはずがない」と半信半疑だった。
国会が正常化した10日朝、自民党の鈴木政二参院国対委員長は都内で民主党の簗瀬進参院国対委員長とひそかに会った。たわいない世間話をしながら腹を探ろうとしたが、簗瀬氏はとぼけ続け、別れ際にこう言った。
「今度は真剣にやらせてもらいますよ」
この瞬間、鈴木氏は「民主党は本気だ」と悟った。自民党の大島理森国対委員長は国会内の自室を出る際、ドアをけり飛ばし、悔しがった。
与党執行部が対抗策として打ち出したのは、参院が民主党対案を可決した段階で日切れ法案は否決されたとみなし、憲法59条に基づき、衆院で日切れ法案を再議決してしまう「荒業」だった。
大島氏は14日夕、記者団に「政府の日切れ法案と民主党の対案は『同一的法案』だ。参院が対案を可決し、政府案を審議しないならば政府案を否決したと見なさざるを得ない」と強弁した。
だが、内閣法制局や衆参両院法制局はいずれも「対案の可決をもって政府案を否決したとは見なせない」との見解を示しており、大島氏の対抗策は不発に終わりそうだ。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は16日の民放番組で、「政府・与党が内閣法制局の見解を無視するとは思えないが、無視すれば首相の問責決議案を出し、解散・総選挙を迫ることになる」と言い切った。
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政府・与党の対応はすべて後手に回った。首相は14日夕、与党執行部の日切れ法案の大幅修正を指示したが、すでに民主党が修正協議に応じる可能性は薄かった。ある参院自民党幹部は「昨年末に道路整備中期計画を閣議決定した段階で野党に強硬姿勢で臨むしかないことははっきりしていた」と悔しがる。
大島氏らはもともと、先の臨時国会中に日切れ法案を衆院に提出し、通常国会冒頭で参院送付、3月下旬に「みなし否決」で衆院再議決という絵を描いたが、首相が「民主党の同意が得られるように話し合うことが基本だ。話せば分かる」(1月15日)と協調路線にこだわり、断念した。