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第72回「サイコパスの恐怖」
     代表取締役 四倉 幹夫


今回は知られざる心理学スリラーである。
世の中には、稀に、何の恨みもない善良な人間に、後ろからいきなり殴りかかるような攻撃をしかける人間が存在するが、そういう人間の人生観や動機が筆者にはさっぱり理解できなかった。
なぜ自らの欲望を満たすためだけに他人を傷つけることを厭わないのか不思議だった。
時にはそういう人間は、自分に恩のある人間に対して直接牙をむくケースもある。

皆さんは以下の人物に共通の人格が存在するということをご存知だろうか?

チンギス・ハーン
世紀の強姦王。アジアには彼と同じY染色体を持つ男性が1600万人もいます。
旧モンゴル帝国男性の約8%に相当します。正式に恋愛や結婚をしていたら、こんなに子孫はできません。 
ラス・プーチン(宮廷ロシアで暗躍した怪僧)
ゴルゴ13
トマス・クラウン
映画「トマス・クラウン・アフェア」の主人公で、ピアーズ・ブロスナンが演じています。
毛沢東
ザルカウィ(ヨルダンのテロリスト。先頃暗殺)
アドルフ・ヒトラー
カリギュラ(ローマ帝国の皇帝。悪事の限りを尽くした)
チャウシェスク(ルーマニアの独裁者)
大久保清(死刑囚、強姦魔)
ポルポト(カンボジアの独裁者 数百万人の虐殺を主導)
ムッソリーニ
宅間守(小学校連続殺人犯)
レクター 
etc.,

これらの人々はある特殊な人格障害を持った人々で、しかもこの人格は全米で4%、実に25人に1人という確率で存在することが近年の研究で判明した。
その人格障害は、精神病質(サイコパシー, psychopathy)または、社会病質(ソシオパシー, sociopathy)と呼ばれ、この反社会的性格者(antisocial personality)を、サイコパス(psychopath)、また、ソシオパス(sociopath)と呼ぶ。
この病気は一般にはほとんど知られていないが、鬱や統合失調症(昔の精神分裂症ですな)より身近で危険な問題かもしれないのである(数は圧倒的に多いです)。
現在では、反社会性人格障害(APD)と呼ぶのが正式なようだが、一般的にはサイコパスと呼ばれているので本稿でもサイコパスと呼ぶことにする。

サイコパスを簡単に説明すると、良心というものを全く持たない人格障害である。

マーサ・スタウト著「良心をもたない人たち」によると、以下の条件に3つ以上あてはまった場合、精神科医の多くは反社会性人格障害を疑うそうだ。

1. 社会的規範に順応できない
2. 人をだます、操作する
3. 衝動的である、計画性がない
4. カッとしやすい、攻撃的である
5. 自分や他人の身の安全をまったく考えない
6. 一貫した無責任さ
7. 他人を傷つけたり、ものを盗んだりした後で良心の呵責を感じない
(以上、マーサ・スタウト著「良心をもたない人たち」より引用)

では一体、“良心”のない状態とはどういう状態であろうか?
それは、何をやっても罪悪感を感じない状態である。だから自分のやりたいことは何でもやる。嘘をついても、他人を陥れても、傷つけても、何も感じない、究極の自由を持った人間である。
ヒッチコックの映画「サイコ」の源であるが、あの映画のアンソニー・パーキンス扮するベイツはただの多重人格(sepalate personality:本当は分離人格が訳としては正しい)者であって、本来のサイコパスではない。

サイコパスの定義を以下に引用してみよう。

■反社会性人格障害
反社会性人格障害(はんしゃかいてきじんかくしょうがい、Antisocial Personality Disorder)とは、他者の権利や感情を無神経に軽視する人格障害である。人に対しては不誠実で、欺瞞に満ちた言動をする傾向があるとされる。以前は精神病質人格、社会病質人格(いわゆるサイコパス)と呼ばれていた。この人格障害は男性に多いとされる。ただし、反社会的人格障害は精神医学的というよりは、社会的価値基準にもとづく診断であるため、これに関する議論は非常に多い。
自己愛性人格障害の場合は、自分は優れているのだから人を使って当然だと考えて人を利用するが、それとは異なり、欲しいものを手に入れたり、自分が単に楽しむために行うのが特徴である。人を愛する能力や優しさは欠如しているが、人の顔色を窺って、騙したりする能力には優れているとされる。そのため、表面的には魅力的に見えることも多い。
反社会性人格障害の人は、アルコール中毒、薬物依存、性的逸脱行動、犯罪といった問題を起こしやすい傾向があるとされる。だが、危険なことをするわりには、精神的な弱さが見受けられる場合も多い。反社会的人格障害の人は、家族の内部で過去に、反社会的な行動、薬物などの乱用、離婚、身体的虐待などがあったことが認められることもあり、危険な行動はそれを隠すためであるとも考えられる。また、反社会性人格障害の人は一般の人に比べて寿命が短い傾向があるといわれる。
DSM-IVでは、18歳以上になって始めてこの病気は診断されるとされるが、近年は犯罪の低年齢化が進んでおり、大きな疑問が投げかけられている。治そうという気持ちが少ないため、治療がなかなかうまくいかない上、トラブルを起こすことも多く、治療スタッフの負担が大きくなることから、治療機関によっては反社会的人格障害の患者を嫌がることも多いようである。

医療情報に関する注意:ウィキペディアは百科事典であり、一般的な説明をするにとどまります。ご自身の健康問題に関しては、医師等の専門家に相談してください。

(以上、Wikipediaより引用)

