ブームで終わらせないために
あけましておめでとうございます。年末年始は実家で過ごしましたが、昨年はあまりにも喧騒な毎日を過ごしてきたためか、田舎のあまりの静寂ぶりに、最初は耳がどうにかなってしまったのかと思ってしまいました。しかし、その静けさの中には、本当に驚くほどたくさんの音が隠れているんですね。虫の音、風の音、雨の音、そして驚くほど繊細な雪の積もる音。耳がどうかなっていたのは、どうも私のほうだったようです。
まあ、自分の故郷だから敢えて遠慮なく言わせて頂きますが、結構な田舎なんです。聞こえのいい言い方をすれば、自然が豊か。ですから、社会貢献とか社会起業などという言葉とは無縁なのかなと思っていたんですが、そんなことはなく、テレビや新聞などから流れてくる環境問題などの話題を、決して遠くの出来事として捉えていない。やっぱり、社会の関心は、確実にそちらに向かっているんだなあと思った次第です。地元の新聞でも、県の経済団体などが、「企業市民」をキーワードに企業による社会貢献活動を推進すると同時に、企業が社会貢献活動のリーダーシップをとっていくことを、高らかに喧伝していることが大きく報道されていました。近いうちに、今度はビジネスで帰郷することになるかもなどと思った次第です。
田舎から戻り、溜まりに溜まったメールや年賀状を整理していると、一通の年賀状が目に留まりました。懇意にしているある雑誌の編集者からの年賀状なんですが、昨年は「すぐにでも社会起業家が話題になりますよ」とさんざんその特集を組めと説得してきた相手でもあります。この方の年賀状に、「確かに今年は社会起業家が話題になりそうな予感です」との一言が添えてありました。これはやはり嬉しかったですね。新年最初の手応えを感じました。
しかし、決して一過性のブームには終わらせたくないと思っています。社会貢献の中でも、新聞や雑誌、TV等で「エコ」という文字や言葉を見かけない日は皆無なほどに、「環境」というのがクローズアップされているようですが、怖い落とし穴も当然の如く潜んでいます。このブログには似つかわしくない話題かもしれませんが、バイオエタノール熱が高じてとうもろこしの過栽培を引き起こし、むしろアマゾンの森林伐採が進んでいるとの報道もあります。社会事業へのメディアの注目が高まれば高まるほど、その弊害の側面の報道も当然ですが多くなるでしょう。ブームというものは、必ず「反動」という側面があります。単なるブームに終わってしまったり、バラエティショーの一分野の扱いで終わってしまったりする可能性は決して否定できないはずです。
私は、社会起業家や社会貢献は、ライフスタイルとして定着することが可能ではないかと思っています。そして、それは楽しいだけでなく、生活を確実に豊かにしてくれるものです。「自分のため」ということが盛んに叫ばれますが、「他人のために」何かをするという実感は、なにものにも変え難い爽快感と充実感を与えてくれるはずです。決して性善説の信奉者ではありませんが、社会貢献というライフスタイルは、人の本性に合致しているように思えるのです。週末起業ならぬ週末ボランティアや週末CSR等が盛んになるかもしれませんね。また、企業の社会貢献というものも、私は企業本来の性格にあっているものだと思っています。いや、むしろ企業のルーツは、社会貢献に見出せるのではないかとさえ考えています。
2008年は、社会起業家という存在が更に脚光を浴びることは間違いないと思いますが、一過性のブームではなく、ライフスタイルとして着実に定着することを望んでいますし、その実現を目標の一つにして、頑張りたいと思います。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。(坂井)
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/224259/17617995
この記事へのトラックバック一覧です: ブームで終わらせないために:
コメント
明けましておめでとうございます。
まあ、僕としてはブームが終わった後のことよりも、いかにしてブーム化するかのほうにまだ関心があります (^^;)
確かにブームの弊害ってあるんですけど、一度くらいは、みんなが熱病のように社会貢献について日夜語る、みたいな状況ができても楽しいかなと思います。
今年もよろしく〜
投稿 竹井善昭 | 2008年1月 8日 (火) 05時31分