日本の女性はいつまで「産む機械」だったのか?
昨日の記事で、アジアや中近東やアフリカの貧困国、途上国ではいまだに女性は「産む機械」だということを書いた。今の日本で「産む機械」などと言ったらどうなるかはご存じの通りだ。しかし、今の若い人にはピンとこないと思うのでついでに書いておくが、ほんの20年くらい前までは、日本の女性も同様だったのだ。
安倍前首相の昭恵夫人が短大卒であることは知られているが、あの世代の女性は「四大(四年制大学)まで行く必要はない。高卒か短大で十分だ」と考えられていた。家が貧しいからとっとと社会に出て稼いでくれ、という発想ではない。家が金持ちだったり、父親の社会的地位が高くても、そういう考え方が主流だった。就職も、四大卒より短大卒の方が有利だった。
それなりの家の娘は、お嬢様短大を卒業して一流企業に就職して、出世しそうなエリート社員を捕まえて寿退社するというのが勝ち組コースで、四大に通う女子大生も三年生あたりでお見合いをさせられていた。何故なら、当時は女性はクリスマス・ケーキと言われていて、23歳〜24歳が一番の売り時、25歳を過ぎたら叩き売りなどと言われていたからだ。四大を卒業した年には23歳になってしまうから、短大卒女性のように悠長に職場で男性との出会いを待つわけにはいかない。だから、在学中から結婚相手を探しておこうというわけで、要するに女性はとっとと結婚して子供を産めということ。まさに、女性は子供を産む機械だった。
それがほんの20年くらい前までの日本の女性事情。昭和40年生まれくらい、今の40歳以上の女性は、そんな教育を受けて育った人も多いはずだ。
#ちなみに、80年代後半のバブル期あたりで晩婚化が進み、クリスマス・ケーキは大晦日になった。
#女性は30歳までに結婚しろということになったわけだ。
今の60代、70代の男がついつい「女性は産む機械」発言をしてしまう背景はそんなところにある。彼ら自身が、自分の娘をそう教育して育てたのだし、自分の息子にはクリスマス前の娘を貰えと言ってきたわけだから、ついつい迂闊な発言をしてしまうのだろう。日本の女性解放の歴史は意外と浅いのである。
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