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街角:フィリピン 存在感薄い日本人

 フィリピンに韓国人があふれている。マニラ首都圏マカティ市のビジネス街には辛ラーメンやキムチをそろえた韓国雑貨店と韓国料理店が軒を並べ、リゾート地セブ島のレストランには英語や日本語に代わって韓国語のメニューが置いてある。

 フィリピンの在留邦人は一万二、三千人で、日本からやって来る観光客で目立つのは中・高年の男性の姿だ。

 一方、在留韓国人は10万人に迫り、英語の短期語学留学、ゴルフ、マリンレジャーを目的に、幅ひろい年齢の人々が男女を問わずにやって来る。

 第二次大戦中、フィリピンでは日米比3カ国の兵士と民間人が合わせて150万人も亡くなった。戦後しばらく日本人は厳しい視線にさらされた。戦争の記憶が薄れると日本人はフィリピンに「犯罪とテロの国」のレッテルを張って敬遠し、サンゴに彩られた美しい海や、山間部に残るアジアの伝統文化には見向きもしなかった。

 一方、戦後、韓国からはキリスト教関係者やボランティアが布教や福祉活動にやって来た。彼らは都会だけでなく、地方にも溶け込んだ。その後の海外旅行ブームで、ハメをはずし地元の人々のひんしゅくを買う観光客が現れると、現地在住の韓国人は、街角に「韓国人の品位を守ろう」とハングルで書かれた小さなステッカーを張り、フィリピンの人々との友好関係保持に努めた。

 「日本は経済一流国ではない」という日本の閣僚の発言が話題になった。けれど、フィリピンの街角で感じる存在感では、日本はとっくに、一・五流国に転落している。【大澤文護】

毎日新聞 2008年3月16日 東京朝刊

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