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2007年11月28日 (水)

やっぱり「女性は産む機械」なのか?

少し前に、「女性は(子供を)産む機械」と発言してマスコミとネットで叩かれまくっていた政治家がいたが、世界の多くの国では、まだまだやっぱり女性は産む機械のようで。

社会起業家やCSRに関する本を読んでいて感銘を受けることが多いのは、彼らの活動が貧困国の女性に自尊心を与えることだ。

たとえば、「ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)」(C.K.プラハラード著、英治出版)に出てくるエピソード。

ユニリーバの子会社HLLは、インド最大の日用消費財企業で、一般的な小売り網の他に、農村部で展開するシャクティという直接販売網を持っていて、シャクティ・アマと呼ばれる女性販売員がいる。日本で言えば、ヤクルトのおばちゃんや化粧品の訪問販売員のような人たちだ。彼女達は小さいけれど自立した事業主だ。

で、プレハードは一人のシャクティ・アマにインタビューする。

Q この仕事を始めて、一番変わった点は何ですか?
A 今では「一人前の人間」になれました。私のことを人々が尊敬してくれます。アドバイスを求められたら、手助けをしてあげられます。

社会起業家は人々に自尊心を与えるということの証左だが、インドの農村で女性がどのような立場に置かれているかが分かるエピソードでもある。彼女はシャクティ・アマになるまでは「一人前の人間」として扱われてなかったわけで、要するに「産む機械」でしかなかったわけだろう。

10月13日にはNHKBS1で『娘たちよトルコの大地に咲き誇れ「少女の教育」』というドキュメンタリーが放送された。タイトル通り、トルコの少女たちの教育問題をテーマにしたドキュメンタリーだ。
トルコはEU加盟を目指してどんどん改革が進んでいて、法律では女性の権利も守られている。ところが、実際には辺境の貧しい村などでは、女の子は学校に行けず、字も読めず、13歳くらいになったら持参金目当ての父親が決めた男と結婚させられて、嫁ぎ先では子供を産まされてと、まさに女性は産む機械状態である。
しかし、もちろんトルコの貧しい村の女の子だって学校に行きたいし、できれば大学にまで進学したい。番組では、そんな女の子たちに奨学金を提供する活動をしているサイランさん(女性医師)や、辺境の村の学校にやってきた金髪の女性教師の活躍ぶりを描いている。

番組冒頭で、ある少女がサイランさんに宛てた手紙が朗読される。その少女は13歳で、高校に進学したいのだが家は貧しく、父親は35万円の持参金目当てでその少女を結婚させようとしている。どうか、学校に行けるよう助けてくださいという手紙だ。持参金目当てで結婚させるというのは、実質的な人身売買だ。

勉強の意欲ある少女が、たった35万円で売り飛ばされる。

グローバル投資の世界では、BRICsの次の成長マーケットのひとつとして注目されているトルコだが、このような国ですら、女性はいまだに子供を産む機械であることを、この番組は物語っている。

貧困国のさまざまな問題の解決に最も重要なことは教育であることは間違いない。そして、女性への教育投資は、男に対する教育投資よりもリターンが大きい。何故なら、ある少女への教育投資は、その少女一人の未来を切り開くだけではなく、家族、そして地域社会の女性に対する考え方までも変えるからだ。

#ジョン・ウッドも同じようなことを言っている

世の中には解決すべき問題が山のようにあるが、僕が最優先で解決すべきなのは女性の教育問題だと思うのはそんな理由からだが、そのために必要なことは、女性の雇用機会を増やすこと、つまり女性が経済的に自立できるようにすることだ。

バングラディシュの貧農の村に、携帯電話ビジネスを持ち込んだグラミンフォン。携帯電話は農村における牛と同じ、生産手段だという発想で、携帯電話ビジネスをバングラディシュで成功させた。ブラ民フォンにはテレフォン・レディが25万人もいて、つまり、25万人の女性の雇用を創出した。

ユヌスのグラミン銀行は、主に女性に投資して起業を促進している。

社会起業家の活躍は社会を活性化させるが、特に女性の社会進出を促進する。マネしたいものであります。

竹井

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