サイコパスの特徴は、極端に自己中心的で、責任感がなく、他を操る術に長け、慢性的な嘘つきで、しかも全く反省しない。「良心を全く持たない」というのは前頭葉のホルモン異常と、幼少期の虐待やトラウマが重なり、さらに成育環境が劣悪である場合に発症すると言われている。これといった治療法は現在のところない。

この病気がなぜ恐いかというと、この人格を持った人物が我々の日常に容易に存在するからである。しかも、この病気は当人にとってはとてもハッピーで、周囲にいる人間だけが苦しめられるという反社会性を持つ。鬱とか依存症とか神経症と全く違うのは、良心を持たない人々は自分自身と自分の生活に満足していることが多く、当人に治療する気持ちは全くない。

サイコパスにはいくつかの特徴がある。

口が達者で表面的な魅力がある。カリスマ性がある(よく見ると胡散臭いのですが)
病的に嘘をつき、人をだます(この2点で言うと、どっかのコンサルみたいですな)
過大な自尊心、自己中心的
感情や愛情がほとんどなく、時々ぞっとするような冷たさを感じさせる
後悔と罪悪感がまったくない
行動の責任をとれない

また、サイコパスは自分の満足を引き出すために様々なテクニックを使う。そのテクニックを駆使して犠牲者をだますのである。 主なテクニックは以下のようなものである。

1.相手を魅了する
2.僕と君とは似たもの同士だ −相手に親近感を持たせる
3.嘘泣きがうまい、または、逆ギレして相手を脅して遠ざける
4.人々を煽るのがうまい
 
要するに、あらゆるテクニックを使って自分の悪意を隠し、攻撃しようという悪魔的な人格がサイコパスなのである。その心情は常人には理解できない。
羊たちの沈黙のレクター博士がその典型で、その数は決して少なくない。人口の4%、全米25人に1人、累計では250万人がサイコパスであると言われている。

もちろん、我々の日常にもたくさん存在する。筆者もマーサ・スタウトの「良心をもたない人たち」(草思社)を読んで、今まで自分の周りにサイコパスがいたかどうか考えてみた。
実に3人も存在したのである。彼等は人を“支配”するゲームを楽しむ特殊な人々である。
そのために嘘をつき、隙をうかがい、犠牲者を陥れることをゲーム感覚で楽しむ。罪悪感、責任感がまったくなく、何があってもサイコパスは自分の行動を正当化し、また美化する。

日本ではこの病気は全く紹介されていないので、サイコパスは野放し状態になっているのが現実である。これは当人にとって楽しく、周囲にとってはとても苦痛な病気なので、もし皆さんの周囲に良心という心の回路がまったく欠落していて、悪魔のような狡猾さを駆使して嘘をついたり、騙したり、約束を破ったり、責任逃れをしたりすることを常習化している人がいることを事実と認識して、その罠にはまらないようにしなくてはいけない。
サイコパスには感情がないので、傷つくという感情もないし、傷つけたという感覚もないのである。
また、サイコパスは素顔を隠すのがうまいので、次のような典型的なセリフにも注意する必要がある。

「あんたは俺に借りがある」 「君は私とよく似ている」 「あんただけは特別だ。」

では、サイコパスが持っていない“良心”とは何か?いかなる行動原理であるか。罪悪感を全く感じない心理状態における“罪”とは何か?
実はここに目に見えない重大な問題があるのだ。良心とは、可視化したり数値化したり、軽量化したりできない概念である。また、民族、国、生活習慣によっても若干異なるであろう。
××がないから良心がないとは表現できないのである。重要なことは、自分の満足を追及するために、他人の信頼や他人の感情をまったく無視するという人格の存在である。もっとわかりやすく言えば、人にどのくらい迷惑をかけても平気な人格が、法に裁かれるようなことまでしない限りは、堂々とまかりとおるということなのである。その人物は感情を持っていないので、人に嫌われてもまったく平気で恥の概念もないので嘘がバレても平気だし、自分がどんなに残虐なことをしても自分を正当化して常に正しいと信じきっているのである。

こういう人物が皆さんの周囲にいたら、サイコパスの存在を疑うべきである。
目は人間の脳が表に露出している唯一の器官であるが、そういう人間は目が無気味である。
目は決して笑っていない。いかなる笑顔でも目は決して笑っていないのである。
筆者はかつて小説家を目指していたので、人間の行動とそれに至る心理を克明に分析する癖がある。その綿密な分析を何回繰り返しても、なぜ自分がこのように一方的に攻撃されなければならないか理解できないケースが稀ではあるが存在した。
マーサ・スタウストは医療現場からそういう人格が現実に存在し、合法的な世界で活動していることを警告しているのである。

鬱や統合失調症はテレビやニュースに何度も取り上げられるので有名であるが、サイコパスという症状はほとんど人口に膾炙されていないのが現実である。
現実の世界に真に悪魔的と呼べる特殊な人格が存在することを我々は米国の話としてではなく、現実の問題として直視しなければならない。
そして、それは今そこにある危機と言えるかもしれないのだ。
愛情を受けたり人から好かれたりすることに何の喜びも感じない人間は確かに実在し、それは神が設計してこの世に送り出した実際の悪魔の姿かもかもしれないのである(ちなみに三輪明宏が対談で“魔界の人間”というふうに言っているのがサイコパスではないかと筆者は思っています)。

現実のレクター博士は今も皆さん方のすぐ隣にいてじっと息を潜めて隙をうかがっている。
くれぐれもご用心を。

因みにサイコパスは精神障害ではあるが精神病ではないので、発症して犯罪を犯しても無罪にはなりません。正常人と同等に裁かれます。
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