【ジョンソン宇宙センター(米テキサス州)永山悦子】国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する土井隆雄・宇宙飛行士(53)の仕事は、日本初の有人宇宙施設「きぼう」の保管室設置と入室で終わったわけではない。日本人宇宙飛行士初の「ロードマスター」という重要な任務を担っているのだ。ロードマスターは、スペースシャトルからISSへの物資運搬を管理する責任者。地上からの補給に頼るISSの生命線を握る。15日も、保管室の荷ほどきや物資の運搬・整理に追われた。
「ISSでの活動は物資の輸送が成否を決める。ロードマスターは地味で目立たない作業だが、シャトルとISSのどこに物資があるかを把握し、搭乗員に指示を出す『学級委員』のような存在」と、野口聡一・宇宙飛行士(42)は解説する。
ロードマスターは、シャトルの飛行ごとに1人指名される。シャトルは、食料や実験材料など数千点の物資を運び、搭乗員がISSの決められた棚や引き出しにしまう。物資には片付け先が書いてあるが、活動状況によって刻々と変わるほか、目的の場所が満杯のこともある。ロードマスターは地上から毎日届く指示書と全体の収納状況を見て、搭乗員に運び先を指示する。
野口さんは「一つ一つの作業は簡単でも、大量なので大変な仕事。土井さんは、シャトルとISSを結ぶハッチを通過するすべての物資に目を通すことになる」と説明する。米中部時間24日午後(日本時間25日午前)のISSからの分離まで、土井さんは「縁の下の力持ち」として、大量の物資に目を光らせる。
毎日新聞 2008年3月16日 18時45分 (最終更新時間 3月16日 20時03分)
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