兵庫・滋賀県、職員給与カット──自治体リストラ加速、兵庫は初任給も下げ2008/03/14配信
兵庫県は2008年度から給与カットに踏み切る。給与月額を役職に応じ2.5―7%削減。初任給も引き下げる。大卒の場合、18万400円から17万8800円と2000円弱下がる。こうしたカットで年166億円の削減効果を見込む。 兵庫県は阪神大震災の復興に伴う負担増で1992年度に4000億円あった県の基金残高が07年度には約1800億円まで縮小。財政の健全度を表す実質公債費比率も07年度は19.6%で全国ワースト2位。このため08―18年度にかけて県内に10ある県民局の統合・再編などで1万966人の職員(教職員と警察官を除く)を約3400人削減する計画を立案した。 ただ初任給(07年4月1日時点)が全国で1番高く、国家公務員を100とした地方公務員の給与水準を示すラスパイレス指数(同)も近畿の府県で最も高いことから、職員削減にとどまらず給与カットも実施、人件費総額の抑制を急ぐ。 初任給の引き下げで優秀な人材の確保が難しくなるのではという声もあったが、井戸敏三知事は「給与の多寡で県庁を目指すような人はこなくていい」と断言。給与引き下げを決定した。 07年度は職員の給与を前年度から据え置いた滋賀県も08年度は月額1.5―6%削減。管理職手当などのカットと合わせて、年30億円の削減効果を見込む。大阪府も08年度に1100億円の歳出削減を目標にしており、職員の給与カットに踏み込むかどうかが焦点になりつつある。 京都市や京都府は職員数の削減を急ぐ。京都市は2月に初当選した門川大作市長が、市長選マニフェストの中で現在の職員数の6%強に当たる1000人以上を4年間の任期中に削減する方針だ。06、07年度の2年間で500人削減した京都府は08年度の当初予算ベースでさらに240人削減する。 こうした大幅削減を可能にしているのは、ここ数年で本格的に始まった団塊世代の大量退職。大阪府では05年度まで年500人前後だった退職者が、06年度には644人、07年度も600人以上が退職する見通し。退職人数分を不補充とすることで職員数を漸減する。民間のように現役職員から早期退職を募集するリストラ策をとる自治体は少ない。 団塊世代の大量退職で地方公務員の平均年齢は上がり続けており、06年の平均年齢は43歳。40―50代で全職員の6割を占めるまでになっている。このため職員削減方針は維持しつつ、新卒採用数を増やして若返りを目指す自治体も出ている。 05年度から08年度までに389人を削減した奈良県は08年度の新規採用数を前年度比52人増の91人に増やす。和歌山県や滋賀県も退職者で全体の職員数は減らすが、新人採用は増やす計画だ。大阪市も10年度まで凍結する計画だった職員採用を08年度から少人数再開する方針を決めている。
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