県内のほとんどの公立中学校で11日、卒業式が行われた。今春、公・私立合わせて約2万1000人が県内の中学校を卒業し、高校など次の道へ進む。
◇「思いやり大切に」--瑞浪中校長、自殺した女子生徒宅訪れ証書など手渡す
いじめを苦に06年10月、2年生の女子生徒が自殺した瑞浪市立瑞浪中(林達夫校長)では、卒業式の後、林校長や生徒会長の松浦優大さん(15)たちが会見し、「みんな苦しみながら笑顔と思いやりのある学校にできた。誇りを持って卒業できた」と語った。林校長は女子生徒の自宅を訪れ、卒業証書と卒業アルバム、クラスに置いてあった遺影などを両親に手渡した。
卒業式には、06年春に校庭の桜の樹の下で撮影した学級写真から作られた女子生徒の遺影も、級友に抱えられて参列した。ピースサインをしてほほ笑む明るい表情の写真で、自殺後、さまざまな行事でいつも級友に抱えられてきた。
会見で松浦さんは「いじめはなくなった。1年間、思いやりを大切にするよう取り組み、暗い表情の子は(今は)いない。(自殺した女子生徒と)同じ学校でよかったと思えるようになった」と話した。
自宅で校長から卒業証書を受け取った女子生徒の父親は「生徒の生の声が聞きたかった。手紙や感想も見たかった」と学校側の対応への不満を語った。また、「娘のことを忘れないでほしい」と話した。【小林哲夫】
◇東山中・恩師を神輿で担ぐ--高山
高山市立東山中で、卒業生が手作り神輿(みこし)で恩師を担ぐ「卒業神輿」があった。神輿の上で担任教師たちは「元気でね」「頑張れよ」と、教え子の旅立ちにエールを送った。
卒業神輿は四半世紀にわたって受け継がれている。今年の卒業生は143人。受験勉強の合間に集まり、クラスごとにダンボールや板を使って製作した。
間もなく結婚する女性教師のためウエディングドレスを張り付けた神輿など4基が、卒業式後に登場。卒業生らは教師を神輿に乗せ、「わっしょい」などと掛け声を上げながら正門までの約50メートルを練り歩いた。【奈良正臣】
◇養南中が統合で61年の歴史に幕--海津
生徒数の減少などで海津市立城山中と統合され、4月から「城南中」となる海津市立養南中の卒業式は、61年の同中の歴史を締めくくる式となった。
今年の卒業生は31人。中野昇校長が一人一人に卒業証書を手渡し、「最後の卒業生にふさわしい最上級生だった。これからは責任ある行動が求められる。目標を持ってあきらめずに頑張ってほしい」と式辞を述べた。堀田圭吾君が卒業生を代表し、「最後の卒業生であることに誇りを持ち、養南魂で精いっぱい歩んでいきます」と別れを告げた。【子林光和】
毎日新聞 2008年3月12日