ここから本文エリア

現在位置:asahi.com>関西>ニュース> 記事

逮捕のキャリア、元建設相が「ピカイチ」と出世後押し?

2008年03月16日

 国土交通省・国営飛鳥歴史公園事務所(奈良県明日香村)の発注工事をめぐる不正入札・汚職事件で、入札情報の漏洩(ろうえい)をあっせんしたとされる同省大臣官房付の上島(うえしま)晃嗣容疑者(52)を、面識のあった元建設相の国会議員が過去に「優秀」と評し、省側に昇進を働きかけていたことが関係者の話でわかった。上島容疑者が別の議員側に自身で出世の相談をしたこともあった。同容疑者は今回の事件でも贈賄業者に政治家の紹介を求めており、大阪地検特捜部は出世へのもくろみが受注協力の一因だった疑いがあるとみている。

 関係者によると、上島容疑者は90年代前半、西日本の国営公園事務所長となり、地元選出で後に建設相となった議員と知り合ったとされる。その後、議員は省幹部に電話をかけ、「ピカイチの所長」「こんな能力のある人物をきちんと処遇できなければだめだ」などと忠告したという。

 さらにその後、上島容疑者は、別の「道路族」の保守系国会議員の議員会館を訪れ、省側に昇進を持ちかけてほしいという趣旨の依頼を当時の秘書に伝えたこともあったという。

 幹部候補のキャリア採用で国営公園の整備・管理などを担う「造園職」の上島容疑者は03年、同職の現場トップの本省公園緑地課長に次ぐ室長になった。だが、省内では評価を得られず、04年に国営沖縄記念公園事務所(沖縄県本部(もとぶ)町)の所長になり、06年に独立行政法人・都市再生機構の部長に出向した。

 元建設相は取材に、上島容疑者について「面識はあるが、(昇進を働きかけた)覚えはない」と文書で回答。保守系議員は秘書を通じて「面識がない」と答え、省側への働きかけも否定した。

 今回の事件の贈賄業者「槙峯建設」(同県高取町)元社長の槙峯和也容疑者(67)の供述によると、上島容疑者は05年ごろ、元首相ら有力国会議員の紹介を依頼し、「省内で有利な立場になりたい」などと説明したという。槙峯容疑者はバブル期に幅広い政界人脈を築いており、特捜部は上島容疑者が政治家を通じた出世の働きかけをもくろんでいた疑いがあるとみている。

 上島容疑者を知る関係者は「何事も信用させる巧みな話術で政治家にも気に入られたのだろう。出世コースを外れた後も、政治家の後押しで昇進したいと考えたのではないか」と話す。

PR情報

このページのトップに戻る