北京――中国チベット自治区ラサで14日起きた大規模騒乱で、国営・新華社通信は15日、7人が死亡したと伝えた。この後、10人に上方修正した。チベット人僧らによる抗議活動が警官隊に阻止された後、殺害されたとしている。
死亡者の多数は商業の従事者としている。自治区政府当局者の情報を引用し「犠牲者は罪のない市民であり、焼死した」とも伝えた。中国政府は今回の暴動について、チベット仏教最高指導者でインドに亡命中のダライ・ラマ14世が関与していると非難。ダライ・ラマ側はこれを否定、中国支配に対するチベット住民の長年の不満が爆発したものとしている。
チベット住民の海外支援組織は今回の騒乱で、中国の漢族などの経営店舗が多いラサの主要市場が放火されたと述べた。米国の人権擁護団体などは、中国の治安部隊が騒乱後、ラサ周辺にあるチベット仏教の僧院3カ所を封鎖し、兵員輸送の車両が出動していると述べた。
インド北部ダラムサラに拠点があるチベット亡命政府は15日、死亡者は最大で100人に達するとの未確認情報があると述べた。
新華社は、負傷者の総数、市内の商店などの詳しい被害状況には触れなかった。ただ、外国人観光客らにけが人はいないとしている。また、ラサは15日早朝までに、平静を取り戻したとも伝えたが、真偽は不明。AP通信は、警官隊がラサ市内を警戒しているとの証言を報じた。
今回の騒乱でラサ市内の電力供給や電話網は14日、一時中断していたが、15日には復旧したとしている。
チベットは1959年の「チベット動乱」後、中国の支配下にあるが、反発はくすぶっている。89年には暴動が起き、戒厳令が発令される事態となっていた。