◇「解決にはいじめる子の心に寄り添わないと」--「少年問題を考える鳥取の会」主催
同級生のいじめを苦に長女が10年前に自殺した横浜市の小森美登里さん(51)の講演会が15日、鳥取市扇町の県民ふれあい会館で開かれた。長女の残した言葉「優しい心が一番大切だよ」をテーマに、「少年問題を考える鳥取の会」(立脇寿江代表)が主催した。いじめの問題に取り組む小森さんは、約120人の高校生や保護者らを前に「解決には、いじめる子の心にこそ寄り添わないといけない」と訴えていた。【小島健志】
小森さんの長女・香澄さん(当時15歳)は98年4月、神奈川県の県立高校に入学。あこがれの吹奏楽部に入ったが、部の同級生らからいじめを受け、3カ月半後に自殺した。
小森さんは、香澄さんの死を無駄にしてはいけないと、03年にNPO「ジェントルハートプロジェクト」を設立。これまでに、学校現場など526カ所を回り、17万5000人に体験談を話してきた。
講演会で、小森さんは、いじめを受けていた香澄さんが学校や専門機関に通ったことを紹介。「先生たちに相談し、薬を飲んでも、元気にはならなかった。その間もずっといじめは続いていたから」と述べ、「いじめられる子の対応で終わっては、解決しない」と話した。
また、小森さんは、いじめの傍観者すべてが加害者と決めつけるのは間違いであることや、写真機能付き携帯によるいじめなどの例を挙げ、「大人は勘違いをしている」と指摘。いじめで命を落とした7人の子どもの遺影を見せ、「大人にいじめの実態を知ってもらいたい」と語気を強めた。
鳥取城北高校1年の藤井隆太郎君(16)は「いじめは簡単に解決できないが、人のいいところと悪いところを分かってあげる優しい心が大切だと感じた」と話していた。
毎日新聞 2008年3月16日